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2004年3月16日全文
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2004年3月24日全文
159-参-法務委員会-2号 平成16年03月16日
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
同僚の角田委員に引き続きまして、何点か質問をさせていただきたいというふうに
思います。
まず最初に、私もちょっと改めてびっくりをいたしたんですけれども、法務省もそ
れぞれ情報の提供にいろいろと努められておりまして、入管、入国管理局もいろいろ
ホームページを持っておられます。ちょっと出しますと、こんなきれいなカラー刷り
で出てくるんですけれども、実はこのホームページ上に、本年二月十六日にメールに
よる不法滞在者の情報受付システムというのが開設をされております。
大臣の所信等でもお伺いをいたしましたけれども、従来から入管でも、不法滞在者
についての様々な情報を市民から電話とかあるいは手紙などで募ってきたという経過
はございます。そしてそういう中で、多分こういうことだと思うんですけれども、昨
年十二月十八日、犯罪に強い社会の実現のための行動計画、これは犯罪対策閣僚会議
で決定されたものですが、そういうものが発表されまして、犯罪の温床となる不法滞
在の外国人約二十五万人を今後五年間で半減させようと、こういうことが方針として
打ち出されました。こういうことが背景になって、この情報を取得をする、電話とか
手紙などではなくしてメールによっても情報を集めようと、こういうことになったの
ではないかというふうに私も推測をいたします。
このメールによる情報受付システムというのは、寄せられた情報が、それぞれ関係
する、働いておれば働き先、あるいは居住地を管轄する地方入国管理局とかその支局
に送られ、届けられて、その情報が活用されると、こういうような仕組みになってい
るようですが、このホームページ上での情報取得のシステムというのはおおよそこう
いうことでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) ただいまお尋ねをいただきましたとおり、この情報提
供受付は、入管法の第六十二条第一項で、何人も第二十四条各号、これは退去強制事
由ですが、退去強制事由に該当すると思料する外国人を知ったときにはその旨を通報
することができるという規定がございまして、従来も入管局では、国民の皆様方から
電話とかあるいは手紙などでこの退去強制事由、例えば不法入国であるとか不法残留
の疑いがあるような外国人の情報をいただいてまいりました。
その過程で、国民の方々から、二十四時間いつでも発信できる電子メールでも情報
提供したいと、こういう声がございまして、昨今のインターネットを利用した電子メー
ル、これが広く普及している事情にもかんがみまして、電子メールも利用して情報提
供をしていただこうと、こういうことで、今般、入管局のホームページに情報受付の
項目を設けたものでございます。
そして、お寄せいただいた情報につきましては、先ほど委員から御指摘がございま
したとおり、それぞれその情報を所管する地方入管においてこれを受けた後、内容を
精査、分析して、優先度なども勘案しながら不法滞在などの外国人の摘発の端緒とし
て活用していくということを考えているものでございます。
○千葉景子君 これまでも先ほど言ったように電話とかあるいは手紙などでの情報が
寄せられていたということですけれども、聞く範囲で、私が知り得た範囲ではござい
ますけれども、そういう中でも、実際に寄せられる情報というのは、必ずしも根拠の
ないものも含まれているようでもございますし、あるいはいたずらのようなもの、あ
るいは勘違いであったというようなものもあるということも言われております。
そういう状況の中で今回のまたメールということになるんですけれども、これを見
ますと、別に自分の出所、出所というか名前を明かしたりそういうことをしなくても、
匿名を希望すればそれでも構わないということになってもおります。
こうなるといろんなケースが出てくるんだろうというふうに思いますが、これ、ど
うなんでしょうか、報道などによりますと、開設後五日間で二百件の情報が寄せられ
たと、開設が二月十六日ですから。それから更に日数がたっておりますけれども、ど
うなんでしょうか、これまでどのくらいの情報が寄せられていて、そして具体的には、
内容としてはどういうものが寄せられてきているのでしょうか、御説明いただきたい
と思います。
○政府参考人(増田暢也君) 先週の三月十一日まで、二月十六日からの間ですけれ
ども、寄せられた情報は約七百八十件に上っております。
内容についてのお尋ねでございますけれども、これは、今、それぞれの地方入管に
おいてこの内容を分析している段階でございますので、まだ具体的にここでお答えで
きる段階にはございません。
○千葉景子君 かなりの数が寄せられているんですけれども、ただ、この情報のホー
ムページ、メールでの情報なんですが、大変やりやすいというか、先ほど言ったよう
に匿名でもできるということでもございます。
それから、情報画面を見ますと、外国人の名前、国籍、見掛けた場所などを記入で
きるようになっているんですけれども、ただ、問題はその通報の動機ですね。本来、
通報というのは、不法滞在であるということが推測される理由をやっぱり記載をする
とか、あるいはそういうことを挙げて通報するということが本来通報ということの趣
旨だろうというふうに思うんですが、このホームページでは、こういうときも通報し
て結構ですよ、どんどんやりなさいとなっているんですが、その動機を選択する項目
としては、不安とか近所迷惑とか、違反者のために解雇されたとか、違反者のために
求職ができないとか、こういう項目が挙げられているんです。
これは、考えてみますと、こういうことで通報を認める、あるいは寄せてもらうと
いうことになると、何でもいいんだと。ちょっと何となく気味が悪いなといっても通
報する、あるいはいろんな、外国の方ですと、地域の中でも、やっぱりそれぞれの文
化の違いとかそういうことなどもあって多少摩擦が起こることもある、そういうこと
になると、近所迷惑、これで通報すると。こういうようなことが言わば助長されると
いうんでしょうか、そういうことにつながるのではないかというふうに思います。
しかも、匿名性という、これまでのやっぱり手紙とか電話とかいうことになります
と、それなりに意を決して、やっぱりこれは問題がありそうだから通報しようという
ことになるわけですけれども、匿名で、しかも、今、若い皆さんなんかでもどんどん
やりますけれども、メールでぷっとクリックすれば通報できるということになるわけ
で、非常に私は、何か安易にこの外国人に対するというか、いろんな不安を助長する
むしろ契機になってしまうのではないかというふうに思っております。
これにはいろんな問題点の指摘がありまして、先ほど申し上げましたように、これ
が本当に通報ということに適切に対応するような措置なのだろうかということもあり
ますし、それから、日本もこれから国際的な社会の中で共生の社会、外国人の皆さん
も今たくさん日本に居住をし、そしていろいろな活動を展開をし、そしてともに社会
の支え役となっているというような時代でもございます。
そういう中で、日本も国際条約をきちっと遵守をしながら、多文化共生の社会を目
指そうと、こういう時代でございまして、むしろそういうために法務省は人権を、外
国人の皆さんの人権もきちっと保障し、そしてともに支え合っていくことのできるよ
うな、そういうむしろ積極的な対応を取っていかなければいけないと、こういうこと
ではないかというふうに思います。
ところが、こういう、何か外国人の方を見たら通報していいんですよ、不安とか近
所迷惑と。こんなことは別にちょっとしたことでも感じたりすることがあるわけでし
て、いずれにしても、こういうことをこのホームページで挙げるということは、誤っ
たやはり外国の人に対する偏見を助長したり、それから外国人の皆さんに対する排外
的な意識をむしろ強化をしていくということにつながっていくのではないかというふ
うに思いますが、こういう点について、大臣、こういうホームページを開設をし、通
報を受けるというようなことに当たって大臣は何かお考えになりませんでしたでしょ
うか。
○副大臣(実川幸夫君) 今先生御指摘がありましたけれども、我が国に入国し、ま
た在留しておられる外国人のほとんどの方がルールを守っておることは言うまでもご
ざいません。また一方、残念ながら、我が国には約二十五万人にも及ぶ不法滞在の外
国人が存在していると思われます。
社会の安全と秩序を維持するために、不法滞在者に対して厳格に対応することもま
た法務省に対する国民、社会の要請であると考えております。そのためには積極的な
摘発活動を行う必要がありますし、これまでも電話、またお手紙で国民の方々からお
寄せいただく様々な情報は摘発の貴重な端緒となっております。そのような情報をお
寄せくださる方から電子メールで情報を提供していただきたいという声があり、情報
提供を受け付ける手段を新たに加えたのが今回の取組でございます。
法務省といたしましても、今回のメールによります不法滞在者等の情報提供等が人
権条約違反などの問題を生じさせないように十分配慮した、徹底した上で活用をして
いくこととしております。
○千葉景子君 今、人権条約等に違反しないように活用していくというお話でしたけ
れども、どうでしょうか、逆に言えば、人権条約、人種差別撤廃条約にむしろ既に抵
触をすることになるのではないかというふうに思います。
人種差別撤廃条約の例えば第二条第一項というところには、細かくは読み上げませ
んけれども、締約国が人種間の分断を強化するようなことをしてはならないと、それ
からいかなる人種差別につながるようなことをしてはならないということが明確にさ
れているわけでもございますし、今回のこのような、ただ不安だとかあるいは近所迷
惑だとか、そういうようなことを理由にして外国人に対する不当な通報行為を助長す
るというようなことは、私はやはりこの人種差別撤廃条約などにも抵触するし、冒頭
申し上げましたけれども、いわゆる通報という問題にもやっぱりある意味では逸脱を
しているのではないかと、こういう気がいたします。
いかがですか、やっぱりこれは法的にも、それから条約上でも非常に問題が多いと
いうふうに思いますが、その点についてどうお考えでしょうか。
○政府参考人(増田暢也君) まず、人種差別撤廃条約を取り上げられましたけれど
も、この条約の第一条第二項で、この締約国は市民と市民でない者との間に設ける区
別あるいは優先については適用しないとなっておりますので、直接にはこの条約に抵
触することはないと考えております。
よしんば、今回の通報メールが外国人に限って情報提供を求めていることが問題だ
といたしましても、元々退去強制というのは外国人が対象となっているものでありま
すから、私どもは、その退去強制の職務を遂行する上で外国人に限って情報提供を求
めるというのは、これは合理的な取扱いであると考えておりますので、その点におい
ても条約に抵触する問題はないと考えております。
それから、委員の御質問は、特に強く御指摘になられる点は、匿名の通報を許して
いること、それから通報動機の中に近所迷惑とか不安などということでの通報を許し
ていること、これが問題ではないかという御指摘をいただいているのですが、もちろ
ん、すべて実名の通報で真実の情報提供がいつも必ず行われるならいいのですが、中
には、やはり自分の名前は明かしたくないと、だけどこういうことでここに退去強制
の外国人がいると思うから入管の方で調べてもらいたいと、ということをお考えの国
民もおられるわけで、それは従来からも、匿名での電話、匿名での手紙などの情報提
供はあるわけですから、そういったことから、私どもとしては、真実の情報をいただ
く上で、その提供をなさる方が、自分の身元を明かしたくないという方について、そ
ういう方のためにやはり情報提供の道は残した方がいいだろうという考え方でありま
す。
それから、通報動機にいたしましても、何も通報動機だけではありませんが、その
方が自分の身元を明かしているとか、あるいは通報内容が具体的であるとか、そういっ
たことなどと相まって、その通報内容が速やかに摘発の端緒として着手を検討すべき
案件なのかどうか、そういう優先度を判断する上でもやはり通報動機は必要であろう
と考えたわけです。
ちなみに、委員は、安易な通報動機で通報を求めると、いい加減な情報、あるいは
外国人を軽視するような雰囲気を助長するのではないかという御懸念をおっしゃって
いるわけですけれども、この入力画面というのは、まず通報者、通報しようという通
報者がこの画面を開いて自分の氏名を入力する、あるいは氏名を入力しないなら匿名
ということで次の、つまり、もう情報提供を決めた後に次の画面をクリックし、そこ
で初めて通報がどんな内容であるのかが出てくるものですから、その通報動機を見て
いい加減な通報をしようと思うようなシステムにはなっていないと考えております。
○千葉景子君 いや、今そういう御説明ですけれども、今、逆に言えば、このホーム
ページあるいはそれに伴うメールでのいろいろな交流手段あるいは、何というんでしょ
うね、情報発信、それから情報の取得、これは非常に当たり前に、そしてまた容易な
手段としてむしろこの社会の中に今定着をし始めているというわけですから、そうい
う非常に手軽、それから割と気軽にというやっぱりページとして活用されるんだろう
というふうに思うんです。
そういう中で、やはり単に、理由としても、やっぱりその動機付けとして不安とか
そういうのが載っていれば、不安ということを理由にして、やっぱり何らかの情報を
そこから発信をしていくということにも私はつながっていくだろうというふうに思い
ます。
本来、本当に通報なりあるいは情報をきちっと伝達をしようということであれば、
それなりの理由を付して、あるいは匿名というのは確かにあろうかというふうに思い
ますけれども、やっぱりそういうことを通じて、やっぱりお互いに慎重な対応を取っ
ていくということが必要なんだろうというふうに思います。
むしろ、冒頭申し上げましたように、法務省はむしろそういう安易な、そして外国
人に対する差別的なやっぱり社会のありよう、こういうものをむしろ是正をし、そし
てまたそれを正していく、そういうためにこそ率先をして取り組んでいかなければい
けないという立場にあるにもかかわらず、それを本当に無にするようなこういうホー
ムページの作り方、私はやっぱりこれをこのまま放置をしておくと、何かお互いに監
視をし合い、そして何かあれば匿名でちょっと通報をするという密告制みたいなそう
いう社会を作り上げていく、特に外国人の皆さんに対してそういう対応を取っていく
社会、こういうことに法務省がむしろ加担をするということになるのではないかとい
うふうに思います。
私は、こういう今ホームページのやり方であれば、即刻一回これを閉じて、そして
改めてどういう形で本当に適正な管理をしていくかということを検討すべきであると
いうふうに思いますが、法務大臣、どうでしょう、一回このホームページ考え直す、
まずは、こういうのではちょっと問題がある、一回閉じて、そして改めて何か検討し
ていくということにすべきではないかと思いますが、その点、大臣の御見解をお聞か
せいただきたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 委員も御承知のとおり、日本では今、外国からのお客様
を倍増させようというような、いわゆるビジット・ジャパン、ウエルカム・ジャパン
ということでの施策を進めているところでございます。
委員御指摘のとおり、このインターネットの活用による情報提供ということが仮に
人権を侵したり、あるいはその今言った外国からの立派なお客様の来日にブレーキに
なるということでは困るわけでございまして、あくまでこれはルールを守って日本に
滞在をしていただくための一つの手段、手法でありますので、今のような御指摘がご
ざいましたら、そういった点も十分加味しながら、運用の面その他で更なるまた工夫
を凝らしてまいりたいと思っております。
どうぞひとつ、忌憚ない御意見を委員からもひとつお寄せいただければ幸いであり
ますが、どうぞよろしく。
○千葉景子君 今、忌憚のない意見を申し上げました。一回何しろ閉じなさい。そし
て、本当に必要な手だてを講ずるのであれば、本当に慎重に、そしてやっぱりむしろ
外国の皆さんとともにこうやって一緒に生きていこうよ、そして多くの皆さんが日本
の社会にも来ていただきたいと、こういう発信とつながるような、そういう情報提供
をやっぱりむしろしていただきたい。
是非、私は、率直な意見として、一回このホームページはやっぱり閉じる、そして
改めていろんな情報提供をしていくということを強く求めておきますので、是非、そ
の結果がどうなるかまた拝見をして、必要であればまた意見を述べさせていただきた
いというふうに思います。
大臣、どうぞ一度自らホームページ見ていただきまして、そして大臣としての、大
変、良識を是非発揮いただきたいと思いますが、よろしいですか。
○国務大臣(野沢太三君) 逐次、今情報をいただいておりますので、それらの実績
を見ながら、より良い姿にはこれは工夫していかなきゃいかぬかと思っております。
○千葉景子君 さて次に、先ほど角田委員の方からも若干触れられました出院の情報
の問題もございましたけれども、少し犯罪の被害を受けられた皆さんに関する問題に
ついてお尋ねをしたいというふうに思っております。
我が国の犯罪被害者の方に対する対策というのは、平成十二年に犯罪被害者保護関
連二法が制定されました。そしてまた、翌年、犯給制度ですね、が拡充をされ、一定
の前進は図られてきております。しかし、なかなか総合的な被害者の皆さんに対する
サポート体制というのは貧弱なものであることは変わっていないのではないかという
ふうに思っております。
犯罪被害者保護関連二法というのは、公判手続の傍聴とか、それから記録の閲覧、
謄写、証人の負担軽減、意見陳述など公判段階における対策、それから先ほどの犯給
法の方は給付金制度、大変貧弱なまだものであると言わざるを得ないというふうに思っ
ております。
そういう中で、やはり今、一方で刑事手続、それの適正をきちっと目指していくと
いうことがある、他方でやっぱりこの犯罪被害者の皆さんに対して社会がやっぱりサ
ポートをしていく、そういう体制の必要性というのが大変強調をされているというふ
うに思っております。
その中で、欧米諸国などを見ますと、犯罪の被害者は事件直後からいろいろな心理
的なサポート、あるいは医療とか病院、あるいは警察とか裁判所等へのいろんな意味
での付添いを受けることができたり、あるいは、警察ばかりではなくて、いろんな団
体等が支援サービスを行っているという状況がございます。そういう意味では、現在、
日本でも民間のNGOの皆さんとか、あるいは弁護士の皆さんなどがやっぱりボラン
タリーな形で犯罪被害者の皆さんのいろいろな手続、それから心のケア、そういうも
のなども含めて何とか支え合っているというのが実情ではないかというふうに思って
おります。
そういうまだ状況ですので、やはりこの問題を一度総合的に考える、そして体制を
整えるためのやっぱり制度、法律が必要なのではないかというふうに思っております。
私どもも、この間、犯罪被害者対策を総合的に進めていくための基本理念、あるい
はそれぞれ国や地方公共団体の責務等を明記をし、そしてそれに基づいて総合的な施
策を施していこうと、こういう内容で犯罪被害者基本法案というものを私ども作らせ
ていただきまして、数次にわたって国会にも提案をさせていただいてまいりました。
なかなか具体的なこれを議論の土台にしていただくというところまでには至っており
ませんけれども、是非、こういう犯罪被害者の皆さんを総合的にやっぱり対策を進め
ていくような制度、そしてその、それを、内容等を盛り込んだ法律の必要性というこ
とを大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(野沢太三君) 犯罪被害者の皆様の保護、支援につきましては、委員か
らも御指摘のとおり、様々な分野における施策が必要であるという点では正に認識を
同じくしているものでございますが、まずもって、どのような具体的な対策があるか
と。これをやはりできるところから進めていくというところが今の最も大事な段階で
はないかと思います。
いわゆる犯罪被害者保護二法に基づく施策はこれまでも既に逐次実施をしてきたわ
けでありますが、これではなかなか十分ではないということも御意見がある中で、今
御党の方から提案がございました法案が一つ百五十六国会にも提案をされておるとい
うことがありまして、私ども法務省といたしましても、部内に研究会を設けまして、
今後どのような対応をしたらいいかということについて鋭意検討を進めておるところ
でございます。
各方面の御意見を聞きながら、今後、何をどのような形で具体化し、進め、また法
案化の要否につきましても、その中でしっかりと対応を考えてまいりたいと思ってお
ります。
○千葉景子君 是非、そういう総合的な対応、対策、そしてそれを基礎付ける法律の
制定というものを是非検討していきたいものだというふうに思っておりますが、それ
までにまず至らずとしても、今本当に被害者の皆さんのサポートをしているのは民間
のNGOなどの皆さん等々でございます。
それから、先ほど言ったように、弁護士がやはり関与をしませんと、例えば警察へ
のいろいろな手続、そして先ほど公判調書が、閲覧が可能であるとかあるいは謄写が
可能であるとか、いろんなことがございますけれども、やはり個人が一人でそういう
手続などをすべて行うことはなかなか困難だということで、弁護士などがそのサポー
トをしているという状況がございます。
やはり、できるだけ、まずはこの民間の支援組織などの皆さんに対する財政上の支
援措置、こういうものも早急に急がれるのではないかというふうに思いますけれども、
その辺り、どうでしょうか、御検討の余地はございませんでしょうか。
○副大臣(実川幸夫君) 犯罪被害者に対します支援につきましては、所管官庁にお
きまして適時適切に行われていることと承知しております。
法務省の所管事項に関連しまして申し上げますと、被害者等への対応等の業務を行
うために地方検察庁に被害者支援員を配置しておりまして、被害者等からの照会等を
受け付けるいわゆる被害者ホットラインを設置するなどの被害者対策を行っておると
ころでございます。
被害者支援の問題は多岐にわたっております。そういう関係で、関係諸機関の緊密
な連携が必要不可欠であります。そういうことから、内閣に設けられましたいわゆる
犯罪被害者対策関係省庁連絡会議などにおきまして、今後十分に検討していくべきも
のと考えておるところでございます。
○千葉景子君 それから、今、先ほど言った支援をしているような弁護活動などにつ
いて、現在は、これは法律扶助協会などが一定の扶助制度、弁護士費用の立替え制度
などによってそれを支えているというようなこともございます。
この問題は、いずれ、今回、総合法律支援センター法ですか、そういうものも出て
くる予定を聞いておりますので、そういう問題とも絡んでくるんだろうというふうに
思いますけれども、やはりこれらにも一定の公的な援助、そういうものが必要となっ
てくるのではないかというふうに思います。
今、関係省庁での連絡会議とか、そういうことを考えても、やっぱり、まずはそれ
を全体に包括をし、そしてどの役所がどういう役割を果たすべきか、あるいは自治体
はどういう役割を果たすべきか、そして民間の皆さんのきめ細やかなそういうサポー
トに対してどういう支えをしていくのかとか、やっぱりそういう総合的なまず基盤が
作られないと、なかなか、それぞれがばらばらに行われているということになってし
まうのではないかというふうに思います。
そういう意味で、改めまして犯罪被害者に対する基本法、基本的な施策をまとめた
法の制定、こういうものを私どももまた御提起をさせていただいてまいりますが、大
臣におかれましても、そういう視点を是非改めてお持ちいただきまして、積極的に対
応方をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。大臣、お
考えを。
○国務大臣(野沢太三君) 犯罪被害者の取組につきましては、当然これは国といた
しましても真摯に取り組みまして、特に、法務省はそのまた中心におきまして積極的
な役割を果たすべき立場と十分心得まして取り組んでまいるつもりでございます。
○千葉景子君 そこで、ちょっと先ほど角田委員からも質問がありまして、関連をす
るというか、それにちょっと付け加えさせていただきたいというふうに思いますのは、
少年の出院の情報ですね。それの公表ということがございました。
これはなかなか、先ほどの質疑でも大変難しい問題であるということを私も承知を
いたしております。むしろ大変悩ましい、難しい問題であればあるだけに、これから
の方向性、そして今回の御決断といいましょうか、そういうものをきちっとやっぱり
お互い検証し、受け止めていかなければいけないだろうというふうに思います。
これまでは出院情報、出所情報といいましょうか、こういうものは成人の事件には
導入を行われてまいりました。被害者に対して情報を提供するということで行われて
きたわけですけれども、今回は、そういうこれまでの例とは一歩踏み出したというの
か例外になったというのか分かりませんけれども、少年であるということ、それから、
被害者に対してのみならず、社会にある意味では公表するというような形になったと
いうことで、ある意味ではこれまでの扱いから大きくやっぱり踏み出した部分がある
んだというふうに思います。
この是非は、今申し上げましたように、今後本当にお互いに慎重に議論を真摯にし
ていく必要が本当にあるだろうというふうに思いますが、これはどうなんでしょうか。
こういうこれまでとは違った方向へ今回のことから踏み出したと、そっちの方向へ歩
み出したんだというふうに受け止めたらいいのでしょうか。それとも、そうではなく
して、改めて今回のことも含めて検討をするという方向なのでしょうか。その辺を
ちょっと確認をさせていただきながら、私どもも一生懸命、本当に慎重に、真摯にま
た考えていきたいというふうに思いますが、その点は方向性としてはどういうふうに
大臣は受け止めておられますですか。
○国務大臣(野沢太三君) 少年の社会復帰の言わば地ならしをするために、また環
境を整えるために、今回の節度ある公表という形に踏み切らしていただいたわけでご
ざいます。
当然、これは少年のプライバシーを尊重しながらも、やはり再起可能な世の中を作
りたいという私どもの一つのぎりぎりの判断として、今回、慎重な審議の上、このよ
うな公表に踏み切らせていただきましたが、お尋ねのように、少年の出院情報につい
て今後どう取り組むかということについては、個別具体的に取り組むというだけでは
なく、更なる一つのルールを作っていくべきかどうか、これについても現在法務省の
中では検討しておりまして、その成果を待ちまして具体化してまいりたいと思ってお
ります。
○千葉景子君 となりますと、今回の公開というのは、この方向に、これから出院の
情報というのを公開をしていくんだという方向に踏み出したというよりは、今回は非
常に異例の措置ということになるんでしょうか。今後、どちらの方向に向いていくの
かどうかも含めて検討するというふうに受け止めてよろしゅうございますか。
○国務大臣(野沢太三君) 具体的な人物あるいは事件につきましてはあくまでやは
り個別慎重な対応が必要であることには変わりないと思いますが、被害者に対する通
報なりあるいは御支援なりという先ほどからの御議論については、できるだけ制度化
して、これが前進するように図りたいと、こう思っておるわけです。
○千葉景子君 今後、ちょっとこれはまた、これまで成人にはそういう方向がござい
ましたけれども、少年の問題については被害者に対しても一定の公開はしないような
形で運用されてまいりましたので、一つの大きな変化なのかなというふうに受け止め
させていただきます。いずれにしても、一体どういう形で対応を取っていくのかと、
これから私もまた節目節目で議論をさせていただければというふうに思っております。
さて、犯罪被害ということと関係をするわけですけれども、今、いわゆる強姦罪
等々、いわゆる性犯罪に対する処罰について、やはりもう少し処罰を強化をすべきで
はないかという指摘がなされております。今回、法制審議会に諮問をされた刑罰の強
化という一環として、強姦罪についての法定刑を上げようという内容の諮問がなされ
たと承知をさせていただいております。
今回、この強姦罪について法定刑を上げようということを検討された趣旨はどうい
うところにございますでしょうか。
○国務大臣(野沢太三君) 近年、この強姦罪を含め、凶悪犯罪その他の重大事犯が
増えておることは委員御認識のとおりでございますが、この種の犯罪について、刑法
等の現在の規定が国民の規範意識や近年の犯罪をめぐる様々な情勢に合致しているか
どうかとの指摘もございます。その意味で、早急にこの事件、刑事の実体法及び手続
法の見直しをする必要があると考えまして、本年二月十日、法制審議会に対して凶悪・
重大犯罪に対処するための刑事法の整備に関する諮問を行った次第でございます。
御指摘の強姦を含め、強制わいせつ及び強姦致死傷の各罪はいずれも性的自由に対
する暴力犯罪でございますが、これらの法定刑等につきましても現在の国民の規範意
識と合致していないのではないかと。あるいは、強姦のうち、いわゆる集団的形態の
ものについて親告罪の例外とされているにもかかわりませず、一般の強姦と同じ法定
刑である点が相当ではないのかという指摘があるところでございます。そして、物よ
りも人の方を軽く見るというようなことではいかがなものかというような御指摘もちょ
うだいしているわけでありますが、そこで、強制わいせつ罪、強姦罪及び強姦致死傷
罪の法定刑の下限を引き上げるとともに、新たな集団的形態による強姦及び強姦致死
傷の加重処罰類型を設けるべきではないかと諮問を行った次第でございます。
今後は、法制審の審議及び答申を踏まえまして、必要な法整備を図ってまいりたい
と考えております。
○千葉景子君 今回、この強姦罪等につきまして法定刑を見直していこうということ
自体、私も率直にそのとおりだろうというふうに思います。
ただ、どうも今回のこの改正といいましょうか、それへ向けた動きは、全体として
法定刑、重大な事件についての、犯罪についての法定刑がどうも軽いのではないかと。
やはり、それを全体として見直していこうという中の一環としてどうも位置付けられ
ている、そういうところもあり、本当の意味で強姦罪とか、やっぱり性的自由に対す
る侵害、それを犯罪化し、そしてそれに対して厳しく処罰をしていくというようなこ
とがちょっと全体の中で位置付けられていて、何か本当にその本来の趣旨がきちっと
受け止められているんだろうか、その目的に沿って強姦罪等の重罰化といいますか強
化が本当に図られているものなんだろうかと、若干その辺あいまいな感じがするわけ
ですけれども、少なくともこれまでのような軽いものから強化をされるということは
評価ができるだろうというふうに思います。
ただ、やっぱり改めて申し上げたいのが、全体の刑罰を上げるから、そのときにつ
いでに強姦罪の方もきちっと見直そうということではなくして、やっぱり性的自由に
対する侵害ということがこれまで余りにも軽んじられてきたと、こういう問題をやっ
ぱり見直していただきたいというふうに率直に思います。
今回は厳罰化の方向ですけれども、それだけで本当に問題が解決をするのか、強姦
罪という構成要件の仕方だけで本当にいいのか。あるいは、強姦罪という構成要件の
ために、よく言われますようにセカンドレイプのような形になってしまったり、ある
いは本当に親密な関係の中でもいわゆるデートレイプと言われるような、そういう性
的自由に対する侵害が存在をするということも含めまして、やっぱり性的な自由とい
うことに対するやっぱり改めてのきちっとした位置付けと、そしてそれに対する処罰
の在り方、そしてまた、今度は処罰のみならず、その処罰に当たっての処遇の在り方、
社会の教育の在り方含めて再検討の時期に来ているのではないかというふうに思いま
す。
今回の一定の法定刑を上げるということ自体、私も否定するものではありませんし、
一定の評価をさせていただきますが、根本的に自由の保障の在り方、それに対する刑
罰の在り方、そろそろ抜本的に考えていく時期ではないかと思いますが、その辺りに
ついて大臣としての御認識がございますれば、それから当局の方で何かお考え方がご
ざいますれば、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(野沢太三君) 問題山積の中での強姦罪に関する諮問ということであり
ますが、決して全体の一部であるということではなく、この問題に関してははっきり
と問題を明確にした上で取り組んでいくことが必要であると。
御指摘のように、強姦罪は性的自由を侵害する行為、そして犯罪であるということ
から、自由な意思決定を著しく困難にするものと認められるような暴行、脅迫があっ
たときにそのような侵害行為を処罰すると、こういうことが要件となっておるわけで
ございます。
御指摘のように、強姦罪等の構成要件を構成することについては、どのような行為
をもって被害者の意思決定の自由を侵害するものとして規定するのが相当か、これは
大変この立証の困難な問題もございますが、いずれにいたしましても、このような性
的行為に関する意思決定の自由に対する過剰な干渉になることはないかということも
含めまして、種々の観点から慎重に検討し対応していくべきものと考えております。
○委員長(山本保君) 聞きますか。
刑事局長、よろしいですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 今大臣がお答えになりましたとおりでございまして、
今回の法制審議会に対する諮問の内容は、近時の凶悪犯罪等の犯罪情勢や国民の規範
意識の動向等を踏まえた上で、強姦罪等の凶悪犯罪を中心とする重大犯罪の事案の実
態に即した対処が可能になるよう整備するものでございまして、法定刑等の見直しを
その内容の中心としたものであります。
委員のお考えになります性的自由に対する侵害としての強姦罪等の見直しにつきま
しては、大臣が今、ただいま御説明しましたように、種々の観点から検討すべきこと
がたくさんあることでございまして、そのような、もしそのような検討というものが
ありますれば、大臣の指示を得ながら、指示を受けながら慎重に検討してもらいたい
と思っております。
○千葉景子君 是非、確かにどういう形で適正にその侵害行為に対して制裁を科して
いくのか、そして、それを防止をしていくためにはどうすればいいのかということは
本当に難しい問題ではあろうかというふうに思いますが、言っているうちにどんどん
どんどんやはりその被害に遭う人、そしてその加害側になってしまう人、こういうこ
とが多発をしていくわけですので、是非、一刻も早く問題の整理あるいは検討に着手
をするというようなことも含めて取り組んでいただきたいというふうに思っておりま
す。
もう時間があれでございますので、最後に一点お聞きいたします。
先般、大変私もうれしく思いましたが、いわゆる婚外子差別の戸籍法の、戸籍法の
施行規則を改正をしていこうという方向が出されまして、これも前進であろうという
ふうに思っております。
実は、この戸籍法の施行規則、どういう内容で改正されるのかなというふうに思っ
ておりまして、表記の仕方を変更するということでございます。これまでのような、
婚外子についてはそれが分かるような表記の仕方ではなくして、差別をなくすという
ことで、私もそれは当然だというふうに思っておりますが、この際、その表記につい
て、これまで長男とか長女、二男、二女、こういうような表記になっております。で、
婚外子についてはそういうものが付かなくて、女、男とかなっていたわけですけれど
も、逆に言えば、今度は長男、長女、二男、二女の方に合わせるということではなく
て、この際表記は子、子、みんな同じ子ですから、子、そして性別を付けるというよ
うな格好にもうそろそろ整理をされたらいかがかというふうに思います。
長男とか長女とか、こういうのは、ある意味では旧来の家的な考え方の名残という
ことも言えないわけではないわけで、そういう意味では、子供はみんな対等、平等で
あるよと、みんな同じよと、そういうことも含めて、やっぱりこの表記というのは、
そういうものは、身は体を表すじゃありませんけれども大変重要なわけで、この際、
そういう意味では本当にみんなが平等な扱い、そしてそういう表示がされるような表
記になさったらどうかというふうに思います。
そういう意味で、この表記についてどんな改正されるんでしょうか。できれば、今
申し上げましたように子というような形で統一するような表記を御検討いただいたら
どうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(実川幸夫君) 先生、今御指摘ありました三月二日の東京地裁判決におき
ましての非嫡出子の戸籍の続柄欄の記載の在り方について問題を指摘されていること
から、それを踏まえて非嫡出子の記載を改善するものでありまして、嫡出子の記載ま
で改める理由はなく、また現実の戸籍実務に与える影響も勘案すれば、あえて続柄欄
の記載を子に統一する必要はないと考えております。
○千葉景子君 ちょっと御認識があれだと思うんです。
あえてやる必要はないと。あえて逆に言えばやる必要があるわけでして、今るる申
し上げましたように、やっぱり子供の平等であること、対等であるようなことをやっ
ぱり表示上もきちっとしていくことが大事なんで、ただ、なかなかそうは言っても手
続上とか、あるいはその制度を精査を、精査というかな、それを全面的に変えるには
いろんな手続上の煩瑣なところがあるとかいう意味は、意味ならば多少分からないで
はないんですけれども、全くそういう転換の必要はないと言っていただきますと、
ちょっとそれは認識において私は欠けるところがあるのではないかというふうに思い
ますが、大臣、どうでしょうか。そういうやっぱり前向きな、いろいろ事務的に難し
い面があるようなことは私も承知をいたしますが、やっぱり方向としてはそういうこ
とも念頭に置かれたらどうかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(野沢太三君) 長い議論を経まして今日まで来まして、とにかく一歩前
進ということで、今回、非嫡出子の扱いについての改善を図りたいと、こう考えてお
ります。基本から直すことにつきましては、改めてそれぞれ各党、あるいは国会での
十分な議論、国民各層の御意見等を踏まえながら検討していきたいと考えております。
○千葉景子君 じゃ、またお聞きすることにして、終わります。
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