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2004年11月18日全文

161-参-法務委員会-8号 平成16年11月18日

○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 前回、前川同僚委員の方から質疑がございましたが、それと重なる部分もあります けれども、何点かお聞きをしたいと思います。
 ちょっと済みません、冒頭なんですけれども、これ通告をしておりませんし、ただ 大臣の是非頭にちょっと置いていただきたいということで、問題指摘をさせていただ きたいというふうに思います。
 実は、今法科大学院で学んでいる皆さんの中で大変混乱というかが起こっておりま す。それはどういうことかといいますと、当初、初めて入学を、法科大学院に入学を して、その皆さんが卒業して新しい司法試験を受けると、そういうルートになるわけ ですが、そのときのおおよそ合格者が千人というふうにほぼ言われておりました。そ ういうことを前提にしながら、じっくりと法科大学院でこれまでにはないやっぱり実 態を踏まえたいろいろな勉強をして、そして司法試験に合格を目指そうと、こういう ことと多くの法科大学院生が考えておりましたところ、報道によってこれがどうも八 百人に抑えられるのではないかと。新しい司法試験が八百人、これまで続いている司 法試験が八百人と、こういうことにどうもなるらしいということで、法科大学院で学 んでいる皆さんは大変今心配をし、一体自分たちはどういうふうに勉強したらいいの かと困惑をしていると、こういう状況が生じているということでございます。
 別に試験が難しくなる、倍率が高くなるということを私はけしからぬと言いたいの ではないのです。ただ、やっぱり当初予定をしていた、そういうことが、やっぱり学 び始めて途中で方向が変わってしまうと、やっぱり自分の心の準備、あるいは勉強す るに当たってのいろんな自分なりの勉強の仕方、こういうものが大きく揺るがされる ということはやっぱり混乱を招くのではないかと感じております。
 どんな試験でもなかなか厳しいものがあるわけで、そのときそのときで倍率等もそ れは変わることもあるとは思いますけれども、やっぱり余り途中で極端な制度変更み たいなことがありますと混乱を招くのではないかということで、そういう事態が生じ ておりますので、その辺を是非大臣も念頭に置いていただき、せっかく法科大学院と いうものを通じてより良き法曹、これまでのような単に受験勉強をして法曹になろう ということではなくして、一貫した、点ではなくて線で法曹養成を行おうという、そ ういう趣旨、こういうことがこれから是非きちっと生かされるように、そこを踏まえ ておいていただきたいと、こういう今日は指摘でございます。
 事前に何も申し上げておりませんので御答弁は今日はいただきませんけれども、是 非、そこを是非頭に置いておいていただきまして、いろいろな大臣としての御指導を いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 さて、本題の方に入らせていただきたいというふうに思います。
 何かせっかく、何か答弁の紙が回っていたようですけれども、とんだ答弁をいただ いても困るので、指摘にしておきたいというふうに思っております。
 実はこのADR、この間からお話がありますように、これから育てていくというか、 そういうものだということでもございます。今回の法律ができることを契機に、やっ ぱり社会の中に紛争解決のすそ野を大きく広げていこうということでございます。た だ、それにはやっぱり光と影もあるという話もございまして、いろいろ議論は尽きな いところなんですけれども、私も、議論をお聞きしながら、そして多少勉強させてい ただきながら、なかなかそのイメージが、ADRって一体どんなものだろうと。一体、 実情としてはどんなADR、あるいはそれに類するものが実施をされたり、あるいは 運用されているんだろうかということで、考えてみると、そういう実態も知らないで 議論しているのもなんだろうと思いまして、大変急遽ではございましたけれども、事 務方の皆さんに、一体、実情について少し教えてほしいということでお願いをいたし ました。急遽だったものですから、大変御苦労いただいたかと思います。
 この調査室で作られました資料の中にも現状のADRについての記載がございまし て、それの元もこういう形でいただきまして、「各種ADR機関の御案内」と、こう いうものでございます。ただこれは、こういうものがあるよというだけでなかなか中 身が分かりませんものですから、現在の概要などをちょっと知らせていただきました ところ、こういうファイルでいただいております。
 これを一つ一つ今日端から紹介をしたりしていたのでは日が暮れてしまいますので、 それはいたしませんけれども、この間、参考人の話などでも、なかなかADR、現状 では皆さんにほとんど知られていない。裁判、司法的な部分でやっている、あるいは 行政型と言われているようなものは多少知られている部分もございます。それは家庭 裁判所というのもADRといえばADRで、それは多くの人が知っておりますし、あ るいは日弁連などでやっている言わばADRなどは大分利用される方もいるわけです けれども、それ以外のものは、統計を見ても本当に、開いてはいるけれどもほとんど まだ今の現状では活用されていないとか、あるいは、相談というのはそれなりに件数 がありますけれども、それと同時に、あっせん、調停などを行っているADRもある んですけれども、相談件数はあってもなかなかそういう解決、紛争解決までつながっ て、あっせんとか調停という形で行われたという件数は少のうございますし、あるい は件数としては、ADR実施はされているんだと思うんですけれども、受理件数とか その処理件数はゼロと、こういうものもたくさんございまして、なかなかこのADR というのがこれからどういうふうにこの法律ができて育っていくんだろうかと。なか なか私も、何か行く末というか、それから筋道、イメージがわいてこないというとこ ろもございます。
 せっかくの機会で、これだけ作っていただきましたので、若干、こういうことなん だということをちょっと紹介をさせていただきますと、例えば、これは何でしょうね、 電気通信事業紛争処理委員会というのがありまして、これはあっせん、仲裁、こうい うことを行っております。これは行政型のADRでございまして、財政は政府予算で 行われていると、こういうものでございます。これは、委員は国会の同意を得て行わ れているということになりまして、ただ、そういうものは作られているんですが、受 理件数は六件と、こういうことでございます。これは平成十三年から十四年の一年間 なんですけれども、受理件数は六件と、こういうことで、逆にそういう電気通信事業 についての紛争が基本的に数が少ないということでもあるのかと思いますけれども、 こういうものもございました。
 あるいは、これは何でしょうね、これも例えば森林共済仲裁委員会というのがござ います。これ民間型で仲裁を行っておりますが、これは全国森林組合連合会というと ころの言わば母体でやっておられると。これは受理件数は今のところ、設立は平成七 年なんですけれども、ゼロと。これもそうたくさん紛争が起こるというものではない んだろうというふうに思いますが、こういうものがあったりする。
 もう何かそれぞれ見ていると、何か非常に興味深いことは興味深いんですけれども、 割と身近なものとしてあるのがいろいろなPLセンターですね。PL法に基づくそう いう苦情の処理とかあるいはあっせん、仲裁、裁定などを行っていると、こういうと ころはかなり多いのです。これもそれぞれ化学製品のPL、ガス石油機器PLセンター とか、家電製品PLセンター、自動車製造物責任相談センター、消費生活用製品PL センター、生活用品PLセンターと、それぞれ相談からあるいはあっせん、調停など を行っているところが多いようでございますが、これもどちらかというと苦情の相談 とか、相談、こういうものが主になっているようで、あっせんとか調停となりますと、 ほとんどはですね、一けたの数字ということでございます。
 ちなみに、こういうものについても審査を受けるときの手数料というのもいろいろ でございまして、無料のものもあれば、審査を受ける、相談は無料だけれども裁定を 受けると一万円とかですね、調停は相談申込者、製造者双方より各五千円とかですね、 いろいろなケースが本当にあるようでございます。そういうのを全部御紹介できませ んけれども、機会がありましたら、また皆さんもこういうものを見ていただけると大 変イメージとして具体的なあれが出てくるんじゃないかというふうに思っております。
 こういう状況でございますので、確かにこれが裁判に代わる魅力ある制度として、 この法案を作ることによって発展をさせていくとなると、なかなかそう簡単なことで はないんじゃないかなというふうに感じたりいたします。
 今後、この法案が成立をいたしますと、例えば、特に認証ADRというものもでき て、これまで以上に効力とかあるいはその公正さとかそういうものが一定担保される ということによって、少し利用する方あるいは制度としての進展が図られるのかなと いうふうに思いますけれども、どうなんでしょうか、こういう実情の中で、この法案 ができますと、このADR認証を受ける、そのADRですね、民間のADRでどんな ぐらい出てくるのでしょうか。何かその辺の目途とかあるいは予測とか、そういうこ とは何か念頭におありなんでしょうか。ちょっとその辺について、現状を踏まえなが ら、予測などありましたらお答えをいただければというふうに思います。

○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員から現在の状況について御説明ございまし た。そのとおりでございます。まだまだ使われていない状況だということでございま す。
 今後、じゃこの法律が成立した暁にどのぐらいの申請件数が予測されるかというこ とでございますが、これ、民間型が中心でございます、民間型が対象でございますの で、現在、民間型のADRが百ぐらい、おおよそ百ぐらいございます。これは全部に ついてこの申請を経なければならないということではございませんので、それぞれの 判断がございますので、じゃその中で現実にどのぐらい申請をしてくるかというのは 実は分かりにくいところでございまして、アンケートも取ったことはございません。 これ、自主的な判断でございますので、私どもの方からあなたは申請しますかという、 聞くわけにもいかないという状況でございまして、ちょっとそこの予測は付かないと いうことでございます。
 これ以外に、この新規参入という問題もございます。これにつきましては、具体的 にこの分野でということ、それほど明確なものはございませんけれども、我々の検討 会の中では各種いろいろ士族の方がおられるわけでございますけれども、そういう方々 、あるいはそれに関連するような方々がこのADRを立ち上げてやっていこうという 動き、これも確たるものではございませんけれども、そういうことも聞いております し、その辺がどのぐらいの発展を見せるのかということでございまして、具体的な数 字はちょっと申し上げられませんけれども、いかにこれがうまくその実務が動いて、 それでどんどんどんどん参入してきていただいて国民の方に使っていただくと、そう いうことが必要でございますので、まず実態をよく公表して分かってもらうという、 そういうことに努めてまいりたいというふうに思っております。

○千葉景子君 御正直なところではないかというふうに思います。そういう意味でも、 この法案によって、ADRのやっぱりプラスといいますかね、よく言われました光の 部分が大いにPRをされたり、あるいはそこが充実をして、やっぱり多くの皆さんが、 おお、なるほどと、これならADRどんどん育てていきたいし、利用もしようという ことになってほしい。逆に、よく影と言われる部分ができる限りやっぱり解消されて、 安心してやっぱりADRで紛争解決をしようと、こういう今度は反対側からの担保も きちっとしておく。これが今の段階で、将来予測はなかなかできない中で、やっぱり 法律として、それから我々がなすべきやっぱり役割なんだろうというふうに思います。
 そういうことで、前回に引き続いて、ちょっと何点かどうしてもいま一つはっきり とよく分からない部分、ちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先般も、要するに法案の六条ですね、法令の解釈適用に関して専門的知識を必要と するときにきちっとした措置をしておかなければ認証を受けられないと、こういうこ とについていろいろと議論がありました。何だか、鶏と卵なんだか、禅問答みたいに なってしまうところもあるんですけれども。この法令の解釈適用に関して「専門的知 識を必要とするとき」というのは、非常に、抽象的には分かるんですけれども、まあ 実際にそれぞれの案件を考えてみますと千差万別といいますか、あるいはその状況に よって本当に個別判断をしなければいけない、そういうことが多いのではないかとい うふうに思うのです。
 そうすると、この要件を認証の基準にするときに、一体どういうことを具体的に認 証に当たって備えておけば、具体的にこういう場合に助言を受けるんだということを どの程度具体的に、何か示しておくとかあるいは何か内部規則みたいにしておけば認 証の言わば基準として充足をされるのか。その辺がどうもいま一つはっきり分からな いんですね。
 法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときはこうしますと抽象的に述べて おくだけで足りるのか、あるいはまあ例示のような、こういう場合には助言を受ける というようなことでこの専門的知識を必要とするときということの客観性を担保して おかなきゃいけないのか。その辺はどういうことになるのでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君) まず、御質問の「専門的知識を必要とするとき」という 意味でございます。これにつきましては、一般人が通常自ら判断することに支障があ る程度に高度な法律の専門知識が必要となる問題が生じて、この問題の解決が手続の 続行を決定するために必要であると、こういう状態にあるというのが抽象的なことで、 抽象的なことを抽象的に申し上げてもなかなか分かりにくいかと思いますけれども、 まあそういう定義をしております。
 具体的には、それじゃこういう状態がただ抽象的に決まっていればいいのかという ことでございますけれども、そうではないということでございまして、この抽象的な 状態で手続実施者がその事件事件で判断をするということになると、かなり主観とか そういうものが入ってくるわけでございましてばらつきが出てしまうということで、 これではやはり客観性が担保できないだろうということを考えまして、これにつきま しては、やはりどういう場合については弁護士の助言を受ける、そういうものをかな り、まあ完全に詳細かは別として、大きなポイントについてきちっとしたマニュアル とか、それから手順とかそういうものを定めて、その上で申請をしていただくと、そ れが妥当かどうかというところでチェックをすると、こういうことでございます。

○千葉景子君 逆に言えば今度は、今お話があったそのマニュアルの中身が問題になっ てくるわけで、まあただそれを今個別具体的にちょっとなかなか全部やっておられま せんけれども、例えばそういうものをやるためにも、例えばいわゆるガイドラインと いいますか、これからこれを実施していく法務省の方ということになるんでしょうか、 こういうガイドラインを作って、これに沿ったやっぱり内部手続とか内部基準、そう いうものを備えておきなさいということでもやらないと、なかなかこの専門的知識を 必要とするときに云々ということの判断というのは非常に難しいんではないかなと思 うのです。
 その辺で、ガイドラインみたいなものを作って、やっぱり公正さ、そして権利保護 に努めるというようなことを検討はなさっておられませんか。

○政府参考人(寺田逸郎君) 御指摘はこの申請をなさる方の立場から見れば極めて 正当でございます。
 それで、私ども、この六条、特に六条の要件でございますけれども、様々ございま すが、一定の範囲で定めているということが決められているもの、あるいはその定め が相当であるということを要求しているもの、あるいは実態的にこうでなければいけ ないというふうに定めているもの、まあいろんな種類ございますけれども、それぞれ について法解釈を前提にいたしまして何らかの審査基準というものをこの法律が施行 するまでには定めたいと。これは行政手続法上の要請でもあるというふうに理解をい たしております。
 具体的な内容につきましては、今後、今のADR機関の実態等をもう少し法務省と しても把握して、各方面の御意見を伺って慎重に検討したいと、このように考えてお ります。

○千葉景子君 そうすると、言わば認証の審査に当たって、何というんでしょうね、 審査する側の基準、そういうものとして今検討されるということでございましたが、 それを審査基準にするためにもやっぱり何らかこう客観的に、こういうこと、ケース であれば弁護士の助言をやっぱり受けなければいけないんだと、そういう行動指針み たいにもなるような、何らかやっぱりガイドラインのようなものをきちっと策定をし て進めていくというのが私はやっぱり大事じゃないかと。それによって利用する側も 安心してというか、こういうときにはちゃんと専門的な弁護士などの助言をもらいな がら紛争解決がされるんだということにもつながります。
 そういう意味では、審査基準というのも分からないではないんですけれども、やっ ぱり少し客観的に、だれもがなるほどと分かるようなそういう基準を示していただく ことも必要なのではないかというふうに思いますので、ちょっとそれは検討をしてい ただきたいというふうに思います。
 それから、今度は、そういう必要とするときに助言を受ける措置をしておかなけれ ばいけないということで、これもこの間、一体措置とは何ぞやと。別に顧問契約では なくてもいい、契約か、いやいや取決めだと、いろいろありまして、一体何だか分か らなくなってしまったということがあるんですけれども、この「措置を定めているこ と。」ということなんですが、これは一体、まあおかしな議論になってしまいますけ れども、例えば措置を、こういう助言を受けると、そういう取決めでもいいですよ、 こういう弁護士と取決めをしていますと、そういう書類か何かを添付をし申請をする ということなどが考えられると思うんですが、これ現実には措置を定めておればよい。 そうすると、定めてはいたと、しかし現実には、実際には弁護士の助言を受けること なくその紛争の解決を結局決着をさせてしまったということにもなりかねないんじゃ ないかというふうに思うんですね。要するに、措置を定めていりゃいいという書き方 ですから、本当にそれで大丈夫なんだろうかということです。
 そうすると、もしそれに反するようなことがあると、この間もこれも問題になりま したけれども、別にそのあっせんとか、それが無効になるわけでもなさそうですし、 結局は後々の監督による勧告とかあるいは認証の取消しとか、そういうことでそれを 担保するしかないのかなというふうに思いますけれども、そういう考え方でよろしい んですか。

○政府参考人(山崎潮君) 前段の点についてちょっとお答え申し上げますけれども、 前段の点につきましては、前回ちょっと答弁ややあいまいでございましたけれども、 私申し上げたかったのは、一般的にイメージで顧問契約と言われるようなものでなく てもいいという意味でございまして、それ以外の形態でもいいと。それを広い意味で 契約といえば契約だろうというふうに思います。そこは呼び方の問題だということで ございますので、そこは御理解を賜りたいということでございます。
 それで、この措置でございますけれども、結局、時期を逸することなく、手段とし ても時間的にも容易に、具体的事案に即して、手続実施者の説明の資料の精査等を踏 まえた弁護士から助言を受けることができるようにしなければならない、こういう意 味でございます。
 これについて、現実に、措置はしたけれども履行しなかったという場合につきまし ては、前回司法上の効力の問題としてお答え申し上げましたけれども、その点は前回 の答弁と変わりませんけれども、じゃ、あとどうするかという問題につきましては、 例えば手続実施者について毎年報告をさせますし、それから必要が、疑いがあれば逆 に報告を求める、で、検査をするということができるようになっておりまして、その 状態でいろいろな問題が判明すれば是正の命令を出したりいろいろやりますけれども、 それでも従わないというときには認証を取り消す、そういう形でペナルティーを科す と、こういうことでございます。

○千葉景子君 結局、その取消しあるいは是正、そういうことの積み重ねによってやっ ぱりそれが履行される。履行されないとそれだけのペナルティーがあるぞということ をもってこの履行をやっぱりできるだけ促し、担保していくということしかないのか なという感じもいたしますが。
 ただ、そのときの当事者にとっては、利用者にとっては、それによって本来主張で きること、あるいは併せて解決できるようなことが結局解決できずじまいで終わって しまったというようなことがあるのでは、これは利用者は、利用するというのはそれ 一回だったり、自分の本当に生活を懸けてみたいなときがありますから、後から取消 しがあったり、そういうことによってペナルティーを科すということで、まあしよう がないかなと思いながらも、そこをできるだけやっぱり履行を促す、そして履行が確 実に行われるような、そういうやっぱり運用に当たっての措置なども十分考えておい ていただかなければいけないかなというふうに思っておりますので、そこも指摘をし ておきたいというふうに思っております。
 さて、このADRというのは、考えてみますと、性格上、簡便迅速に、司法手続と いうことではなく、裁判ということではなくして、いろいろな専門的な分野、その専 門家を通してできるだけ解決を早期に図ろうという制度でございます。
 そうなりますと、先般から、この手続に法律扶助をやっぱり適用すべきではないか と、利用についてですね、そういうお話がございまして、私ももっともなことだとい うふうに思います。ただ、その法律扶助ということの以前に、そのADR、簡便迅速 にということになるのであれば、できるだけ本人が代理人ということを介さなくても 直接利用できる、そういうことも大事なんではないかと。
 それから、先ほど紹介をさせていただいた中にもいろんなケースがありますけれど も、その手数料といいますか、そういうものもできるだけ、余り高額な手数料という ことになりますと、簡便に、それから気軽に利用するというわけにはいかなくなる。 それがひいては法律扶助の利用ということにもつながるわけですけれども、その前に、 できるだけ低廉でということも必要なのではないかというふうに思っております。
 ただ、そのために何らか制度上の配慮ができないものかという気がするんですが、 こればっかりは、今の実情で見ても、先ほど言ったように、何というのでしょうか、 財政的に政府予算で行われているのは、公的な行政型のADRなどですと無料だった り、あるいは民間でもやっぱり無料であったり、額がいろいろであったり、なかなか これを一定のレベルにするというのは難しいところだと思います。それから、これま での経過の中で、余りこういうものに基準を設けたり報酬基準みたいなことをやると 公取からまた厳しい指摘をいただいて、報酬基準などは勝手に作ってはならぬと、そ ういう話にもなりますので、なかなかこの辺の部分というのは難しいことだというふ うに思います。
 ただ、どうなんでしょうか、その辺、制度的に、あるいは運用上で何らか配慮をし ていくというようなことはあり得るんでしょうか。その辺についてのお考えを聞かせ ていただければと思います。

○政府参考人(山崎潮君) この手数料につきましては、先ほど委員が持っておられ ました資料の一番端っこに書かれておりますけれども、そこに書かれている利用の手 数料はそれほど高くないのかなという感じはいたしますけれども、成立をした場合に ついてはまたこればらばらでございまして、その辺も含めて考えるということになろ うかと思いますけれども。
 これ、御指摘のとおり、一律の基準を設けるというのはなかなか難しい状況にござ います。この法令、法案でも、著しく不当であるというものについてはきちっとそれ はチェックをするということの体制を取っておりまして、その辺の合理的な線をどの 程度に持つかということはこれから、運用上やっぱりある種の基準は持たざるを得な いということになります。
 ただこれは、必ずこれでいくとか、この料金でいくとかそういう決め方はできませ んけれども、これ以上になってはまずいというラインはいずれ出てくるだろうという ふうに思っております。ただ、これもそれぞれ紛争のジャンルによっても違ってまい りますので、一律になかなか決めることは難しいということでございますけれども、 問題が生じないような、そういうような最大限のリミットですね、これはもうきちっ と考えてまいりたいと、今後の運用できちっとしていきたいというふうに思っており ます。

○千葉景子君 是非、法律扶助の問題も当然のことながら、この辺の利用しやすい環 境整備というのでしょうか、その辺についても十分に御配慮をしておいていただきた いというふうに思っております。
 それから、このADRの法案で、今後、国それから地方公共団体それぞれがこの法 案、制度について責任を果たしていくということが四条でうたわれております。その ために、それぞれ、情報の提供その他の必要な措置を講ぜよと、あるいは講ずるなど の、努めなければならないと、こういう規定が置かれております。
 どうなんでしょうか、この国のやるべきこと、それから地方公共団体が行うべきこ と、この発展を考えるときには、それぞれその責任の在り方も違うのではないかとい うふうに思いますが、その辺についてはどのような責任を果たせばいいというふうに 考えたらよろしいのでしょうか。それぞれの点についてお答えをお願いしたいと思い ます。

○政府参考人(山崎潮君) 確かに、この法律案では、国と地方公共団体の責務につ いて分けて規定をしております。
 まず、国の責務でございますけれども、これは、国内外における裁判外紛争解決手 続の制度あるいは利用状況の調査それから分析、それらに関する情報の国民への提供、 それから裁判外紛争解決手続に関する教育の振興、あるいはその広報の充実、こうい う点が国の責務である、具体的内容であるというふうに考えられます。
 それから、地方公共団体でございますけれども、地方公共団体では、地域内で行わ れる裁判外紛争解決手続に関する情報の住民への提供、それから地方公共団体が行う ADR、これの広報充実、こういう点が地方公共団体の責務であるということでござ います。

○千葉景子君 どうも、いつもこういう国とか地方公共団体の責務というと、広報と か情報提供とか、何となくそういう言葉で終わってしまうような感じがいたしまして、 そういうことかな、やっぱりこれだけの法案、それからこれから新しい制度を充実さ せていこうということですので、ただ広報をしていればいいというふうな問題ではな かろうというふうに思ってはおります。
 特に、特に私は、やっぱり国の場合には、この制度をこれから充実させていく、そ していろんな意味で発展をさせていくとすると、この責務の大きなところは財政とい うところを忘れてはならないのではないかというふうに思うのです。
 この間、司法制度改革も進められてまいりまして、その都度その都度、やっぱりこ れだけ新しい制度を作り、あるいは新しい司法制度を進めていくというためにはやっ ぱりそれ相応にきちっと財政支援をする、そういうことも考えていかなければいけな い。もうその都度この話が出てまいります。このADRについても、その広報にもそ れは当然財政も必要であろうというふうに思いますけれども、例えば、後ほどちょっ と触れますけれども、これから担い手の育成とか研修をどう進めていくかなどの問題 も当然出てくるでありましょう。
 いずれにしても、そう簡単なお金というわけにはいかない。司法制度改革全体とし ても相当なボリュームの財政出動というのが当然考えてはおられるだろうと思います けれども、このADRについても、やっぱり十分な財政措置、いろんな各箇所への財 政支援、まあそういうこと。先ほどADRの利用料、そういうものもできるだけ低廉 なものに抑えていこうということになると、やっぱりそれに対して財政支援みたいな ものも必要になってくるかもしれない。こんなことも併せて、この財政上の措置、そ して、とりわけそれのための予算、これを十分にしっかりと確保しておくということ、 これは大臣のやっぱり大仕事だというふうに思うのです。
 是非、こういうことについては、大臣も財務省とも体を張って頑張っていただくと、 それで財政なども十分に措置をしていただくということ、必要かというふうに思うん ですけれども、大臣、どうですか。その辺の御覚悟をちょっと聞いておきたいと思い ます。

○国務大臣(南野知惠子君) 先生から一番大切なことの御指摘があったように思い ます。もう千葉先生にもしっかりと御協力をいただきたいと私の方からもお願いした いことでございますが、本法律案の施行後、これは法務省におきまして、民間ADR の事業、業務の認証、それから認証ADR事業者の監督、又は認証ADRの業務に関 する情報の提供、分かりやすくするというようなことも含めながら、そういった事務 の担当をすることになってまいります。
 法務省といたしましては、これらの事務を効果的かつ効率的に処理するために必要 な予算が必要だろうと。その予算の確保に努めてまいりたいと考えております。今後、 運用の詳細と併せましていろいろと検討していかなければならない。今先生がおっしゃ いましたマンパワーの確保もそうだろうと思います。分かりやすい広報をしなきゃな らないというのもその中にいろいろ含まれてくるだろうというふうに思っております ので、是非、先生の御協力を得ながら頑張っていきたいと思いますので、よろしくこ ちらの方からもお願いしたいと思っております。

○千葉景子君 財政については、これまでどちらかといえば、何で我々の方が言わな きゃいけないのかと思うほど財政確保せいと、そのためには応援団も努めると申し上 げてきたのでして、むしろ法務省や裁判所などの方が、どちらかといえば遠慮がちで 大変謙虚過ぎるぐらいなところでございました。是非、そういうことがないように、 後ろからは押しますので、やっぱり大臣が先頭切ってやっていただくという覚悟でお 願いをしたいと思います。
 あと二点ばかりお聞きをしておきたいというふうに思います。
 参与員、認証に当たって参与員というものが設けられます。これは参与員を設ける 趣旨と、それからそのおおよその体制ですね、人数とか、あるいはどういう分野とい いますか、どういう方をこの参与員として選ばれていこうとされているのか、そこを お聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(山崎潮君) この参与員の制度を設けた理由でございますけれども、 現在ADR手続がなお発展途上にあるということでございまして、その学問分野とし ても必ずしも成熟している状況ではないという状況にございます。そういう状況の中 で、法務大臣あるいはその審査に当たる法務省の職員がADR全般にわたって専門的 な知識経験を有しているという制度的な担保がないということになります。そこで、 もう一つですね、もう一つは、この認証については、なるべく外部の意見を聞いて客 観的にチェックをしていくべきである、この要請を満たすべきであるという声が検討 会でも非常に強かったということでございます。そういう要請から、この参与員、認 証審査参与員制度を設けるということになったわけでございます。
 この点につきましては、具体的などういう人選かということでございますけれども、 やはりこのADRに関する経験豊かな法曹あるいは実務家、それから専門的分野に対 して紛争にかかわる処理の経験のある方、例えば知的財産だとか建築だとか労働だと か、様々ございますけれども、そういう専門的な分野、それから、この内外の動向に、 非常に動向に明るい法律学者等、そういうような点、そういうような方々が人選の対 象になるということで考えております。
 具体的にはこれから詰めていくということでございます。人数的には十数名という ことを当面は考えておりますが、これは申請が増えてくればまた増やさざるを得ない という状況になろうかと思います。

○千葉景子君 それからもう一点、最後にいたしますけれども、参考人の御意見等か らも、やっぱりこれからこれを進めていくには、担っていく者がやっぱり育っていく かどうかというのも重要だということでございました。
 前回、山本参考人から、この担い手としては話合いを促進することのできるような 能力を持っているような人を育てなければいけないというお話もございましたし、吉 岡参考人からは、弁護士といっても、弁護士会の仲裁センターなどでもやっぱりある 程度経験を持った、そういう者が当たるということを心掛けていると、基準にしてい るというようなお話もあり、やっぱり担い手をどうやってこれから育てていくかとい うのは大事なところだというふうに思います。
 これまでやっておられる方も、やっぱりこれから更に研さんを積むというようなこ とも大事だろうというふうに思いますし、どうなんでしょうか、研修制度等なども含 めて今後のその担い手育成について、将来にわたって何か資格制度というふうな話も 出ておりましたけれども、そこまではちょっと行かずとも、その研修等を含めて担い 手の育成、それからその何というんでしょうね、研さんの環境作り、こういうことに ついてはどんなふうにお考えだったんでしょうか。

○政府参考人(寺田逸郎君) これは運用の問題を含めてということでございますの で私の方からお答えさせていただきますが、委員も御指摘のとおり、この制度はまだ 言ってみれば未熟な制度でございます。現にあるADRにつきましても必ずしも利用 の促進が十分でないということからこの法案ができるわけでございますので、私ども もやはり担い手の育成というのは非常に重要なポイントだろうというふうに考えてお ります。
 ただ、この担い手の育成を現実に直接に行うということになりますと、これはやは り国そのものが行うあるいは地方公共団体が行うというよりは、それぞれいろいろな 関連の機関がございますので、そういったところのネットワークを含めまして、いろ んな機関の協力の下に行うというのが筋ではないかというふうに考えておりますが、 ただ、その素地を作る、あるいはそれぞれを組み合わせてうまくいくように取り計ら うというようなところは国としても十分に御協力できるところが多いんではないかと いうふうに思います。
 今後は、具体的に法律が施行になります準備段階でいろいろ考えてまいりたいとは 思いますけれども、今申し上げましたように、これから多くの機関というのが重要に なってまいりますので、日本司法支援センターを中心としたいろいろなネットワーク もございます、そういうところの協力ということを念頭に国としても考えていきたい と、このように思っております。


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