子どもたちの自殺が後を絶ちません。いじめによる自殺、事故、事件が一向になく
なる気配がないなか、行政側は一体どう対応しているのか。NPO法人ジェントルハー
トプロジェクト(学校事件・事故・いじめについて親の知る権利を求める会)はまず、
子どもたちの目線に立って実態を把握すること、そのためには事件後の調査のあり方、
被害者及びその親と学校、教育委員会の調査情報の共有が大切であるとして、児童・
生徒に対する事件・事故直後の「調査票」による実情把握の実施を文部科学省に提案
してきました。(08年6月)
その回答を受けるべく9月17日、ちば景子議員同席のもと要望提出者と文部科学
省との話し合いが行われました。文部科学省は要望書を3ヶ月前に渡されているにも
かかわらず、その回答は「有識者の意見を聞いてよく検討します」で、説明も文部科
学省の総論的な方針を越えるものではありませんでした。
現場を知る、また事故や事件に直面した者の意見こそ解決に向け最も重みのあるもの
ではないかと思いますが、文科省は抽象的に「有識者」というばかり。
NPO法人ジェントルハートプロジェクトは、子どもたちに「いのちの大切さ」と
「やさしい心の大切さ」を伝え、「いじめのない社会」をつくるため全国で講演や展
示など活動を続けています。もちろん、子どもを失い、その悲しさ、無念さに加え、
学校や行政の理不尽な対応、法の不十分さを身をもって体験していて、だからこそ、
問題の対処に何が必要で何が足りないかを最もよく知っているのです。
文部科学省にはそのみなさんの提案を少しでも生かし解決にあたろうという姿勢が
見られないのが残念です。
目下、事故米の食用転用をめぐり、所管する農水省の対応が問題視されています。
国が責任のがれを続ければ、こうした事件が後を絶つことはないでしょう。いじめの
問題も同じことが言えます。
最後にちば景子議員は現場からの貴重な提案には真摯に向き合い、早急に回答を出
すよう求めたところです。
いじめ自殺や事件・事故を繰り返さないための私たちの提案と要望
2008.6.10
NPO法人ジェントルハートプロジェクト
理事 武田さち子
- なぜ、同じ事件・事故が繰り返されるのか
子どもの事故予防工学カウンシル(CIPEC)代表の小児科医・山中龍宏氏は、
同じ事故が起き続けている主な原因として、
- 情報が集まらない
- 分からない(知識化できない)
- 伝わらない(現場に)
という3点を挙げています。
そして予防につなげる為に大切なのは、
- 情報を収集に関して、
- 子どもの目線になって、正しく、具体的に事故の状況を把握する。
- 具体的な状況を掴んだら、情報を整理する。
- 必要な情報を確認する。
- 上記で得られた事故情報を安全知識に変える。
- 再発防止の為に情報を社会に知らせていく。
以上のことであると指摘されています。
事件・事故直後の調査票の提案
私たちは、学校にかかわることが原因と推測される自殺や事件・事故が起きたとき
にも、まずは、子どもの目線になって、正しく、具体的に事件・事故の状況を把握す
ることが大切だと考えます。そのために、事件・事故直後に実施する児童・生徒に対
する調査票を提案します。
正しい「個人情報保護法」の運用に関する要望
現在、学校における事故・事件の情報収集の壁になっているのが、「個人情報保護
法」です。
本来、個人情報保護法は、
- 利用目的による制限、
- 適正な方法による取得、
- 内容の正確性の確保、
- 安全保護措置の実施、
- 透明性の確保、
という5つの基本原則でなりたっています。しかし、現状では、利用目的による制限と、開示の適用除外のうち、「第三者の利益を害するおそれがある」「個人情報取扱事業者の正当な利益を害するおそれ又は業務の適性な実施に支障を及ぼすおそれがある」ことが前面に押し出され、本人やその代理人たる遺族に情報が開示され
ません。結果として、3. 内容の正確性の確保、5. 透明性の確保がまったく担保されず、訂正当の権利さえ奪われています。
一方、前述の山中氏によれば、事故情報は個人情報保護法の適用外ということで
す。これは開示しないことのほうが、かえって第三者の生命、身体、財産その他の
利益を害するおそれにつながるからではないでしょうか。
いじめや学校事件・事故の場合も、情報が開示されないことで、子どもたちの死
が教訓として生かされず、同じような事件・事故が繰り返され、子どもたちの生命、
身体が危険にさらされています。学校内の事件・事故情報も個人情報保護法の適用
除外として、むしろ積極的に開示し共有すべきではないでしょうか。
- 第三者委員会設置の概念
現在、様々な事案で、第三者委員会の設置が検討されています。しかし、当事者や
親の知る権利が確立されないまま第三者機関を立ち上げることは、かえって当事者や
親から知る機会を遠ざけることになるのではないかと懸念します。調査に関与するこ
とができず、詳細を知らされないまま、第三者に結論を出されるのは、当事者や親に
とって受け入れがたいことです。
実際に、交通事故等でも、加害者でも被害者でもない第三者としての保険会社が介
入し、一旦、結論が出されてしまうと、内容に不信感を抱いた被害者や遺族が、その
結論を覆すのは並大抵のことではないと聞きます。
また、いじめ加害者、被害者という子ども達の立場から考えると、加害者にとって
は時間が経過すればするほど反省は困難であり、その間に被害者の子どもたちの心の
傷をより深くしてしまう可能性は高くなります。このことからも直後の調査が必要と
考えます。
第三者委員会を設置するのであれば、まずは、当事者や親の知る権利を認め、その
権利を適正に行使するための手段のひとつとして位置づけていただきたいと思います。
権利の主体は第三者ではなく、あくまで、被害者やその親であるべきだと思います。
「犯罪被害者等基本法」でも、被害者や遺族が、解決に至る過程について関与するこ
とを被害回復のための重点課題としています。
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