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ただいま議題となりました民法の一部を改正する法律案につきまして、発議者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
戦後、個人の尊厳と両性の本質的平等を基本理念とする家族法改正が行われましたが、改正作業が急を要したため、旧家族法の規定をそのまま継承した部分が相当多くあり、近代化、民主化の点では必ずしも十分とは言い難く、将来における改正を課題としたまま施行されました。
こうした経緯から、昭和二十九年という早い段階から法制審議会において家族法の全面的な見直しのための審議が行われましたが、当時から既に夫婦の氏については、夫婦異姓を認むべきか否か等の問題につき、なお検討の必要があるとされていました。
その後、約半世紀の間に、我が国の社会経済情勢、国民生活の著しい変化に伴い家族の状況は変容し、個人の人生観、価値観も多様化し、婚姻に対する意識は大きく変わってきています。
また、女性の社会進出に伴い、婚姻によって氏を改めることが社会的な不利益、不都合をもたらす事態が増加する一方、少子社会の進展によって、家名を維持するために婚姻をちゅうちょする事態も生じてきたため、この解決策として夫婦の氏の在り方を見直す必要があります。
法制審議会は、平成八年二月、個人を尊重し、男女間の対等な関係を確立しようとする観点から、選択的夫婦別氏制の導入を軸とする婚姻制度等の改正要綱を決定し、法務大臣に答申しました。その後、六年以上経過しましたが、この答申に基づく政府の民法改正案はいまだ国会に提出されるに至っておりません。
政府が昨年五月に実施し、八月にその結果が公表されました選択的夫婦別氏制度に関する世論調査では、選択的夫婦別氏制度導入に賛成が四二%、反対が三〇%と、賛成が反対を大きく上回り、前回調査より制度導入に理解を示す人が一段と増えております。特に、結婚を控え、同制度導入によって影響を受ける世代である二十代、三十代では、男女とも八割前後の人々が制度導入を容認しております。
また、内閣府の諮問機関である男女共同参画会議の基本問題専門調査会は、選択的夫婦別氏制度の導入を内容とする民法改正が進められることを希望する旨の中間まとめを昨年十月に取りまとめております。
このような状況を踏まえ、森山法務大臣は選択的夫婦別氏制度を導入する政府案の提出に向けて積極的な姿勢を示されてこられましたが、今国会への政府案提出は難しい状況となっているようです。また、与党内でも実現に向けた様々な努力がなされていると承知しており、その成果も併せ、国会で論議が進むことを期待するものです。しかし、残念ながら、自民党の一部にある強い反対意見のために論議が進まないまま、この問題の解決に余りに時間が掛かっているため、現に事実婚が増えてくる兆しも出ております。そのために、法的に不安定な立場を余儀なくされるケースも生じております。選択的夫婦別氏制度がないために困っている人たちの不都合が解消され、選択の余地が少しでも増えるよう、一刻も早い選択的夫婦別氏制度の導入を目指さなければなりません。
本法律案は、このような状況の中、男女平等の実現に向けて、法制審議会の答申の趣旨に基づきつつ、その内容をより進展させようとするものであります。
以下、本法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、婚姻の成立要件につきましては、婚姻適齢を女性について二歳引き上げて男女とも満十八歳とするとともに、女性の再婚禁止期間を現行の六か月から百日に短縮するものとしております。
第二に、夫婦の氏につきましては、婚姻による改氏で生ずる不利益、不都合の解消、多様な価値観の許容等の観点から選択的夫婦別氏制を導入し、夫婦が婚姻の際に同氏を称するか、別氏を称するかを選択することができるものとしております。
なお、改正法施行前に婚姻した夫婦につきましては、改正法施行後二年以内に夫婦の合意に基づいて届け出ることにより別氏夫婦となることができるものとしております。
第三に、別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称するものとし、その協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所は父又は母の請求により協議に代わる審判をすることができるものとしております。
また、別氏夫婦がともに養子をする場合において、養子となる者が十五歳以上であるときは、縁組の際に養親となる者と養子となる者の協議で定める養親のいずれかの氏、養子となる者が十五歳未満であるときは、縁組の際に養親となる者の協議で定める養親のいずれかの氏を称するものとしております。
第四に、相続の効力につきましては、個人の尊厳や平等を重視する観点から、また子供に対する差別の禁止を定める子どもの権利条約の趣旨にかんがみ、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同一としております。
このほか、所要の規定の整備を行うものとしております。
以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
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