ちば景子バナー
お問い合わせ事務所案内
民主党本部へ
検索
プロフィール政策活動記録プチトマトその他情報
  ホーム  >  活動記録  >  国会活動  >  議事録  >  2003年度  >  2003年5月29日全文

  心神喪失者等医療観察法についての質疑 法務委員会
2003.05.29

発言者 心神喪失者等医療観察法についての質疑
千葉景子

民主党・新緑風会の千葉景子でございます。

今日は、本案の法案の審議をさせていただく前に、一点ちょっと確認をさせていただきたい件がございますので、急遽よろしくお願いをしたいと思っております。

実は、今朝の読売新聞を拝見いたしました。この一面のトップに、この新聞の表題の仕方ですのでそのまま読ませていただきますと、「北元工作員難民認定へ」と、こういう大きな表題が載っております。私もこの表題を見て、本当にちょっと衝撃を受けたところでございます。

これまで私も、長らくといいましょうか、難民の認定について、あるいは日本がやっぱり国際社会の中で難民問題に積極的に取り組むべしと、こういう意見も、この間、度重ねて出させていただいてきたところでもございます。そして、今回、大変もう会期末ということでございますが、法務省の方では入管難民法の改正というものも国会へ提出をされている、こういう状況になっている、そういうさなかのことでございます。

これまでは日本の難民認定というのは大変厳しく、なかなか認定をいただけない、こういう声がたくさんございました。よく言われますように、年間で本当に数人とか、これまでの合計でも三けたようやくというような数字でございまして、本当に国際社会にこれできちっと言い訳ができるのだろうか、こういうことすら言われてきたところでもございます。今回、こういう難民認定が行われるのかどうか、これが今後の日本の難民問題の行方と、それから、これは一方では、この難民認定が行われるということになりますと、北朝鮮という国に対する言わば一つの評価を下すということにもつながっていく、大変センシティブで、そしてまた極めて重い問題ではないだろうかと受け止めさせていただいております。

なかなか今の段階でどういう状況か、お尋ねしても難しいのかもしれませんけれども、やはりこれだけ大きな新聞での報道になっているということでもございますので、そしてこれからの日本のやはり難民政策やあるいは外交政策に大きな影響を与える、こういう問題でもございますので、今日はこの事実関係についてお尋ねを、確認だけさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

こういう申請が本当になされているのかどうか、そして「近く最終判断」というこの新聞報道ではございますけれども、そういう方向にあるのかどうか、こういう点含めまして、ちょっと確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

政府参考人
増田暢也

個別の案件についてお尋ねを受けましたけれども、個々の難民認定申請につきましては、申請の有無を含めまして、申請人であるとか、あるいはその申請人の家族、関係者等の生命、身体の安全の確保という必要性もございますし、プライバシー保護の必要もございますので、お尋ねの件については、恐縮でございますが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

千葉景子

そういうお答えではないかなという予測はなかったわけではないんですけれども、今私が申し上げましたように、この問題というのは大変今後に大きな影響を与える、日本の進路を本当に大きく定めていくということにかかわるわけですので、是非そういう点も含めてどう受け止められておられるか、大臣、率直な、こういう報道も出ているところですので、何かコメントがございましたらお願いをしたいと思います。

国務大臣
森山眞弓

個別の申請についてはお答え申し上げられないということを今、局長から申し上げたようなわけでございます。

先生が、日本の難民政策が非常に厳しく、なかなか認めないという方向だということをおっしゃられましたが、必ずしもそうでもございませんで、日本にはまず難民を申請する人というのが非常に少のうございまして、ヨーロッパ諸国のように何万、何千というような申請があるわけではございません。最近は、以前に比べれば少しは、ちょっと増える傾向ではございますけれども、それでも百とか二百とかの単位でございますので、その母数に対比いたしますと、日本の難民を認める割合は、そう特によその国に比べて劣っているわけではないと存じます。

また、インドシナ難民などを考えますと、一万人以上の人がインドシナから難民になって来ておられる、現に日本にいらっしゃるわけでありまして、それらも含めますと、決して国際的に見て特に恥ずかしいというようなことはないというふうに思います。

特に、個別のこの問題につきましては、大変申し訳ないんですけれども、さっき御説明申し上げたような理由で、どういうふうにするとか、どういうふうになる予定であるとかいうことを申し上げることは、今日においては差し控えさせていただきたいと思います。

千葉景子

今日は難民問題について御論議をするという時間ではございませんので、この程度にさせていただきますが、いずれこの問題もどういう形であるか、事実関係が分かってくるものではないかというふうに思います。是非、適切な対応が取れますように、大臣もよくよく頭に置いておいていただきたいというふうに思っているところでございます。

それでは、本題の方に移らせていただきたいというふうに思いますが、この間、この法案についての審議を何回かさせていただき、私もその議論を聞きながら、頭の整理をしながらいるわけでございますが、どうもここに至っても、先ほど午前に市川理事がおっしゃったことをまた私も引くわけではありませんが、私もどうもいま一つ、頭が余り良くないせいか、何かこの法案が一体何をしようとしているのか、そして何を目的にし、そのためにどういうそれに適切な手続を本当に定めているのか、その辺がどうもいま一つはっきり分からない。そして、今日は修正案の提案者にもお越しをいただいて、御足労をいただいておりますけれども、修正がなされましてより分かるようになったのかと思って、私もよくよく考えてはおるんですけれども、修正がされて、よりまたちょっと分かりにくくなった部分もあるのかなと、こんな感想も持っているところでございます。

そういう意味では、この法案でちょっと質問に立たせていただくのが私は最初なものですから、少し基本的なことにもかかわって、これまでも御答弁をいただいている部分があるかもしれませんけれども、ちょっと私も頭を整理させていただきたいと、こんなことも含めまして、御答弁のほど、よろしくお願いをしたいというふうに思っております。

まず、法務大臣、もうこれ本当に一番素朴な疑問でございますけれども、この法案、やはり一つの手続の下に、精神障害を持つ方を強制的に入院をさせることができると、こういう内容を持っているわけですね。これまでも精神医療の分野で、そして精神障害を持つ方に対する医療の面で、医療保護入院あるいは措置入院という形で強制的な入院をさせるという制度がございました。それがあった上に、今回のこういう法案がまた改めて作られ、しかもまた別な形での強制的な入院が許されるようになると。一体これはどういう必要性といいましょうか、これまでの制度ではもういかんとも何かし難い、そういうものがあってこういう法案が出ているのでしょうか。その辺のこの法案の根本的な必要性と申しましょうか、これまでの制度とはこう違うんだというところを改めて分かるように教えていただけませんでしょうか。

国務大臣
森山眞弓

心神喪失等の状態で重大な他害行為が行われるということにつきましては、精神障害を有する者がその病状のために加害者となるという点で極めて不幸な事態でございます。しかも、そのような者の円滑な社会復帰には普通以上の大きな困難が伴うと考えられるわけでございます。そこで、このような者につきましては、国が手厚い専門的な医療を統一的に行うことによりまして、その社会復帰を促進する必要があるというふうに考えたわけでございます。

このような者につきましては、これまで、御指摘の措置入院制度等による処遇が行われてまいりましたけれども、これにつきましては、まず、様々な程度の精神症状を持つ一般の精神障害者と同様のスタッフ、施設の下で処遇することとなりますので、専門的な治療が困難となっているということが挙げられます。次に、都道府県を超えた連携を確保することも必要なんですが、それがしにくいということがございました。また、退院後の通院治療を確実に継続させるための実効性のある仕組みがないということもございました。これらの問題があるということが指摘されてまいりまして、これらを何とかしなければいけないということが言われてきたわけでございます。

そこで、この制度におきましては、まず厚生労働大臣が指定する医療関係者が手厚く配置された指定入院医療機関におきまして、個々の患者の病状等に応じた手厚い専門的な医療を行うことにいたしまして、また、退院後の処遇に関する言わばコーディネーター役として、保護観察所に社会復帰調整官を置きまして、医療機関、精神保健福祉センター等の各機関が都道府県の枠を超えて連携できる体制を整えることによりまして、対象者に必要な医療、保健及び福祉が与えられるようにするということなどによりましてこのような問題を解決しまして、本人の円滑な社会復帰ができますようにこれを促進することにしたものでございます。

千葉景子

細かく説明をいただきました。

ただ、今、大臣に御説明いただいたのはこの法案のどういう仕組みかと、内容でございまして、だからこれが必要なんだというところはどうしても私は分からない。今おっしゃったことは、逆に申し上げますと、これまでの一般の精神医療には手厚い医療がないのだ、あるいは社会復帰がさせるような体制がないのだと、言わばこれまでの一般の精神医療の、言わば非常に貧弱なといいますか問題点、そして不足している部分、それを正に御説明いただいたわけでございまして、もし考えるのだとすれば、まずそこがきちっと体制を整える、そしてだれもが手厚い医療を受けられ、そしてできるだけ早く社会の中へ復帰できると、こういう体制をその医療の部分で作るというのがまず先決の問題だったのではないだろうかと思うのです。今の大臣の御説明を伺いますと、正に逆にそれをおっしゃっているというふうに私は受け止めざるを得ないところでございます。

そういうことを御説明をいただきましたが、だとすると、この法案の個々の内容を見ましても、本当に少なくともその御説明をいただいているような内容が、本当にこの手続で、あるいはこの法案で十分に満足できるんだろうかと考えると、これまたどうもよく、矛盾があったりつじつまが合わない部分がたくさんあるように思います。

そこで、少し順次お尋ねをいたしますけれども、これも、これまでも質問が出ておりますので同じことの繰り返しと言われては困るんですけれども、やっぱりどうして、それだとすると、この制度、その目的に照らして考えたときに、対象行為というのが極めて限定されているのでしょうか。非常に重大な犯罪、その結果というんでしょうか、それの社会的影響というか衝撃みたいなものに非常にとらわれているのではないかと思わざるを得ないのですけれども、この対象行為がやっぱりこういう形で限定されているというのには明確な理由があるのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者は、精神障害を有していることに加えまして重大な他害行為を行ったという、言わば二重のハンディキャップを背負っている方でございます。そして、このような者が有する精神障害は一般的に手厚い専門的な医療の必要性が高いと考えられまして、また、仮にそのような精神障害が改善されないまま再びそのために同様の行為が行われることとなれば本人の社会復帰の大きな障害となりますことからも、やはりこのような医療を確保することが必要不可欠であると考えられるのでございます。

そこで、このような方につきましては国の責任において手厚い専門的な医療を統一的に行い、また、退院後の継続的な医療を確保するための仕組み等を整備することにより、その円滑な社会復帰を促進することが特に必要であると考えられますことから、このような者を本法案における対象者とすることとしたものであります。

また、一般に重大な行為と考えられるものの中で、殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ及び傷害に当たる行為を対象としました理由は、これらの行為がいずれも個人の生命、身体、財産等に重大な被害を及ぼすものであることに加えまして、心神喪失等の状態により行われることが比較的多いことにかんがみ、心神喪失等の状態でこれらの行為を行った者につきましては、特に継続的かつ適切な医療の確保を図ることが肝要であると考えられたためでございます。

千葉景子

お答えは以前にも聞いているものでもございますので、ただ、今もお話がございましたように、二重のハンディキャップを負うということがしばしばお答えに出てまいります。しかし、これは決して、ここで絞られているような本当に重大な犯罪、結果としてそう言われている犯罪を犯したというだけに限るのだろうか。じゃ、一定の軽微なものであっても、やっぱり仮に犯罪を犯したということがハンディキャップにならないということになるのかと、こういう疑問も出てくるわけです。そういう意味では、非常にやっぱり、よく言われておりますように、これが、法案の促進の一つの大きな起爆剤になったのがあの池田小事件だったと。

これは決して、無関係な結果的には問題だったわけですけれども、やっぱりそういう大きな社会的な何か衝撃、そういうものを背景にこの法案が作られているのではないかと。決して、本当に精神障害を持つ方のハンディキャップあるいはその治療、そして社会復帰、そういうものを本当に真に考えて作られているのかどうかということを私はちょっと本当に疑問に思うところでございます。

この法案では、当初の修正前、そして修正案を作っていただきまして、かなりその治療、社会復帰、こういうことに大変重点が置かれてきたというふうに私も受け止めてはおります。しかし、そうなりますと、この重大な他害行為を行ったこういうケースについて社会復帰そして治療を行う、そのためであるならば、なぜ裁判所の関与というものが本当に必要なんだろうかと。

修正案の提案者の塩崎先生もおられますけれども、やっぱりむしろできるだけ手厚い治療で、そして社会復帰をということになりますと、一体この裁判所の関与というのはどういう意味を持つんだろうかと。ここは、修正案の提案されましても、特段修正をされたという経緯はございません。その辺りはどういうふうに考えておられるか。これは法務省そして提案者の方に双方お尋ねをしたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

先ほどもお答えしましたように、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行いました者は言わば二重のハンディキャップを背負っている者でございまして、社会復帰に大きな困難が伴うと考えられますことから、国の責任において本人の円滑な社会復帰を促進するため、裁判官も加わった地方裁判所の合議体がこのような方の適正な利益を十分に保護しつつ、厳格かつ慎重な手続により最も適切な処遇を決定することが適切であると考えられるところでございます。

また、本制度による処遇の要件に該当するか否かの判断におきましては医学的知見が極めて重要でございますが、この判断は、本人の意思にかかわらず医療を強制するという人身の自由に対する制約、干渉が許されるか否かという法的判断でもあることに加えまして、その過程で、例えば本人の生活環境に照らし治療の継続が確保されるか否か、また、同様の行為を行うことなく社会に復帰することができるような状況にあるか否かといいました純粋な医療的判断を超える事柄をも考慮することも必要であると考えられるのでございます。

そこで、本制度による処遇の要否、内容の決定につきましては、裁判官と医師の合議体がこれを行うことが適当であるというふうにしたものでございます。

衆議院議員
塩崎恭久

千葉先生のただいまの御質問に答える前に、ずっと参議院のこの議論を聞いていて、答弁を聞いていて、少し衆議院の我々が修正をしたときの思いと違うというか、少し力が特に厚生労働省の方に入っていない部分があるかなということを感じたものですから、ちょっと今のお話の前に少しだけ、なぜ修正をしたかということ等、自分のこの修正に臨む思いというのをちょっとだけ申し上げさせていただきたいと思うわけでございます、それが裁判官の役割のお話にもつながると思うんですけれども。

今回、正直言って、我々も、自民党の中でほぼこれに近いような案を決める際に、本当にこれだけでいいのかと。つまり、精神科医療全般の底上げをするという担保なしでこれだけ進んでいいのかということを、私も正直言って悩みました。私も地元で随分いろいろな、家族会の人であるとかPSWであるとか看護師さんとか、いろんな人と勉強会をやると、みんな反対だと言うんですね。私も正直言って悩みましたが、しかし、さりとて、じゃ医療全般を底上げするのを待つのかというと、やっぱりそれはどうもそうじゃないだろうなと。

そうすると、特に手厚い治療が必要な人たちに対して、何らかのやっぱり手だてを施す。言ってみれば、一段ロケットをまず飛ばして、そして二段ロケットできちっとした精神科医療を、底上げをやっていくものを同時にやっぱり火を付けていかないといけないんじゃないかという整理をしながらやってきたわけでありまして、民主党の案では特に医療に力を入れられた案になっているので、だからこそ私は、冒頭、江田先生の御質問のときに、合体することも可能だったかなという思いすら持ったんだということを申し上げたわけであります。

先ほどの裁判官のお話に行く前に、なぜ措置制度があるのにこんなものを作るんだというお話がありました。私は、この修正案を作るときに、厚生労働省には将来的にやっぱりこの措置制度と今度の新しい制度は有機的に一体化してもらわないと困るということも言ってほしいということを言って、何回か衆議院では言っているはずです。

それともう一つは、今回のこの新しい病棟は今回対象になる人たちだけに限られているわけではなくて、重い精神障害を患っている方々が将来的にはやっぱりこれを受けられるような、今でも制度的には排除しているわけじゃないんですけれども、そういうものにしなきゃいけないという思いを持っていて、なおかつそれでも社会復帰ができないような形のものであるならばやっぱり見直そうよといって、今回修正で五年後の見直しというのを作ったわけですね。

そういうことで、正直言って私もいろいろな悩みを持って今回の修正に、このぐらいのぎりぎりのことで何とかスタートしようよという思いでやったということであります。

それから、裁判官の話は、やはりそれまで私も地元でいろいろとそういう勉強会の中で聞いてきたのは、今まで医療に全部責任を押し付けてきて、医療に判断を全部任せてきて、そしてお医者さんがみんな悩んできている。その姿を見て、当事者の方々からも、司法と医療と、両方のやっぱりいいコンビネーションの中で判断をしてもらいたい、場合によっては裁判でという方もおられましたけれども。

そういうことで、中身についてはさっき言ったようなやっぱり人権の問題であるとか人の自由を奪うというようなこともありますし、そういうことで裁判官がかむということについて私も一定の意味があるなというふうに考えておりますが、今までのゆがんだ制度の中から一歩前進ということでいく制度になればなという思いで今回修正をさせていただいたということでございます。

千葉景子

多分、かなり率直な思いを語られておられるのだというふうに思います。ただ、逆に言えば、率直がゆえに、やはりこの法案の置かれている問題、そして今の精神医療の問題というのがある意味では本当にそのとおりだということをおっしゃっておられるのではないかというふうに思います。

やっぱり、一般の精神障害を持つ方の医療がきちっと整備をされていないと、そこが本当に手厚いものであって、そしてできるだけ早い社会での生活、社会復帰を促すことができるような体制になっておりませんと、やっぱりその上に何かこしらえれば、更に社会復帰を促す動きをなかなか難しくしてしまう。逆に言えば、今回も強制的な入院というものを認めるわけですので、入院した以上、なかなか今の現状の中では社会復帰が困難であるということの、もう何かその上にまた屋上屋を重ねていくと、こういうことになりかねないのではないかというふうに思います。

今、前回も、社会的入院が七万二千人という、そういう現状があると。そういう中で、本当にこれも今解消の方向にいろんな取組がされているといいながらも、一体本当にこれ、どうやってこの社会的入院というものが解消されるのか。そこの上にまた、できるだけ社会復帰を促そうということを目的にしながらこの法案を作るとしたら、本当に目的を達成することができないのではないかと。仮に社会復帰を本当に促そうという目的をこの法案が持っていたとしても、結果的にはやっぱり復帰できない、長期的な入院を結果的には余儀なくさせると、こういうことにつながっていくのではないかということを私は大変懸念をし、やっぱり考え方の順番が、それがあるから一部でもまず第一段でというのではなくて、やっぱりだれもがこういう手厚く、そしていい医療を受けられる、そこをまず何とかしてから次のステップへというのがやっぱり本来の私は筋だろうというふうに思っております。

この法案が更にいろんな意味で、片方では社会的復帰、そして手厚い医療ということを掲げながら、しかし片方ではやはり強制的な入院ということもあり、いろいろな手続を定めているんですけれども、いささかやはりその手続の面で本当に強制入院を許すだけの適正な手続保障があるのかどうかというところも疑問点がたくさんございます。

ちょっと何点か聞かせていただきたいと思いますが、この審判手続を行うに当たりまして鑑定入院がなされることがございます。これは三十四条の一項ですが、最長で三か月まで鑑定入院がなされるわけですが、この間の言わば医療の体制というのは一体どういうことになるのか。やっぱりできるだけ早くいい医療を、そして社会復帰の方向へというのであれば、一刻も早くきちっとした医療の下へその対象者を置くことが大事なんですけれども、この鑑定入院の際の医療の体制というか在り方というのはどういう仕組みになっていくのか。

例えば、これまで継続して医療を受けていたと、こういうものがそのまま継続して受けることができるのかどうか、そういうこともこの法案の中では全然不明でございます。

それから、付添人もこの間どういう手だてを講ずることができるのか、あるいは付添人としてどういう権能を行使することができるのか、こういう点がこの鑑定入院ということに関してほとんど記載というか、はっきりされておりません。その点について御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

今、鑑定入院に関しまして三つの御質問があったと思うわけでありますが、まず最初に、鑑定入院期間中の医療の問題でございますが、鑑定入院期間中におきましても鑑定その他の医療的観察を行うとの鑑定入院の目的を踏まえつつ、対象者に対して必要な精神科の医療が行われることになると考えております。

鑑定入院先の病院につきましては、具体的に個々の処遇事件を取り扱う裁判所が決定することとなるのでございますが、本制度の対象者の特性等にかんがみますと、国公立病院や精神保健福祉法に基づく指定病院でありまして、急性期や重症患者の治療等について十分な経験を有する医療機関が望ましいと考えております。

次が、鑑定入院に当たりまして継続的に受けていた治療はどうなるのかという御質問だったと思いますが、これにつきましては、鑑定入院期間中も対象者に対し、鑑定その他の医療的観察という目的を踏まえつつ、症状の悪化を防ぐための投薬や治療の効用を確かめ、その経過を観察するために試験的に行われる精神療法の実施等、必要な医療が行われることとなると考えておりまして、その際、必要がある場合には、鑑定入院先の病院におきまして、対象者のそれまでの病状、治療状況等の情報の提供を求めることとなると考えております。

次に、付添人の問題でございますが、本制度は刑罰に代わる制裁を科すことを目的とするものではなく、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し、継続的かつ適切な医療等を行うことにより、その者の社会復帰を促進するための制度でございますから、刑事手続とは異なり、そもそも鑑定入院中の対象者と付添人との面会を制限する規定は設けられておりませず、刑事手続上の権利である接見交通権というものも規定しておりません。

したがいまして、本制度の下では、付添人は接見交通権という形で保障されているわけではございませんが、鑑定入院中の対象者と法律による制限なく面会することができるものであると考えております。

鑑定入院先の病院の施設管理上の理由や対象者の病状等により、対象者と付添人との面会が事実上制限される場合もあり得ないわけではないでございましょうが、病院等におきましても、本制度における付添人の役割等に照らし、付添人との面会は最大限尊重されることになろうと思われます。

千葉景子

後ほどもまたお聞きするかと思うんですけれども、今回の手続につきましては、審判手続ということでもあり、いわゆる刑事手続と同じ適正な手続保障というのは特段と認められていないという形になっております。ただ、これは先般、江田委員の方からも指摘がありましたように、やっぱり強制的な身柄の拘束というものにかかわっていく、こういう手続でもございますので、やっぱり厳しい手続保障というものがやはりあってしかるべきだというふうに思います。

特に、実務的に私も感じるんですけれども、多分、刑事事件で、その刑事手続が行われているときは、弁護士が弁護人という形で弁護人としての手続保障を受けながら刑事弁護を行っている。そこのある時点で今度は急に、多分同じ弁護士なりがやっぱり継続してその障害者の方のサポートをしていこうということが多いのだと思うんですけれども、そうすると、そこで急に今度は付添人という形になる、そして手続上もこれまでの刑事手続の保障ではなくして付添人としての一定の権能を持つという形になるわけです。ただ、この一連のある意味では手続の中で、やっぱり弁護人として一定の信頼を得、そしてまた今後の手続についても本人のできるだけのサポートをしていこうという、こういう流れにあるわけですから、そういう中で、でき得るだけ付添人という名でありましても最大限のやっぱり保障をしていただきたいし、そういう取扱いをやっぱりすべきではないかというふうに考えているところでもございます。

そういうことを考えると、今度は審判期日について、場合によっては今度はこういうことがあるんですね。心身の障害のために本人の出席ができない場合には付添人の出席で審判を行うことができると、こういう規定もございます。逆に言えば、今度は本人の、代わりと言ってはなんですけれども、むしろ付添人が前面に立ってその審判期日を受けると、こういうことが逆な意味では認められている。そうなると、この付添人というのは、単なる補助者ということではなくして、代理人なり弁護人に本当に限りなく近い存在としてやっぱりこういう期日などもサポートをしていくということにならなければいけないのではないかというふうに思います。

この審判期日に心身の障害のため本人の出席ができない場合というのは、やっぱりこれは本当に本人不在でということはできるだけ避けるべきであろうと思いますが、どういう場合を具体的には想定されるのでしょうか。多分そんなに緩やかに考えるということではなかろうかと思いますが、その点はいかがですか。

政府参考人
樋渡利秋

まず、この規定の趣旨から若干説明させていただきたいんでありますが、確かに御指摘のとおりに、本法律案の修正後でいいましたら三十一条の第八項ただし書になるわけでありますが、御指摘のように、心身障害のため審判期日に出席しない場合であっても、付添人が出席できれば審判期日を開くことができるとしておりますが、これは本制度による処遇の目的にかんがみ、裁判所が適切な処遇を迅速に決定することにより、医療が必要と判断される者に対しできる限り速やかに本制度による医療を行うのが重要であると考えられますことから、付添人の出席によって対象者の利益の保障を図りつつ、対象者が不在でも審判を行うことができるとしておくことが適当であろうと考えられたことによるものであります。

もっとも、この同じ条文の第八項本文では、「対象者が審判期日に出席しないときは、審判を行うことができない。」というのが原則になっておるのでございますから、できる限り対象者が出席した上で審判期日が開かれることが望ましいというのは御指摘のとおりでございます。

そこで、心身の障害により審判期日に出席しない場合の「心身の障害」という内容はどういうものかということでございますが、個別の事案において判断されるべきものではございますが、例えば対象者の精神等の障害が重く、審判に出席するための場所的移動に耐えられないと思われるような場合などが考えられるのであります。

しかしながら、これにつきましても、本法律案の修正案におきましては、その第四項におきまして、「審判期日における審判においては、精神障害者の精神障害の状態に応じ、必要な配慮をしなければならない。」との規定が設けられているところでございまして、この「必要な配慮」の内容としましては、例えば、その精神障害の状態にかんがみ、本人の裁判所への出頭が難しいと見込まれる場合に入院先の病院において審判期日を開くことなどが考えられるというふうにされておりますから、その具体的な事例において裁判所が本人のためにどういう審判期日を開くかということを決定していくというふうに考えております。

千葉景子

ところで、この審判にはいろんなケースがあるわけですけれども、一つ、不起訴処分後に申立てが行われる、その審判というのがございます。判決で無罪、心神喪失、心神耗弱などの判決が出たというものではなく、その前段階の不起訴処分を受けての申立てと、こういう場合の審判手続を考えてみますと、これはまずどういう審判ということになるのでしょうか。

まず、その対象行為の存否、そして責任能力の有無というのがまず判断をされ、そしてその後に入院の必要性の有無という、そういう二段構えになるというふうに思われるのですけれども、そういう形の審判と考えてよろしいですか。

政府参考人
樋渡利秋

御指摘のとおりに考えていただいて差し支えないと思います。

千葉景子

そうなりますと、これは心神喪失等での判決を受けた者の審判とは若干異なりまして、言わばその対象行為の存否、あるいは責任能力の有無という極めて事実認定手続に準ずるような判断をするということになるわけですね、まず第一段階として。そういう意味では、ここはよく言われますように、審判手続であって、むしろ後見的な手続として、手続保障についてもそういう観点から考えるというだけではなくして、この事実認定手続に準ずるようなやっぱり位置付けをすべきではないか、こう思います。

やはりここでも、そうはいっても付添人というのはあくまでも付添人という形しか取られておりませんし、これも既にございましたように、例えば記録の閲覧とか謄写などについても一般の刑事弁護までの保障はされていない。それから、例えば、こういう対象行為の存否とか責任能力の有無を判断するに当たって捜査記録などはそのまま審判廷に提出される、しかしそれに対して、付添人ということしかありませんので、通常の刑事弁護的な手続として、例えば伝聞の証拠であるとか、自白の任意性はどうだとか、あるいは違法収集証拠ではないかとか、こういう言わば相対論的な手続というのが取れない、そういう意味ではチェックが非常に難しくなってくるということも言えるのではないか。それから、これはまた重なりますけれども、そういう手続を進めるに当たってやっぱり本人との接見交通権などが本当に十分に保障されるのかと、こういう問題がございます。

そういう意味では、この法案での手続が、確かに医療、そして医療をどうやって十分に与えていこうか、そして社会復帰の道を作っていこうかというだけではない、非常に刑事手続的な部分があるということを是非私たちも認識をしておかなければいけないというふうに思います。

今の、不起訴処分を受けての申立てについての幾つかの今指摘をさせていただいたような問題点について、手続上の考え方を御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
樋渡利秋

まず、本法律案による処遇制度の目的は、対象者の社会復帰を促進することにあるのでございまして、委員御指摘のように、この審判廷は刑事訴訟手続より柔軟で、十分な資料に基づいて適切な処遇を迅速に決定することができる審判手続によることとしたものでございます。

本制度におきましても、付添人は、自らが必要と判断する資料を自由に裁判所に提出して証拠としてもらうことができ、また自由に意見を述べ、さらに証人として採用された者に対して反対尋問を行うこともできるのでございまして、少年審判の場合と同様に、事実関係に争いがある場合でありましても、対象者の利益のため十分な活動を行うことができると考えられます。

確かに、証拠を不同意とする権利と、対立する両当事者による訴訟手続を前提とする権利は付添人には認められませんが、例えば証拠調べ請求につきましても、裁判所に対し証拠調べの申出を行うことが可能であり、実際上の支障は全くないというふうに考えております。

千葉景子

実際上の支障がないというお話ですけれども、果たしてそうだろうかと率直に思います。

やはり、普通の手続上、捜査記録、検察官の捜査記録というのはかなりそのまま採用されるということが多いわけでして、やっぱりそれに対して自らの側から証拠を出したりすることができるといっても、その捜査の記録あるいは捜査の状況についてやっぱりきちっとした反論とか、あるいはそれに対するチェック、そういうことができませんと、ここは本当に手続として、対象行為が本当にあったかどうかというところが問題になる部分ですから、正にこれは後見的な審判というよりは、まずその前提としてのやっぱり事実関係の確定というような側面が非常に強いというふうに思っております。

やっぱり、そもそもその対象行為というものの存否がはっきりしていなかったらこの手続に当然のせるわけにはいかないわけですから、そういうことを考えますと、この点のやっぱり手続というのもかなり厳格に、付添人ということでありましても、私は本来、弁護人としての手続保障に限りなく近い形を取っていただくべきものではないかというふうに思っているところでございます。

さて、時間がもう限られておりますので、若干通告をさせていただいたもの全部できませんけれども、ちょっと再入院の件について御答弁をいただきたいというふうに思います。

再入院については、通院命令を受けた者に対して、保護観察所の長からの申立てによりまして再入院ということが確定されるわけですけれども、五十九条の一項、二項、それぞれ要件が定められております。特に五十二条の二項ですと、継続的な医療を行うことが確保できないというような状況において再入院というのが認められるということ、この要件がございます。

ただ、考えてみますと、本来、医療そして社会的な処遇というのが重要だということで、元々通院でできるだけ早く社会復帰をしなさいということが決められるわけですので、この再入院というのは、よほどのことでない限り今度は入院をさせるということにはならないんだろうというふうに思います。

ただ、心配をするのは、これも最初に戻りますけれども、やっぱり今、社会一般の医療が非常に脆弱なところがあり、そして社会復帰ができずに、これもまた重ねて言いますけれども、非常に、七万人以上の社会的入院が存在しているということになりますと、その地域で、あるいは通院で継続的な医療を行うというのが非常に何か困難だと言われがちなのではないかと。やっぱり難しい、そういう通院体制とかあるいは社会的な体制というのはもう難しいから、やっぱり入院の方がいいんじゃないかということで安易にこういう再入院などが使われる危険がないのだろうか。

これが一般の医療が非常に十分に体制が整っていれば心配は少ないんだろうと思いますけれども、このような一般医療の状況では、やっぱり入院ということが非常に重視をされていく可能性が高いのではないかというふうに思いますが、その危険性などについて、そして安易に使われるようなおそれがないのかどうか、その点について御答弁いただきたいと思います。

政府参考人
津田賛平

保護観察所の長が五十九条二項に基づきまして再入院の申立てを行いますには、対象者が第四十三条第二項に規定する指定通院医療機関による医療を受ける義務に違反し、又は第百七条に規定する一定の住居に居住すること等の守るべき事項を守らず、そのため継続的な医療を行うことが確保できないと認められる場合に初めて行うこととしておりますので、御懸念のようなことはないものと考えております。

千葉景子

簡単に、危険はないのだ、おそれはないとおっしゃいますけれども、この点は私はまだちょっと疑問が残っているところでもございます。

まだ抗告、不服申立て等々お尋ねしなければいけない部分もございますけれども、時間の関係ありますので、この部分、最後にこの一点だけ指摘をさせておいていただきたいと思います。

それは、今これは公判が終わって、あるいは不起訴になって申し立てられた手続のことがこの法案の対象ではございますけれども、実は公判段階、ここのやっぱり医療というのが私は非常に抜け落ちているのではないかというふうに感じております。

やっぱり重大な他害行為を行った場合に、そういう重大な他害行為を行ったとはいっても、継続してやっぱり医療が続けられている、そしてできるだけ早くその医療の体制の下にまた復帰をするということが非常にその後の治療あるいは社会復帰に大きな条件になるのではないかというふうに思います。ところが、この公判段階というのが、これまでもでしたけれども、この中の医療の確保、とりわけ身柄拘束中の医療というのは非常に問題になっています。そこがすっぽりと抜け落ちてしまって、より一層治療がしにくくなる、あるいは回復を遅らせる、こういうことが言えるのではないかというふうに思います。

この委員会でも、この間ずっと刑務所あるいは拘置所等にかかわる問題が議論をされてまいりました。その中でも医療の非常に実態というのが極めて問題であるということはもうこの委員会での共通の認識ではないかというふうに思います。そういう意味では、ここの部分もこの議論の中で本当に抜け落ちていたのでは、その後、一生懸命手厚い手厚いと言っておりましても、本当に一体何のためなんだということになりかねません。

そういう意味で、刑務所あるいは拘置所、とりわけこの法案とかかわるとすれば拘置所ということになるんでしょうけれども、医療のここのやっぱり充実等については一体どう考えているのか、この法案とともに一体どういう御認識でおられるのか。法務省、そして拘置所内もやっぱり診療所扱いということになるわけですので、ここは厚生省もやっぱりそこに監督のいろんな責任も持っておられる。それぞれのお考え方をお聞かせをいただいて、今日の私の部分は終わりたいと思います。

政府参考人
横田尤孝

お答えいたします。

刑務所やあるいは拘置所における精神科の医療につきましては、刑や勾留の執行機関という枠組みの中でその医療体制を整え、近隣の医療機関等の協力を得ながら、できる限りその充実に努めることが重要であると考えております。そのようなことから、医療刑務所等を中心に精神科医を配置し、精神疾患を有する者に対する適切な医療の実施に努めているところでございますけれども、刑務所や拘置所の医療体制につきましては、医師の確保を始めとして難しい問題が多うございますので、先般、当矯正局において発足させました矯正医療問題対策プロジェクトチームによる検討や行刑改革会議の御議論などを踏まえながら、関係省庁の御協力も得ながら、なお一層の充実に努めたいと考えております。

政府参考人
篠崎英夫

ただいま御答弁がございましたけれども、刑務所内における医療機関におきましても、これは国の開設する医療機関として医療法の適用を受けることになっておりますので、厚生労働省としても、所在地の都道府県知事と連携しながら、刑務所内の医療機関に対して、医療法に基づき必要に応じ適切な指導監督を行うようにしたいと考えておりますし、また、一次的には法務省の責任の下で医療の充実を図っていただきたいと思っておるわけでございますけれども、私どもとしても、御要請があれば積極的に御協力申し上げたいと思っております。


Copyright(C) Keiko Chiba, All rights reserved.