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2006年5月17日全文

164-参-本会議-24号 平成18年05月17日

○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました刑事施 設及び受刑者の処遇に関する法律の一部を改正する法律案について、関係大臣に対し 質問をいたします。
 今回の改正は、未決拘禁者等の処遇について明治四十一年制定の監獄法以来約百年 ぶりに見直しを行う歴史的事業であり、無罪の推定を受ける未決拘禁者にふさわしく、 今日の国際的基準を満たす画期的な内容が期待されていました。しかし、政府から提 出された法案は、代用監獄に法的根拠を与え、その永続化を図ろうとするものであり、 国際的な人権保障の流れに逆行する期待外れのものと言わざるを得ません。
 そもそも我が国の刑事司法においては、自白は証拠の王とも言われ、捜査における 自白偏重の傾向が極めて強く、自白を引き出すための無理な取調べが行われてきた歴 史があります。この強引な取調べの温床となってきたのが、未決拘禁者を本来の拘置 所に代えて警察署の留置場に留めて、二十四時間、被拘禁者の全生活を管理、支配し ながら取調べを継続するやり方です。代用監獄は我が国独自の制度であり、捜査と拘 禁の分離を求める国際人権基準に違反し、国際社会からも、アルファベットで「DA IYO KANGOKU」と表記され、非難される国際語となっています。
 この代用監獄の下、捜査段階の自白が決め手となって過って有罪とされ、再審によっ て無罪となったケースも少なくありません。この中には、免田事件、財田川事件、松 山事件、そして島田事件の四人の元死刑囚が含まれています。平成六年以降も、日本 弁護士連合会が把握しているだけで、虚偽の自白を強要された事件が四十二件あり、 このうち二十件が無罪や不処分となっています。
 このように、冤罪が後を絶たない原因を法務大臣はどのようにお考えになっている のでしょうか。答弁を求めます。
 多くの弁護士や日弁連、人権NGOなどは、長年にわたり、代用監獄が自白の強要、 違法な取調べの温床となり、ひいては冤罪の主要な原因の一つとなるとして、その廃 止を強く求めてきました。
 しかし、今日、代用監獄に収容されている未決拘禁者は九八%を超え、本来の拘置 所に収容されている者はわずか二%にも満たない状態になっています。この背景には、 政府が拘置所は増設しない一方、警察留置場は増設され続け、代用監獄の廃止を事実 上不可能な状況をつくり上げてきた事実があるのではないでしょうか。
 また、現在進められている大規模独立留置場の実態は、警察官署に附属する留置場 というより独立した拘禁施設というものであり、拘置所として法務省所管に移して代 用監獄の漸減を実現していくべきだと考えますが、法務大臣と国家公安委員長に見解 をお伺いいたします。
 以下、本法案について具体的にお尋ねします。
 法制審議会は、昭和五十五年、関係当局は、将来、できる限り被勾留者の必要に応 じることができるよう、刑事施設の増設及び収容能力の増強に努めて、被勾留者を刑 事留置場に収容する例を漸次少なくすることという答申を全会一致で採択しました。 これが、代用監獄に関する論議の到達点でした。
 ところが、どうしたわけか、このたび提出された法案には代用監獄の漸減の視点が 全く欠落しています。廃止どころか、漸減の努力目標すら示さず、むしろ法案の十四 条、十五条は代用監獄を追認し、恒久化しようとしているとも読めます。
 杉浦法務大臣自身は、去る四月四日の衆議院法務委員会の審議において、長いスパ ンで考えると、いわゆる代用監獄は廃止するのが理想だと思うと答弁されています。 なぜ昭和五十五年の法制審の答申を無視した結果になったのか、代用監獄廃止に向け ての道筋すらない本法案を提出することは、大臣としての指導力、リーダーシップを 全く欠いたものと言わざるを得ません。法務大臣の説明を求めます。
 民主党は参議院でも、政府はできる限り刑事施設の収容能力を増強し、留置施設に 留置される者の数を漸次少なくするよう努めなければならないとする修正案を用意し ており、代用監獄を次第に減らしていき、最終的には廃止まで至るべきと考えており ますが、今からでも私たちの修正提案に応ずる考えはありませんか。大臣の御見解か らすると反対する理由はないはずですが、お答えください。
 捜査と留置の分離について伺います。
 去る二月の有識者会議の提言では、「昭和五十五年以降、警察の捜査部門と留置部 門を組織上及び運用上明確に分離することにより、被疑者の処遇の適正を図る制度的 な保障がなされるに至ったこと、」を指摘していますが、昨年五月、死刑求刑から一 転、無罪判決が出された北方事件では、限度を超えた取調べに加え、取調べ官の誘導 もうかがえるとして証拠能力が否定されるなど、代用監獄における自白の強要は今日 も続いているのです。
 代用監獄が存続する以上、捜査と留置の厳格な分離は不可欠ですが、現状はどのよ うになっているのでしょう。国家公安委員長にお尋ねします。
 本法案では、十六条三項で、「留置担当官は、その留置施設に留置されている被留 置者に係る犯罪の捜査に従事してはならない。」と規定していますが、これでは不十 分です。逆の、捜査官が留置業務に関与することが明文では禁止されていないからで す。捜査と留置の分離は完全に保障される必要があり、条文の解釈ではなく、明文を もって規定すべきものと考えますが、国家公安委員長の見解をお伺いいたします。
 さらに、起居動作の時間帯の遵守や留置担当官による取調べ等の中断を求める権限 の付与、留置施設等における未決拘禁者の出入りに関する記録と本人、弁護人などか らの要求に対する開示の義務付けなど、捜査と留置の分離を実効あらしめる制度が必 要だと考えますが、国家公安委員長の見解をお伺いいたします。
 本法案により、海上保安留置施設の設置根拠も明文化され、管理運営や被留置者等 の処遇に関する事項等が規定されることになります。これらの留置施設の管理運営は 従来とはどのように変わるのか、国土交通大臣にお伺いいたします。
 さて、やむなく代用監獄を当面存続させるとすれば、取調べの過程を録画、録音し、 自白の強要や誘導の有無を後から検証することができるように可視化を進めることが 必要です。去る九日、法務大臣は、密室のやり取りとなっている検察官による取調べ の一部をビデオで録画、録音する方針を示されました。これまで取調べの過程を検証 する手段が何もなかったことに比べ、一歩前進することになりますが、これでは不十 分であると同時に懸念を感じます。それは、警察での取調べが対象となっていないば かりか、検察官による撮影が担当検察官の判断にゆだねられているからです。これで は検察側に都合のいい部分だけが撮影され、利用されかねません。
 先般行われた裁判員制度に関する世論調査では、短期間であれば参加できるという 声が数多くありました。同制度が開始されれば、迅速な裁判の実現のためにも自白の 任意性の立証をより合理的に行う必要が高まります。取調べが適正であったか、自白 の強要などがなされていないかどうかは、取調べ過程をすべて録画、録音しなければ 裁判員には分からないんです。今後、全面可視化に向かうのか否か、法務大臣の決意 をお伺いいたします。
 また、国家公安委員長は、治安に悪影響を与えるおそれがあると、録画、録音の導 入に否定的な見解を示されていますが、冤罪を防ぐためにも、裁判員制度の円滑な導 入のためにも、警察による取調べの過程を可視化することが必要不可欠だと考えます が、国家公安委員長の見解を求めます。
 弁護人に対する接見交通権の保障に関しても本法案は不十分です。法案の百十七条 は、弁護人の未決拘禁者に対する面会において、施設の規律や秩序を害する行為があっ た場合に弁護人との面会を一時停止及び終了させることができることを規定していま す。なぜこのような規定を設けたのでしょうか。また、どのような事態を想定してい るのでしょうか。さらに、未決拘禁者と弁護人との接見の秘密が守られることは、被 告人が適切に防御権を行使する上で最も基本的な権利であり、刑事訴訟法三十九条で 保障されています。このような規定を設けることにより、未決拘禁者の権利が侵害さ れることにはなりませんか。法務大臣の見解を求めます。
 法案の二十条は、警察本部に留置視察委員会を置くことを規定しています。留置場 における処遇、管理運営の透明性を高めるものとして評価することはできますが、問 題はその人選です。弁護士会推薦の弁護士などを含む適切な人選がなされるべきであ ると考えますが、国家公安委員長の見解をお伺いいたします。
 死刑確定者の処遇について、法案の三十二条は、「死刑確定者の処遇に当たっては、 その者が心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする。」と規定して います。しかし、昭和三十八年の矯正局長通達により、心情の安定を害するおそれが あるとして面会人が制限されるなど、死刑確定者の権利を制限するためにこの心情の 安定という要件が使われてきたことにかんがみ、死刑確定者の処遇の原則は、人間と しての尊厳の尊重又は死刑に直面する者としての地位に配慮することであるべきと考 えますが、法務大臣の見解を求めます。
 ところで、杉浦法務大臣は、法務大臣に就任した昨年十月三十一日、初閣議後の記 者会見で、死刑執行命令書にサインしないと表明されました。しかし、その一時間後 には、個人としての心情を吐露したもので、法務大臣の職務執行について述べたもの ではなかったとの文書を発表し、事実上、発言を撤回されました。死刑制度に疑問を お持ちであれば、死刑制度廃止に向けた姿勢を貫くべきではなかったのでしょうか。 杉浦法務大臣は死刑制度の存廃についてそもそもどんなお考えを持っておられるのか、 見解を求めます。
 二十一世紀は環境と人権の世紀とも言われ、人権に対する国際的な関心が高まって います。冤罪の発生は、被疑者やその家族の人生を狂わせるだけではなく、真犯人を 処罰する機会を奪い、被害者の苦しみを増大させ、安全な社会を求める国民の期待に もこたえられない事態を生じさせます。
 本年二月の未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議の提言は、代用監獄の存廃につ いて、代用刑事施設制度は将来的には廃止すべきであるとする強い意見もあることや、 刑事司法制度全体が大きな変革の時代を迎えていることなどを考えると、今後、刑事 司法制度の在り方を検討する際には、取調べを含む捜査の在り方に加え、代用刑事施 設制度の在り方についても、刑事手続全体との関連の中で検討を怠ってはならないと 考えると述べています。
 冤罪を発生させないために、今後の代用監獄の在り方についてどのような検討を行っ ていくのか、法務大臣及び国家公安委員長にお伺いをし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣杉浦正健君登壇、拍手〕

○国務大臣(杉浦正健君) 千葉景子議員にお答えを申し上げます。
 まず最初に、冤罪が後を絶たない理由は何かというお尋ねがございました。
 無罪判決の理由は、関係者の供述や被告人の自白の信用性が認められなかったり、 情況証拠から犯罪事実を認定するには合理的疑いが残るとされたりするものなど様々 でございます。検察当局においては、信用性のある供述の確保とその裏付け捜査の徹 底、証拠物やその鑑定等の客観的な証拠の十分な収集及び検討等に一層の意を用い、 事件の適正な捜査処理に努めているものと承知いたしております。
 次に、大規模独立留置場の法務省への移管についてお尋ねがございました。
 これまで、法務省としても拘置所の収容能力の増強に努めてきたところでございま すが、留置施設は、都道府県が地方の治安責任を全うする必要性から独自の財源を充 てて設置しているものでございまして、これを国の所管に移すことは、治安に関する 地方公共団体と国の役割分担や責任の所在にかかわる重大な問題でございます。
 また、留置施設は、逮捕から勾留まで一貫して用いられ、要員の点でも、地方公務 員である施設の看守勤務員が対応しております。仮に留置施設を国の所管に移すとい たしましても、逮捕後の留置を行う施設としての留置施設は存続する必要がございま すから、被勾留者の収容に関する部分のみを国の所管とすることとなり、その場合、 国の業務を行う区画を別に設け、共通した業務に従事する職員を国と地方ごとに配置 せざるを得なくなります。
 こうした点などにおきまして、留置施設の所管を法務省に移すことは現実的ではな いと考えております。
 次に、法制審議会の要綱との関係についてお尋ねがございました。
 御質問の要綱の趣旨は、本来、刑事施設に収容することが相当と判断されるような 者について、刑事施設の収容能力の不足から留置施設に収容せざるを得ないという事 態が現に存し、あるいはそのような事態が生じるおそれがあるとの認識に立ち、法務 省に対して、刑事施設の増設等に努めることによってそのような事態が生じることが ないようにすべきことを要請するものでございまして、代用刑事施設に収容される被 収容者を漸次減少させて代用刑事施設制度を将来的に廃止するという趣旨を含むもの ではなく、この法律案は同要綱とも整合するものであると考えております。
 次に、いわゆる代用刑事施設の漸減に関する修正提案についてお尋ねがございまし た。
 最近の未決拘禁者をめぐる厳しい収容状況や現下の財政状況等にかんがみますと、 もとより、今後とも刑事施設の収容能力の増強に努めてまいる所存でございますが、 留置施設に代替収容される者の数を漸次少なくすることをその趣旨とする内容を法的 拘束力を有するものとして規定することは現実的ではなく、適当ではないものと考え ております。
 次に、取調べの録音、録画についてお尋ねがございました。
 検察庁においては、裁判員裁判における分かりやすく迅速で的確な主張立証の在り 方についての検討の一環として、裁判員裁判対象事件に関し、検察官による被疑者の 取調べの一部の録音、録画を試行することとしたものと承知しております。
 なお、取調べの録音、録画の制度化につきましては、司法制度改革審議会意見にお きましても、刑事手続における被疑者の取調べの役割との関係で慎重な配慮が必要で あることなどから、将来的な検討課題とされており、慎重な検討が必要であると考え ております。
 次に、未決拘禁者と弁護人等との面会の一時停止等の規定についてお尋ねがござい ました。
 法案第百十七条は、未決拘禁者と弁護人との面会についても、刑事施設の規律及び 秩序を害する行為が行われた場合には、これを回復、維持するため適当な措置がとら れるべきであると考えられることから、そのための職員の権限を明確にする観点から 設けるものでございます。
 例えば、面会室内において未決拘禁者が暴れ出すなどの刑事施設の規律及び秩序を 害する行為に及んだ場合などが想定されますが、この規定は、面会における会話内容 を聴取したりしようとするものではなく、また、面会の状況を監視しようとするもの でもございませんから、未決拘禁者と弁護人との秘密交通権を侵害するものではない と考えております。
 次に、死刑確定者の処遇原則についてお尋ねがございました。
 まず、この法律案は、第一条において、死刑確定者に限らず、被収容者の人権を尊 重して処遇を行うことを目的とする旨明記しております。また、この法律案は、死刑 確定者の処遇に当たりましては、本人が自ら心情の安定を得られるように援助を与え、 あるいは権利制約にわたらない限りで心情の安定を害するような外形的条件を排除す るという形で、心情の安定に配慮すべきであるという考え方に立って立案しているも のでございます。したがって、議員の御指摘のような事態が生じることがないよう、 十分に配慮したものであると考えております。
 次に、死刑制度の存廃についてお尋ねがございました。
 死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題でございま すから、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重 に検討すべき問題と考えております。そして、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な 犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、凶悪犯罪がいまだに後を絶たない 状況等にかんがみますと、その罪質が著しく重大な犯罪を犯した者に対しては死刑を 科することもやむを得ないのであり、死刑を廃止することは適当ではないと考えてお ります。
 最後に、今後の代用監獄制度の在り方の検討についてお尋ねがございました。
 今回の法整備は、いわゆる代用刑事施設制度が現実に我が国の刑事司法制度におい て重要な役割を果たしていることから、この制度の存続を前提として、これに制度的 改善を加え、代用刑事施設の被収容者の適正な処遇を図ろうとするものでございます。
 代用収容制度は、これを所与の制度と考えているわけではございません。刑事訴訟 の迅速化、裁判員制度、公的被疑者弁護制度の導入などにより、刑事司法制度全体が 大きな変革の時代を迎えていることなどを考えますと、今後、刑事司法の在り方を検 討する際には、取調べを含む捜査の在り方に加え、代用収容制度の在り方についても 刑事手続全体との関連の中で検討を怠ってはならないものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣沓掛哲男君登壇、拍手〕

○国務大臣(沓掛哲男君) 千葉議員の御質問、七問にお答えいたします。
 まず初めに、大規模独立留置施設を拘置所として法務省に移管して代用監獄の漸減 を実現すべきとのお尋ねですが、この点につきましては、犯罪の認知件数の増加、過 剰収容の実態等を踏まえた各都道府県の治安に対する判断や財政的努力を経て設置し ている留置施設を一律に国に移管することは、地方自治の趣旨からもふさわしくない こと、仮に移管した場合にも警察が逮捕した被疑者を留置する施設が別途必要となる こと、拘置所とした場合には専門の法務省職員を別途相当数確保して常時配置する必 要があることなどの理由から、現実的に大きな困難があるものと考えております。
 次に、捜査と留置の分離についてのお尋ねですが、警察においては、昭和五十五年 より、組織上捜査業務に携わらない管理部門の警察官が留置業務を行うこととしてい るところであります。さらに、留置業務が捜査に利用されているとの疑念を生じさせ ないよう、被留置者の処遇については専ら留置担当官が行うこととし、捜査員は担当 する被留置者の処遇にかかわらないこととしており、これらの原則は今後も引き続き 徹底してまいる所存であります。
 次に、捜留分離を徹底して、捜査官が留置業務に関与することを明文で禁止すべき との御指摘ですが、新法第十六条第三項により、捜査担当官がその担当する被留置者 の処遇を行ってはならないこととなり、御指摘の趣旨は既に実現されているものと考 えております。
 続きまして、起居動作の時間帯の遵守、留置担当官による取調べ中断権限の付与に 関するお尋ねですが、被留置者は刑事手続の対象でもあり、公益上の必要性から、や むを得ず定められた時間どおりに処遇を実施できないこともあり得るところであり、 これを禁止するような規定を設けることや、留置部門に一方的な取調べ中断権限を与 えることは適当ではないと考えております。なお、例えば定められた時間に運動が実 施できない場合には別の時間に実施するなどの補完措置を講じており、被留置者の処 遇は適正に行われているところであります。
 また、留置施設への出入場時刻等の処遇に関する所要の事項は留置担当官が記録す ることとしており、その開示については具体的な事情を考慮した上で適切に判断され るものと考えております。
 続いて、取調べの可視化に関する御質問ですが、取調べの状況の録音、録画を実施 した場合、取調べの機能が大きく阻害され、犯罪の検挙に支障を来すおそれがあるた め、その実施については警察として慎重に検討する必要があるものと考えております。
 続いて、留置施設視察委員会の委員の人選についてのお尋ねですが、留置施設視察 委員会の委員は、留置施設の運営状況について部外者の視点から御意見をいただき、 その透視性を確保するというこの制度の趣旨を踏まえ、都道府県公安委員会がそれぞ れの判断によって任命するものと考えております。
 最後に、今後の代用刑事施設制度の検討についてのお尋ねでありますが、有識者会 議において指摘されましたように、捜査の適正な遂行と被疑者の人権の保障を図るこ とが国民の負託にこたえるものであることを念頭に置きつつ、治安と人権の調和と均 衡を刑事司法制度全体の中でいかに図っていくべきかについて不断に検討を行ってま いりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今回の法整備が実現しましたならば、捜査と留置の分離、 留置担当官への教育訓練の徹底など、法の趣旨をより実効的なものとするべく努力し てまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕

○国務大臣(北側一雄君) 千葉議員にお答えいたします。
 海上保安留置施設の管理運営についてのお尋ねがございました。
 海上保安庁の留置施設の管理運営におきましては、これまでは内部規則に基づき行 われてまいりましたが、本法案において、海上保安留置施設の適正な管理と被留置者 の人権を尊重しつつ適切な処遇をより一層確保するため、海上保安留置施設の設置根 拠とともに被留置者の処遇について法律上明確化することとしております。
 具体的には、捜査と留置の分離、面会や信書の発受の外部交通権などを法的に明確 にするほか、監査官による実地監査や有識者からの意見聴取による施設の透明性の確 保、不服申立てなどの新たな制度を設けることとしております。
 いずれにいたしましても、本法案によりまして、海上保安留置施設の適正な管理運 営を図るとともに、被留置者の人権を尊重しつつ適切な処遇の確保を図ってまいりた いと考えております。(拍手)

○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。


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