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私がこの人権救済のために四か国に、そう多くはございませんけれども、幾つかの国に回ってまいりましたときに、やはり人権侵害というのは地方に起こるのだから地方において情報をいかに集めるかということが大変重要であるということを聞いてきたことがございます。また、日本でも正にそのとおりという状況でございまして、今申しましたように、人権侵害は各地域において生ずることでございますから、人権救済機関の地方における組織の充実強化という点は大変重要なことと理解をしております。
審議会でもその点についていろいろ議論を重ねまして、地方にも合議制の救済機関を設けるべきであるという意見もございました。そして、ただ、地方における合議制機関を、委員会なるものを国の機関とするのか、地方公共団体の機関とするのか、その点についていろいろな御意見があったわけでございますが、審議会としては、種々議論の結果、まず国の人権救済の充実を図るということで、独立の行政委員会と国の地方組織の充実を図ることといたした次第でございます。
ただ、この法案のできる過程におきまして、いろいろな各省庁、特に予算の関係もございましょうし定員の関係もあるのでしょうか、地方の組織については、審議会の委員の恐らく多くの方、そして私もそうなのですけれども、これで十分とはなかなか言えないだろう、立ち上がりはやむを得ないとしても今後はもっと地方組織を充実する必要があるのではないかということを実感をしておりまして、これは冒頭のときにも申し上げたとおりでございます。
なお、今のお尋ねの中に、地方の公共団体に人権委員会的なものを、あるいは人権委員会そのものを作ってはどうかという御提案も含まれているというふうに思います。この場合に、なかなかこれはいろいろなバリエーションがありまして難しいものでございますけれども、人権委員会が全く、言わば民と民との人権侵害も取り扱うというようなこともございますし、更に訴訟援助、訴訟提起にまで至りますと、これは我が国で最初の試みでありますので、まずどういう形でこれを動かしていくかということにつきましては、つまり慎重かつ全国統一性を持ってスタートしなければいけないということがございます。
それからさらに、今後の発展の過程を見ましても、こういった人権の扱いが各地方団体であるいは地方の委員会でばらばらでいいのかどうかという点は私疑問がございまして、ここは全国統一で国の責任を、人権の特別救済あるいは一般救済、後から申しますが、特別救済については国が全責任を持って取り扱う、そしてそれのために地方組織を充実するということが重要ではないかというふうに思います。
地方人権委員会をダブルに置くということは、労働委員会の例もございましたけれども、必ずしも迅速な救済に役立たないということもございます。
さらに、それでは地方とそれから国とを全く管轄を分けたらどうかというと、今申しましたようなことが起こると同時に、これは必置規制になります。いわゆる必置機関でございますね。各都道府県なり政令市なりあるいは中核都市ぐらいに人権委員会をすべて置くということになりますと、これは今分権のところで問題とされております必置規制になりますので、これは分権の時代においていささか問題があるのではないかというふうにも思っているわけでございます。
なお、それでは、じゃ地方団体は何もしなくていいかというと、それはそうではございません。それはそれぞれに工夫をなさることも可能だと思います。法律論として申しますと、今回の法案によって、人権救済事務というのが全体として国の法律が先占するということにはならないと思います。分権の時代でございますので、これがすべて国の事務で先取りしたと、地方団体は一切入ってはならないということにはならないというふうにも思いますが、ただ、訴訟参加とかあるいは差止め請求といったようなものは、これは司法の領域と密接に結び付いておりますので、これは法律マターかなというふうに思っております。
それからさらに、今後の具体的な人権委員会の在り方としては、私は事務局が非常に重要な意味を占めると思います。ここにどういう専門的な方あるいは人権感覚に優れた方をどういうふうにして取り組んでいくかということが重要な課題となりますが、ちょうど今、公務員制度の改革の動きが進んでおりまして、従来のような固い公務員システムではなくて、より柔軟に、任期付きといいますか、そういった、あるいは専門的な方を、かなり出入りが柔軟になるように仕組みができ上がるということを私聞いております。そうなりますと、例えば民間の団体の方についてこういったところの職員としてお入りになること、あるいは地方公務員の方々で非常にこういった人権救済に経験と識見のおありの方はお入りいただくというようなことも可能となるように思います。これは今後の工夫あるいは知恵の出しどころではないかというふうに私は思っております。
以上でございますが。
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