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2004年5月25日全文

159-参-法務委員会-19号 平成16年05月25日

○千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 今日は、総合法律支援法につきまして、私と後ほど角田理事も併せて午前中質疑を させていただくということになりますので、多少、時間の多少のぶれはあるかと思い ますけれども、まず前半の部分、質問をさせていただきたいというふうに思っており ます。
 さて、まず冒頭でございますけれども、この総合法律支援法、この最も基本であろ うかと思いますが、この法第一条によりますと、総合法律支援というのは、裁判その 他法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに弁護士等のサー ビスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援というふうに位置付けら れております。
 そういう意味で考えますと、この支援、地域的あるいは経済的な格差がなく、だれ でも質の高い充実した法的サービスが提供されるということがやっぱりこの法を作る に当たっての一番の基本になろうかというふうに私は思いますが、大臣、やはりそう いうことを目標にしてこの法案、そしてこれからの体制を目指していくというふうに 考えてよろしゅうございましょうか。

○国務大臣(野沢太三君) 今回の司法制度改革の一番のねらいといいますか、目的、 趣旨は、司法制度全体を国民の皆様のより身近なものにするということ、そして公平 公正な裁判が迅速に行われる、そういったことを目標にして他の裁判員制度その他も 作られているわけでございますが、国民の、利用される国民の皆様にとって、まず第 一に、どこに行って相談したらいいか、だれに頼んだらいいのか、何が問題で、どの くらいの時間と費用が掛かるのかという、一番実はその入口のところでこれまで国民 の皆様御苦労をされておったと、私自身もそういった経験もあるわけでございますが。 そこで、今御指摘のとおり、国民の皆様が、地域的あるいは経済的な障害がなくて、 だれでも質の高い充実した法的サービスの提供が受けられるようにするということが 非常に重要なことであると考えておるわけでございます。
 そこで、本法案におきましては、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法 による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供を受けられる社会を実現することを 目指して、今回、総合法律支援の実施及び体制の整備が行われる旨の基本理念を定め ているわけでございます。そして、資力の乏しい者に対する民事法律扶助事業の適切 な整備及び発展が図られるということも規定をいたしておるところでございます。
 そこで、総合法律支援構想の中核となる運営主体としましても、日本司法支援セン ターを設けまして、このセンターが既存の各種相談窓口や弁護士会、裁判外紛争解決 機関などと連携協力しながら、まず第一に、法による紛争解決制度の有効な利用に資 する情報提供の充実強化の業務、また民事法律扶助事業関係の業務、これまでもやっ てきたところでございますが、これを取り込んで進めてまいりますし、それから国選 弁護人の選任に関する業務、さらにはいわゆる司法過疎地帯における法律事務に関す る業務、それから本委員会でもしばしば指摘されました犯罪被害者の支援に関する業 務などの業務を一体的に行うこととしておるわけでございます。
 本法案におきましては、これらの方策によりまして、地域あるいは経済的な障害が なく、国民だれでも質の高い充実した法的サービスの提供が受けられるようにするこ とを目指しておりまして、冒頭でございますので、ちょっと丁寧なお答えをさせてい ただきました。

○千葉景子君 ありがとうございます。
 さて、そういう質の高い充実した法的サービスの提供ということがこれから実施を されていくということになるわけですけれども、この総合法律支援の実施と体制の整 備に考えてみますと、これまで日弁連等が取り組んできた諸施策、例えば各地におけ る法律相談センター、あるいは過疎地における公設事務所、また被疑者段階からの当 番弁護士制度、また法律扶助協会が実施している民事法律扶助活動の支援、こういう これまでの施策あるいは取組というのは、この法律支援法の理念、こういうものを言 わばこれまでも、まあ先取りしてといいましょうか、具体的に実施をしてきたという 評価もできるのではないかというふうに思っています。そういう意味では、これまで のこれらの対策とか取組をこれからどう新しいこの法律支援法に基づく事業に言わば スムーズに移行させていくか、あるいはその関係をどう整理していくのかということ などが大変これから重要なポイントになっていくだろうというふうに思っております。
 この実施の状況を私も少し伺わせていただきますと、例えば日弁連は会員の特別会 費と、私も取られているのかなと思うんですけれども、そういうもので過疎地にひま わり基金公設事務所、これが平成十六年五月六日現在で具体化されているのが三十一 か所、そしてそのうち弁護士がいて稼働中のものが二十五か所、また任期終了で後任 を募集、後任者を募集しているというところが二か所、また今年度中稼働予定が四か 所と、こういう形で過疎地に対する取組を既に展開をしてきた。それから、過疎型の 相談センター、これが二百七十五か所、これも平成十六年四月現在ですけれども、こ れも設置をされて、これも過疎地の皆さんへの法的サービス、巡回などをしながら窓 口を開いていると、こういうこともございます。
 こういうことをやるに当たりましては、二〇〇〇年四月一日から二〇〇四年三月末 日までひまわり基金、支出累計額でおおよそ七億円くらいの資金が投入をされている というふうに言われているところでもございます。しかし、そうであっても、まだゼ ロワンと言われている地域がございまして、ゼロのところが十七、ワンというところ が三十六ぐらいなんでしょうか、こういう状況でもございます。
 しかし、ここまでこういう過疎地対策、相談センターあるいは公設事務所などの形 で展開をされてきている、こういうものをどのように評価をし、そして今後のこの法 律支援法の下での事業などに移行したり、あるいは既に行われているものとどううま く連携を作りながら先ほどの目標達成に向けていくのか、この辺はどんなふうに考え ておられるのでしょうか。

○国務大臣(野沢太三君) 御指摘のように、日本弁護士連合会が従来から取り組ん できております諸施策につきましては、総合法律支援の理念に適合するものであると 考えておりまして、一層これまでの御努力がいい形でこれからの仕事にも取り込まれ るように連携協力を取っていただければいいと思うわけでございますが、この総合法 律支援の実施体制の整備に当たりましては、支援センターと既に様々な取組を行って おります各組織や団体との間の適切な連携協力を保ちながら進めていく必要があると 考えております。そして、これまでいろいろと積み重ねてこられました様々な実績や ノウハウにつきましても御参考とさせていただきながら、その実を上げたいと考えて おるところでございます。

○千葉景子君 もし既に事務方の方で少し、こういう連携なりあるいは方向性という ことなどを念頭に置かれているのであるとすれば、御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(寺田逸郎君) ただいま大臣から総論的に申し上げましたとおり、こ の今回の総合法律支援は、基本的には、日本司法支援センターが行う事務というのは 様々なこれまでの取組というものを踏まえた上で、今後はそれを連携を保ちつつキー ポイントとしての役目、あるいはそれを補完するサービスの提供者、こういう位置付 けでなされるものでございます。
 それで、各地もいろいろ実情もございますけれども、これまで日弁連の方でいろい ろ取り組まれたところは、当然のことながら非常に貴重な経験ということでもござい ますし、また考え方、進め方においても得るところが非常に大きいだろうというふう に考えているところでございます。
 それで、今御指摘のありました公設のいわゆるひまわり事務所、自らの資金で運営 をされているわけでございますけれども、あるいは法律の相談センターというような ものは、それらの地域でも大変歓迎をされておられますし、非常に若い方を中心にし て大きな事務所でそれなりの訓練を施された上でそれぞれ過疎地に行っていただくよ うな、言わばシステムとして成り立っているようなところもございます。
 そういうような経験というものを十分にそしゃくして、日弁連ともこの司法支援セ ンターができた後も十分に御協議申し上げた上で過疎地の対策というものに取り組ん でまいりたいと、このように考えているわけでございます。

○千葉景子君 先ほど私が申し上げましたように、日弁連の方でもこれだけ努力をさ れてこられまして、それのやっぱり成果、そして評価、高い評価されている、こうい うものをできる限り尊重しながら、また新しい事業がそれを更に押し上げていくとい う形になることを期待をさせていただくわけですけれども、今、現状、これだけ努力 をしながらも、まだ本当に相談センターも残念ながら開設できない、あるいは、当然 のことながら公設事務所も開設できないゼロワンと言われているところがまだまだ残っ ているということになります。
 目的の、だれもがあまねく経済的に地域的に格差がなくということになりますと、 このゼロワンをどうやって解消していくかというのも大変重要なことになりますが、 この辺りはどうなんでしょうか。例えば、どういうところを優先的に拡充をしていく とか、あるいはその順番はどうやってすそ野をきちっと広げていくかとか、この辺り などについては何か一定の方向性というのは既にあるのでしょうか、それとも今後検 討されていくということになるのでしょうか。

○政府参考人(寺田逸郎君) これは大変に難しいところがございます。これまでい ろんな努力をされてきたにもかかわらず、なおおっしゃいましたように五十か所以上 いわゆるゼロワンというところが残っているわけでございます。日弁連の方でも相当 力を入れてやってこられているわけでありますけれども、しかし、いろんな事情でな お力が及ばない部分がおありになるというようなことも伺っているわけでございます。
 この支援センターでは、今御指摘がありましたように、あまねく全国に法律サービ スをということでございますから、当然このゼロワン地域の解消、あるいは弁護士さ ん自体じゃなくても、いろいろな隣接法律専門職種と言われる方々の御協力というこ とを前提にしても、なお法律サービスが行き届かない地域というのがあるわけでござ いますので、そういったものの解消というのは相当力を入れてやっていかなきゃなら ないということは当然のことながら意識しているわけでございます。
 ただ、具体的に、現段階において今後どの地域にどういう形で事務所を過疎対策と して置くかということについては、なかなか一概に申し上げられること残念ながらで きないわけでございますが、基本は何といいましても、どういうその地域におけるニー ズがあるかということでございますから、現在その地域にどういう法律サービスを得 られる可能性があるか。具体的に申し上げますと、一番近いサービス提供者から一体 どのぐらい離れているのかというようなところがございますし、どのぐらいの量的な あるいは質的な意味での仕事のボリュームというものがあるかということも当然のこ とながら基本的に考えていかなきゃならないことでございます。
 そのほかに、地元のやはり具体的に要望の強さというものをこれは非常に慎重に客 観的に量っていかなきゃならないと思いますし、具体的な可能性というようなものも 念頭に置かなければなりません。そこには地域の実情というようなものも当然のこと ながら考えていかなきゃならないわけでございます。
 これは、司法支援センターが行うということになりますと、司法支援センターが私 どもでは行き届かないいろいろな民間的な発想というようなものをまた加味した上で お決めになるところもございますが、今言ったようなところを基本といたしまして、 そういう支援センターで具体的にお考えいただく、こういうことになろうかと考えて おります。

○千葉景子君 お聞きしただけでは結局何だかよく分からないといいましょうか、ど うやってこれを解消していくのかな。いろんな意見を聴いて実情をと、これはこれま でもやってきていることでもあり、それをやっぱり超えて本当に過疎対策を、そして あまねくサービスを提供していくというのは相当大変なことではないだろうかと思い ます。是非そこは、今日はこの程度にはいたしますけれども、この法律支援センター が設置をされるやっぱり意味が、ただこれまでの事業を束ねてセンターができたとい うだけだったら別に新しいものを作る意味はないわけですので、その辺十分に、この 意義を踏まえたこれから事業の展開というのが求められてくるのではないかと思われ ます。
 さて次に、やはりこれも今後の大きな課題でもある民事法律扶助に関してお尋ねを しておきたいというふうに思います。
 これまで、この法律扶助も法律扶助協会などが基礎になりまして民事法律扶助事業 が行われてきたわけでございます。これも評価をされるところなんですけれども、た だこれも、これまでも度重ねて民事法律事業に対する国の助成等々予算の確保と、こ ういうことでこの委員会などでもしばしば取り上げられてまいりました。しかし、な かなか十分なものではございません。
 欧米諸国などと比べても、民事法律扶助事業の対象事件の範囲、それから対象者の 範囲等がまだ限定的でもありますし、今申し上げましたように予算規模というのもな かなか大きくはなっておりません。憲法でも裁判を受ける権利というのが認められて いるわけで、それを実質的に保障するという観点から考えますと、いささかこの民事 法律扶助という事業もこれまではまだ不十分だったなという、そういう私も受け止め 方をさせていただいております。
 そういう意味で、民事法律扶助事業、これから法律支援センターを中心にしてこれ また大変大きな重い課題になるわけですけれども、これについて一体どういう方向性 をやっぱり持っているのかということをお聞かせをいただきたいというふうに思って います。
 ちなみに、諸外国をちょっと、法律扶助協会の方で調査をされました資料を私も拝 見をして、いやいや、アジアの諸国から考えても日本は貧弱だなということを考えま す。
 例えば、これは何年になるんでしょうかね、日本と例えばお隣韓国などを比べてみ ますと、国庫の支出、これが日本が三十五億円、二〇〇三年、そして韓国は二〇〇二 年で十六億円ということになります。ただ、これは総額でございますので、例えばこ れを同じ人口比に換算をいたしますと、日本が三十五億円に対して韓国の場合は同じ 人口比で考えると四十五億円の規模ということになるという計算になります。同じよ うに、例えばアジアの一国でもあるシンガポール、ここは、総額とすれば国庫の支出 は三億円程度なんですけれども、これも人口当たりで換算をいたしますと、日本の三 十五億円に対してシンガポールで九十六億というくらいの規模になると、こういうこ とでもございます。
 国民一人当たりということになりますと日本は非常に低いという計算になるわけで、 これを、この数字を見ましても、これから相当この予算額の面でも、それから先ほど 申し上げましたような対象の範囲、事件の範囲、対象者の範囲等々充実をさせていく と、こういう必要が大変あるだろうというふうに思っております。
 これまでもなかなか国費、そう支出をいただけないという状況があったわけですけ れども、これを見ますと、この総合法律支援に対しては相当な額の支出も、予算措置 も必要だなというふうに思いますが、この民事法律扶助について、この総合法律支援 センターでの事業の展開、それから充実、どんなふうに展望をなさっておられるので しょうか。

○政府参考人(山崎潮君) ただいま法律扶助に関しまして予算的なお話、諸外国と の関係ございました。それを聞きますと、なかなかちょっと私もどうお答えしていい かという問題はございますけれども、ただ、我が国においてこの五年間で、本年度は 予算を承認されまして四十億でございますけれども、この五年間でやっぱり四倍に拡 大しているわけでございまして、着々と必要なものについて増強をしていくと、こう いう流れにあるということは御理解を賜りたいというふうに思っております。
 それから、今回、将来の業務範囲等についてどうするかということ、これも一応検 討の対象ではございましたけれども、まず、私どもといたしましては、この総合法律 支援という大きな枠組みをどう構築して、これを全国的にどう安定的に運用をしてい くかと、これをまず最優先にしたいということで、これの構築を第一次的に考えたと いうことでございまして、そういう意味で、この支援センター等を作りまして、この 中でかなり効率的な運営を行いまして実質的にその扶助の関係が拡大するようにとい うことを図ったわけでございます。
 今後、やはりこれをやっていく上でいろいろなニーズが出てくることになろうかと 思いますけれども、そういうものについても当然視野に入れながらその拡大について 検討していってもらえると、こういうことを、要するに将来の課題であるということ をしっかり認識しながらやっていくと、こういうことになろうかというふうに考えて おります。

○千葉景子君 これが、これまでの法律扶助に対する事業の展開、そして厳しい財政 事情の中でも、これが実質的に裁判を受ける権利の言わば担保として取組をされてき た。この努力の上に立って、これがまた拡充をされない、このまま推移していくんだっ ていうのであれば、一体この法律は何だろうと、これまたそういうことになってしま うわけでございまして、やはりこの趣旨を十分に生かすためには、これまでの法律扶 助事業、それを更に充実をしていく、そして財政の面でも、やっぱりこれだけの総合 法律支援センターというものを新しく立ち上げるわけですから、それに対する本当に 抜本的な財政の在り方と、こういうことも考えていかなければいけないというふうに 思っております。
 これは、司法制度改革審議会の意見の中でも、総合的に体系的な検討を加えて一層 充実せよと、こういう意見が取りまとめられているわけでもございまして、例えばそ ういうことを考えますと、これまで限られていた法律扶助ではありますけれども、今 後、例えばADRなどが更に発展をしていくと思います。そうした裁判外手続への援 助とか、それから資力基準の緩和、それから、例えば初めから費用の立替えというこ とではなくて負担なしの援助を提供していくような給付制度のようなものもやっぱり 念頭に置きながら、総合的な判断、そして検討が加えられていく必要があるのではな いかというふうに思います。
 特に、ADRとか様々な今、援助、サポート体制というのがございます。例えば、 労災の問題、あるいは介護保険に係る審査、あるいは精神保健審査手続、それから社 会保障給付に対する様々な審査、あるいは家庭内の暴力とか雇用、犯罪、学校生活で のトラブル等々、いろんなやっぱりADRや行政手続などを使っての支援体制、サポー トと、こういうところなども、やっぱり裁判を受ける権利ということで、裁判という だけではなくしていろんなサポート体制ができること、それに対して法律の、民事法 律扶助、何というんでしょうね、法的なサポート、財政的なサポートということが求 められてくるのではないかというふうに思いますが、こういう辺りもどうぞきちっと 視野に入れながらこの展開をこれから実務上も考えていってほしいと思いますが、そ の辺りは当然念頭にも置かれてこの仕組みがこれからできていくと考えてよろしゅう ございましょうか。

○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、社会の法的ニーズがいろいろ 変わってくるわけでございますので、その方法、在り方についても変わってくる。そ ういうことに対応してこの法律、民事法律扶助につきましても、その在り方をどうす べきかということは当然考えていかざるを得ない課題であるというふうに考えており ます。
 それ以外にも、ただいまいろいろな御指摘ございました。いろんな角度からこの制 度の充実発展について今後議論をして、きちっとした対応をしていかなければならな いということ、これについては我々としてもそこのところは十分意識をしながらこの 法律案をお願いをしているということでございますので、その点は今後の課題とさせ ていただくということで御理解を賜りたいというふうに思います。

○千葉景子君 是非、このセンターも設立をされ、そして展開を、事業展開をされる 過程の中で、そしてそれを立ち上げるまでの間でこの国会、委員会等でもいろいろと また問題点の整理等が必要になってくるのではないかと思いますので、是非そんな議 論を十分にこれからも展開をしながら、より良いセンターの事業の展開に向けて取り 組んでいきたいものだというふうに思っております。
 さてさらに、この法律、総合法律支援の中身として公的弁護、被疑者段階での公的 弁護というものも、またこれもこの事業の大きな柱になってくるわけでございまして、 考えてみると、本当に過疎地への窓口サービスを提供する、それからこういう法律扶 助、法的サービスをしっかりと確立をしていく、さらには被疑者段階での公的弁護、 これの体制を整える、このセンターの本当に仕事、そして役割というのは極めて本当 に重い、幅広い大変なものだなということをこうやってみたらしみじみ感ずるわけで もございます。
 この被疑者段階の公的弁護、これにかかわりまして、この間、日弁連なども、それ を補うという意味で、いわゆる被疑者段階からの当番弁護士制度ということを実施を いたしております。これも本当に、なかなか十分な制度がない中で、手弁当でといい ましょうか、自己資金を投入をしながら展開をして、多くの被疑者の皆さんの権利を 保護し、保障していくということをやってまいりました。
 大変、これもまた金目の話になって恐縮でございますが、この当番弁護士制度、こ れもやはり会員からの特別の拠出ということで、当初は二千八百円、そして現在では 四千二百円、これを拠出をしながら当番弁護士の制度を日弁連は支えているというこ とでございます。約二万人の会員ということになりますので、年間約八億円ぐらい、 そして当初が二千八百円でございましたので、これがスタートをして十一年、約六十 億ぐらいのやはり費用を自ら捻出をしながらこの当番弁護士制度というのをこれまで 充実、そして進めてきたということがございます。こういうものをどうやってこれか らもやっぱり評価をし、そしてまた被疑者段階での国選弁護の制度とどう連携をさせ ていくかということも大きな問題ではないかというふうに思っています。
 今回創設される被疑者弁護制度というのは、勾留時点からということになります。 逮捕から二十四時間から四十八時間の間に、資力のある人はまず私選の弁護士を探す ということになります。そして、弁護士会で結局、私選の弁護人を紹介できなかった、 いろんな条件がありますよね、費用の面等で。そういう場合には国選への切替えをす ると、こういうことになるわけで、その間、短時間の間にいろんな手順を踏み、ある いは手続を進めなければいけないというふうになります。
 そうでない場合の、無資力要件、この間私もお尋ねをいたしましたが、どの程度に なるか分かりませんが、無資力の場合には手続はすぐ直ちに被疑者国選ということに なっていくわけですけれども、こういう、逮捕直後、そして二十四時間から四十八時 間という大変極めて短い時間の中でいろんな手続を取ったりしなければいけないと、 こういうことになりますと、弁護士会でこれまでやっていた当番弁護士制度というも のとの連携とか、あるいはどの部分は当番弁護士がきちっと関与するのか、いや、関 与しないのか、いろんなその辺の整理あるいは連携の在り方というのも必要になって くるかというふうに思うんですが、この辺りはこの当番弁護士制度の評価の上に立っ て、この公的弁護制度、被疑者段階の公的弁護制度とどういう整理がされていくもの なんでしょうか。
 その点について考え方があれば、お持ちであればお聞かせをいただきたいと思いま す。

○政府参考人(山崎潮君) 当番弁護士制度につきまして日弁連の方で御努力されて いるということ、これは我々としても高い評価をするということでございまして、そ の点につきましては我々も理解はしております。
 じゃ、この公的弁護制度との関係をどうするかということでございます。これにつ きまして、私どもの方の検討会のテーマは、意見書によりますと、結局、公的弁護制 度は裁判所が弁護人の選任、解任を行うものという位置付けでスタートを切っており まして、そういう関係から直接の議題にはならなかったわけでございますが、ただ、 中で議論はされております。これとの関係をどうするかということでございます。結 局、そこのところについては、議論はいたしましたけれども、結論的にはそのリンク については法的なものは何も置かなかったということでございます。
 これにつきまして、その考え方でございますけれども、そのリンクしなかった理由 が三つほどございます。例えば、一律に被疑者が当番弁護士と面会しなければ国選弁 護人を選任することはできないとする、こういう点についてはなかなか合理的な説明 が難しいだろうということ、それから資力のある被疑者に国費で援助を行うことの説 明がなかなか難しいだろうということ、それから三番目に、仮に資力のない被疑者だ けを対象にするといたしましても、その資力を判定する方法が直ちにはないというこ とから、国費による当番弁護士制度、これは今回に関しては導入をしないと、こうい う結論になったわけでございます。
 引き続き、今後どうしていくかという問題は検討していくことになろうかと思いま すけれども、現段階ではそこのなかなか法的な問題についてクリアができないという ことから導入をしなかったということで御理解を賜りたいと思います。

○千葉景子君 御説明は分かりましたけれども、やはり今私が申し上げましたような、 被疑者段階での非常に複雑というか、短時間でのいろんな対応があるわけで、そうい うことを考えたときには、是非この当番弁護士制度、そしてこの公的弁護制度、その 選任等とのやっぱり連携をきちっとしながら、被疑者にとっても権利にそごがないよ うな、そういうことをしていく必要があるだろうというふうに思っています。
 制度ができたがゆえに、逆に手続ばかりが煩雑になってちっともその実が上がらな いということになっては困るわけでございますので、是非その辺の連携、そしてあく までもやはりサービス、それから公的弁護制度も被疑者のやっぱり防御権を保障する ということの趣旨、これが積極的に生かされる方向で運用されますことを心から私も 期待をするところでございます。
 さて、ちょっと時間になっておりますが、お聞かせをいただいておきたいというふ うに思っております。
 今、何点かお尋ねをさせていただきましたこの総合法律支援の体制、これを実施を していく上で、それをこれまで先取りをしながら、そしてその実質化を図る意味で進 めてきた日弁連を中心にした取組というのは非常に重いものがあるだろうというふう に思います。これらの努力が今後生かされるか、あるいはむしろ後退をしてしまうの か、この辺り、本当に厳しく見ていかなければいけないというふうに思っております。
 総合法律支援法第十条によりますと、日弁連及び弁護士会は、総合法律支援の意義 並びに弁護士の使命及び職務の重要性にかんがみ、総合法律支援の実施及び体制の整 備のために必要な支援をするという形で責務を負うようになっております。国選弁護、 民事法律扶助、過疎地における法律事務など、実際の業務の中心はやっぱり弁護士が どうしても中心になっていくということにもなるわけでございまして、日本司法支援 センターが業務を適切、円滑に遂行するためには、当然日弁連の協力というのは不可 欠であろうというふうに思います。
 総合法律支援法案では、日本司法支援センターの理事長や監事の任命、業務方法や 法律事務取扱規程、国選弁護人の事務に関する契約約款の認可、中期目標の制定、変 更や中期計画の任期、中期計画終了時の検討など、いろいろな形で法務大臣の権限行 使が規定をされております。法文の条文上は、これらの事項について法務大臣が権限 を行使するに当たっては、あらかじめ最高裁判所の意見を聴かなければならない、こ ういうふうになされております。
 しかし、先ほどから申し上げましたように、この事業を遂行していく上ではやっぱ り弁護士等が中心にならざるを得ないわけですし、事業にとっても、これまで日弁連 等が行ってきた事業のやっぱりノウハウ、そしてその蓄積、そういうものを十分に新 しいものに生かしていくということが大切であろうというふうに思っています。
 ただ、残念ながら、あらかじめ最高裁判所の意見は聴くんだけれども、日弁連の意 見を聴くという規定にはなっておりません。この日弁連や弁護士会等々の、別に私、 日弁連の手先ではないんですけれども、その担う責務とか役割のやっぱり重要性、こ れはもう大臣も御承知のところだというふうに思います。こういうことを考えれば、 これらの事項についてやっぱり規定はございませんけれども、あらかじめ日弁連の意 見を聴くという運用が私は当然なされるものだというふうに思います。
 どうでしょう、大臣、やはり当然、この日弁連の意見を聴くということは念頭に置 かれているものだと思われますが、その点についてお聞かせをいただきたいと思いま す。

○国務大臣(野沢太三君) 御指摘のとおり、今回の法律サービス提供の主要な担い 手の方がもう弁護士さんであることには間違いございませんし、支援センターのその 業務を円滑に運営するには、適宜日本弁護士連合会の御意見を伺うなどしながらその 協力を得ることが不可欠であると考えております。そこで、支援センターにおきまし ては、業務の運営に当たりまして、日弁連等に対して意見の開陳その他必要な協力を 求めることができるとしているところでございます。
 それから、法務大臣権限として幾つかのお仕事を御指摘いただきましたけれども、 これにつきましても、支援センターを円滑に運営するためには、大変経験豊かな弁護 士さん、これまでの様々な実績をお持ちの日本弁護士会の御意見、これはもう御意見 を伺いながら御協力をいただくことが非常に重要でございまして、支援センターの今 後の円滑な運営のためには、日弁連の皆様と実質的な意味で二人三脚のこれから運営 をせねばならない、こう考えております。

○千葉景子君 終わります。


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