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2004年12月1日全文

161-参-法務委員会-11号 平成16年12月01日

○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は、少し感慨深いところもございますので、少しいろいろなことを振り返りな がら、総括的には後ほど江田同僚議員からも御質問があろうかと思いますが、少しこ の間の司法制度改革について振り返りながらも御質問をさせていただきたいというふ うに思っております。
 先ほど、昨日まで司法制度改革推進委員会事務局長で、今日になりましたら内閣官 房内閣審議官という、何か不思議なもんだなという、そんな気分がいたしますけれど も、山崎さんから丁重な御礼も含めて感想がございました。多分、率直な本当にお気 持ちを吐露いただいたものではないかというふうに思っております。
 私も、この司法制度改革につきましては、縁あってといいましょうか、一貫して議 論に加わらせていただいてきたということもあり、長い道のりだったな、しかしこれ からがまた山や本当に谷があったりするのではないかと感じているところでございま す。
 この司法制度改革については、ちょうど改革推進本部の事務局からパンフレットを いただきまして、まあ本当にあれこれあれこれ、たくさん本当に取り組んだもんだな。 私も、しばらく昔、実務の場にいたときを考えますと、これから数年先の訴訟の場等 を考えると、まあ本当に様変わりでとてもとても、実務に戻るようなことがあったら 浦島太郎のような、そういうことになってしまうのではないかなと、そんな感じもい たしております。
 ちょうどこのパンフレットで「あゆみ」というところを振り返ってみますと、平成 十一年の七月に司法制度改革審議会、これが内閣に設置され、そこからずうっと審議 会での議論があり、私も何かあると、司法制度改革のバイブルとまで言うとちょっと 大げさかもしれませんけれども、この司法制度改革審議会の意見書、これにやっぱり 立ち返りながらいろんな制度の仕組みやあるいはこれからの進め方を考えていくこと が大事なんだろうと。ここに立ち返りながらこの間の議論もさせていただいてまいり ました。
 そこから、言わば昨日が一つの区切りなんであろうかというふうに思いますけれど も、ちょうどその直後の今日がまたこの法務委員会の一区切りの審議ということにな るのかなと、そんな感じがいたします。余りつべこべつべこべ、こんなことばっかり 言っていてはしようがないんですけれども。
 ただ、私はこの間の司法制度改革の、ここまでいろんな紆余曲折もあり、それから 満足できるところ、まだまだ満足できない部分、あるいは意見も多様だと思います、 評価の意見、それから、いやいやこれは問題があるんだという意見もまだあると思い ますし、いろんなことがあるにしても、私はこの司法制度改革がいろいろな制度化、 法案化されて今日まで来たというのは、こう言うとちょっと口幅ったいですけれども、 この間、私ども民主党あるいは野党などがこれについてはかなり率先して、あるいは リーダーシップをある意味では取らせていただいてきたということも、ここまで司法 制度改革を進めてきた私は大きな要因でもあったかと自負をしております。
 ただ、それはそれだけではありませんで、それを与党の皆さんも十分に受け止めな がら、これを成し遂げるにはもう本当に党利党略あるいは与野党の対立ということで は進んでいかないということをわきまえていただいて、ともに議論を活発に行ってき たということが大変大きかったと思いますし、弁護士会あるいは多くの関係団体やそ して市民の皆さん、そういう皆さんの本当に真摯な参加、議論、こういうことがもう 本当に積み重なれば、あったればこそ、ここまで来たものだというふうに感じており ます。
 そういう意味で、本当に山崎さんにもある意味で本当にお疲れさまでしたと申し上 げたいような気持ちです。それから、代々いろいろと事務方を支えていただいた皆さ んもいるかと思います。
 ただ、私は、そういうことを考え合わせるにつけ、一つだけ大変残念に思うことが ございます。
 それは、やっぱりこういう節目の時期、そして推進本部も解散になったというとき に、やっぱりその本部長であったのは総理大臣でございます。この間、やっぱり改革 を掲げて、そしてこの司法制度改革もその大きな柱だと言って進めてこられた小泉総 理におかれましても、ここまで委員会にもいろんな意味で協力をいただいた、あるい は多くの国民の皆さんに対してもこの改革にいろんな形で参加をいただいたと。それ について、まあ御礼の言葉とは申し上げませんけれども、やっぱりそれを総括をいた だくようなお言葉やあるいはお考えをこの委員会などを通じて発していただきたかっ た、あるいはそういう姿勢をお見せいただきたかったなという、そんな気がいたしま す。
 残念ながら、この国会では法務委員会に出席をいただけるという状況には結局はな かったようでございますけれども、これだけ多くの皆さんがやっぱり努力をしてきた ということを改めて総理にも、本部長としての総理にも御認識をいただきたいし、是 非、大臣からもその旨を総理にしっかりとお伝えいただきたい。私のこれは意見でご ざいますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思っております。
 さて、こういう司法制度改革の、言わば今度の裁判所法の改正というのが、おおよ そこれで法律の改正としては大体最後になるのかなというふうに感じております。
 そこで、この裁判所法の改正にかかわりながら若干質問をさせていただきたいとい うふうに思いますが、司法制度改革の三本の柱の一つに、法曹の養成といいましょう か、司法を支える法曹の育成あるいはその改革というのがございます。この司法修習 とかも、その言わば大きな三本柱の中に入る課題だというふうに思っております。
 この司法制度改革の三本の柱の司法を支える人的な部分ですね、そこの中で大きな 柱が、法曹人口を拡大させる、そして法曹養成制度の改革ということでございまして、 この法曹養成制度の改革、この理念というのは、先ほど申し上げました司法制度改革 審議会の意見書、これに立ち返って考えますと、司法試験という点のみによる選抜で はなくして、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての 法曹養成制度を新たに整備をする。そこに、本当に幅広い社会経験、あるいは専門性 をいろいろな形で持った皆さんが法曹としての担い手として加わっていただくという 道を開いていく。こういうことがこの新しい法曹養成制度の大きな理念であり使命で あろうというふうに思っております。
 そして、その中のまた中核ともいうべき新しい制度が法科大学院ということに位置 付けられております。そういう意味では、司法制度改革の中でも、この法科大学院教 育ということをある意味では軸にした法曹養成制度というのは、非常にこれからの役 割、大変重いものがあると思いますし、この理念を十分に念頭に置きながら制度設計 やあるいは運用をしていかなければいけないというふうに思います。
 この点、司法制度改革の中でのこの法曹養成制度の重要性、そしてその中に位置付 けられている法科大学院のこれからの行く末の重要性、こういうところについて、大 臣として、なかなかこの間はずっと司法制度改革の論議にお加わりいただく機会少の うございましたけれども、この辺りをもう一度御認識をいただいて、これからの大臣 としてのリーダーシップを取っていただくことが必要だと思いますが、まずその認識 についてお聞かせをいただきたいと思います。

○国務大臣(南野知惠子君) 千葉先生の思い入れの強さということにつきましては、 また総理にお会いしましたとき、是非お伝えしておきたいというふうに思っておりま す。
 さらに、そこの、専門性の持っているいわゆる教育というものが、いろいろな専門 教育がございます。そのいろいろな専門教育との関連もしっかりと勉強させていただ きながら、この司法ということを私も学ばせていただいてまいりました。
 そういう観点からは、千葉先生思っておられるように、御指摘のとおり、新しい法 曹養成制度というものにつきましては、国民にこたえることができる質、量ともに豊 かな法曹を養成するためということが大きなポイントでございまして、法科大学院を 中核的な教育機関といたしまして、これは司法修習等実地の研修、そういったものを しっかりとその中に包含しながらいくわけでございますが、法科大学院の教育と司法 試験、司法修習とを連携させたプロセスとしての養成制度を整備しようとするもので あると思っておりますし、これをいい方向に進めていきたいというふうに思っており ます。

○千葉景子君 ありがとうございます。
 ここがしっかりとしておりませんと、本来の理念がだんだんだんだんどこかへ飛ん でいってしまう、ゆがんでしまうということになります。この法科大学院につきまし ては、法務省のみならず、ここをある意味で管轄をするということになります文部科 学省の方でもここをやっぱりわきまえていただいて、そして十分に横の連携も図りな がら、この内容の発展に向けて努力をいただきたいというふうに思っております。
 先ほど、鶴保議員の質問でも、何か法務省が遠慮をしているのではないかという話 がありましたけれども、どちらが遠慮をするということではなくて、両方そごがない ようにということだと思いますが、文科省の方は、この法曹教育、法曹養成について、 法科大学院を中心にしてどのように認識をなさっているか、文科省の方の御認識を承 りたいと思います。

○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましても、司法制度改革、これは内閣を挙げた改革でございます。 その一翼を担う法科大学院というものが法曹養成の中核機関であるということは十分 認識をしております。
 文部科学省といたしましても、十分法務省とこれまでも連携を取りまして、様々法 科大学院制度の制度設計に当たってきたわけでございます。そういう中では、法科大 学院の教育課程、そういったことにつきましても様々司法制度改革審議会の意見を踏 まえております。あるいはまた、先ほどの議論にもありましたように、その教員につ きましても実務家の登用ということで、大変法務省の御協力も得まして様々実務家の 教員を登用しているわけでございます。
 さらに、文部省といたしましても、この法科大学院というものが今後更に発展をい たしますよう、それにつきましては、様々私学助成の面、あるいはまた育英奨学の面、 さらにまた法科大学院の形成支援プログラムという形で財政支援も行っておりまして、 私どもといたしましても、法科大学院というものが、司法制度改革というものの中で のその趣旨に沿った形で今後とも発展していきますよう、あるいはまた国民、そして また広く関係者の期待にこたえますことができるよう努力をしていきたいと思ってお ります。

○千葉景子君 是非、それぞれ認識をきちっと持っていただき、連携を取って、この 法曹養成制度の発展に努力をいただきたいと思っておりますが、どうも、本当にじゃ そういう方向に進んでいるかなということについては、若干私も懸念を感じていると ころがございます。
 実は、もうこの間、大臣にも大変混乱が起こっているよというお話を申し上げまし たけれども、こういう法科大学院、そして司法試験があり、司法修習があって法曹が 誕生していくと。こういうことを考えますときに、それを発展させるためにとこの法 科大学院が設立をされ、そして新しい司法試験ということになるわけですが、そのと きの司法試験の合格者数につきましては七割、八割、この数字はなかなか難しいんで すけれども、かなりの法科大学院を卒業した者が司法試験に合格をし、そして次の司 法修習という段階に行って、こう流れで、プロセスで法曹ができるということがおよ その制度設計として言われてまいりました。
 これが、どうもちょっと今何か変な格好になってしまっているのではないかという ふうに思います。これは多分、思った以上に法科大学院の設立、意欲のある法科大学 院というのが出てきて、そしてたくさんの法科大学院ができて入学をした人数も多く なったということも一方ではあるのかもしれません。たくさんそれを目指す人が、優 秀な人が出てくるというのは喜ばしいことですから、そうだったらば、司法試験の合 格者も、逆に言えば、まあ考えていたより増えたねと、これで私は素直にいいのでは ないかというふうに思うんですけれども。
 どうもそうではなくして、今度は、反面、二〇一〇年、平成二十二年で司法試験の 合格者を、法曹人口を三千人ぐらいにしようという、これは、これまで余りにも少な いんで三千人ぐらいまでには何とか増やそうねと、こういう話がありました。これは 別に、上限をここまで以上に増やしちゃいけないということではなかったはずなんで すけれども、入口は増えちゃった、出口の方は、何か三千人というのがあるというこ とで、何となく、せっかく法科大学院、司法試験そして司法修習という、こういう流 れを育てていこうということなんですけれども、その三千人の上限をどうも念頭に置 いたせいなのか、この合格者数を抑制しよう抑制しようという、どうも今動き、状況 があるやに聞いております。
 こうなってきますと、せっかく、社会人として仕事をしている、でも自分は法曹と してやっぱり社会の正義を、法の支配を自分も担っていこうと、そこに専門性も加え て頑張っていこうという人たちが、なかなか、いや、お金掛けてロースクールに入っ た、お金を、借金をしてですね、それで司法試験を受けたら、いや、ほとんどがおっ こっちゃうんだということになりますと、なかなか入学者も少なくなってくる。ある いは、ゆっくりロースクールで十分にプロフェッショナルとしての多角的な教育をし ようと思っても、また司法試験を受けるための何か受験勉強をしなきゃいけなくなる ような、そういうことになったのでは、この改革の意味というのは損なわれてしまう のではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、この問題については十分に、先ほど大臣からも、そして文科省の 方からもその法曹養成の理念、これについては御認識を聞かせていただきました。こ ういう認識の下に、この司法試験の実施方あるいは運用などを図っていただく必要が あるのではないかと思いますけれども、その点について、入口の方を持っている文科 省もどう考えておられるのかな、それから出口ということではないんですけれども、 仕上げの方をする、これは司法修習をやる側あるいはこの制度設計に当たった法務省 と、どういうふうに今の事態を受け止め、そして今後の対応をどうされようとしてい るのか、お聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。
 各法科大学院では、その法科大学院制度創設の趣旨にのっとりまして、現在様々、 先ほど言いましたように、実務家教員を参画をさせ、そして少人数教育を基本として、 あるいはケーススタディー、現地調査、そういう新しい従来にない双方向型の教育と いったことを行いまして、そういったことを通じて法理論と実務の架橋というものを 目指しているわけでございます。
 そういう中で、当然それぞれの大学では学生を司法試験に合格させて法曹に送り出 したいということで一生懸命努力をしておりますし、私ども、そういったことについ ては財政的に支援を行っているところでございます。
 司法試験ということにつきましては、先ほど先生御指摘の司法制度改革審議会の意 見書の中でも、新しい司法試験自体もこのような法科大学院の教育内容を踏まえたも のに切り替えられると、そういうふうに私どもも承知をしておりますし、あるいはま た、司法試験の合格者数といったその設定の在り方についても、現在、法務省の司法 試験委員会で検討中ということでございます。
 文部科学省といたしましては、去る十月二十九日に、法科大学院協会の方でそういっ た司法試験の在り方等につきまして要望等を公表したところでございます。是非、そ ういう法科大学院協会等の要望も踏まえまして、司法試験委員会の方から適切な方針 が示されることを期待しているところでございます。

○政府参考人(寺田逸郎君) まず、現状を申し上げますと、この秋から、最終的に 司法試験の合格者を決める権限を持っております司法試験委員会は、この点について の議論をスタートをさせました。ただ、残念なことに、一部報道機関でその議論につ いて必ずしも正確でない報道がされましたので、多少といいますか、かなり混乱が生 じたこと大変残念に思っているわけでございますけれども、事実は、衆議院の繰り返 しになりますけれども、政府として、現在どういう考えの下にどういう数字としての プランを持っているかということはございません。司法試験委員会自体で、様々なシ ミュレーションの資料を基に御議論をされているところであります。
 これまで、議論の土台になりますのは、当然のことながら、司法制度改革審議会以 来の様々な議論でありまして、特に司法制度改革審議会がお示しになりました案に基 づきまして政府の推進計画に使われてまいりました、平成二十二年ころ三千人程度と いうのが一番の総枠であると。これに、さらに、司法制度改革の推進本部の法曹養成 検討会でこの点についても御議論がありましたので、その御議論についても土台にし て現在議論が行われているところであります。
 過日もこの点について議論がありまして、その一部は既に明らかにさせていただい ておりますけれども、基本的には、やはりこの法科大学院を中核とする法曹養成の考 え方からいきますと、法科大学院の課程の修了者というものをそうでない現在の試験 のグループの中から選ばれる人よりは数が多くあるべきだという考え方が一致して取 られるという、そういう議論の段階でございます。今後、更に司法試験委員会ではこ の点について詳しい議論をして、年度内には具体的にどのぐらいの数ということで、 この新司法試験と旧司法試験の並行実施期間中における数の問題ということの考え方 を明らかにするという、そういう見通しでございます。
 法務省といたしましては、様々なデータを提供して、司法試験委員会に本来のこの 間の法曹養成の理念どおりの考え方に基づく結論を得ていただきたいというふうに努 力するつもりでございます。
 なお、委員のお話の中にありましたように、確かに六千人近くの入学者がいるわけ でございまして、それを預かっておられる法科大学院の方々から、できるだけ法科大 学院の出身者をたくさん司法試験に採ってほしいという御要望がございます。先ほど 鶴保委員の御議論にもございましたとおり、プロセスとしての法曹養成で、点として の司法試験による選抜から切り替わったわけでございますので、余りに激しい競争率、 例えば現在は数%の合格率になっておりますけれども、そういうことではこれは受験 戦争というような形容詞でこれまで語り伝えられてまいりました司法試験の性格を変 えることにはならないだろうという理解ではおります。
 ただ、他方で、何人入学、法科大学院に入学したから、その入学者をそのまま卒業 するものとして、それで法科大学院の合格率をまた云々されるということであります と、これは逆にプロセスとしての教育にならないわけでございまして、むしろ法科大 学院ではかなり熾烈な今教育をなさっていただいているわけでございますが、この司 法試験の審議会の意見書にもございますとおり、七割、八割の合格者を出す前提とし てはやはり相当の厳しい教育をしていただいて、かつ修了認定も相当厳しくしていた だくという前提でございます。それがあって初めてプロセスとしての教育になるわけ でございます。ただ法科大学院ができたからプロセスとしての教育ができるわけでは ないわけでございますので、そこのところもまた十分に御理解いただきたいところで ございます。

○千葉景子君 是非、趣旨、今御説明いただいたことは分かります。必ずしも入口入っ たからそのほとんどが出口までだあっと行くということを私も申し上げているつもり はございませんので、是非この趣旨がこれからも十分に、だんだん育っていくといい ますか、そういう方向で、念頭に取組をしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、今日のこの法案に直接今度はかかわってくるわけですけれども、この司 法制度改革、法曹養成の今度は仕上げの部分になるのがこの司法修習でございます。
 今回はこの司法修習について、これまで給費制であったものを貸与制にしようとい うことになるわけですけれども、これもなかなかよく、本当に法曹養成ということか らこの本当に貸与制に変えることが適切なんだろうかという気がいたします。私もま たこれに立ち戻ってみました。ここでも、その給費制を貸与制等に、将来、検討課題 ということで確かに挙げられております。ただ、ようやく今司法制度改革の実施がス タートをして、法科大学院ができ、そして司法修習の在り方も今いろいろと検討をい ただきながら、新しく衣替えをしていこうと、こういう状況ですので、やっぱりそう いうものと少し総合的に議論をして、本来、この給費の在り方も検討する、それだけ もう少しじっくりとしたものがあってよかったのじゃないかと。何かこの給費のとこ ろだけ突然ぴこっといち早く飛び出してきたという感が私はしてなりません。
 しかも、これまでの給費制の意義というのがそんなに悪いものだったのかな、私も それを受けた者の一人として、そんなに意義がなかったものとは思えませんし、それ からやっぱり法曹養成というのがこの司法制度改革の中でも司法の本当に担い手とし て大変、公共財といいますか、本当にこの社会、そして国を支えていく大きなやっぱ り基盤になるんだという位置付けがされているわけですから、それをみんなの税金な りで育てていこうということは、決して私はおかしなことではないというふうに思っ ております。
 そういう意味で、何かこの給費制から貸与制というのが、これだけがちょっと飛び 抜けてといいましょうか、何かいち早く出てきてしまったという感が否めませんけれ ども、もう一度じっくりと在り方を、修習の在り方、そして法曹養成全体がこれから どういう流れで、そしてどういうシステムで、あるいはそこでどういう人材がやっぱ り育っていくのかということも踏まえながら本当は議論をすべきだったのではないか なというふうに思っております。
 ただ、これをじゃもう一度考え直しましょうということには今ならないかと思いま すので、それはこれからも継続して議論させていただくとして、この給費制から貸与 制になると同時に、もう一つ私ども不思議だなと思いますのは、改めて専念義務とい うのが規定をされました。従来からも専念義務、修習に専念する義務はあったと思う んですね。逆に、専念をする、そして法曹としてのいろんな素養を身に付けていくの が修習だと。だから、それを給費という形で生活などを一定支えようと。むしろその 方がうまくつながるんで、逆に、その給費制がなくなって貸与制にしようということ になりましたら、今度は逆に専念義務が規定をされるということになって、何となく 逆さまみたいな感じがいたします。
 これ、専念義務が改めて規定された意味というのは一体どういうところにあるので しょうか。

○政府参考人(山崎潮君) この修習専念義務でございますけれども、現在条文には ございません。これは給与を支給しておりますので、その給与を支給するというそう いう解釈から当然に導かれるものとしてあえて規定をしていないと、こういうことで ございます。したがいまして、これを前提として最高裁の規則等が作られているとい うことでございます。
 このたび、この給与制をなくしますと、修習資金を貸与するということになるんで すが、修習資金とは一体何ですかということは定義せざるを得ないわけでございます。 そこで、この条文でも「司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金」 というふうにうたわれているわけでございますが、これを書きますと、その前提とし て、じゃ修習に専念する義務があるのかないのかということが当然問題になるわけで ございますので、したがいまして、その前提を書きまして、その上でそれを確保する ための修習資金を貸与いたしますと、こういう構成になるわけでございまして、確か に前書いてなかったのが、貸与制になったら急に書かれるようになったと。そういう 現象面からいくと違和感があるというのは私も理解はできますけれども、それは法律 の構成上はそれほどおかしいことではないわけでございまして、また書かないと、か えってどういうことになるのかが不安定になるということでございますので、御理解 を賜りたいというふうに思います。

○千葉景子君 そうなりますと、この専念義務というのは、従来なかったものが突然 できたということではなくて、むしろ従来からのものと内容的にはその義務の内容は 変わらないのだというふうに理解をさせていただきます。
 その専念義務ですけれども、これ仮に違反した場合の、これもちょっと先ほど触れ ていた、ございましたけれども、違反した場合、どういう措置が取られるのか。これ までとこの専念義務というのはこれからも変わらないとすれば、これまで過去の専念 義務に今違反して措置が取られたとか、そういう例というのはあるんでしょうか、ど の程度のものでしょうか、どんな具合でしょうか。その、ちょっとこれまでの状況な ど教えておいていただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 今委員お話しのとおり、現在でも修習専念 義務というのがございまして、時にその違反が問題になるというケースがございます。
 修習専念義務に違反する場合の典型的なケースというのは、許可を得ないで他の業 務を行うという、そういうパターンであろうかと思いますが、例えば後輩の受験指導、 これも業務として許可を得ないで行うといった例が過去にございまして、そういった 場合には、そういうことは許可を得ないではやれないと、そういうことを指摘して是 正をしたという、こういう対応を取ってきております。
 具体的にこういった違反が、違反の事態が生じた場合にどういうことを行うかとい うことでございますが、結局はそういう状態が生じた理由といいますか、無許可でそ ういった、そういう他の業務を行うに至った事情をまず考えてみなければいけないと 思いますし、その違反を知りながら行ったというと、これはかなり悪質でありますが、 うっかりしてやってしまったというようなこともあり得るものですから、そういった 事情ですとか、それからもちろんその具体的に行っている業務の性質ですとか、それ からそれに割くエネルギーですとか、そういったものを総合的に勘案して、どういう 対処をするかということを考えていくんだろうと思います。
 基本的には、先ほど申し上げましたとおり、注意をすれば修習生の方もすぐ理解し て、あっ、これはいけないことであるということですぐ是正されるものですから、注 意をして終わってしまうというのがほとんどでございますが、これ現実には出てまい りませんが、非常に悪質なケースで、幾ら注意しても改めないとか、その結果として 修習に身が入らない、修習態度が非常にふまじめであるというようなことになります と、これはいよいよ身分にかかわってまいりまして、修習生としての身分をなくす、 罷免という、そういう措置は理屈の上では考えられようかと思います。

○千葉景子君 この措置ということの最終的な、一番重いといいますかね、は罷免と いうことになるのだろうというふうに思います、抽象的にはですね。ただ、そこまで 行くような事態にはこれまではなっていないようですけれども、扱いとしては従来と 今後も異ならないということで受け止めておきたいというふうに思っております。
 さて、今度、給費から貸与ということになるんですけれども、大体、この貸与額と いうのは大体どんな辺りが一応予定をされるのでしょうか。そして、その額の根拠は 大体どんなものを根拠にしてその額が決められていくのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的な考え方は、現行の給費制での支給水準との連続 性を考慮いたしまして、司法修習生が生活の基盤を確保し、修習に専念することがで きる程度の額ということでございます、抽象的にはですね。具体的には、これは最高 裁判所の方の規則で定められるということになるわけでございますけれども、そこと 協議はしておりますけれども、大ざっぱな言い方をさせていただきたいと思いますけ れども、大体三ランクぐらいに分けるというイメージでございます。
 それで、まず司法修習生の必要、あるいはその返還の負担を考慮いたしまして月額 二十三万円程度、これを基本的な貸与額といたしまして、もう少し少なくてもいいと いう方もおられますので、その希望する人には更に十八万円程度の貸与額と、この二 つをまず設けます。これは自由に選んでいただくということでございます。それから、 これ以外にもう一つのランクがございまして、例えば扶養家族があったり、それから 住居を賃借しているという場合もあるわけでございますので、そういう場合には、そ の基本的な二十三万円の貸与額に更に相応額を加算をいたしまして最高二十八万円ま で貸与することができるというような、三つのランクを今大体イメージをしていると ころでございます。具体的にはこれから最終的に決めていくということでございます。

○千葉景子君 今おおよそ三ランクを聞かせていただきました。この修習の場合には、 これまで給費の場合にもそうではございますけれども、これから特に修習というのは、 実務修習を、そのさっきのプロセスでの教育ということから考えると、修習というの は実務修習を主体としたプログラムにだんだんなっていくということが指摘をされて いるわけです。
 そうすると、今でもございますけれども、実務修習というところに、実務修習地に 配属をされるということも今後も考えられるんだろうというふうに思います。実務修 習地というのも、これからどうなるか分かりませんけれども、いろんなところでして、 自分の居住地域、これまでの居住していた地域に配属になる人もいれば、全くもう見 ず知らずの遠いところへ配属になるというケースもございます。
 そうなりますと、今ちょっとお話がございましたけれども、その貸与額の中で、例 えば実務修習地でやっぱり家を借りなきゃいけない、住まいを確保しなきゃいけない ということになると、今旅費というのが出るという形がございますけれども、何か財 政的なサポートなども必要かというふうに思いますが、これは今お話があった十八万、 二十三万、二十八万という、その二十八万は住宅とかそれから家族がいる場合という ようなことがありましたけれども、こういうような実務修習地での居住の問題等も念 頭に置きながらの貸与額ということになるんでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、これから実務修習地が中心になってまいり ますので、当然そこの生活をイメージしながらこの額を決めているわけでございます。
 現在、月額二十万円ともう少しの額をもらっているはずでございます。これに賞与 等の手当が入りますけれども、大体その額と、年間の額と、この今申し上げた二十三 万円ですね、これを十二倍した額というのは大体同じか若干少なくなる。それは、勤 勉手当というのがございますので、これは修習中の身分で勤勉手当を支給することが 本当にできるかどうかという問題もございますので、若干その分が減るということに はなりますけれども。
 ですから、現行とほぼ同じ額を考えているわけでございますので、修習地における 生活、その辺も考えながらこういうことを決めているということでございます。

○千葉景子君 この貸与、それから、いずれ、大分先の話になってきますけれども、 回収の事務ということが必要になってきます。これは、今後どこが管轄をして、どう いう形で行うことになるのでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、貸与、回収の事務につきましては最高裁判 所の方で行うということになります。ただ、それがスムーズに行っているときはいい んですけれども、そうでない場合には債権管理法がございます。国の債権管理等に関 する法律でございますけれども、これに従った回収手続が行われるということでござ います。
 具体的には、最高裁の方でいろいろ納入の告知をしたり催告をするということにな りますけれども、これに従わないという場合にはもう裁判しかないわけでございます ので、これは国の方に依頼をして、国の方でその裁判手続あるいは執行手続を取って いくと、こういうことでございます。

○千葉景子君 最高裁も御苦労さんでございます。回収の事務も最高裁が管轄すると いうのも、もう何とも、何だか不思議な感じもいたしますけれども。最高裁が回収で きないときには国に手続を依頼をして、その裁判はまた裁判所で行うという、何かちょ っと分かんなくなってきましたが、まあ事務を取り扱うということで理解いたしたい と思います。
 それから、返還の免除ということが認められるようでございますけれども、これは 将来について、例えば病気であるとかそういうことでの免除というのは分かります。 これが、例えばこういう仕事に就いたら免除よとか、こういうところに就いたら免除 はしないよとか、政策的といいましょうかね、そういう就いた職務柄で免除の有無を 決めるようなことは考えておられませんね。

○政府参考人(山崎潮君) この政策的免除に関しましては、途中の段階ではいろい ろな議論がございました。その議論をしている場合に、じゃ、最終的に一つの考え方、 切り口で免除をする範囲が本当に確定できるかという問題もございました。また、特 に抵抗がございましたのは、任官者の免除ということになったときにそれでいいのか どうかと、統一修習との関係でいいのかという御議論もいろいろございました。
 それから、例えば司法ネットあるいは過疎地の勤務の方、そういう方については公 的な義務を果たしているんだからどうかという議論もありましたけれども、司法ネッ トといいましても、過疎地もあればそれから大都会もあるわけでございますし、それ から過疎地に行くということになりましても、それはひまわり基金で行かれる方もお られます。それから、自らの気持ち、意思で行かれる方もいます。それを一体どうい うふうに切り分けするのかというのはもう至難の業であるということがございまして、 最終的には政策的な免除の政策は取らないということで法案を出させていただいたと いうことでございます。

○千葉景子君 本当は江田委員の時間なんですが、若干ちょっと私の方に少しいただ きまして、この給費制から貸与制への移行ということなどを踏まえながらですけれど も、先ほど冒頭に申し上げましたように、これもようやく今日、今日かな、成立をす るかどうかというところまで来たわけで、これからこの法律をいろいろと実施に移し ていく等々の大仕事が残っているんだろうというふうに思います。
 推進本部という形では昨日その仕事を終えられたということになりますけれども、 今後、例えば、先ほど文科省にもお話を伺って、やっぱりそれぞれの各省庁にまたが るようなことについて横の連携を図っていく必要もあるでしょう。あるいは、在野か らいろんな市民団体等の意見や協力をいただきながらこの推進方を図っていかなけれ ばいけないということもあるでしょう。この推進本部が解散をした今後、実施するた めの体制というのはどんな形で行われようとしているのでしょうか。本部機構という 当然形はなくなるわけですけれども、実態としてどういう推進実施体制ということを 考えておられるのでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君) これから実行に移していく場合、法務省としてやるもの もありますけれども、それはまた法務省の方からお答えをいただくことにいたしまし て、私どもの関係のポスト本部の体制でございますけれども、これは内閣におきまし て総合調整を行うというために、本日付けで内閣官房に司法制度改革推進室、これを 設置をいたしました。もうみんな着任しております。スタンバイをしている状況でご ざいます。ここで、まだまだこれから実行に移していく場合にいろいろな総合調整が 必要になるだろうということから、ここでこの事務を行っていくという継続性を保つ ことにしております。スタッフが九名というスタッフで動くということになろうかと 思います。

○政府参考人(寺田逸郎君) 司法制度改革の課題は数多くございますが、かなり多 くの部分が法務省の実施を求められる事項でございます。したがいまして、法務省の 中に司法制度改革の実施のための推進会議を設けまして、この会議を中心にそれぞれ 具体的な実施を行っていくと、こういう体制を現在のところ取るということにいたし ております。この会議のメンバーは局長クラスでございまして、事務次官が主宰する ということにいたしております。
○千葉景子君 内閣官房と、それから法務省の方は推進会議というお話ですが、私が 申し上げましたように、省庁間での調整等々も当然していただかなければいけない、 しかし本当にこれを世の中に、市民の中に、あるいはこの社会の中に定着をさせてい くというためには、もう本当に多くの人の理解とそれから協力なくしてこれはもう成 り立たないというふうに思います。
 そういう意味で、当然それぞれの推進会議あるいは調整機関などで、諸関係機関等々 の意見とかあるいはいろんな形での参画とかを得ながらやっていこうということだろ うというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。

○政府参考人(寺田逸郎君) いろんな方の御意見を伺うという側面といろいろな機 関との調整という側面とあるというふうに思いますが、機関の調整の面で申し上げる と、先ほど、内閣に総合調整の機関ができますので、基本的にはその総合調整のため の推進室の方でやっていただくという仕切りでございます。
 ただ、実施機関につきましては、ただ単にほかの機関との調整以上に、多方面でい ろいろ御意見があろうかと思いますので、有識者の方に御意見を伺わせていただく機 会を得なければならないというふうに考えておりまして、参与という形で先ほどの実 施推進会議の中に何人かの有識者の方にお入りいただいて御議論をいただき御意見を いただく、こういう体制を取りたいというふうに考えております。

○千葉景子君 是非、いろんな多角的な意見も改めて聴きながら、そして協力を受け るいろんな関係のところの参加や、あるいは意見の聴取もしながら実施を進めていっ ていただきたいというふうに思います。
 じゃ最後、これも常々申し上げております。やっぱりこれだけのことをこれからど んどん進めていくことになりますと、やっぱり何といっても必要なのは財政措置とい うことになります。全体としてもそうですけれども、まずは来年度ですね、予算、ど んな構想で臨まれるおつもりでしょうか。これは法務省、最高裁、それぞれ考え方お 持ちであろうというふうに思います。そして、最後に大臣にもこの予算獲得に向けま してどんな覚悟で臨まれるか、お聞かせをいただいて、私の部分は終わりたいと思い ます。

○大臣政務官(富田茂之君) 先般の当委員会で簗瀬委員の御質問にお答えした際に は、そんなちまちました予算じゃいかぬというふうにおしかりを受けたんですが、改 めて御説明をさせていただきたいと思います。
 平成十七年度の要求に係る主な司法制度改革関連予算といたしましては、第一に、 新司法試験などの実施のために約一億六百万円を、第二に、法科大学院への実務家教 員の派遣などのために約九千万円を、そして総合法律支援体制の整備に向けた日本司 法支援センターの設立準備などのために約七億二百万円を、民事法律扶助事業の充実 のために約四十五億二千百万円を、最後に、裁判員制度の広報啓発活動のために約三 億二千百万円をそれぞれ要求しております。
 千葉先生を始め、本委員会の先生方の御協力をよろしくお願いいたします。

○最高裁判所長官代理者(大谷剛彦君) 最高裁からお答え申し上げます。
 予算を担当してございますけれども、最近、裁判所、事件が増加しておりますし、 事件の内容も複雑困難になってきております。また、迅速な事件処理に向けた施策を 要請いたします裁判迅速化法というようなものも施行されまして、司法の体制の充実 強化を目的とした司法制度改革というものが進められておるわけでございます。こう いうように、司法に対する要請が高まりを見せているという、こういう状況に対応し た人的、物的な体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
 平成十七年度の概算要求では、例えば人的体制の整備ということでございますれば、 裁判官につきまして、平成十六年度の増員が五十二人でございましたけれども、これ を大幅に上回ります七十五人の増員要求をするというようなことをやっておりますし、 またいろいろ、先ほども法務省からありましたけれども、裁判員制度の円滑な導入の ための広報関係予算、十億を超える予算を要求してございます。こういうような要求 につきまして、その必要性とかあるいは合理性というものを十分説明して必要な予算 の確保に努めてまいりたい、そういうことで司法の使命を果たし、また司法制度改革 を推し進めていくために必要な予算の確保に懸命に努めてまいりたいというふうに考 えております。

○国務大臣(南野知惠子君) 千葉先生から熱心な、予算をちゃんと分捕ってこいと いうことのお話もございました。今政務官からもお話しさせていただきましたが、そ れらに加えまして、裁判員制度や総合法律支援制度と、そういった司法制度改革の成 果を国民が実感できるように適切に実施していく必要があろうと思っております。
 予算を実行していくというところに次の課題があろうかと思いますが、平成十七年 度の要求にかかわる主な司法制度改革関連予算の状況につきましては御説明があった とおりでございますので、その成果の実現に向けてしっかりと頑張っていきたいと思っ ております。
 よろしくお願いします。


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