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2004年11月25日全文
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2004年11月25日全文
161-参-法務委員会-9号 平成16年11月25日
○千葉景子君 櫻井議員に引き続きまして質問いたします。
今、議論を私も改めて聞きながら、なるほど本当にこれまでそれなりに分かってい
たつもりの法律も、考えてみると本当に分かりにくいなと、そういうことをしみじみ
感ずるところでございます。
そういう意味では、どうも法曹関係者というのは自分で分かったつもりになってい
る。本当の意味で利用者の立場になって法律というのを見直していくというのは大変
重要な今日は指摘だったのではないかというふうに思いますので、今後も引き続きま
してそれらの課題についてもお互い議論を続けていきたいものだというふうに思って
おります。
さて、本来の法案の方に掛かって質問をさせていただきたいと思います。
時間が限られておりますので、まず、今回のこの法案で裁判所内部の職務分担とい
いましょうか、先ほど御指摘もありましたけれども、書記官の権限、これが大分と増
えてまいりました。拡大をされたということになります。そうなりますと、先ほどの、
権限が増えて義務もということですけれども、それだけ責任も大変重くなるわけです
ね。
ただ、私は、ちょっとそこで心配をするのは、大方の書記官の皆さん、職員の皆さ
んも一生懸命仕事をなさっているというふうに私は確信をいたしております。大変、
先ほど司法予算もなかなか厳しい中で定員もなかなか増員もいかない、そういう多忙
の中でも一生懸命やっているというのは承知の上ですが、ただ、ちょっとこのところ、
裁判所職員の不祥事なども目に付くところがございます。
割と最近の報道などされたものを見ますと、これは二〇〇四年三月ですけれども、
大阪地裁ですが、差押えや破産事件の事務処理が違法、不適切だったということで執
行官が停職三か月、書記官が停職一か月の懲戒処分になっています。これは執行官が
同じ物件を二重に差し押さえたり、書記官は破産事件で書類に担当裁判官の押印を忘
れるなどしたと、こういうものでございました。
また、これは二〇〇四年の四月、今度は札幌ですけれども、これは作った、調書を
作成した、残っていたメモに基づいて作成したけれども、メモが残っていなかった一
通は、今年三月、再び調停を開いたということで、これも記録を自宅に持ち帰ってし
まって失念をしてしまっていた、それによって調書の作成ができなかったということ
ですね。
それから、そういうことがあり、今度は書記官が、これは京都ですが、書記官が書
類を偽造したということですが、これは、事件の処理がいろいろ遅れているので早く
終わらせようということで偽造をしてしまったというようなこれは事件でございます。
それから、これも、今度は六月ですけれども、これは長崎の地裁ですが、書記官が
再生、小規模個人再生手続の際に、届出の期限を失念していたのでその期限を勝手に
遅らせてしまったと。遅らせて書き換えたということですね。
これは全部挙げているとちょっと時間もあれするんですけれども、こういう形で大
分、忙しいということもあるでしょう、しかしやっぱりこれ権利義務にかかわること
ですし、こういう事件がやっぱり多発をしているということも考えてみますと、かな
りこれ所内でその責任の重さというのをきちっと徹底をしてもらう、それから、それ
に対する研修とかあるいは研さんをさせるというようなプログラムも必要になってい
るのではないかというふうに思います。
そこで、この点については、これ裁判所の方になろうかというふうに思うんですけ
れども、こういう形で権限が大変増えてくるということに伴う体制整備ですね、これ
についてはどのようになされようとしているのか。これまでもなさっている、いたと
思うんですけれども、それでもやっぱりこういう不祥事などが起こっているとすれば、
より一層のこれは充実が必要になってくるというふうに思いますが、その点について
いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 御指摘の点については、私ども誠にそのと
おりであるというふうに考えながら事務を行っておるところでございます。
これまで裁判所書記官はどちらかというと少し堅過ぎるのではないかというように
言われるくらいに正確で確実な事務処理に努力をしてまいりまして、相応の実績を上
げてきたというふうに考えるわけですが、最近になりまして、ただいま御指摘のよう
な、例えば書類の名あて人以外の第三者に書類を送付してしまったとか、やるべき事
務処理を懈怠したというような過誤事例あるいは不祥事が目に付くようになっており
ますことは、遺憾ながらそのとおりであるということでございます。
この点につきましては、私どもといたしましても研修及び教育の体制を強化してい
く必要性を感じているところでございます。幸い、裁判所書記官を含め裁判所職員に
は意欲と能力の高い者が多数採用されておりますので、適切な研修、教育を実施して
いけばこの点は解決が可能であると考えておりまして、鋭意努力を重ねておるところ
でございます。
具体的には、従来ありました裁判所書記官研修所と家庭裁判所調査官研修所の二つ
の研修所を統合いたしまして、本年四月に裁判所職員総合研修所をスタートさせてお
りまして、教育、研修体制を強化充実させてきております。
その中で、書記官について言いますと、権限が広がることとなる新たな職務も増大
しておりますので、これに対応した演習や共同討議を実施いたしますとともに、これ
と並行しまして、基礎的な事務を確実に行うというための各種の研修を行ってきてお
るところでございます。
今後も、裁判所書記官、失礼、裁判所職員総合研修所を中心としました教育体制を
更に充実させるように裁判所が一丸となって努力を続けていきたいというように考え
ておるところでございます。
○千葉景子君 是非ここは、今御認識は持っておられるようでございますので、きちっ
とした研修を今後も充実をしていただきたいというふうに思います。
それにつけても、今お話がありましたように、やっぱり、何というんでしょうね、
やっぱり繁忙、多忙を極めると、やっぱりどうしても処理の遅れが出る。それ、そう
すると、ちょっとまずいなあ、やっぱりちょっと、どっかへもう書類隠しておこうか
とか、そういうことにも本当につながりかねないわけですね。
そういう意味で、これも繰り返しになりますけれども、先ほど出ておりました司法
予算、そういうものも十分に確保していただいて、人的にも、きちっと自分の職務を
見返しながら余裕を持って対応できるようなやっぱり人員体制と、これもやっぱり環
境整備として必要なところだろうというふうに思います。
どうしても人員は削減削減という方向が強いわけですけれども、この司法の部分は
そういうことではなくして、むしろ更に厚くしていくという方向で考えていただき、
そして研修を含めてその体制の整備に怠りないようにしていただきたいというふうに
思います。
さて、次ですけれども、今回の法案のもう一つに最低売却価額制度というのが入れ
られております。これについてちょっと何点かお尋ねをしたいというふうに思うんで
すけれども、今まで、今回の改正がなされる背景には、多分現在の不動産競売手続、
これで競売物件の売却がやっぱり非常にスムーズにいっていないということがあるか
らこそこういう改正ということにもつながっているんだろうというふうに思います。
そこでお聞きするんですけれども、現状、この競売物件の売却がスムーズにいって
いないそういう要因ですね、そこはどういうふうに認識をなさっておられるんでしょ
うか。そして、今回のこの改正によりまして、この売却がやっぱりかなり円滑になっ
ていくというその効果はどの程度考えておられるのでしょうか。その点についてお答
えをお願いします。
○政府参考人(房村精一君) お尋ねの不動産競売手続についての売却の状況でござ
いますが、平成十四年を例に取りますと、東京地裁では八三%、大阪地裁では七九%
と、極めて高い数字になっております。地域別で見ましても、関東地方とか関西地方
では大体七〇%近い数字になっておりますが、これが地方に行きますと大分下がりま
して、場所によっては五〇%に達しないようなところもございます。
このような主として地方部でこの不動産の売却がスムーズに進んでいない原因でご
ざいますが、これは一つには、やはりどうしても地方においては不動産市場が狭い、
買受けを希望する者が少ないと、こういうことがあろうかと思います。また、物件と
いたしましても、なかなか売却が困難な農地であるとか山林と、こういったようなも
のが対象になることが多いと、そういうことも指摘されております。
ただ、それらと並びましてやはり指摘を受けております一つは、最低売却価額の定
め方が実勢価額を上回っているために売却できない。特に地価の下落傾向が続いてい
るような場合にどうしてもその実勢価額より上回ることが多いというような指摘があ
るわけでございます。
そういうことから、今回この競売物件の売却を促進させるために、この最低売却価
額を見直しまして、これを基準価額として、その額の二割下回るところまで入札を認
めるということとしたわけでございますが、これによりまして、従来ですと一回目の
競売で入札がなくて売れずに再度売却を実施するという、その間、相当期間、どうし
ても数か月程度掛かりますので、そういったものが短縮できて売却率の向上が見込め
るのではないかと、こういうことを考えております。
○千葉景子君 一定の効果というのは期待できるのかなというふうに思いますが、今
地方でのばらつきがあると、なかなか農地であるとか山林であるとか、そういうこと
になると今回のこれだけではすべてカバーできるというわけではないとは思いますけ
れども、一定の効果が見込まれるのではないかと思います。ただ、これよく分からな
いのは、二割というのはこれ何か根拠というのがあるんでしょうか。この二割という
のはどういう意味を持っているんですか。
○政府参考人(房村精一君) 実は現在の競売実務では、おおむね第一回目の売却で
売却ができなかった場合に、再度評価をすることなく、最低売却価額を二割下げまし
て再度実施をするということが一般に行われております。
これは基本的な考え方としては、もちろん評価人の評価に基づいてそれなりの根拠
をもって最低売却価額を定めているわけでありますけれども、評価というのは、事の
性質上どうしてもある程度の幅がある。したがって、その評価人の評価の額はこうだ
けれども、やはり幅を考えれば二割程度下回る実勢価額であることもあり得るだろう
と、そういうことを踏まえて二割というところで再度の売却を実施しているんだろう
と思います。私どもも、そのような現在の実務の考え方をベースにいたしまして、や
はり評価はもちろん厳格に行っていただく必要がありますが、事の性質上ある程度の
幅がある、その幅の許容範囲としてはやはり二割程度ではないかと。
それから、そういった再度の売却あるいは三度目の売却というようなことを実施し
た例を調べてみますと、二度目の二割下がったところでの売却率というのは相当売れ
るものがあるんですね。ところが、それを更に下げた、その二割を更に上回って三割
程度まで下げてしまうような場合も、再度評価をして下げることもあり得るわけでご
ざいますが、その再度下げて売れる物件の数というのはそう多くない。やはり実際の
効果としても、やはり二割程度がある意味では売却率の向上にとって一番言わば効果
が期待できる数字である。それから、やはり余り下げ幅を大きくいたしますと執行妨
害を助長するおそれもあると、そのようなことを総合的に考えまして二割という数字
にしたわけでございます。
○千葉景子君 今、いみじくも局長の言葉からも出ておりますが、今回のこの改正に
よりまして売却がスムーズにいくという、そういうことが期待される反面、やっぱり
執行妨害が高まるおそれがあるのではないかということも指摘をされたり、私もちょっ
と懸念をしますが、その点については心配はないでしょうか。
○政府参考人(房村精一君) 日本の競売制度の最大の問題としては、やはり暴力団
関係者等がこの競売に関与してくるということが間々見られるということだろうと思
います。この最低売却制度にいたしましても、これがありませんと暴力団等が競売を
妨害をいたしまして入札をさせない、それで自分で非常に低額で競落をして不当な利
益を得ると、こういう執行妨害行為が行われるというおそれが非常に大きい、そうい
うことからこの制度が設けられているわけでございます。
私どもとしても、やはり日本の現在の競売の状況を見ておりますと、この最低売却
制度を廃止してしまった場合にはそのような執行妨害行為を助長されるおそれが非常
に大きいと、こう思っておりますので、基本的にこの一定額以下での入札を認めない
という制度は維持すべきである、こう考えてきたところであります。
さはさりながら、先ほど申し上げたように、評価には一定の幅があるということと、
現実に評価が高くて売れない物件も一定程度あると。そういうことを考えますと、現
在の最低売却価額制度の水準をそのまま厳格に維持することが必ずしも妥当とは思え
ない、そういうような配慮から二割下げるところまで認めることにしたわけでござい
ますが、この程度の額であれば、非常に危険を冒して執行妨害行為をして、それで得
られる利益の額はそう大きくありませんので、これで特に助長をするということはな
いのではないかと。また、近時においては、警察等におきましてもそういう執行妨害
行為に対する取締りを強化しておりますので、私どもとしては、今回の改正によって
そういった執行妨害行為が助長される可能性は十分防げるだろうと思っております。
○千葉景子君 それじゃ次に、扶養義務にかかわる点についてお尋ねをしてまいりた
いというふうに思っております。
今回、間接強制という仕組みを入れることになったわけですけれども、昨年、ちょ
うど担保・執行法制の改正で、一回の差押えで将来にわたる、将来分も含めて差押え
ができるという改正がなされました。今回、今度は間接強制もできるという形になり
ます。要するに私は、今回のこの改正、否定的に言っているわけじゃないんですけれ
ども、何かまずは将来の差押えもできるようにした、今度は、次にはこの間接強制を
入れると、もう少し全体、扶養義務、これをしっかりと実効力あらしめるために、トー
タルにもうちょっと法整備というか、制度の整備が本当はやられてしかるべきじゃな
いかと思うんですね。何かぽろんぽろんぽろんぽろんと、こういうやり方なんですけ
れども、これ、こういう形になったというのはどういうわけですか。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、昨年の通常国会で執行法を改正いた
しまして、養育料などの扶養義務等に係る金銭債権については将来分も含めて定期的
な給与を差し押さえること、給与等の定期的な収入を差し押さえることができると、
こうしたわけでございます。再びまた、その同じ種類の債権についての間接強制とい
うことで改正をお願いしているわけでございます。
これはどうしてそういうことになりましたかということですが、御指摘のように、
この扶養料等の債権というのは、これを受ける者にとっては生活の糧で非常に重要な
ものでございます。一方、その額というのは一般的には月数万程度の少ない額、これ
を支払が滞ったときに一回一回強制執行するのは大変だということが背景にあるわけ
でございます。
前回の改正では、そういう意味で、将来分も含めての差押えに基づく取立てが可能
なようにしたわけでございますが、実は法制審議会で検討をしている過程におきまし
ても、そのような直接強制で取り立てることももちろん容易にしなければならないけ
れども、しかしながら、なかなか直接強制ということになると執行手続というのは負
担が重いわけでございますので、当事者にとっての相当の負担になる。また、会社に
給与を差し押さえられたということが知られることによって会社にいにくくなってし
まうと。そういうことを心配する余り差押えまでなかなかできないんだという、そう
いう声もありまして、実は前回の法案提出前の審議においても間接強制をこの扶養義
務等について使えないのかと、こういう御意見があったわけでございます。
ただ、その間接強制を認めることとした場合に、その金銭債権のどの範囲に間接強
制を認めるべきか。金銭債権としてはこの扶養義務等に限りません、いろんなものが
あるわけでございますので、その場合、どこまで認めるかということについてなかな
か意見がまとまりませんでした。そういうことから、前回の改正では取りあえず直接
強制の部分について新たな強制執行の方法を改正内容としてお願いをするということ
にいたしまして、この扶養義務についての間接強制については更に引き続き法制審議
会で検討しようと、そういうことになっていたわけでございます。
その後、検討を重ねまして、金銭債権について間接強制を認めると、例えばお金が
なくて払えない人に間接強制を課しますと、ますます払えない人は払えるわけがない
ものですから、間接強制の言わば制裁金の方もどんどんたまってしまうと、非常に過
酷な結果になるおそれがある。そういう指摘を踏まえて、やはり金銭債権について間
接強制を適用するのはこの扶養義務等の債権に限ろうと。
この種の債権は、幾ら払うべきかということを支払う人の支払能力を踏まえた上で
具体的な額が決まるという性質がありますので、基本的にその決まった額は支払能力
はあるのが通常でございます。万一事情が変わって払えないような状態になった場合
には、その変更ももちろん可能な仕組みになっておりますので、そういうことでいえ
ば、この種の債権については間接強制を適用しても弊害が最小限にとどまるだろうと。
その上で、さらに間接強制の要件として、支払能力のないときには間接強制ができな
いと、こういうような仕組みにすれば弊害を心配する必要はないだろうと、こういう
結論に達しまして、今回この扶養義務等に係る金銭債権に限って間接強制の方法によ
るという改正をお願いしているわけでございます。
○千葉景子君 今の御説明をお聞きをすると、何となく入れたことは入れたんだけれ
ども、本当に幅が広がる、利用できるいろんな仕組みができるということは私も歓迎
すべきことだと思うんですけれども、何となくいろんな手だては講じておこうという
ことで本当に実効性が上がるのかなという感じがします。今おっしゃったように、お
金が払えなくなっている人にまた間接強制掛けて本当にそれで取れるのかと、こうい
うことも言えますので、この扶養義務については本当にもうちょっとこういう取立て、
執行の関係ばかりではなくて、トータルにもう一度ちょっと考えていく必要があるん
じゃないかなというふうに思います。
その前提としてですが、お聞きをしておきますが、養育費の支払ですね、扶養義務
に伴う養育費の支払の実情というのは大変これ厳しいところがございまして、これ厚
生労働省が、これは平成十年ですからちょっと前になる、大分前、ちょっとじゃない
ね、大分前になりますけれども、この全国の母子世帯等調査結果というのがございま
す。これ厚生省のホームページに出ているんですけれども、これで見ますと、そもそ
も養育費の取決めをするというのですら三五%、それから養育費をもらっているとい
うのが二〇%、養育費の支払を受けているというのが本当に少ないわけですね。額も
平均すると五万円程度と、こういうあれが出ております。それから、最高裁の方でも
平成十三年八月に実情調査をやっておられまして、この養育費の支払状況は、定めら
れた額を期限どおり全額受け取っているというのが全体の約半分、五〇%、それから
期限どおりではないが全額受け取っているというのが全体の二〇%、一部について受
け取っているというのが二四%、全く受け取っていないというものも六%です。これ
は裁判所が関与して離婚した部分のあれですから、それですらこういう状態だという
ことになります。こういう非常に厳しい養育費の支払状況なんですね。
そうすると、今、今回例えば、前回で将来への向かった債権も差し押さえられるよ、
今回は間接強制もできるようにしますよと、こういうことを入れても本当になかなか
実効性がないという実情がある、こういうことについてどうでしょうか、大臣はどん
なふうに御認識なさっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当にこの養育費というものは、本当に子供のために
しっかりと担保されるべきであるというふうには思っておりますけれども、この養育
費の支払の状況について、今先生もるる挙げられましたが、調査によりますと、そも
そも養育費の取決めをしていない世帯が六割もあるということでございます。また、
家庭裁判所の調停において養育費の取決めをした債権者に対するアンケート調査、先
生もお触れになられましたが、その取決めをしても債務者が約束の期日に全額支払う
ケースは約半数にとどまっているということがございます。さらに、債務者がこれを
支払わない理由ということにも様々なものがあります。お金があるにもかかわらず、
債権者に対する嫌がらせからか、支払おうとしないと考えているケースも見られると
いうことでございます。
このような実情を踏まえますと、本法律案による間接強制制度、こういうものを作
りますと養育費の円滑な支払の実現のために活用されるというふうに期待いたしてお
るところでございます。
○千葉景子君 私も、是非こういう制度が次々に整備をされてくることによりまして
養育費の支払ができるだけ進んでいくように期待はしております。是非それを期待外
れにならないようにやっぱり充実をしていく、あるいはそれをきちっと啓蒙していく
ということも併せてお願いをしたいというふうに思うんですね。
で、そのためには、私は思うんですけれども、離婚調停等の中でやっぱりこの養育
費、子供に対しては離婚をしてもどちらも親には変わりないと、そして扶養の責任が
あるんだぞと、だから養育費の支払というのは大変重いことなんだということなどを
きちっとやっぱり説明をして、その上でやっぱり調停合意が図られるということも大
事でしょうし、前回ちょっと指摘をさせていただきましたけれども、それと同じくら
いやっぱり子供に対する面接交渉のようなものも、やっぱりこれお互いに理解をし合っ
た上で十分に決めておいたりするということも大事なんだと。会うことによって子供
にまた愛情も継続できると。養育費もやっぱりこれはきちっと払わなきゃいけないな
という、そういう心理的なプレッシャーにもなっていく。そういうことも併せてやっ
ぱりこの離婚調停の席上などで十分にこういうことを説明をする、大事だというふう
に思うんですね。どうもこれ統計を見ると、忘れてしまったのか、こういうことを何
か知らなかったのか、後から何だかあいまいになってしまっているということがある
ようにも思うんです。
どうでしょうか、そういうことについて裁判所の方でも十分にこの制度、それから
合意を図る際の徹底、こういうことについてやっていただきたい、調停委員などにも
そういうことを十分に知らしめるようにというようなことも研修等併せてやっていた
だきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 家事調停の当事者が、委員御指摘のとおり、
養育費や面接交渉について正確な理解を有することは誠に重要でございます。したが
いまして、養育費や面接交渉の取決めが必要となるような当事者に対しましては、調
停の場で家事調停委員から分かりやすく、かつ正しい説明ができるように各庁におき
ましてこれらの問題に関する研修を実施するなどしているところでございます。
具体的には、新たに家事調停委員に任命された際に調停委員の役割と心構え、家事
調停事件の処理につき必要な基礎的知識等につきまして研修を行っております。その
中で、養育費や面接交渉等に関しましても基本的な知識を身に付けるようにしており
ますし、その後も経験年数に応じた研修を実施しておりまして、その知識や技能を向
上させるように努めております。
その中身としましては、例えば養育費や面接交渉に関する法律上の問題について裁
判官が講義を行ったり、具体的な事例に基づいて裁判官や家裁調査官とともに検討を
行うケース研究の方式を取ったり、あるいは分科会方式やロールプレーイングなどの
方法も取り入れて研究を行い、その結果について裁判官や家裁調査官から指導を受け
るというようなことが各庁で工夫して実施されております。
今後とも、家事調停委員がこれらの研修を通じて十分な理解をしつつ、当事者の方
に正しい説明ができるように努めてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 この養育費の支払確保につきましては、養育費の支払がなされないと
きに家事審判法では履行勧告をする、それから履行命令をする、そしてそれでも駄目
なときには過料という制裁を加えるという制度が定められておりますけれども、これ
は一体どんなふうに今機能しているのでしょうか。ちょっと実情を教えていただきた
いと思います。
○最高裁判所長官代理者(山崎恒君) 養育費を含む金銭債務について履行勧告がさ
れた件数はここ数年増加傾向にございまして、平成十一年には一万二千三百六十二件
であったものが平成十五年には一万五千十四件となっております。
また、金銭債務について履行命令が申し立てられた事件の既済件数はここ数年毎年
四、五十件程度でございましたが、平成十五年には八十二件と増加しているというよ
うな状況でございます。
○千葉景子君 確かに増加傾向にはあるようですけれども、考えてみれば、数十件と
いうことですので、なかなかやっぱりこういう制度があってもそれを活用して確保す
るというのも容易なこっちゃないなという感じがいたします。
いずれにしても、本当に制度自体はこのようにいろいろとメニューはだんだんでき
てきているんですけれども、実が上がらないといいますか、難しいというところが悩
ましいところだなという感じがいたします。
そこで、これはこれまでも指摘をされておりますし、いろんなところで提言がされ
ておりますけれども、やっぱり養育費とか面接交渉などもそうですけれども、家庭裁
判所の手続あるいは協議の場合も含めて、もう少し何か実効性の上がるやり方という
ものがないのかということでございます。
一つ考えられるのは、これは日弁連なんかでも提言がされておりますけれども、届
け、要するに離婚届をするときに、まず併せて、特に協議の場合などはやっぱりなか
なか養育費の問題などを取り決めることが難しい。だとすれば、その届け、協議離婚
の届けをするときに、併せて養育費の支払あるいは面接交渉などについての合意文書
を添付してといいますか、そうやって協議離婚の届出をするとか、そういう、これは
運用ということになるんでしょうかね、そういう何か手だてを講じてみる。それによっ
て、やっぱりそれは必ず履行しなければいけない、離婚ということになったら必ずそ
れが付いてくると、そういうくらいの意識改革をしなきゃいけないんではないかなと
いう感じもいたしますし、それから、条文上でも意外とはっきりしていないのは、やっ
ぱり親権の有無にかかわらず、養育費の義務というのが先ほど、いなくなっちゃいま
したね、権利と義務という話がありましたけれども、養育費の義務があるということ
は明文上必ずしもはっきり記載はされていない。こういうことを明確にするとか、何
かそういうやっぱり手だてもしていくことが必要なんじゃないかと。
それから、最終的には、よく言われるように、立替え制度、立替払の制度などとい
うのもよく指摘はされますけれども、そこまで行かずとも、幾つかちょっと工夫がで
きるような手だてもあるのではないかと、こんな気もいたします。
今日すべてのお答えというわけにはいかないかというふうに思いますけれども、時
間があともうなくなりますので、大臣に、こういう私の今指摘をさせていただいた提
言等も含めて、この養育費の確保、そして実効性を上げるための手だてなどについて
今後もいろいろと知恵をめぐらせていただきたい。大臣、こういう面については大変
心配りをこれまでもしていただいてきたお一人でございますので、是非その点につい
てお考えをお聞かせをいただきまして、質問を終わりにしたいというふうに思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に子供の養育費を担保するということは大切なこ
とであろうというふうに思っておりますが、離婚後の養育費の支払がきちんとされる
ことは、これは子供さんにとって大切なことであろうと思っております。
他方で、協議離婚の際の養育費の取決め、こういったものを義務付けするというこ
とにつきましては、離婚をするのが非常に難しくなる。もうDVなどでも、先生、御
経験があると思いますが、離婚を早くしたいと思うときに、その書類との関係という
ことで、それよりまずは離婚が先と考えられる方々も一杯おられるだろうというふう
に思いますが、もうどうしたら払っていただけるんだろうかと、そのことも真剣に考
えていきたいというふうに思っております。
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