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2004年3月24日全文
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2004年3月24日全文
159-参-法務委員会-5号 平成16年03月24日
○千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
今日は、法務省そして裁判所の予算にかかわりまして質問をさせていただくわけで
すが、ちょっとその冒頭一つお尋ねをしておきたいことがございます。外交防衛委員
会と重なっているようでございますものですから、冒頭ということになりまして恐縮
でございます。それは、日米の地位協定と刑事手続にかかわる問題でございます。
沖縄を中心にいたしまして基地のある地域では、かねてから米軍兵士をめぐる犯罪
捜査についていろいろ問題視されてまいりました。特に、米軍兵士の犯罪捜査につい
ては、一九九五年のいわゆる少女暴行事件におきましてその理不尽さが大変問題になっ
たわけでございます。その際、米軍兵士の犯罪捜査に最も障害になっていることは、
現行犯逮捕を除きましては起訴されるまで身柄を米軍が確保すると、こういう実態に
あるということではないかと思います。
この沖縄の少女暴行事件をきっかけにいたしまして、地位協定の改定の必要性とい
うことが指摘されるようになったわけですが、なかなかこれは進捗が進んでおりませ
ん。しかし、そういう中で、凶悪犯罪については起訴の前でもアメリカ側が犯人の引
渡しについて、これ括弧付きですけれども、好意的な配慮を払うと、こういう形でこ
こまで至っているということでございます。
以来、米軍兵士の犯罪捜査をめぐってはいろいろな交渉がなされているやには私も
承知をいたしましたが、このところちょっと報道等で、米軍兵士の犯罪捜査について
アメリカ政府の関係者の同席を認めるということを条件に身柄を言わば日本側に引き
渡すと、そして取調べ等の捜査を行うということで何か合意をされたやな報道がなさ
れておりますけれども、この点どうでしょうか。具体的な事実関係について、外務省
の方にお尋ねをしたいというふうに思います。
○政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。
今、千葉委員がおっしゃいましたように、平成七年に日米地位協定の運用改善とい
う形で合同委員会合意を成立させまして、それに基づきまして起訴前の身柄の引渡し
を受ける道を開いたということでございまして、この合意に基づきまして過去三回身
柄が引き渡されております。
現在、この九五年の合同委合意、これを更に運用の改善という形で円滑な遂行が行
われるようにしたいという観点から、昨年夏、四回にわたりまして米側と交渉を行い
ました。交渉につきましては依然現在も進行中ということでございますので中身につ
きましては申し上げられませんけれども、基本的には米兵の容疑者の取扱いなどを交
渉しているということでございます。
その後、一時中断をいたしまして、昨年の十一月にラムズフェルド国防長官が訪日
されたときにも川口外務大臣との間で早期解決について認識が一致をいたしまして、
その後更にいろいろな形で日米間で非公式な話合い、意見交換を行ってきております。
大分話合いは進んでいるとは思いますけれども、現在まだ、今先生がおっしゃった
ような報道にありますような、具体的にもう合意ができているとかそういう段階では
ございませんけれども、我々といたしましては、なるべく早く合意を得まして、更な
る地位協定の運用の改善という形にしたいというふうに考えております。
○千葉景子君 この交渉の経緯、これからも是非進めていただきたいと思いますが、
アメリカ側がなかなか被疑者を引き渡さないと、日本の捜査になかなか協力しかねて
いるという一つの理由として、日本のやはり捜査過程に不信を抱いているという部分
があるのではないかというふうに思います。
これは私も率直に理解ができるところで逆にございまして、すなわち日本の捜査過
程では、例えば取調べに弁護人の立会いというようなことは認められておりませんし、
あるいは捜査過程をできるだけ透明にするということで、捜査の可視化と言われてお
りますけれども、こういうことも今の日本の制度の中では具体的にはされていないと、
こういう状況でございます。こういう刑事司法、捜査過程の問題点、これがやっぱり
アメリカ側の被疑者引渡しについての大きなネックになってもいるのではないかとい
うふうに私は感じております。
私どもも、そういう意味では、この日米地位協定の改定とか、あるいは日米交渉を
前進させるためというばかりではなくして、やはり捜査過程について弁護人の立会い
を認める、あるいは可視化を進めると、こういうことを問題提起を既にさせていただ
いておりますし、これからもその実現に向けて是非日本の捜査過程もその方向に向かっ
ていただきたいと、こう考えているところでもございますけれども、もしそういうこ
とが進捗をすれば、この日米の協議自体も大変大きな前進、その大きな後押しという
ことにもつながってくるのではないかというふうに思っております。
もし今回、立会いを、米軍関係者の立会いを認めて引渡しを具体化するということ
になると、米軍の方は立会いを認めて日本の捜査過程ではそういうことは一切ないと
いう、変な逆転現象というか矛盾が起きてまいります。そういう意味でも、この日米
地位協定にかかわり、そしてまた日本の捜査過程を更に適正なものにしていくために
も、この可視化あるいは弁護人の立会い、こういう問題について積極的に大臣のリー
ダーシップを発揮していただきたいと、こう思いますけれども、こういう日米間の問
題等も念頭に置きながら、大臣、いかがでしょうか、御所見がございましたらお聞か
せいただきたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) お尋ねの日米地位協定の下における刑事裁判手続に関す
る日米協議の内容にかかわる事柄につきましては、現在交渉中ということもあり、答
弁に、具体的な答弁は控えさしていただきますが、我が国の刑事手続一般におきます
弁護人の取調べへの立会い問題ということについてはかねてから話題になってきたこ
とでもございますが、現在進めております司法制度改革審議会の意見に基づく諸改革
の中で、この御意見でも、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関
係におきまして慎重な配慮が必要であるという理由から将来的な検討課題ということ
にされておるところでございまして、先生方の御意見あるいは国民世論を含め、慎重
に検討を進めていく必要があると考えております。
○千葉景子君 慎重にというお話でございます。
しかし、今、本当に司法制度改革、大きな抜本的な改革の流れという中にあり、そ
してまた国際的なやはり基準、そういうことも念頭に置きながらこの捜査過程につい
ての適正を更に進めていくということは大きな課題であろうというふうに思いますの
で、慎重にといいながらも、むしろもう積極的に議論を巻き起こしていくというぐら
いの御覚悟で是非大臣にも御認識をお持ちをいただいておきますようにお願いをして、
この問題についてはこの程度にさせていただきたいというふうに思います。
さて、今回は予算の委嘱ということでもございますので、それに関連して、裁判所
の予算もやはりちょっと見ておかなければいけないというふうに思っております。
そこで、まず、裁判所予算に関連してですが、裁判所予算というのはなかなか増え
ないといいますか、なかなかささやかな予算でこれまでも推移をして、裁判所も遠慮
がちだなという感じがするんですけれども、額で見ると、その中身というのはほとん
どが施設費、そして人件費ということになるのかもしれません。
そこで、施設に関係してですが、近年、裁判件数も非常に増えております。一方で
は、迅速にやっぱりできるだけ利用者の便を図ろうという要請も強まっているわけで、
施設の充実というのがやはり問われているのではないかというふうに思います。法廷
の数が限られている、あるいは調停室が不足をしている、そういうことでなかなか円
滑な裁判がスピーディーに進みにくいというようなことになっては困るわけで、その
辺りの今実情はどういうふうにございますでしょうか。それから、実態としては、い
やいやもう足りなくて困っていると、予算はもっともっと増やしてほしいと、こうい
う裁判所としては御認識なんでございましょうか。そのちょっと実情について御説明
をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷剛彦君) お答えいたします。
近年、事件が増加いたしまして、またそれに伴う人的充実も図られておるところで
ございまして、そういうことから法廷の増設などの必要な場合が生じてまいります。
庁舎の新営とか増築に当たりましてはこれに見合った法廷を整備しておりますし、ま
た庁舎の改修をいたしましてラウンドテーブル法廷を整備するなどしてございます。
その結果でございますが、法廷数でございますと、十年前の平成五年は法廷数がお
よそ千四百でございましたけれども、現段階千九百ということで、約五百の法廷を増
設してまいりました。また、個別に見ましても、例えば横浜地裁が平成十三年に新営
になりましたけれど、それ以前の法廷数は二十一でございましたけれども、この新営
に伴いまして四十を超える法廷を整備しているというところでもございます。
今後とも、既存の施設の有効利用を図るとともに、事件の増加や人的体制の充実に
応じまして、必要な施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
○千葉景子君 是非、施設の物理的な制約で裁判自体がやはり遅れたり、あるいは不
便を来すというようなことがあってはならないわけですので、是非これからも積極的
な整備に努めていただきたいというふうに思いますが、特に、この国会に提案をされ
ておりますが、近い将来に裁判員が参加をする裁判ということも予測をされるわけで
ございます。特に、そうなりますと、集中的なやはり審議をしなければいけない。こ
ういうことも含めて、それに対応するための施設の充実というのはどういうふうになっ
ていくのかと、こういうことも非常に私も心配をするところでもございます。
実際、裁判員というのはどういう形で法廷に参加をするのかと。そうすると、法廷
の形もやっぱりいろいろ変えたり、そういう整備もしなければいけないのではないか
ということも予測をされますし、申し上げましたように、やっぱり集中的に審議をす
るとなりますと、それに専用の法廷をやっぱりきちっと確保していくということも必
要になってくるわけで、こういうようなことを少し、予測といいますか、将来像を考
えながら、今どんな御認識でおられるのか、そこをちょっとお聞かせいただきたいと
思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷剛彦君) 裁判員制度に伴う施設の整備の関係でござ
いますけれども、裁判所といたしましては、現在、裁判員制度の具体的な運用等につ
いての検討を始めたという段階にございまして、裁判員事件の審理に対応した法廷の
形態の在り方等につきましては、まだ具体的なその検討内容を示せるという段階には
ございません。今後、検討を進めまして、計画性を持ったその物的な体制の整備を図っ
ていきたいと考えております。
その際には、既存の設備、有効に活用するという方策を検討するとともに、必要に
応じて、法廷あるいは評議室、こういった部屋を始めといたします関係施設の改修と
か増設を行って、裁判員制度の導入に遺漏がないようにしていきたいと考えてござい
ます。
裁判員の事件の法廷の在り方でございますが、今提出されている法案では、裁判官
の員数三人、それから裁判員六人と、また補助員が裁判員の数を超えない範囲で置か
れることもあり得ると、こういうことが盛り込まれております。
この裁判員が参加する事件を審理する法廷の在り方につきましては、裁判員の方が
裁判官とともに審理に集中し、そして審理の内容を十分理解していただくにはどうい
う法廷が望ましいかという観点から検討を始めておるところでございまして、今後の
国会の審議とかあるいは外国の法廷の例などを参考に検討、慎重に検討してまいりた
いというふうに考えております。
また、集中審理とか連日開廷に伴う法廷の数の点でございますが、これも、一方で、
この裁判員の負担考えますと、争点を十分絞って審理するということから、審理の、
法廷における審理の時間の短縮ということが考えられる反面、やはり裁判員に十分審
理の内容を理解していただくという点では相応の時間を要するということも考えられ
ますので、そういったいろんな点を踏まえまして、またいろんな状況を想定しながら
法廷の整備の必要性、シミュレーションいたしまして、裁判員制度の導入に支障のな
いような施設面の充実を図ってまいりたいと、こう考えているところでございます。
○千葉景子君 そこの点については、是非私どもも関心を持ちながらこれから議論を
させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思
います。
さて、裁判所にかかわりましては、最近ですね、最近というか近年というんでしょ
うか、やはり我が国に在留する外国人の方も大変増えております。もう国境が本当に
だんだんだんだん低くなっているという、そういう時代でもございまして、そういう
意味では、日本の裁判の場に外国人の方がかかわるというケースも決してもう少なく
はございません。当たり前のような時代になってきているんだというふうに思います。
そうなりますと、裁判における通訳人の問題というのが大変重要になってくるだろ
うと思います。やっぱりこの通訳人がきちっと対応をするような形になっておりませ
んと、やっぱり裁判を受ける権利、そして自分の主張、そういうものがやっぱり十分
に裁判に生かされないと、こういうことにもなってまいります。
そういう意味では、人権をきちっと確保する、保障するという意味では大変重要な
これから位置を占めてくるのではないかというふうに思いますが、通訳にはその数そ
して言語も多様化しておりますので、一体、今裁判の現場でそういうことが十分に確
保をされているのかどうか。まあ多分、首都圏とかそういうところはかなり充実をさ
れているのではないかと思いますが、地方などに行きますと、多様な言語といいまし
てもなかなかそれに合う通訳人が確保できにくいということもあろうと思いますし、
あるいはまた捜査段階と同じ通訳人というこれはわけにはまいりません。
そういう意味では、この辺の実情、どうでしょうか、十分に対応し切れているので
しょうか。その辺のちょっと実情についてお知らせをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) お答えいたします。
まず、外国人、通訳を要する外国人事件の動向をちょっとお話しさせていただきた
いと思いますが、議員から平成十四年の四月にも通訳関係のお尋ねがあったところで
すが、その後も外国人事件は増加しておりまして、平成十四年度におきまして、地方
裁判所で被告人に通翻訳人が付いた外国人事件の判決に至った人員といいますのは八
千九百七十七人と、ほぼ九千人に近づきまして、過去最高の数値を記録していること
になります。その年で地裁で判決のあった人員が七万五千五百七十人ということです
ので、約一二%の人たちに通訳を要するといった状況になっております。
言語別には中国語、韓国、朝鮮語等の通訳事件がほぼ半数を占めておりますけれど
も、フィリピンの語、タガログ語ですね、フィリピンの言葉ですが、あるいはタイ語、
ペルシャ語等、アジア諸国の言語を中心に通訳を要するといった事件も増えてきてお
ります。また、国籍別に見ますと、平成十四年度では七十三か国ということで、平成
五年度では五十三か国でありましたが、大きく広がってきております。
裁判所では、こういった多国籍多言語の通訳に対応するために、各国の大使館ある
いは大学、語学学校、さらには国際協力団体にも協力をお願いしまして通訳人の確保
に努めているところであります。その結果、平成十五年の四月には四十六言語で三千
六百三十五人の通訳人を確保しております。ただ、そうは申しましても、通訳言語が
多様に及んでいますことから、通訳人が一、二名といったような言語もあるところで
あります。
議員お尋ねの地方で特に少数言語があった場合に対応が困難であろうというお話、
ごもっともなところでありまして、私どもは全国的な通訳人の関係を名簿として登載
しておりまして、そこから、できればその近くにそういった方々がいればその方にお
願いするし、いない場合には先ほど申し上げたような大使館、領事館、国際協力団体
等にお願いして通訳人の確保に努めるといったようなことをしております。
また、捜査段階との通訳人の関係でございますが、これは原則として、捜査段階で
付いた通訳人は公判段階では付けないという扱いをしております。ただ、そうは申し
ましても、その地方にその言語をしゃべれる人が一名しかいないというようなことに
なりますと、例外的にはそういったこともやらざるを得ない場合もありますが、そう
いうことのないようにできるだけ別の通訳人を確保するように努めているところであ
ります。
以上です。
○千葉景子君 今お話がございましたように、本当に多言語にわたり、そして確保も
努力はなさっておられるわけですけれども、大変だという実情が分かります。
こうなりますと、この法廷の通訳人という問題について、もう少し何というんでしょ
うね、システム的にも確立をしていかないと対応し切れないという段階にもなってき
ているのかなというふうに思いますし、それから、そうなりますと、やっぱりその待
遇というか報酬の在り方、こういうことも併せて、きちっとした基準作りというんで
しょうか、そういうことも必要なのではないかというふうに思います。
今はそういう明確な、法的なといいましょうか、基準ということではなくして行わ
れて、裁判所の方のいろいろな内規のような形で行われているのかもしれませんけれ
ども、もうそんな、やっぱりそうではなくて、やっぱり裁判の一翼を担うというくら
いの形になってきております。そういう意味では、何かいい加減なさじ加減とか、あ
るいは何かその場その場の対応というだけでは足りないような感じもいたします。
そういう意味で、報酬などでも何か基準を作っていく等々、明確なそういう方針を
確立する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その辺りはどうで
しょうか。報酬等などについては一定の何か裁判所としての基準を持って行っている
のか。あるいは、今後こういう問題について何らかの方策といいましょうか、システ
ムをきちっとして整備をしていくというおつもりがあるのか。その辺、どうお考えで
しょうか。
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 通訳料の支給につきましては、これ裁判
所が、裁判官が判断するというふうに、決めるというふうに法律で定められておりま
す。したがいまして、各裁判官が通訳の難易ですとか事案の概要、あるいは通訳時間
等を勘案しまして個別的に決定しているというのが実情ですけれども、ただ、今議員
御指摘のありましたように、通訳料の支給に余りばらつきがあるというようなことで
は困ったことになりますので、各裁判所で裁判官の申合せとしまして一つの基準的な
ものを設けております。
ただ、それはあくまでも裁判、通訳料の支給決定をする際の一つの目安ということ
で、先ほど申し上げたような事情を考慮して、それを目安にしながら決めているとい
うことで、基準としては裁判所内部にはそれぞれの裁判所で今言いましたような一応
申合せができているという実情にあります。
また、通訳料についてどの程度支払われているのかというようなことを通訳人から
問われた場合には、その目安を基にしまして、一時間当たり大体一万五、六千円の金
額を払っているところが多いというふうに聞いておりますので、そういったことを通
訳人にもお話ししているんだろうというふうに思います。
○千葉景子君 最終的には個々の案件ということになりますので、裁判長が決定をす
るということは私も別に分からないわけではありません。
ただ、やはりその基本になる基準というようなものは、ある程度最高裁なり含めて
一定の最低基準なりやっぱりもう少し決めて、そして通訳人が十分に確保できる、そ
してまた、その職務に十分に携わることができるということをやっぱり確立をしてお
く必要もあるのではないかと思いますので、是非その辺り、分かりやすく明確になり
ますように御検討をいただきたいというふうに思っております。
さて、裁判所では、本当に時代というか社会も変化をしていきますと、いろいろな
課題、やっぱり出てくるのだろうというふうに思いますが、そういう中でも、やっぱ
り司法制度改革という一環の中で、裁判所でもいろんな時代に合った改革を進めてお
られるということは承知をしております。
そういう中で、一つ、裁判官の任命手続につきましても大きく改革を進めてこられ
まして、裁判官の任命に関して指名諮問委員会というのが作られて、今機能を始めて
いるということでございます。
ちょっとこの指名諮問委員会の、何というんでしょうかね、結論、検討の結果、昨
年十二月ですけれども、本年前半に任期が切れる裁判官百八十一人のうち、その諮問
委員会にかけたら、六人が再任が適当でないという結論が出たと伺っております。こ
れ、百八十人のうち六人というのは、多いといえば多いし、少ないといえば少ないの
かもしれませんが、これまで諮問委員会がない形のときは、本当に一年にゼロとか、
一遍にこんなに六人などという数が出た経過はございません。三十年間で五人ぐらい
でしょうかね、何かその程度だというふうに私も思うんですけれども、一体そうなる
と、諮問委員会は非常に厳しく評価をして、これまでの最高裁は非常に甘かったのか
なと、こういうことにも受け取れますし、一体どういうこれはことなのかなと思いま
す。
ただ、その結論はともかくといたしまして、この本当に六人の再任は適当でないと
いう結論に至るためにはやっぱりいろいろな議論があったと思いますし、それから、
それを議論するための十分なやっぱり資料といいましょうか材料、こういうことがな
いと、単にどうも何か気に入らぬから再任は駄目だと、こういうことになったんでは
これ本当の意味での諮問委員会としての機能を果たすことができないわけで、その辺
り、六人出たことが云々ということではありませんけれども、本当にこれが十分に判
断のためのデータとかあるいは材料が示されて行われたのかどうか、その辺ちょっと
懸念する声もあるようでもございますので、裁判所としては、この点について、ちょっ
と経緯と、それから今申し上げましたような十分な諮問委員会が機能できるようなやっ
ぱり体制といいますか、裁判所としての、何というんでしょう、条件整備もきちっと
されているのかどうか、その辺についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) 委員も御承知のとおり、下級裁判所の裁判
官の任命は最高裁判所が指名した者の名簿によって内閣が行うということにされてい
るわけでありますけれども、これまで、その名簿決定、名簿登載決定のプロセスとい
うものが裁判所内部の手続で行われていたと、第三者が関与することがなかったため
に、ともすると国民の目から見てその登載あるいは裁判官への任用というものが適正
に行われているのかどうかというところがよく分からない、こういうところがあった
わけでございます。
そういった声があることを承知しておりましたので、平成十三年の二月十九日に、
当時ございました司法制度改革審議会において最高裁の方から、下級裁の裁判官につ
いては指名諮問委員会というものを作るということも検討したいと、こういうふうに
プレゼンテーションを行い、これを受けて審議会の方で最終的にいろいろ議論された
結果、その最終意見で、最高裁判所に、そのような諮問を受け、裁判官として「指名
されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置すべきである。」
と、こういうような御提言がありました。
この御提言を踏まえて、その後、裁判所外の委員を多数含みます一般規則制定諮問
委員会で十分な御議論をいただき、どういった仕組みにし、あるいは裁判所からどう
いった独立した判断を担保するかというところも含めて御議論いただいたわけでござ
います。
その結果、委員会は十一人の委員によって構成されると。これは、法曹三者五名、
それから一般有識者六名ということでありますが、これも裁判所から見ますると、裁
判所内が二名、裁判所外の委員が九名ということでかなり外の方に手厚くした組織と
いうふうにしておりますし、また、最高裁は、諮問をするに当たって、その適否につ
いて、候補者の適否について意見は述べないということを規則上明記され、さらにま
た、人事当局がそれに強く絡むということ自体がやはり疑問を持たれることにもなり
ますので、最高裁の総務局がその庶務を行うという形で、峻別された体制、言わばそ
の委員会が独立して判断できるというような担保措置も取られたわけであります。
その結果、昨年の五月にこれは動き始めたわけでございますけれども、その結果は
先ほど委員ちょっと御紹介ありましたけれども、まず平成十年の段階で、失礼しまし
た、昨年の十月の段階で、判事補任官候補者、これは修習生からの判事補任官候補者
でありますが、その諮問百九人行われまして八名が否とされました。またその後、先
ほどもお話がありましたように、判事任命再任候補者百八十一人について諮問がなさ
れ、それについては六人が否とされ、それからこの四月期の弁護士等からの任官候補
者ということで十二人が諮問されましたけれども、そのうち五人が否とされ、その後、
出向からの復帰候補者等も含めますと、これまでに三百十八人中、三百十八人諮問さ
れまして、そのうち十九人が否とされているという状況でございます。
しかし、また、こういった委員会における資料、あるいは判定基準というものをど
うするか、こういうことについても実は委員会において一から議論をしていただきま
して、最高裁にどういった資料があるのかと、そういったものをそれじゃ出してもら
おうというようなことも全部その委員会の主体性を持った判断で進められてきており
ます。また、まだ始まって一年たっていないわけでございますが、レビューというこ
とも今後行っていかなければならないだろうと。もう少し充実させるためにはどんな
ふうにもっとやっていったらいいだろうかと、こういったことの議論もまたお願いす
ることにしているところでございまして、そういう意味で、私は庶務としてその審議
を拝見しておりますけれども、非常に適正になされているんではないかなというふう
に思っております。
これまで随分、否とされる者が元々少なかったではないかというところでございま
すが、これは、総務局長でございますから、これまでの状況を全部把握しているとい
うわけではございませんけれども、例えば司法研修所教官としての経験に基づきまし
て言いますと、司法修習生から判事補への任官の際には、やはりその修習生自体が二
回試験等の成績を見て教官に相談をしてまいります。その上で、教官の方も平素の通
常点、そういったことも勘案して、なかなか難しいかもしれないというような形での
アドバイスを行っていたのがこれまで通常でございました。
しかし、今回はその辺のところは新しい制度ができましたところから、修習生の方
もこれを様子見という状況で、そういうことをしませんでしたし、また、教官の方も
かえって誤解を招くことになりかねないということで、それをすべて委員会の方にゆ
だねるというふうにしたというところもございます。
恐らく、判事の再任候補者につきましても、やはり問題点があるということであれ
ば、その点をこれまででありますと人事当局の方からその辺のところを示唆し、本人
が最終的に考えてそれを、再任申立てを取り下げたと、こういった事例もあったんで
はないかなというふうに推察されるところでありますけれども、そういったところが
数字としてちょっと違ったものが出てきているということだろうかと思っております。
○千葉景子君 私も経験ありますけれども、修習生から任官をと、時には肩たたきが
あったり、そういう事実は確かにあったのではないかというふうに思いますが、いず
れにしても、その数字の変化はいろんな条件にもよるだろうというふうに思います。
ただ、そこの諮問委員会がやはり十分に機能を果たして、やはり開かれた裁判所と
いうことでこれからもきちっと機能していくためのやっぱり条件整備については、そ
の諮問委員会が独立性を持っていろいろ判断をされていくだろうというふうに思いま
すが、それに対したきちっとした適切な対応を裁判所の方でも取っていただくように
要請をしておきたいというふうに思います。
さて、裁判所の方は以上お聞きをいたしました。
この際ですので、ちょっと一、二点、問題提起というんでしょうか、ちょっとして
みたいというふうに思っております。
というのは、やっぱり社会の変化、社会情勢あるいは価値観、いろんなものが変化
をしてまいります。あるいは、技術面でも発展が目覚ましいという時代でもございま
す。そうなると、やっぱりそれに伴って、これまでの法律あるいは制度ではとても対
応し切れない、あるいはいかがなものかという問題もいろいろ出てくる時代でもござ
います。
そこで、ちょっと今日はひとついわゆる生殖補助医療、簡単に言うと例えば代理出
産とか、そういうことなぞが絡む問題と今の法制度という点でちょっと御議論をさせ
ていただきたいというふうに思っております。
ちょうど昨年の十一月になりますが、新聞などの報道によると、法務省の方で、日
本人の夫婦ですね、五十代の方ですけれども、代理出産、アメリカで代理出産をした、
その子供が生まれまして、その出生届について、母という、その母というのは実際に
出産した代理の母、これは米国人の方ですけれども、それによって出生届をすれば出
生届を受理できると、要するに直接出産をした者が母親であるという形で出生届を出
す必要があるんだと、こういうことで対応をなさったという話、記事が出てまいりま
した。確かに、これまで普通に考えれば、出産をした者が母親だということは、それ
はそうかなというふうにも思います。
ちょうどその前の昨年七月に発表されました生殖補助医療等に関する民法の特例に
関する要綱中間試案というのがございまして、ここでは「女性が自己以外の女性の卵
子を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、その出産した女性を子
の母とする」と、こういう考え方が示されているわけでもございます。従来の考え方
を踏襲すれば、これも私も理解できないわけではございません。
しかし、どうなんでしょうか、本当にそれだけで十分なのかどうか。やっぱりこの
生殖補助医療というのは、本来子供を持ちたいと、そういう方が自らの身体的いろん
な理由でできないがゆえに代理に行ったりするわけでございまして、これから先子供
を育て、そして実質的な親というのはやっぱり元々の夫婦ということになっていくわ
けで、そうなりますと、本当にその代理の人が出産はしたけれども、それを母とする、
やり方によっては養子縁組をするとかそういう形でまた母を定めるということはでき
るかとは思うんですけれども、やっぱり子供は生まれて責任はないということになる
わけで、そういうことを考えると、この生殖補助医療の在り方いかんということも別
な問題としてありますけれども、やっぱり子供の幸福、子供の幸せ、あるいは子供の
やっぱり人権というんでしょうか、そういうことを含めて考えると、本当に出産をし
た者を母とするという、そういう考え方だけをこれからも進めていくだけで足りるん
だろうかと、こういうちょっと私は感を持つところでもございます。
これは、今ここですべて結論が出せるという問題でもなく、私も大変悩ましい問題
なんだなというふうに思いますが、その点についてはどんなふうに法務省としては認
識をなさっておられるのでしょうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(房村精一君) なかなか難しい問題でございますが、法務省としては、
現行法の解釈としては、やはり分娩によって母子関係が発生するということになるの
ではないかと。
将来的にどうするかということは、御指摘の中間試案で、やはり母子関係について
は出産した女性を母とするという考え方を示しているわけでございますが、これにつ
きましては、母子関係の発生を出産という外形的事実に係らせることによって、客観
的な基準によって法律関係を明確に決定することができる。それから、分娩という事
実で親子、母子関係の発生を認めるということになりますと、いわゆる自然懐胎の子
供と生殖補助医療によって出生した子を同じ、同一に扱えるということ。それから、
何といっても、卵子が仮に他の方の卵子であっても、出産する方は十か月間、自分の
体の中で正に血を分けて育てているわけですので、そういう懐胎し出産する過程にお
いて女性が出生してくる子に対して母性をはぐくむというような指摘もございます。
そのようなことを考慮して、一応中間試案としては出生した女性を母親とするという
考え方を示したわけでございます。
これについての御意見、いろいろ寄せられましたけれども、やはり賛成する意見が
多数でございました。
ただ、この問題は従来にない新しい事態でございますし、また、生殖補助医療とし
てどこまでを認めるのか、代理懐胎を認めるかどうかというようなことも含めて検討
をする必要があるだろうと、こう思っております。
○千葉景子君 本当に難しい問題だろうというふうに思いますが、やはり子供のこと
も十分に念頭に置き、そしてこれからの生殖技術のありよう等々の変化、その是非等
も含めながら、もう、一つに何か余りぎゅうっとこだわるということではなくして、
大いに中身のあるこれから議論を進めていく必要があるのではないかというふうに思っ
ています。
どうしてこういうことを申し上げるかというと、どうもよく分かりません、法務省
の方では五十歳以上の出産という場合には本当に御本人が出産したのかどうかという
ことも含めて確認をされるような手だてをしているようです、出生届の場合にですね。
さっきの例も五十歳以上の方だったものですからその確認の際に代理で出産があった
ということが判明をしたということなんですが、五十歳以下の場合ですと、出生届と
いうのは形式的な審査ですので、結局代理で、代理出産であったとしても、やっぱり
これは自分のもう実子として届けたいということで、直接、本来の夫婦の子として出
生届がなされている例もあるのではないだろうかと。形式的な審査だからちょっとそ
こがはっきりしないようですが、そういうことも言われております。
そうすると、片方では既にもう実子として届けているような例があり、たまたま確
認の上、代理だということが分かって、やっぱり分娩によって出産した方が母親だと
いうことで実子としては届けられないというケースが出たり、もう既にそういうやっ
ぱり矛盾とか、いろんな問題が発生をしてきてしまっている。こういう事態ですので、
先ほど言ったように、一つの余り考え方に凝縮を早くしてしまうというのも問題です
が、かといって、やはりこの議論をじゃずっと放置をしておくということもできない
という気もいたします。
その辺を含めて、大臣、ちょっとこういう問題について今後是非中身のある議論を
進めていただきたいと思いますが、ちょっと御所見を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 最近の医学の進歩によりまして、これまでの法律体系あ
るいは我々の常識を超える状況が出てきているというのはもう委員も御心配をいただ
いているところでございますが、これにつきまして、特に母親が五十以上の場合の出
生届の取扱いにつきましては、出産能力のない高齢の母の出生した子として虚偽の出
生届がされる傾向があるということで、もう昭和三十六年九月の段階で民事局長の通
達が出ておりますが、その中で、届出の受否につきまして、市町村長から管轄の法務
局に対し指示を求めた上で処理をすることとされておるものでございまして、それに
ついての相応の合理性はこれはあると考えておりますが、当時としましては代理出産
というようなことは想定していなかったわけでございます。
したがいまして、五十以下の場合の方とのアンバランスの問題というのは当然議論
が出てくるかと思いますが、御指摘の点を踏まえまして、今後の立法論と併せまして
慎重に検討してまいりたいと思っております。
○千葉景子君 ちょっと準備してきていただいているものありましたけれども、ちょっ
と時間ございますので、また後日にさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
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