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  独立性のある人権擁護機関についての質疑 法務委員会
2002.11.12

発言者 独立性のある人権擁護機関についての質疑
千葉景子
民主党・新緑風会の千葉景子でございます。

今日は、お三人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。先ほど、冒頭それぞれから貴重な意見表明をいただきまして、私も大変参考にさせていただきました。そんな冒頭の御発言を踏まえながら、何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

実は民主党は、この人権擁護機関、独立性の高い人権擁護機関の必要性をいち早く感じておりまして、自ら、どのような機関が必要なのか、それについての論議を進めてまいりました。今日も出席をいたしております江田五月議員を座長にいたしまして、独立性のある人権擁護機関ということで民主党の取りまとめたものは、大きく言えば、独立性を確保するという意味では、法務省というより、全体を網羅することのできる、そして強制拘禁機関などを持たない内閣府に人権委員会の事務方を置いたらどうだろうかと。また、実効性を担保するという意味では、やはり人権侵害というのは国の真ん中で起きるというよりは毎日の日常の生活の中で様々生じている問題でございますので、それを救済をするということになりますと、地方にもしっかりした人権委員会を設置をすることが必要なのではないかと。

また、メディア規制については、やはり表現の自由ということとの整合性を考えたときに、私も決して一〇〇%メディアの側が自主的な抑制的な報道の態度をこれまで持ってきたかというといささか疑問なところはございますけれども、やはり自主的な規制、取組、こういうものを基本にして、それをより一層進めていただくと、こういう方向にすべきではないか、決して公権力で規制をするという態度は取るべきではないと、こういう考え方を取らせていただきました。

また、今日は岡村先生にもおいでをいただいております。犯罪被害者の皆さんの置かれている立場というのは、私もその痛みが本当に言葉で言い表せないものを感じております。民主党では、犯罪被害者の皆さんの救済に向けてもできる限りの法整備をしていくべきだと、こんなことも指摘をさせていただきまして、救済に向けての幾つかの法案も提起をさせていただいてきたと、こんな経過もございました。今日は、そんな本当にお話も伺いまして、ありがとうございます。

さて、私どもの基本的な考え方はこういうところにあるということを御理解をいただいた上で、まず、塩野先生にお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

最初の御発言の中でもございました、そして塩野先生が会長の談話として、推進審議会での取りまとめをなさったときに出された談話の中でも、やはり人権のこれからの総合的な施策ということになりますと、国、地方公共団体、そしてさらに民間の関係諸機関、諸団体との密接な連携協力体制によって総合的な救済を図る必要があるのだと、こういう御指摘をなさっておられます。私もそのとおりだというふうに思っております。そういう意味で、先ほど、今回は地方事務所も置かれているけれども、地方組織の充実強化というのも今後の更なる必要性があるという御指摘もございました。

そういう意味で、一つはこの地方の組織の在り方、それから、例えば地方公共団体の責任、それから、やはり民間の関係諸機関の人権問題に対するかかわり方、そういう民間が公的な部分とともにやっぱり人権の総合的な推進にかかわると、こういうことが大切だというふうに思いますけれども、そういう意味で、地方組織の在り方、今後の更なる発展の先の展望でもよろしゅうございますし、それから民間がやっぱり十分な担い手となる、こういう点についていかがお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

参考人
塩野宏
私がこの人権救済のために四か国に、そう多くはございませんけれども、幾つかの国に回ってまいりましたときに、やはり人権侵害というのは地方に起こるのだから地方において情報をいかに集めるかということが大変重要であるということを聞いてきたことがございます。また、日本でも正にそのとおりという状況でございまして、今申しましたように、人権侵害は各地域において生ずることでございますから、人権救済機関の地方における組織の充実強化という点は大変重要なことと理解をしております。

審議会でもその点についていろいろ議論を重ねまして、地方にも合議制の救済機関を設けるべきであるという意見もございました。そして、ただ、地方における合議制機関を、委員会なるものを国の機関とするのか、地方公共団体の機関とするのか、その点についていろいろな御意見があったわけでございますが、審議会としては、種々議論の結果、まず国の人権救済の充実を図るということで、独立の行政委員会と国の地方組織の充実を図ることといたした次第でございます。

ただ、この法案のできる過程におきまして、いろいろな各省庁、特に予算の関係もございましょうし定員の関係もあるのでしょうか、地方の組織については、審議会の委員の恐らく多くの方、そして私もそうなのですけれども、これで十分とはなかなか言えないだろう、立ち上がりはやむを得ないとしても今後はもっと地方組織を充実する必要があるのではないかということを実感をしておりまして、これは冒頭のときにも申し上げたとおりでございます。

なお、今のお尋ねの中に、地方の公共団体に人権委員会的なものを、あるいは人権委員会そのものを作ってはどうかという御提案も含まれているというふうに思います。この場合に、なかなかこれはいろいろなバリエーションがありまして難しいものでございますけれども、人権委員会が全く、言わば民と民との人権侵害も取り扱うというようなこともございますし、更に訴訟援助、訴訟提起にまで至りますと、これは我が国で最初の試みでありますので、まずどういう形でこれを動かしていくかということにつきましては、つまり慎重かつ全国統一性を持ってスタートしなければいけないということがございます。

それからさらに、今後の発展の過程を見ましても、こういった人権の扱いが各地方団体であるいは地方の委員会でばらばらでいいのかどうかという点は私疑問がございまして、ここは全国統一で国の責任を、人権の特別救済あるいは一般救済、後から申しますが、特別救済については国が全責任を持って取り扱う、そしてそれのために地方組織を充実するということが重要ではないかというふうに思います。

地方人権委員会をダブルに置くということは、労働委員会の例もございましたけれども、必ずしも迅速な救済に役立たないということもございます。

さらに、それでは地方とそれから国とを全く管轄を分けたらどうかというと、今申しましたようなことが起こると同時に、これは必置規制になります。いわゆる必置機関でございますね。各都道府県なり政令市なりあるいは中核都市ぐらいに人権委員会をすべて置くということになりますと、これは今分権のところで問題とされております必置規制になりますので、これは分権の時代においていささか問題があるのではないかというふうにも思っているわけでございます。

なお、それでは、じゃ地方団体は何もしなくていいかというと、それはそうではございません。それはそれぞれに工夫をなさることも可能だと思います。法律論として申しますと、今回の法案によって、人権救済事務というのが全体として国の法律が先占するということにはならないと思います。分権の時代でございますので、これがすべて国の事務で先取りしたと、地方団体は一切入ってはならないということにはならないというふうにも思いますが、ただ、訴訟参加とかあるいは差止め請求といったようなものは、これは司法の領域と密接に結び付いておりますので、これは法律マターかなというふうに思っております。

それからさらに、今後の具体的な人権委員会の在り方としては、私は事務局が非常に重要な意味を占めると思います。ここにどういう専門的な方あるいは人権感覚に優れた方をどういうふうにして取り組んでいくかということが重要な課題となりますが、ちょうど今、公務員制度の改革の動きが進んでおりまして、従来のような固い公務員システムではなくて、より柔軟に、任期付きといいますか、そういった、あるいは専門的な方を、かなり出入りが柔軟になるように仕組みができ上がるということを私聞いております。そうなりますと、例えば民間の団体の方についてこういったところの職員としてお入りになること、あるいは地方公務員の方々で非常にこういった人権救済に経験と識見のおありの方はお入りいただくというようなことも可能となるように思います。これは今後の工夫あるいは知恵の出しどころではないかというふうに私は思っております。

以上でございますが。

千葉景子
ありがとうございます。

それでは、石井参考人にお話を伺わせていただきます。

先ほどBRO等の取組について概略をお聞かせをいただきました。もう少しその自主的な取組の状況、それから、これは審議会の中で議論が若干あったという塩野参考人のお話が先ほどありましたけれども、差別表現等に関するやはり取組状況等、先ほどの御発言にプラスして少しお話しをいただければというふうに思います。

参考人
石井修平
BRO、放送と人権等権利に関する委員会機構についてでございますけれども、これは御承知のとおり、多分パンフと年次報告の資料がお配りしてあると思います。これは、NHKと民放が共同して設立した機構でございます。審理結果はもとより、放送局との、視聴者の方、何らかの人権侵害を受けたとされる視聴者の方との話合いの仲介、あっせんも含めて、私どもは有効に機能をしているというふうに判断しております。

本年度上半期の苦情件数は千五百八十四件ございました。人権侵害に関連する対応は五十五件でございます。二〇〇〇年度までは、放送局と話合いになっていないか、あるいは話合い中のものは受理しないと。局との話合いが相入れず、委員会で審理することになった案件について受理していたわけですけれども、二〇〇一年度から、BROで受けた苦情のうち、人権に関する問題であって申立てがあったものは受理するということにいたしております。この結果、二〇〇一年度の受理件数は三十三件ということで、このうち委員会決定まで至ったのは二件でございますけれども、十六件が仲介、あっせんで解決をしております。

この仲介、あっせんの機能は大変有効に働いていると同時に、BROの存在自体が逆に放送局に対する抑止力として働くということで、数字に表れない抑止効果、自主的な抑止効果、ちょっと言葉があれですが、自主的な対応を促す一つの大きな存在になっているというふうに考えております。

もう一つ、BRCの委員は、外部の有識者で構成する評議会が選任しておりますけれども、非常に第三者性が高くて、当初、放送局寄りではないかという批判も承りましたけれども、むしろ放送局に厳しい決定が続くなど、実績を重ねてきております。

BROの存在の認知度の問題、いつも御指摘いただきますので、これについてはBRO年次報告の百五ページにありますように、昨年度は一年間に十万回のPRスポットを行って、またあるいは十二月の人権週間に合わせて新聞広告の掲載も予定をしているという状況になっております。

それから、時間もあれなんですけれども、差別表現につきましては、もちろん我々はあらゆる差別表現について放送禁止という措置を取るだけではなくて、新人教育、あるいは時に問題が過去生じたケースもございますので、その際には当該の例えば当事者の方をお呼びしての研修等で、まず差別そのものの本質的な問題を学ぶと。言葉を使わなければいいんだという事なかれ主義ではなくて、差別そのものの持つ歴史的、社会的構造をちゃんと学んだ上で、まず内なる差別感をもちろん解消した上で差別禁止用語を考えるという教育をいたしております。

千葉景子
ありがとうございます。

今、BROのお話などで、かなり報道の自らの対応、正していくというお取組が成熟しつつあるというふうに思いますけれども、国際的なメディア機関等でのこういう取組というのはやはり日本のメディアも参考にされているものというふうに思いますけれども、そういう国際的な取組と日本とを比較いたしまして何か感ずるところがございますか。違いとか、あるいはほぼ共通に国際社会もなっているという状況でしょうか。

その辺、石井参考人でお分かりのところがございましたら、お話しください。

参考人
石井修平
我々が一番身近に接するのはアメリカのメディアでございます。これは日常的に友好関係もございまして、それぞれのメディアとの関係の中において個別のやはり放送倫理マニュアルがございます。これについては、厳しい面もある一方で、アメリカは特に憲法修正一条という存在もございまして、基本的に報道、表現の自由が認められている状況の中では、我が国の方が自主的な対応も含めて適切に対応しているという面もございます。あるいは、メディア先進国のイギリス等については、BBCが中心となった個別的な報道倫理のマニュアルもございます。かなり分厚いものでございます。

これらについては非常に参考になるというふうに考えておりますが、このBRO、BRCのような放送メディアを民間放送、公共放送通じて統一的に報道倫理の問題に対応する組織というのは、やはり現状では我が国のこのBRO、BRCが最も進んでいるんではないかと私自身は判断をしております。さらに、この面で機能の強化を図ることが我々の将来的な責務かなというふうにも併せて考えております。

千葉景子
ありがとうございます。

まだお尋ねをしたいこともございますし、岡村先生にお話を伺う時間がなくて大変恐縮をいたしておりますが、ちょっと時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。


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