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  行刑施設における医療問題についての質疑 法務委員会
2003.05.15

発言者 行刑施設における医療問題についての質疑
千葉景子

おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。

今日は刑務所にかかわる問題、参議院のこの法務委員会でも当初、スタートより積極的に、あるべきこれからの矯正の在り方等含めまして質疑をさせていただいておりますが、今日は私はちょっと医療にかかわる問題などを中心に質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

そのちょっと前提でございますけれども、今度、法務省が、死亡帳を出していただきましたが、死亡帳から様々な問題点の調査をされまして、その結果を中間的に発表されました。それによりますと、千五百四十八件につきましては、一応事件性というんでしょうか、そういうものはないと認められるということで、更に十五件、これからもまだ継続して調査をされるということでございます。

今日、ちょっとこの前の理事会、理事懇談会の席で私は申し上げたんですが、やっぱりこれだけの中間的な調査をされて、結果が一定出たにもかかわりませず、やっぱりこの問題、当初はこの委員会からいろいろな問題提起をさせていただいて、そして資料もなかなかお出しいただかないところを、やっぱりできるだけ資料の提出を求め、そして死亡帳がこれだけ全体の目に触れ、その中で法務省も調査をされるようになったということでございますので、やっぱり中間的にでもあれ、そういう報告がまとまった、あるいは調査がまとまったということであれば、当然、委員会に、あるいはそれぞれの委員にまずはその報告をし、そして意見を求めるなどの姿勢がまずあってしかるべきだというふうに思います。先にマスコミに発表されて、そして委員会などには全くナシのつぶてということでは、やっぱり法務省の改めて姿勢というものが一体何なんだろうかと。委員会とか国会を軽視をしているというふうに考えざるを得ないということでございます。

ここは質問はいたしませんけれども、その姿勢を改めて厳しく指摘をさせていただき、今後の対応を本当にきちっと取っていただきたい。そして、国会に真摯な態度でやっぱり法務省としての姿勢を示していただきたいと、こう思っておりますので、森山法務大臣からも関係のところを是非厳しく指導していただきたいというふうに思っております。

その中で、千五百四十八件につきましては問題がほぼないようだという御判断なんですけれども、これはいわゆる暴行による死亡だとか、そういう事件、物理的なですね、そういう問題はなさそうだという判断であろうかと思いますけれども、それ以外に、本当にこの千五百四十八件の中からいろんな問題点というのは当然見えてくるものだというふうに思うんですね。そういう意味で、この十五件は継続ですけれども、千五百四十八件、これについて一体どういう御認識でいるのか。

例えば、私がいろいろとこの間出していただいた視察表等を拝見をいたしても、確かに暴行による死亡とかいうことではないにしても、医療にかかわる部分であるとか、あるいは保護房や革手錠の使用の在り方、こういうところなどにもいろいろな深い問題がやっぱりある、かいま見えてくるのでございます。

そういう意味で、この調査結果の千五百四十八件について一体どういうとらえ方をされているのか、ここからどんな問題点を受け止めているのか、その辺りはどう認識されておられるのでしょうか。

政府参考人
大林宏

お答え申し上げます。

今御指摘のとおり、本件の中間報告におきましては千五百六十六件を対象にいたしまして、十五件を一応取り分けまして、これについては調査継続をするということにいたしました。これは、現在までの調査によっては刑務官等による違法な暴行によって被収容者が死亡したものではないと断定するには至らなかったという案件、五件ありますが、それのみならず、行刑施設における医療行為や医療的対応の問題を更に検討すべきだとされた案件も相当含まれております。

私どもといたしましては、これらのまだ中間報告の段階でございます、本委員会等でまたいろいろと御指摘があろうかと思いますし、またこれから新たな資料も見付かるかと思いますので、それはそれで、またその指摘等に対してできるだけ対応していきたいと。

基本的には、今申し上げたとおり、名古屋刑務所の事件を契機といたしまして、刑務官等による暴行ということが最重要といいますか、それがどのように、あるのかないのかということが非常に問題になりましたので、それを最重点に私どもの調査を進めてまいりましたけれども、今、委員御指摘のとおり、医療の問題も伏在しております。これにつきましては、矯正局内に矯正医療問題対策プロジェクトチームを設置してありますし、これについては今後の刑務所医療の問題として生かしていきたいと、こういうふうに考えております。

千葉景子

是非、まずこの千五百四十八件というやっぱりその重い事実、そこからいろいろな問題点、あるいはこれからの私たちが受け止めていかなければいけない課題、そういうものを是非こういう中からもきちっと認識をしていってほしいというふうにまず思っております。

そこで、今、医療の問題ということもございまして、刑務所の医療というのは一体どういう仕組みになっているのかということをまずお聞きしたいと思うんですが、刑務所における診療、例えば医療刑務所というのもございます。それから、一般の刑務所にも診療施設というんでしょうか、診療体制というのがございますけれども、これは医療的な法規制はどういうふうになされているのでしょうか。そのところをちょっと厚労省の方で御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
篠崎英夫

お答え申し上げます。

刑務所の中におきます医療施設、病院あるいは診療所を設ける場合には、これは医療法の適用を受けることとなります。ただし、刑務所の中の病院、診療所につきましては法務省が開設主体となっておりますので、医療法の手続上の問題で、都道府県知事の許可などではなくて厚生労働大臣の承認といった、言わばその手続上の特例が設けられているということでございます。

しかし、国が開設主体でありますので、むしろ当然のこととして、医療法上の医師、看護師などの人員配置基準ですとか、あるいは病床面積などの構造設備基準などもろもろの規定につきましては、刑務所の中であっても一般の病院、診療所と同様に適用されるということになっております。

千葉景子

今お聞きをいたしますと、例えば医療刑務所ですと病院としての位置付けになる、あるいは刑務所内の医療ですと、例えば診療所ということで開設の申請がされて、それについては医療法の適用があるという、こういう構造だというふうに思います。

そういうことであれば、当然それに医療法上きちっとした体制整備をしなければいけないと、人的にも物的にも。この監視はどういうふうになされてきたのでしょうか。そして、例えば監視をされた結果、どんな実情と厚労省などは把握されておられるんですか。あるいは、何か指導をしたとか、改善の是正を指導したとか、そういうようなこれまでの経緯というのはあるのでしょうか。

政府参考人
鶴田康則

お答え申し上げたいと思います。

医療法の二十五条に基づきまして、都道府県それから保健所設置市の長、それから特別区の長におかれましては医療機関への立入り権限が付与されております。都道府県等は、医療機関が医療法に沿った適切な運営管理を行っているかどうか否かについて検査して、適切な医療を提供できるよう指導するとともに、より医療の質の向上を図ることを目的にこの立入検査を実施しているところでございます。

刑務所内の医療機関についても、他の医療機関と同様に医療法上の立入検査の対象となっておるわけでございますが、この立入検査の事務につきましては都道府県等の自治事務となっていることから、刑務所内の医療機関に対する過去の立入検査の具体的な個別的な実績等についてはこちらでは把握しておりません。

千葉景子

じゃ、法務省の方ではその点についていかがでしょうか。立入検査をされた経緯があるとか、あるいは何か改善なり指導を受けたというようなことがあるのかどうか。その辺は把握されておられますか。

政府参考人
横田尤孝

お答えいたします。

ただいま厚生労働省当局からも御答弁ございましたように、刑務所、医療刑務所につきまして、あるいはその施設内の診療につきましては、医療法上の病院や診療所としての医療法による立入検査が行われています。

過去三年間の検査結果を至急調べたんですが、それによりますと、看護婦の不足、それから病室への定員を超える患者の収容、それから医療事故や院内感染防止対策を徹底するための基本指針の作成等につきまして、管轄の保健所から指導、指摘が行われたことがございます。もとより、これらの指摘、御指導につきまして、そういった受けた、それを受けた施設におきましては、いずれもその改善、是正に努めているというふうに承知しております。

千葉景子

ちょっと私もまだ詳細に調べてはおりませんので、本当に医療法上の体制が整っているのか、あるいは今お話がございました看護師の基準不足とか、その施設に入れる患者の数とかが多過ぎるとかいろいろあるようでございます。そういうところを更にきちっとやはり精査をして体制というのを取っていかなければいけないというふうに私は思います。

というのは、今回のこの一連の状況を見ますと、医療の不足、あるいは医療がなかなか施されないで放置をされて、それがひいては死に至っているのではないかと思われるような事例、それから、特に精神医療などの面では、そういう精神的な疾患とかあるいは症状がありながら、そこに対するきちっとした対応が取られていない、むしろその対応のために保護房などが多用されているのではないか。その中で、また症状を悪化させて、それが死に至ったり、あるいはいろいろな障害になっている。こういうどうも構造が今の刑務所の中にあるのではないかというふうに、全体を見た中で私は受け止めるわけです。

一つ一つ全部を挙げるわけにはいきませんけれども、やっぱりそういうことを考えますと、直接、暴行などが行われたケースというのは確かに少ないのかもしれない。しかし、こういう医療の不足や特に精神的な医療などの不足などによって、そしてそれが本来の治療ではなくて、抑圧とかあるいは保護房の活用のような形によって、むしろ健康やあるいは命までをも奪っているということがあるのではないかというふうに私は疑いを持つところでございます。

先般、参考人の御意見を伺いました。精神科のお医者さんからも話を伺いまして、確かに本当に私も思います。刑務所での収容というのは決して健康を損ねるためにやっているわけではない。やっぱり一定の自由を拘束をすることによって刑罰を科しているということでありまして、そこで健康を更に悪くされたり、あるいは命を奪われるなどということが許されてはならないわけですね。

それから、いずれにしても、一定の期間受刑をするけれども、また社会に帰っていく。そうなりますと、やっぱりそこと社会とのつながり、そういうものをどういうふうに作っていくのかということなども医療の面でも当然考えていかなければいけないところだというふうに思います。そういう意味で、こういう私なりの認識を是非これからいろんな形でまた御提起をさせていただきたいというふうに思っております。

今回、十五件、継続の調査をされるということになりました。確かに、その十五件というのは、死亡帳や、あるいはその後提供いただきました視察表等を見ましても確かに本当にいろいろ疑問を呈せざるを得ない事例であることは当然でございます。

しかし、先ほど言いましたように、じゃ、それ以外の千五百四十八件が全く問題がなかったのかといえば、私はそうはとても思えないわけでして、全部を挙げるわけにはいきませんので、ちょっと何点か挙げさせていただきたいというふうに思います。

例えば、今回の調査で、東京拘置所の、通し番号で言います、千五百九十番というのが継続の調査になりました。これは、あれですね、たしか訴えが起こされたりしている、人権救済の申立てなどがされているということもありますが、それがやっぱり再調査をしなければおかしいなと思われるのは当然だというふうに思うんですが。だとすると、東拘のほかの案件、例えば千五百五十八というのがございます。これは確かに暴行ということではないのかもしれませんけれども、医療の不足あるいは保護房への収容の問題点等を考えますと、決してこれは全くの問題がないというわけにはいかず、むしろ医療過誤のようなものにも通ずるのではないかと思われるようなケースではないかというふうに思います。

あるいは、異様なのが川越の少年刑務所です。これは死亡事例の中でも三件もが継続の調査案件になっておりまして、千五百三十三、千五百三十九、千五百四十と、こういうことですけれども、これだけ問題案件があるということは、やっぱりその背景に何か根本的な問題が潜んでいたのではないかと、こういうことも疑われるというか疑問になるわけですね。一体こういうところはどういうふうに考えておられるんだろうか。

それから、府中の百六十五、これも調査が継続をされる。これは前回この委員会でも問題になりましたけれども、身分帳がどこかへ紛失してしまったと。こういう、極めてずさんなのであるのか、それとも何か意味があって、あるいは理由があってどこかに身分帳が隠匿されてしまったのかよく分かりませんけれども、そういう事案でございます。

調査をされるのは当然のことだというふうに思いますけれども、やっぱりこの府中で、更に調査は継続をされてはおりませんけれども、例えば百四十三番とかあるいは百五十番、これなどもそういう意味では暴行による死亡ではないかとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、やっぱり精神的な症状、そういう中で保護房に収容され、そして適切な治療とか医療が施されないままに、それがひいては死に至らしめているのではないかということをやっぱり疑わせるような視察表等の私は記載ではないかというふうに思っております。

これら、本当にこれは何点か、一部を今指摘をさせていただいたわけですけれども、こういう調査を継続されていくもの、しかしそうではない部分にも多々こういう疑問の点がございますけれども、今日はちょっと医療という側面を中心にしてはおりますけれども、これらの指摘をしたような案件などについてはどんなふうな認識、あるいは調査結果から問題点を読み取っておられるのでしょうか。

政府参考人
横田尤孝

お答えいたします。

ただいま委員から種々御指摘賜ったところでございますが、おっしゃるように、委員おっしゃいますように、やはり医療は国の責務、刑務所における受刑者に対する言わば国の責務でございます。そして、心身ともに健全な状態で社会復帰をさせる、これがまた矯正、行刑の目的でございます。そのために、私ども、刑務所には医療関係職員、医師、看護師等の医療関係職員が配置され、そして行刑施設の医師、あるいは場合によりましては外部機関の医療機関等の協力を得ながら、健康の維持管理、治療等に当たっているわけです。

しかしながら、これまで種々御指摘ございましたように、医師や医療スタッフの人材確保、医療機器や病室等医療設備の更なる充実を図らなければならないなど、現在の刑務所の医療にはなお難しい問題が多いというふうに承知しております。

また、特に今、委員おっしゃいますのは刑務所における精神医療の問題でございますけれども、これにつきましても、私どもも、そのような様々な指摘があることは十分謙虚に受け止めて、そしてこの医療体制の整備等を図らなければならないと考えております。

また、川越少年刑務所の点についての御指摘がございましたけれども、今問題になっているようなケースは、正に真相解明のために鋭意調査を行っているところでございますけれども、この調査を進めていくことによりまして一層、事案ごとの問題の所在が明らかになると思いますが、それによりまして、医療体制あるいは受刑者処遇に関する職員の意識といった施設全体にかかわる問題があるということが明らかになりましたときには、これは当該施設の運営全般につきまして掘り下げて調査を行い、そしてまた適切な対応をしなければならないというように考えております。

以上でございます。

千葉景子

限られた時間ですので、そこは是非そういう方向を私も求めてまいりたいと思いますが。

今申し上げてきたような事例以外にも、私は一つこれを紹介をさせていただきたいというふうに思うんですね。本当に刑務所での処遇というのが、あるいは特に精神的な非常に圧迫になっている、あるいは拘禁が非常に精神的な障害を更に悪化をさせたりしているということを改めて感じた事例でございますけれども。

栃木刑務所ですね。栃木の九百五十三番という、これは死亡時二十五歳の女性でございます。いろいろな経緯はありますけれども、精神的な、精神科医療がどうも必要な状況もございました。そういうときに保護房に何回かにわたって収容されております。その中で、本当に私も何か心痛むというか、ちょっとつらい思いをして読みましたけれども、女性なんですけれども、保護房で手錠をされています。そういうものですからトイレができない。そこで、看守の人に、済みません、先生、ズボンを上げてください、こう言うわけですよね。何回、何回もというか、その都度、ズボン下げられません、トイレできません、多分それでズボンを下げるような介助をするということになるのかもしれませんけれども、そういうことがたび重ねて行われている、あるいはそうせざるを得ない状況に置かれてしまう。これは本当に、やっぱり普通の女性であっても、あるいは特に精神的に非常に不安定な状況にあってやっぱりそういうことをもう言わざるを得ないという、そういうところに追い込まれているというのは、非常なるこれは、何というんでしょうね、人間性の剥奪でもあるし、そういう私は印象を受けました。

今日は、そういう状況なんだと、ことがやっぱり刑務所の中では当たり前のように行われているという一例としてちょっと紹介をさせていただきましたので、これについては答弁は今日は求めません。

最後に、もう一遍お聞きをいたします。

九二年に、今現在、北九州医療刑務所になっておりますけれども、城野医療刑務所におきまして、暴行により受刑者が傷害を受けるという事件がありました。これは、ようやく一年くらいたちまして内部告発があったようです。発覚をして、その後、小倉簡裁で暴行によって罰金二十万円という判決が出ておりました。

これについてはその後どういう対応が取られたのか。あるいは、事件後、やっぱりこういう刑務所内でのこういう問題についてどういうことをここから学び、そしてそれが生かされてきたのかということを考えますと、全くこういう事件がその後の処遇やあるいは改善に生かされてこなかったのではないか、そんな気がいたします。しかも、これはどうして単なる暴行になったのか。特別公務員暴行陵虐事件などという形にはなっていないようですけれども、こういう結局、過去のことから何にも学んでこないままに結局、今の現状に至ったというのが実情ではないかなというふうにこの事件からも思いますが、何かコメントなりお考えがございましたら御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。

委員長
魚住裕一郎

簡潔に。

政府参考人
横田尤孝

委員御指摘の、当時の城野医療刑務所、現在の北九州医療刑務所における事案がございましたことは事実でございます。これは受刑者に対する暴行ということでございまして、この事件の後に矯正当局によりましては、部内の矯正管区長協議会や矯正管区中の部長、協議会等の席においてこの事案を紹介いたしまして、そして再発防止に指示したところでございます。

しかしながら、今回の一連の名古屋刑務所事件が生じたことは、結果的にはこうした事案に基づく種々の検討、あるいは再発防止策というものが結局、十分教訓としては生かされなかったということになるわけでございまして、この点につきましては誠に遺憾でございますし、また大変残念であり、また申し訳ないことと思っております。

今後は、これらの反省や行刑改革会議での議論を踏まえまして、更に実効性のある再発防止策を講じて、このような事案の絶無を期してまいる所存でございます。


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