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2006年6月15日全文

164-参-内閣委員会-14号 平成18年06月15日

○委員以外の議員(千葉景子君) ただいま議題となりました戦時性的強制被害者問 題の解決の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明 申し上げます。
 ついに昨年、戦後六十周年を迎えましたが、我が国が過去、侵略行為や植民地支配 により多大の苦しみを与えたアジア近隣諸国、地域の人々が我が国に抱いている不信 感や不安感には根強いものがあります。その原因の一つがいわゆる慰安婦問題であり ます。いわゆる慰安婦は、今次の大戦において、日本の軍や官憲などの甘言、強圧等 により本人の意思に反して集められ、日本軍の慰安所等で性奴隷的苦役を強要され、 女性の尊厳と名誉が深く傷付けられた未成年を含むアジア等の女性たちのことであり ます。
 慰安婦問題が社会的な問題となったのは、一九九〇年六月の参議院予算委員会にお いて実態の調査を政府に迫ったことに始まります。当初政府は、この問題は民間事業 者によるもので実態調査は不可能との立場でしたが、これは韓国などの被害者の強い 反発を招きました。その後、政府は調査を行い、一九九三年八月、初めて慰安婦問題 への軍の関与を認め、おわびと反省の気持ちを表しました。しかし、被害者に対する 国家補償については、サンフランシスコ条約や二国間条約で解決済みであるとして拒 否しました。
 この態度には、国際的に大いに異論があります。国際連合においては、慰安婦問題 が、一九九二年二月の人権委員会以来、大きな問題として論議されてきました。特に、 人権委員会の女性に対する暴力に関する特別報告者クマラスワミ女史が一九九六年一 月に提出した報告書、差別防止少数者保護小委員会の戦時性奴隷制に関する特別報告 者ゲイ・マクドゥーガル女史が一九九八年八月に提出した報告書は日本政府の法的責 任を認め、被害者に対する国家補償などを求め、各国の支持を得ました。
 さらに、国際労働機関の条約勧告適用専門家委員会も、慰安婦問題は強制労働を禁 止した国際労働機関二十九号条約に違反しているとし、国家補償を行うよう求める報 告を五度にわたって行っています。
 ところが、政府は、慰安婦問題については道義的責任を果たすとし、一九九五年七 月、民間団体である女性のためのアジア平和国民基金を設立し、国民の募金による見 舞金の支給で国家としての責任を果たしてきませんでした。しかし、この償い金事業 は、各国で少なからぬ被害者から受取を拒否されてきました。
 韓国政府は、一九九八年四月に、国民基金の償い金を拒否する方針で被害者に対し て一人当たり約三百万円の支援金を支給しました。
 台湾の当局も、一九九七年十二月に被害者に対し、立替え支給の形で一人当たり約 二百万円を先行支給し、日本政府に謝罪と国家補償を求めております。
 フィリピンにおいても、謝罪と国家補償を求める決議が一昨年十一月、フィリピン 議会上下両院に提案されています。
 インドネシアでは国民基金の償い金は被害者に全く渡っておらず、被害者や政府が 個人への補償を求めていることが提案者の調査で明らかになりました。
 そのアジア女性基金も来年三月に事業を終了し、解散いたします。
 被害者と内外の支援団体はこれまで、多くの困難を克服しながら、訴訟による問題 解決の努力も続けてきました。これまで十件の慰安婦裁判が行われてきました。これ らの裁判を通して、事実認定や当時の国際法違反の認定など、多くの成果が上げられ てきました。しかし、国家無答責や除斥期間など、言わば手続論で原告の敗訴が続き、 現在係属中の裁判は一件のみでございます。
 こうした状況の中、平和を希求する日本国憲法の理念を踏まえ、アジアに生きる日 本国民として慰安婦問題を早急に解決する必要があるとの考えにより、また、国の責 任において措置を講ずることが不可欠であると認識し、慰安婦問題の解決に対する我 が国の姿勢を明らかにするとともに、その解決のための基本的な枠組み及び道筋につ いて規定する本法律案を提出した次第であります。本法律案は、一九九八年の山口地 裁下関支部判決や、二〇〇三年東京地裁のいわゆる付言判決で突き付けられた国会と しての責任を果たすものと考えています。
 次に、本法律案の内容の概要につき、御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、今次の大戦及びこれに至る一連の事変等に係る時期における 旧陸海軍の関与の下での組織的かつ継続的な性的な行為の強制により女性の尊厳と名 誉が著しく害された事実について、謝罪の意を表し及びその名誉等の回復に資するた めの措置を我が国の責任において講ずることが緊要な課題となっていることにかんが み、これに対処するために必要な基本的事項を定めることにより、戦時性的強制被害 者問題の解決の促進を図り、もって関係諸国民と我が国国民との信頼関係の醸成と我 が国の国際社会における名誉ある地位の保持に資することを目的としております。
 なお、慰安婦という言葉は、被害者が受けた被害の実態を反映していないので、本 法律案におきましては、戦時性的強制被害者という用語を用いることとしております。
 第二に、政府は、できるだけ速やかに、かつ、確実に、戦時における性的強制によ り戦時性的強制被害者の尊厳と名誉が害された事実について謝罪の意を表し及びその 名誉等の回復に資するために必要な金銭の支給を含んだ措置を講ずるものとしており ます。
 第三に、政府は、戦時性的強制被害者問題の解決の促進を図るための施策に関する 基本方針を定めなければならないこととしております。また、政府は、基本方針を定 め、又は変更したときは、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない こととしております。
 第四に、政府は、第二の措置を講ずるに当たっては、条約等との関係に留意しつつ、 関係国の政府等と協議等を行い、その理解と協力の下にこれを行うよう配慮するとと もに、国民の理解を得るよう努めるものとしております。また、政府は、第二の措置 及び第三の基本方針に定める実態調査を実施するに当たっては、戦時性的強制被害者 の人権等に配慮しなければならないこととしております。
 第五に、政府は、毎年、国会に、戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関して講 じた施策及び第三の基本方針に定める実態調査により判明した事実について報告する とともに、その概要を公表しなければならないこととしております。
 第六に、内閣府に、戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関し、重要事項の審議、 施策の調整・実施の推進、実態調査の推進等の事務をつかさどる機関として戦時性的 強制被害者問題解決促進会議を置くこととし、また、同会議に、実態調査の推進の事 務を行う調査推進委員会を置くこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定 める日から施行することとし、施行の日から起算して十年を経過した日にその効力を 失うこととしております。
 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
 筆舌に尽くし難い苦渋を味わい、今なおいやされない傷を心身に負った多くの被害 者たちが既にこの法案を歓迎し、成立を待ち望んでいます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
 ありがとうございました。

○委員長(工藤堅太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 発議者はどうぞ御退席をいただいて結構です。

    ─────────────

○委員長(工藤堅太郎君) これより請願の審査を行います。
 第一三六号戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案の早期成立に関す る請願外百十五件を議題といたします。
 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧のとおりでご ざいます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とするこ とになりました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(工藤堅太郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしまし た。



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