ちば景子バナー
お問い合わせ事務所案内
民主党本部へ
検索
プロフィール政策活動記録プチトマトその他情報
  ホーム  >  活動記録  >  国会活動  >  議事録  >  2003年度  >  2003年7月10日全文

  刑法改正案についての質疑 法務委員会
2003.07.10

発言者 刑法改正案についての質疑
千葉景子

おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。

今日は、刑法の一部を改正する法律案についてお尋ねをさせていただきますが、これはちょっと通告をいたしておりませんで大変恐縮でございますが、冒頭、私のちょっと思いも含めて、法務大臣に思いを聞かせていただければというふうに思います。

本当に衝撃な事件でした。長崎で四歳のお子さんが殺害をされたと。本当に心痛む思いがいたしておりました。事件が分かってまいりましたら、殺害をしたのが十二歳の少年であったということで、補導をされ、そして児童相談所から家裁へと送致がされるのではないかという報道発表がされております。何か本当に、四歳で、もう一方が十二歳、何ともこういたたまれないというか、どこにこの思いをぶつけたらいいのかなと、そんな感じがいたします。

こういうやっぱり非常に衝撃的な事件がありますと、また処罰の対象を広げる必要があるのではないか、あるいは少年に対する厳しい制裁を加える必要があるのではないかというような声が出てこないとも限りません。前回の少年法の改正のときも、やはり刑罰を科すことのできる年齢の引下げというようなことにいろいろな事件からつながっていった経緯もございます。

しかし、それが結果的には功を奏したんだろうかという気もいたしますし、本当に、よく言われるように、心のやみとでもいうのか、本当にただ刑罰を強化をするということだけで問題が解決、本当にするのだろうか、こんな思いも今率直に持つところでもございまして、法務大臣、いかがでしょうか、こういう事件があるといろいろなまた声が大臣の下へも聞こえてくる、あるいは寄せられてくるということもあろうかというふうに思いますが、ここは本当に、大人が本当に全身で今の事態を受け止めていかなければいけないのではないかと、こんな気がいたしますが、率直な、何というんでしょう、御感想というか、思いがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

国務大臣
森山眞弓

おっしゃるとおり、誠に痛ましい事件でございまして、四歳の小さい無邪気な子供が殺されたというだけでもショッキングなんですけれども、そういうことをしたのがまた十二歳の本当にまだ幼い少年ということを考えますと、それを知りますと何とも言葉に表しようのない、悲しい、切ないといいましょうか、表現のしようのない気持ちで一杯でございます。

少年による凶悪な事件がこのところ時々聞こえてくるわけでございまして、被害者になった親御さん始め、家族の方々の思いはさぞやと思いますと、本当に切ない気持ちでございますし、家庭や学校においてこのような子供たちが、何とか面倒を見ることはできなかったんだろうかと。加害者の子供についても、かわいそうに、これから一生そういう問題を背負っていかなきゃならないということをよく承知していない年齢の間にそのようなことになって、今日の新聞では後悔しているという言葉が出ておりましたけれども、年がたつにつれて更に後悔が深まっていくのではないかということを考えますと、この子供たち、加害者であった少年にとっても大変悲劇的な事件だったというふうに思います。

私もちょうど十一歳の孫がおりまして、その子供の普通の、ふだんの状況から見ますと、とてもとてもそんなことは想像もできないんでございますけれども、現にこのようなことが十二歳の少年に起こったということを考えますと、全く恐ろしいことだと。どういうふうに説明してどういうふうに考えたらいいのかよく分からないという、誠に戸惑った、茫然自失した気持ちで一杯でございます。

おっしゃるように、少年法の該当年齢よりはまだ更に低いわけでございまして、この少年法を前提として考えますと、法務省が何かをするということは非常に少ないわけでございますし、むしろ児童の福祉とか教育とか、そういう面でもう少し何とかしなければいけないんじゃないかという気がするわけでございますが、少年法の年齢をもっと下げたらいいんではないかということが新聞にもちらちら出てはおりますけれども、日本の現在の少年法は、三年前に年齢をいろんな理由で下げさせていただいてまだ日が余りたっておりませんし、諸外国とも比べましてもそう違いはございませんので、少年法の問題というよりは、子供を取り巻く環境の整備、あるいは教育とか福祉とかいう面についてもっときめ細かく対処するべきなのではないかというのが私の個人的な率直な感想でございます。

千葉景子

ありがとうございました。

このことにつきましては、今日は率直な御意見をいただいたということでとどめておきたいというふうに思っております。

さて、刑法の一部を改正する法律案でございますけれども、あの法案の提出のきっかけといいますか、これは、御承知のとおり、TAJIMA号事件が一つに引き金になっておるのではないかというふうに私も承知をしております。

ただ、確かにこの法律がそういう意味では改正が必要だということをこの問題が、事件が知らしめたというところはあろうかというふうに思うんですけれども、考えてみれば、問題自体はそれまでもなかったわけではないのかなというふうに思います。何か事件があったからぽっと法案が出てくるというのも極めて何か短絡的な感じもいたしまして、決してこの法案改正が悪いという意味ではありません。

ただ、こういう問題は、その間も、それまでの間も、やっぱり国際状況とか今の社会状況とか考えながら法務省当局などでも検討されたり御議論がされていたのかなと。いたのであるとすれば、じゃ、何でこれまで法案とか改正案が提案をされてこなかったんだろうか。逆に、これで突然出てきたということは、その間、全然、検討は怠っていたというか、こういう点については考えも及ばないでいて、こりゃ大変だと、こういうことになったのか、どうもこの辺の経緯がちょっと唐突な感もするわけでございまして、ちょっとこの法案が出てくるまでの経緯を御説明をいただきたいというふうに思います。

国務大臣
森山眞弓

昭和二十二年の刑法改正で、国民に対する犯罪に係る国外犯処罰規定が削除されましたが、その後の刑法改正作業の中で、昭和四十九年に法制審議会から答申されました改正刑法の草案には同種の国外犯処罰規定が盛り込まれたところでございました。しかし、その草案は法案として提出されるに至らないで、その後も国民に対する犯罪に係る国外犯処罰規定を欠いたまま、そのままになってきたわけでございます。

その後、国際的な人の移動が大変多くなって日常化いたしまして、日本国外において日本国民が犯罪の被害に遭う機会が増えまして、特に殺人や誘拐、強盗等の重大な犯罪の被害に遭うことも少なくない現状にございます。しかも、いわゆるTAJIMA号事件のように、犯罪地国において必ずしも直ちに適切な刑罰権の行使がなされないような事例も認められるわけでございまして、日本国民の保護の観点から、日本国民が殺人等の生命・身体等に対する一定の重大な犯罪の被害を受けた場合における国外犯処罰規定につきましては緊急にその整備を行う必要があるというふうに考えまして、今回の法案を提出させていただいたわけでございます。

千葉景子

責めるつもりは全然ありませんが、何か、そうすると、この問題がもし大きな問題にならなければ、あるいは議員の側から非常に議員立法等の必要性なども指摘をされていた問題でございまして、そういうことがもしなかったら、じゃ、この問題は当分この俎上には、国会の議題にはならなかったのかしらと、こんなふうにも思ったりするわけでございます。

いろんな契機をとらまえて必要な法整備をしていくということは決して悪いことではないというふうに思いますけれども、法務省の方でもいろいろな課題につきましてはふだんからいろいろな角度での検討をしていただく、そして問題を、国会にも情報を提起をしていただくということが必要ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

さて、このTAJIMA号事件、これは突き詰めて考えますと、この刑罰権をどう行使するかという問題にとどまらず、根幹にはやはりこれがいわゆる便宜置籍船であったということも大きな問題ではないかというふうに思っております。

この便宜置籍船についてはいろいろな問題が指摘をされています。例えば、やはり責任の所在といいますか、そこがいま一つはっきりしないということもあり、事故が多いとか、そしてその事故の結果、環境汚染、海の汚染ですね、油が漏れて海の汚染が進行するという指摘もありますし、あるいは運航に携わる船員の皆さん、そこは日本の船員の方も同乗する、外国の船員の方もですね、そこに本当にきちっとした指揮命令系統やあるいは人権の配慮、あるいはそれぞれの労働上の権利のきちっとした配慮、こういうものが本当にきちっとできているんだろうか、相互のコミュニケーションなどもきちっと取られているのか、非常に不安定なところもあるのではないかと。こういうことが、ある意味では事故とかあるいはこういうトラブル、そして傷害、殺害行為などにも発展していくということなどもあるのかなと考えたりいたします。

そういうことで、ちょっと国土交通省に今日はお話を伺わせていただきますが、この便宜置籍船について、その抱える問題、そして国土交通省として、やはり海運の健全なる発展のようなことも踏まえながら、どんな処方せんといいますか、何か対応策などを考えておられるのか。この便宜置籍船の、何というんでしょうね、に対する御認識、その辺りがどういうものなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。

政府参考人
金子賢太郎

お答え申し上げます。

便宜置籍船とは、船舶の登録要件が緩やかな国の船として便宜的に登録されたものでございまして、船舶の保有コストとか、それから運航コストの削減を図ることが可能となっているものです。外航海運企業というのは、グローバルな市場の中で厳しい国際競争を展開しておりますために、世界的にこれは便宜置籍船を活用して、可能な限りのコスト削減に取り組んでいるというのが現状、実態でございます。

確かに、国際的な基準を満足しておらず、海洋汚染の原因となるような事故を引き起こす船や、いわゆる混乗に伴います船員間のトラブルの発生が便宜置籍船に多いとも言われております。特に、昨年の四月に発生いたしましたTAJIMA号事件は、我が国の管轄権が及ばないことによる問題を再認識させられた事件でございました。

こういった事項につきまして国土交通省といたしましては、改めて船内融和の促進について外航船社に指示を出すなどいたしまして、TAJIMA号類似事件の再発防止に努めますとともに、いわゆるサブスタンダード船の排除についてポートステートコントロールを的確に実施するなど、種々の対応を行っております。

また、他方、国際貿易量の九九%超を海上輸送に依存しております我が国にとって、緊急時を含めまして安定的な輸送を確保するために、日本籍船を維持確保することも重要な課題だと認識しております。私どもといたしましては、コスト競争力を勘案、配慮いたしました国際船舶制度を通じまして、日本籍船の確保にも努めてまいる考えでございます。

以上でございます。

千葉景子

いろいろな、確かに競争力の問題、価格のコストの軽減というようなことも含めまして、なかなか難しい問題ではあろうかというふうに思います。これからも引き続きまして、この便宜置籍船等を含む海運の問題について、是非、適正な、また発展に向けて努力をしていただきたいというふうに思っております。

今回の、その中でまずは刑法の改正という形になったわけですけれども、この刑法が改正されまして刑罰、処罰をすることができるということになります。ただ、考えますと、本当に十分な効果が発揮し得るんだろうかというふうに思います。確かに、処罰要件はできました。しかし、やはり犯人の引渡しとか、あるいは捜査の共助とか、様々な手だてが一緒に動きませんと、結果的には処罰条項はあっても処罰できなかったということにもなるわけですね。その辺、この改正の効果、それから他の制度とのやはり総合的な対応、この辺りについてどうお考えになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

現在は、日本国外で日本国民が外国人により殺人等の重大な犯罪の被害を受けた場合でございましても、犯人に我が国の刑法は適用をされず、その犯人の処罰は犯罪地国にゆだねられ、その国において全く刑罰権の行使がなされなくても、我が国といたしましてはその適切な行使を外交的に促すといった道しかございません。

もとより、この改正になりましても犯罪地国に我が国の官憲が直ちに乗り込んで何かできるというものではないということは委員御指摘のとおりでございますが、しかし今回の改正によりまして、このような事例にも我が国の刑法が適用されるようになりますことから、我が国が事案に応じ捜査共助や犯人の身柄引渡しの手続を経て、あるいは犯人が我が国に現在するときには直ちに適切に刑罰権を行使することが可能となるわけでございます。要は、捜査共助、犯人の身柄引渡しの請求をできる根拠を得たということになろうかと思います。

千葉景子

今回の改正については、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、昭和二十二年に、今回言わば復活したといいますか、その改正、今回、改正となる点が削除をされたんですね。元々あったと。削除をされたと。そしてまた、今回、復活したと。こういう経緯をたどるわけですけれども。

今回、これまで、この間は削除をしておいて、そして今回は復活をする、昭和二十二年のところへ回帰するという多分ことではないんだろうと思うんですね。やっぱりそのときそのときのいろんな背景といいますか、二十二年の削除をした背景、そして今回また復活する背景と、それぞれあるんだろうというふうに思うんです。

ただ、非常にこういう形で、なくなったり、またできたりとか、こういう動きなものですから、この辺、どういうふうに統一して御説明いただけるものか。ちょっとこの削除に至った経緯、それからまた復活する背景、それぞれちょっと御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

昭和二十二年の刑法改正におきまして、国民に対する犯罪にかかわる国外犯処罰規定が削除をされた理由につきましては、国会における提案理由説明等におきまして、諸外国の立法例や国際主義の原則にかんがみたものと説明されております。そこで言う国際主義の原則にかんがみといいますことは、国際協調の精神を指すものと思われますが、いずれにしましても、当時の我が国の社会情勢及び我が国を取り巻く国際的な状況を背景に刑法三条二項は削除をされるに至ったものと思われます。

しかし、現在は、国際的な人の移動が日常化し、自国民が自国外において犯罪の被害に遭う機会が増えており、一定の場合に国民に対する犯罪にかかわる国外犯処罰規定を設けることは、諸外国の立法例におきましても多く認められるところとなっております。このような国際的な情勢の変化を踏まえまして、国民保護のための国外犯処罰規定を設けることは、当時の刑法三条二項が削除をされた理由と矛盾するものではないというふうに考えております。

千葉景子

その昭和二十二年の削除のときに国際協調ということでございまして、そうすると今は国際協調ではなくなるのかなと、これはちょっと揚げ足取りみたいになって恐縮ですけれども。多分そういうことではなくして、この国際協調というその中身も、やはり当時とそれから現在では大きく変わってきているということもあるのかなという感じがいたします。

ただ、このように、この間、削除をされて、なかったものが、TAJIMA号事件などを契機に復活をすると。どうも、先ほど言ったように、ちょっと唐突な感がするものですから、復活をする際にも、その内容が本当に十分に吟味し切れたのかなという感じがいたします。

どういうことかといいますと、例えば国外犯処罰を考えるときも、例えば双方可罰主義という考え方も取り得ます。あるいは、軽い法の、軽い法ですね、法の原則、こういうものを採用をするということもあり得るわけで、こういう点については、今回は双方可罰主義を採用しておりませんし、それから軽い法の原則という形にもなっていないと。この辺のやっぱり十分な検討等が行われ切ったのか。どうも、急にばたばたと法案策定ということになったものですから、どうもこの辺の議論が多少乏しかったのかなという感じはするのですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

政府参考人
樋渡利秋

まず、その点につきまして検討したかどうかということでございますが、いろいろな考え方があることは承知しておりまして、法制審議会の刑事法部会におきましても、その点を含めまして様々な角度から検討した結果、この改正になったものでございます。

まず、双方可罰主義の点に関してでございますが、本法案におきましては、生命・身体に障害を生じさせ、あるいは生じさせ得るような犯罪であって、その被害者が日本国民である場合に限って我が国の刑法を適用することとしており、国民保護の見地からは、犯罪の行われた地において犯罪とされているか否かに拘束されるべきものではない上、これらの犯罪は他国におきましても一般的に犯罪とされていると考えられますことなどから、あえてそのような要件を設ける必要はないと考えた次第でございます。

なお、外国法制におきましても、例えばフランスやイタリアでは双罰性は要件とはされておりません。

また、刑の軽いものに従うかどうかということの点でございますが、本法案は、国民保護の見地から、日本国民が殺人等の一定の重大な犯罪の被害を受けた場合に我が国の刑法を適用するものでございますから、法定刑についても我が国の刑法の法定刑が適用されるのでありまして、犯罪が行われた国の法定刑に拘束されるものではないというふうにまず考えております。

また、そもそも我が国の刑法は、各罪について合理的な範囲の法定刑を定めています上、世界各国において、これらの罪にどのような法定刑が定められ、それが合理的なものであるか否かを網羅的に検証するということも困難でございまして、犯罪地国の法定刑が軽いからといって一律にこれに従うべき理由も見いだし難いというふうに考えている次第でございます。

なお、外国法制におきましても、多くの国ではそのような法制は取っていないというふうに承知しております。

千葉景子

分かりました。

ただ、その中で一点、死刑にかかわる場合、これはなかなか重大だというふうに思うんですね。諸外国、死刑廃止国も大変増えております。欧米諸国などでは、特にヨーロッパなどは死刑が廃止されているというところがほとんどなわけですけれども。その国において死刑が廃止されている、あるいはその該当する罪について死刑という刑罰が決められていないというような際には、やはりこれは一番の極刑ということになり、究極の刑ということにもなるわけで、こういう場合には、やはり万が一、日本の刑罰で死刑というのが可能であるとしても、そこは慎重に取り扱うべきではないかというふうに思いますが、先ほどの軽い法の原則ということは取らないとしても、この死刑については慎重に考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人
樋渡利秋

そもそも我が国の刑法は、真に必要やむを得ない罪に限って死刑を定めておりまして、またこれを科しているのでございまして、もとより、この法の改正によって新たに適用できる場面にかかわらず、そういうふうに慎重に裁判所の方では判断されていると思うわけでございます。

そして、この死刑の問題につきましても、先ほど軽い罪のところで御説明申し上げましたように、たとえ犯罪地国が死刑を廃しているからといいましても、法定刑について我が国の刑法が適用されるのでありますから、その犯罪地国の在り方に拘束される理由はないといいますことと、日本国内で殺人等を犯した外国人に対しまして我が国の刑法が適用されることになるわけでありますが、その刑罰が科されることと格別に異なるものではないというふうに考えている次第でございます。

千葉景子

もう一点お聞きしておきます。

今回の対象犯罪については、先ほどお話があった昭和二十二年に改正されるまでは存在しておりました窃盗について、今回は除外をされております。これについては、考えてみますと、外国での犯罪では非常に窃盗も多いわけでございまして、そういう被害に遭うことがですね、この窃盗を除外してしまっていいのかなと。確かに、重大な殺人とかそういうことについてきちっとした対処をするということは必要ですけれども、よく遭遇しやすい窃盗のようなものについて、特段、除外をするということは何か理由があるのでしょうか。

政府参考人
樋渡利秋

窃盗罪等の財産犯につきましては、ほとんどの場合におきまして金銭的な補償により相当程度の被害回復が可能であるなど、生命・身体に侵害をもたらすような犯罪と比較すれば、その要保護性の程度は必ずしも高いとは言えないと思うのであります。また、その被害実態といたしましては、すり、置き引き等が大多数でございまして、その態様からしまして、実際上、現行犯でなければ立件が困難であるなど、犯罪地国にその処罰をゆだねざるを得ない場合がほとんどでございます。

これらの事情も考慮いたしまして、今回の改正におきましては、国民保護の必要性の高い殺人、傷害等の一定の罪に限って刑法の適用範囲を広げることとしたものでございます。

千葉景子

分かりました。趣旨はよく分かるところでございます。

ただ、考えてみると、そうすると、昭和二十二年まで、以前、この窃盗も国外犯処罰の対象になっていたと。対象にはなっていたけれども、まあ、ほとんど適用されたりあるいは機能していたということはなかったのかなと率直に思うわけでございますけれども、そういうことなんでしょうかね。──結構です、結構です、これは。はい、ありがとうございました。

法案について何点か聞かせていただきましたが、この法案、国外犯を処罰をするということで、言わば国際的な関係ということがその根底にあるわけですね。先ほどお話があった、犯人の引渡しとか犯罪捜査の共助とか、こういう問題が大きく関連をしているということでございます。

そういうこととのかかわりで、一点ちょっと、ここの間の事実経過なり考え方をお聞かせをいただきたいというふうに思っておりますのは、元の、前というのでしょうか、ペルーのフジモリ大統領、フジモリ氏の問題でございます。

今、日本に滞在をされているやに伺っておりますけれども、実は私の知るところでは、このフジモリ氏についてはペルーで何件かの事件に関与したということで訴追をされているということも聞いております。そして、ペルー政府の方もこのフジモリ氏について日本政府に対して引渡しを請求をすると、されたかどうかはちょっと私もそこは確認できておりませんけれども、引渡しを請求したいというような意向も表明している。あるいは、国際刑事警察機構、ICPOが国際逮捕手配書を発令をしているというような情報も聞いておるんで、もし違えば御指摘をいただきたいというふうに思いますし、こういう状況があるということをどういうふうに法務省の方で御承知をなさっておられるか。そして、今、日本の法律でも、やはり国外犯処罰という関係ではありますけれども、こういう国際的な中で、やっぱりきちっとした捜査、裁判を行って、そして犯罪を厳しく抑止をしていこう、そして処罰をしていこうということでございます。

こういうことにかんがみながら、フジモリ氏についてはいろいろな思いがそれぞれあろうかというふうには思いますが、やはり事、裁判、司法権のきちっとした行使ということになれば、日本も当然それに対応すべき責任もあるんだろうというふうに思っていますが、この間の少し経緯とそして対応につきまして、御承知のところございましたらお聞かせをいただきたいというふうに思います。

政府参考人
樋渡利秋

ペルー政府におきまして、今後、フジモリ氏に対して引渡し要請を行う予定であるとの発表がされているとの報道は承知しておりますが、これは外国当局における犯罪の捜査、訴追にかかわる問題でありますので、現時点においてお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

千葉景子

もう時間あれですので、一点だけ。

これも聞くところによりますと、フジモリ氏は日本の国籍も所持をされているやにもお聞きをいたしております。こういう場合、もし、だから多重籍ということになっておられるのかというふうに思いますが、フジモリ氏ということではなくして、こういうケースの場合に、もし引渡し請求等がなされると法的にはどういう対応が取られるということになるんでしょうか。

政府参考人
樋渡利秋

正式に引渡し請求を受けましてから考えるべきことでございますが、今お尋ねの国籍の問題で申し上げますと、引渡し条約による場合を除きまして、外国籍を有していると否とを問わず、日本国籍を有している者でありましたら、逃亡犯罪人引渡法上、引渡しは不可能でございます。

千葉景子

法的にそういうことがあるということでございます。今後、またいろいろな国際関係の中で検討をされていくものかもしれません。今日は、こういう問題の指摘だけさせていただきまして、時間ですので、質問を終わらせていただきます。


Copyright(C) Keiko Chiba, All rights reserved.