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2004年11月9日全文

161-参-法務委員会-5号 平成16年11月09日

○千葉景子君 本日はお三人の参考人の皆さんに大変貴重な御意見をいただきまして、 ありがとうございます。
 私の方から、それぞれ御参考人に何点かずつ質問させていただきたいと思っており ますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、池田参考人にお願いをさせていただきたいと思います。
 先ほどのお話、大変分かりやすく聞かせていただきました。
 そこで、一つ、民法の方について御意見を聞かせていただきたいのは、今回の包括 根保証の禁止という、これは本当に前進だというふうに思っております。ただ、そう は言っても、いわゆるそれ以外の根保証あるいは保証債務ですね、それについては、 かなり保証人に負担になったり、あるいは問題が生じている部分があるかというふう に思います。今後、この包括根保証の禁止については大きな前進といたしましても、 保証問題について今後どのような検討を更に加えていく必要があるのか、そんなとこ ろに御意見がございますれば御指摘をいただきたいというふうに思っております。
 それから、先に質問の方を言わせていただいてしまいます。
 債権の方でございますけれども、先ほどお話では、倒産を論ずるより前に、むしろ 資金調達の方の可能性をより見るべきだというお話でございました。確かにそのこと は分かるのですけれども、どうもこれは鶏と卵のような形になってしまいまして、本 当に資金調達がこれによってうまく広がっていくことができれば倒産の際の問題とい うのはある意味では解消されていく。しかし、逆回転になりますと、資金はなかなか 十分に調達をされず、むしろ、よく指摘をされているような倒産時のいろんな弊害が むしろ目に付いていくということになってしまいます。
 そこで、先生のせっかく資金調達の方のプラス面をというお話でございますので、 今なかなかそうはいっても動産等の流通市場や評価の制度というのが十分に確立をし ていない、そういう中で、これから本当に倒産を論ずるのではなくて資金調達をとい うことであれば、そういう部分をどのようにこれから整備していくべきなのか。
 それからもう一つは、新規融資をこれは促す本来制度目的なのだと、こういうこと を、確かに法律は整備をしても、それを本当に資金提供側が十分に認識をしていただ きませんと、なかなか動産を使ってまで資金融資はそんなにするかなということにも なってしまいますので、この新規、これはもう資金融資のそういうことが制度目的な んだということをどのようにして実効あらしめていったらいいのかと、その辺りにつ いて御意見を賜ればと思います。

○参考人(池田眞朗君) ありがとうございます。
 お答えします。
 第一点からのお答えですが、まず、この保証の方については、私も今後、社会的な 問題として、ある程度今回の法改正で収まるものか、更にいろいろまた新手のやり方 等で問題が生起してくるのかというところは慎重に見ていかなければいけないと思い ますし、その場合のやり方として、対処の仕方として、一つは、民法をこのままにし て特別法で規制をするとか、消費者保護のサイドから規制条項を新たに加えるとか、 こういうことが一つ考えられるだろうと思っております。
 私個人は、民法典自体を頻繁に改正するというのは、その解釈論の出発点の法文で ございますので、そういう特別法による規制等も今後考える必要は状況によってはあ るかと思っております。これが第一点のお答えでございます。
 それから、第二点でございますが、これは融資者にとってはやはり登記という制度 はかなりの安心感を与えるといいますか、そういうもののようでございます。これは、 千葉先生と私が御一緒させていただいた九八年のときの法務委員会でその債権譲渡特 例法を審議したわけですが、今回の白表紙の後ろにございます登記、債権譲渡登記等 の実績の推移のこの数字をごらんいただきましても非常に大きな伸びを示していると いうことでございまして、ですから、今回の動産登記制度も、そこまでは数字的にい くかどうか、これはやってみないと分かりませんが、一つ融資する側にとってはかな り安心のできる制度ができた。
 そうすると、今御質問にあった、次の段階はこの動産担保をどう評価するかという ことでございますが、これはやはり、マーケットといいますか、そういう制度ができ たことによって取引が動き出し、そうすると、既に金融実務の方ではこういう動産の 担保評価、担保掛け目の検討等も始まっているようでございまして、債権譲渡の方で は既にいろいろな中で登記をした場合にどれだけ、異議をとどめない承諾をした場合 にどれだけというような担保掛け目の研究は進んできておりまして、これも徐々に醸 成されていくのではないかと思っております。
 それから最後の、三番目の御質問ですが、新規融資をどれだけ掘り起こせるか。
 先ほどのお答えでもちょっと申しましたが、実はこれは、外国では大企業の在庫担 保の融資というものがかなり進んでおりまして、我が国でもこの話を、立法の話を聞 き付けて大企業の方がそういう関心を示したというところもございます。したがって、 中小企業さんの動産についてだけでなく、大企業のそういう在庫融資、在庫担保融資 という方面からもこの制度が活用されていくと、その両方の動きである程度数字が出 てくるのではないかというふうに思っておりまして、その意味では、そういう取引慣 行が醸成されてくることによって、中小企業さんの動産についてもある程度の掛け目 を慣行上見付け出してやっていくということが可能となってくるのではないかと思っ ております。
 取りあえず以上でございます。終わります。

○千葉景子君 ありがとうございます。また、後ほど時間がございますればお尋ねを させていただきたいと思います。
 次に、清水参考人にお願いをしたいというふうに思います。
 実務の立場で大変分かりやすくやはり問題指摘をいただきまして、ありがとうござ います。先ほどの御意見で、やはり今回の民法、特に包括根保証の禁止の部分につい ては、評価を言って、何という、第一歩といいましょうか、そういう御評価だろうと いうふうに思っています。
 そこで、今、池田参考人にもお尋ねをいたしましたように、そうはいっても、清水 参考人の御指摘の中では、やはり個人の根保証の問題であるとか、それから保証人に 対する様々な情報提供とか、そういうことも今後検討していかないと、保証自体のい ろんな問題点が十分に解消されないというお話がございました。少し、私も時々相談 を受けたりするものですから、お尋ねをさせていただきたいというふうに思うんです けれども、よく保証人が、よく分からないがだまされちゃったと、そんなはずではな かったんだけれども、こういう相談というか言葉を申されるということがよくあるわ けなんですね。決して本来はだましたはずではないんだろうとは思うんですけれども、 実感としてそういう感覚を持つというのはやはりどこかに問題があるんだろうという ふうに思うんですけれども、これについては、実務を担当なさっていてやっぱりそう いう御経験が多いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 もし、そういうだまされたというような形ではなくて、きちっと自分の債務が分か り、そして履行ができるということを、するためには、どんな制度とか、あるいはこ とを確立をしていったらよいとお考えでしょうか。その点について、まずお聞かせい ただきたいと思います。

○参考人(清水規廣君) だまされたというのは、保証をするときに主たる債務者の 方から、迷惑は掛けないからと、こういうふうに頼まれたり、それから、形式だけだ からお願いしますと、こういう形で勧誘されるわけですね。それは自由主義社会なん ですから保証した方が悪いんだということになればそれまでなんですけれども。それ で、今度逆に、取り立てる方といいますか、貸した方の立場からしますと、今度結果 論として、あなたが保証したから貸し付けたんですよと、こういうせりふがよく出て くるわけです。
 自由契約論の中だったらそれでも、確かにそのとおりだと思うんですけれども、し かし、よく考えますと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、金融機関などは、 主たる債務者への信用の補完にすぎないんですね、保証人というのは。ですから、そ の貸付けの目的だとか、それから何のためにそのお金を使うのかという資金使途とい うのは必ずあるわけで、それに従って主たる債務者の信用状況だとか返済可能性とい うのは審査しているはずなんです。ところが一方、保証人というのはそれについては 全く知らないですね。情実だけで、あるいは親戚だからとか友人だからというだけで 保証しているわけですね。その結果、最初から情報がないがために、結果として悪い とだまされたと、こういうふうになるというふうに私は思っておりますので、むしろ 保証する際に、やはり保証人に対する主たる債務者の信用状況について教えてあげる システムが必要なんじゃないかというふうに思っております。

○千葉景子君 ありがとうございます。
 もう一点、債権譲渡の方についてお尋ねをしたいと思っております。
 先ほどやはりちょっとお触れいただきましたんですけれども、もう少し詳しく話を いただければと思うんですけれども、要するに債権、不特定な将来債権のようなもの を目的としますと、いつも管理をしなきゃいけないと。で、それが難しくなるとなか なかその権利行使ができない、こういうことにもなるのではないかというお話がござ いました。あるいは二重譲渡のようなそういう危険性なども存在をするということで、 ここについてはどんなふうに今後なっていくか、その危険性とかですね。それから、 それを回避するためには何か手段があるのかどうか。その辺りは実務の体験からどん なふうにお考えでしょうか。

○参考人(清水規廣君) 集合動産を担保だとかあるいは買い受けたとか、あるいは その将来の債権を担保に取ったとか買い受けたという、そういう際に、今度具体的に 法的回収に入る場合にどういうふうにやっていくのだろうかというのが必ずしも研究 されておりません、これからの課題でありますけれども。
 旧来のやり方でやらざるを得ないんだろうと思うんですが、恐らく、その実際に融 資した人ですね、お金を出した人が、今度は債権の譲受人として第三債務者に対して 例えば訴えを起こしていくというような場面には、従来、債務者といいますか、中小 企業の方から受けていた在庫品のリストだとか、それから売り掛けの明細、それだけ ではやっぱり訴えを起こせません。やはり契約書だとか、あるいは建設会社だとすれ ば、工事がどの程度まで進んでいて、その工事の進捗具合が金額にすると幾らぐらい になるのかと、そういう細かい書類だとかデータ等が必要になりますね。そういうも のをいつ入手するかということになると、やはり破綻したとき、つまり債務不履行に なったときになっていくんだろうと思うんですね。そこにおいて今度、その債務者と いいますか中小企業側は、すんなりとそういう、債権書類といいますけれども、契約 書等を渡すだろうかということが気掛かりであります。
 また、その債権者の人が事業所に乗り込んでいった場合、今度トラブルが起こるん じゃないかと。今度、労働組合等がピケット張っていた場合にどうなるんだろうかと。 はっきり言って、非常に、やってみなきゃ分からないという場面が多いですね。
 また、納品業者の人もどう対応するのか。今までは、先取特権があるから先取りし ますということで、その倒産した方の承諾を得て納品したものを引き揚げてくるとい うのが多かった。今度それができなくなりますね。
 実務的にどういうふうになっていくか、これはいろんな難しい問題が出てくると思 います。
 以上です。

○千葉景子君 ありがとうございます。
 何か、説明というか、お聞きをしたら何か余計不安が増してきたような、そんなと ころもあるんですけれども。今後、実務的に本当にいろいろな複雑な事態も起こって きそうな、そんな感じもいたすところでもございます。
 さて、石井参考人、今日はありがとうございます。
 石井参考人、先ほどからお話ありますように、これが本当に新規の、中小企業など にとって融資の拡大になることを私もこの債権譲渡などは望むところですが、何かそ れを、目的が十分に達成できるために、そのお立場として例えば行政的にあるいは立 法的にどんなことを望んでおられるか、その辺ございますればお聞かせをいただきた いというふうに思います。

○参考人(石井卓爾君) とにかく新しい融資制度が今回こういう形で確立していく わけで、これが一つこういう、拡大して普及して、広く我々中小企業のいわゆる融資 制度がやりやすくなっていくということを是非お願いしたいと思っております。
 それを実行していくために一番やはり問題になってくるのは、例えば機械だとか、 例えば機械ですね、機械の動産の担保をした場合ですね。それが中古品で、そういう 機械が取引できるような中古品売買市場というものが確立されておれば、金融機関の 方も、それを担保にしておったものが、もし仮に倒産してしまった場合、登記してお るその動産、機械の動産担保が市場で売却できると、こういうふうになれば非常にこ のシステムがうまく運営していくんじゃないかということから、そういう市場の確立 とか、あるいはその市場をプレーするプレーヤーの育成とか、そういうものが行政で 支援していただければ、大変このマーケットが、この市場というか、その融資制度が 拡大していくんじゃないかと期待しております。
 以上でございます。

○千葉景子君 ありがとうございました。


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