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  国際受刑者移送法案に関する審議 法務委員会
2002.04.11

発言者 国際受刑者移送法案に関する審議
千葉景子
民主党・新緑風会の千葉景子でございます。

今日は受刑者移送法についての質疑でございますけれども、ちょっとその前に一点質問をさせていただきたいと思います。それは、いわゆる民法の改正問題でございます。

この民法改正、選択的夫婦別姓制度を中心といたしました民法改正、私ども野党の議員提案という形でこの参議院にも民法改正案を提案をさせていただいております。これを具体的に審議をさせていただくという事態にはなかなかならないのでございますけれども、どうやら少し動きといいましょうか、が出てきているやにも伺っております。

ちょうど、先般、三月十九日だったでしょうか、浜四津委員が大臣に、なかなか膠着状態だけれども、何か、どうやったら動いてくるかというようなことをお尋ねしまして、大臣も、何とかこの国会に出せるような知恵を絞って何とかなりそうだと前向きなお答えもあったように私も記憶いたしております。

期待をしながらいたところでございますけれども、報道によりますと、昨日でしょうか、法務省の方で自民党さんの方の法務部会の方に民法改正案、選択的といいましょうか、夫婦別姓をどう扱うかということを含めた骨子を御説明になったやに伺っております。

これは報道でございますので、私が申し上げるのも何か大変僣越でございますけれども、部会ではつかみ合いになったというような報道もあったり、大変な論戦になったという報道等もされておりまして、活発に御議論をいただくというのは結構なことだというふうには思うんですけれども、是非、その活発な議論を通じながら少し前向きな道筋が見えてくればというふうに思ったりいたします。

そこで、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、今回お示しになった骨子というのは、言わば原則が同姓制度、そして例外的に別氏制度を認めるという位置付けと伺っているところでもございます。並列的に同姓でも別姓でも選択できるということに比べますと若干ニュアンスが違うというふうに私は受け止めているところでもございます。ただ、一つのやはり打開策というんでしょうか、あるいはこれを前進させる一つの知恵なのかなという感じもいたしますけれども。

これまでなかなか法務省の方から御提起をされ得なかった状況がございますが、ここへ来まして、この原則例外という形での骨子ではございますけれども、自民党の方に御説明をされて、ということは、この方向でいこうかという御決意をなさったといいますか、それはこの時点でどういう意味があったのでしょうか。何か、ああ、これならいけそうだという見込みが付かれたのかなと大変そうも思ったり、しかしその報道などを拝見いたしますと、いやいや、まだまだ相当困難な道のりかなと思ったりいたしますけれども。

大臣、この時期にこういうものをおまとめになられて自民党、与党の方にもお示しになったということの意味と、それから、大臣のやはり思いでもおありだと思いますけれども、今後の見通しなどについてどんなふうにお考えになっておられるのか。是非、私は大臣に本当にリードしていただいて、この国会ででも成果が出るように期待をいたしている一人でございますけれども、大臣の御認識を、御見解をまず伺わせていただきたいと思います。

国務大臣
森山眞弓
大変御心配をいただいておりまして恐縮に存じますが、この問題はかなりもう長い間、法制審議会の答申をいただいてからも既に六年たっておりまして、その前の検討を加えますと十年以上の多くの方の検討の結果、いろいろな案が出てきたところでございます。

法制審議会ではいわゆる選択的夫婦別姓という内容のものを御提示いただいたんでございますが、これが十分理解をしていただくのに難しい点があったり、特に自民党の法務部会その他におきまして非常にいろんな議論が出てまいりまして難しい状態になったこともあったわけでございます。

これは、このまま何が何でもあの案でなければならないと言っていたのでは進みようがないというふうに考えまして、部会の中でもいろんな御提案がございました。もっとこういうふうに考えたらいいんじゃないか、あるいはこういうアプローチはないかとかいうような御提案がございまして、それらのお考えを参考にさせていただきながら、審議会の答申ということも踏まえつつ、例外的な場合ということで、そういう意味を強くした内容にしてみたらどうかというふうにだんだんお話がまとまる感じであったものですから、それでは法務省、その例外的ということでまとめられるならば案を書いてみてほしいというふうに言われまして、書いてみて、それを御提示申し上げたというのが昨日の段階でございます。

ですから、あの案ですんなりといくという見通しが立ったというわけではございませんで、自民党の部会の皆さんの御参考までに、現段階で皆さんの御意見を参考にしつつ考えられるものはこんなものでございますということをお示ししたわけでございますが、かねてから大変いろいろな議論のあった非常に関心の高い問題でございますので、その案を中心にして更にまた甲論乙駁があったというわけでございます。

ですから、両方ともに余り自分の主張を硬直的にいつまでもこだわっておりますと一向に前へ進まないという状況はまだまだ心配されるわけでございますので、私といたしましては、もう少し工夫する余地はないだろうかということも考えなければならないというふうに思っているところでございますが、御存じのように、この問題は、国民の価値観が大変多様化してきて、特に女性の生活が変わってきておりますので、百数十年前に決められた夫婦同姓を強制するという今のやり方という中にははまらないと、それでは非常に困るという人が、数がそうたくさんではないけれども、その人にとっては非常に深刻な問題を提起しているわけでございまして、そういう人たちにとってうまいぴったり合った方法はないかというのが問題でございます。それを、いつまでも両方がこだわっておりまして互いに張り合っているだけでありますと、困っている人たちがいつまでたっても解決されない。その結果、法律上の結婚はともかく事実婚でいこうということになって、現実に事実婚が増えてくる兆しが大変今多く見えております。

そうなりますと、それはそれでもいいという割り切り方もあるかもしれませんが、そういうことになった場合に被害を受けるというか困るのは女性と子供であるというのが現実でございまして、私は、妻とか母とかという立場が法律的に守られるということも重要だし、また子供の地位も安定するということも重要であると。

そういうことを考えますと、事実婚が増えればそれはそれでいいじゃないかとは言っていられないというふうに思いますし、結婚という非常に人間にとって大切なイベントですね、そのことが、イベントではなくて一生続くことでありますから大変重要な課題でありますが、それが法律的にカバーされて、法秩序がその面でもできるだけ維持されるようにするべきだと。それが国民の全体のためであり、特に女性や子供のためにその法律的な保護を徹底するゆえんであるというふうに今思っておりますので、いろいろな考え方、おありでしょうけれども、更にお互いに話合いを進めて、何とか困る人たちの選択の余地が幾らかでも、少しでも増えていくようにする道を探したいというふうに考えているところでございます。

千葉景子
ありがとうございます。

本当に、法務省の方で大臣のリードの下に一つの案を示されたということは、これはやっぱり重いことだというふうに思っております。私たちも、並列的な選択制を提起はさせていただいておりますけれども、是非やっぱり法務省がここまでいよいよ一歩を踏み出されたということをそれぞれが重く受け止めながら、そして今これを期待し待っている多くの皆さんのニーズにこたえていくことができるようにできたらと私も思い、今の大臣のお話を伺わせていただいておりました。是非、また引き続きリーダーシップを発揮していただきたいと、期待をさせていただくところでございます。

それでは、本題の方に入らせていただきたいというふうに思いますが、先ほど、既に佐々木委員の方からも様々な御質疑がありました。私も共通する部分等もございます。できるだけそれを避け、少し観点がまた異なるかもしれませんので、多少重複いたしましたらお許しをいただきたいというふうに思います。

この受刑者移送、これはもう既にこれもお話がありましたけれども、外国で刑に服している者を本国で引き続いて刑罰を執行しようということでございますので、やっぱりそれぞれの国で刑罰に対する考え方とか、その刑罰法規のシステム、処罰のシステムが全く懸け離れているという状態では、なかなかこの制度というのを適用するのは難しいんだろうというふうに思います。やはり、一定の共通性みたいなものがあればこそこの制度が実効性を持つのではないかというふうに思います。

その意味で、少し刑罰そのものについて、どんなふうにそれぞれ各国がなっているかということを教えていただきたいというふうに思っているところです。

我が国の刑罰の制度は、これもこんなところで言うのも釈迦に説法といいましょうか、あれですけれども、基本的には死刑、そして懲役、禁錮、罰金、拘留、科料と、こういう刑罰の種類がございます。懲役、禁錮はそれぞれ無期、有期という形で種類がございますけれども、こういう刑罰の種類ということになります。懲役、禁錮は、有期の場合には一月以上十五年以下と、これが重さでございますし、拘留の場合は一日以上三十日未満と、こういうことになっております。加重する場合にどこまでいくかというと、懲役、禁錮で有期で加重して二十年という加重がされるということになるわけですけれども。

さて、こういう日本の刑罰の体系と、これに対して、この条約、今回この条約に基づいて受刑者移送というのがなされるわけですので、この条約締結国で一体どんな刑罰体系になっているのか。特に、今回の法案内容そして条約内容は自由刑ということになりますので、そこを中心にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、特徴的な締約国での刑罰のシステム、これについて御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

私どもで調査した範囲ですので、完全に把握できているかどうか分かりませんけれども、お尋ねの趣旨に沿って御説明させていただきます。

主要国五か国ということで絞らせていただきまして、まず自由刑の刑期、これは一個の拘禁刑の場合ということで見てみますと、まずアメリカの連邦ですが、仮釈放のない終身刑及び有期刑となっております。イギリスは無期刑及び有期刑、フランスですが、無期刑及び三十年以下の有期刑、ドイツが無期刑及び十五年以下の有期刑、イタリアが無期刑及び二十四年以下の有期刑と、そういうふうになっております。

複数の犯罪があった場合の処理の仕方ということですが、フランスのように最も重い刑の法定刑の範囲で科刑するという国もございますし、ドイツのように最も重い刑を基礎といたしまして、他の短い刑の刑期の範囲内で加重の幅を決めて科刑するといった立場の国もあります。ただ、後者の場合であっても、一定の上限を超えられないという制限が置かれると。この点は日本と似ているわけですけれども、そういう国がありまして、ドイツではそれが十五年、イタリアでは三十年が上限というふうになっております。

なお、もう少しあれいたしますと、刑務作業の関係で申し上げますと、これら主要国のうちでは、フランスが作業を義務付けていないほかは、他の国では刑法あるいは行刑法令によって作業が義務付けられております。ただ、それが刑の内容として義務付けられるかどうかまでは正確にはちょっと申し上げられませんが、いずれにしても刑法あるいは行刑法によって作業が義務付けられておるということです。

大体以上が自由刑の中身というか、概要についての説明でございます。

千葉景子
まあ、違うといえば違うし、共通性があるといえばあるというところかなと思うんですけれども。

アメリカなどは、よく言われますように、刑の加重をされますと何十年、極端に言うと百年とかいう刑期があるなどと言われることがあるんですけれども、これはそういうことなのでしょうか。それとも、計算上はそうなるけれども、執行行刑上はどう違っているのでしょうか。その辺はちょっと確認をしたいんですけれども。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

御指摘のとおり、アメリカでは極めて長い拘禁刑が言い渡されるケースもありますが、私の知るところでは、恐らく複数の事件を、あるいは刑を執行する場合にそういったような面が考えられると思います。

この場合に複数の刑をどう執行するかという問題がありまして、一つの刑に継ぎ足して順次全部執行すると、これは、日本はそういうやり方を取っていますが。そのほかに、裁判所の判断によりまして同時に執行する。例えば二十年、三十年、五十年というのが三つあったとすると、これを足しますと百になるわけですけれども、そのうちの一番長い、先ほどの例でいえば五十年ということで、それまで服役すればそれですべて刑の執行を終えたことになるという、言わば同時に執行が行われるという法制もあるようでございますので、一概に、百年とかそういう長期になったからその期間全部服役しなければならないとまでは言えないのではないかというふうに理解しております。

千葉景子
なかなか、刑の執行の在り方というのがそれぞれの国によっても異なる部分もあり、やっぱりそれを片方の国がそれをつないで行刑をするというのにはいろいろ難しい面とか工夫しなければならないところがきっと出てくるんだろうなというふうに思ったりいたします。

今、刑務作業の有無についても触れていただきました。さらに、例えば日本で仮釈放の制度がございます。この仮釈放とかあるいはそれに類する制度、早期に満期を待たずして釈放するというような制度については各国どんな状況になっているでしょうか。

政府参考人
鶴田六郎
お尋ねになりました早期に釈放する制度でございますが、これも先ほどの主要五か国で見てみますと、アメリカには善時制度というのがございます。要するに、受刑者の行状の良さに応じまして一年の服役について最高五十四日分の範囲で刑期を短縮すると、そういう制度を採用しているほか、他の国では仮釈放制度が設けられておりまして、どの程度の期間があれば仮釈放が許されるかといったいわゆる仮釈放が許される期間につきましては、刑期の二分の一とかあるいは三分の二の経過後にそれが許される、認められるというのがその他の国の大体概要でございます。
千葉景子
今、ほぼほとんどの国、まあアメリカはちょっとやり方が違うようですけれども、早期に釈放するたぐいの制度はどこもどうも持っているようにも伺えるわけですけれども、ただ、その短縮の仕方は大分違うと、刑期の何分の一というその基準も違いますしね。そういう各国のそれぞれの状況があるのだということが分かろうかというふうに思います。

こういう中で、この機会ですのでちょっと伺わせていただきたいというふうに思いますけれども、どこも、無期刑的なもの、あるいは終身刑のような刑を持っている国もございます。我が国でこの無期懲役受刑者というのは実際にはどのくらいの長期になっているんでしょうか。一番今長くてどのくらいの受刑期間になっているのか。そして、仮釈放もかなり多いと思うんですけれども、その比率なども分かれば、ちょっとこれ、事前に細かくお尋ねしていなかったかとは思うんですけれども。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

無期懲役受刑者の収容人員が平成十三年度末で千九十七名ですが、このうちで最も長く服役している者は、今年の二月末ということで見てみますと、五十二年十月ということが一番長いものでございます。

なお、無期刑の仮釈放、今ちょっと手元にありませんが、昨年は恐らく七人程度が仮釈が認められたというふうに聞いております。その服役期間というか、仮釈が許されるまでの服役期間は約二十一年くらいではなかったかというふうに思います。

千葉景子
一番長くなっている受刑者で五十二年ですか、本当に長い受刑期間ということになりますけれども、片や仮釈放になるのが、二十年ぐらいで仮釈放になるということもかなりケースが多いわけで、この日本の刑罰の中でも無期懲役刑の在り方みたいなのもひとつ論議になってくるのかなという感じがいたします。

最近、この刑罰制度を見直したらどうかという議論がございます。全体というよりは、一つやっぱり皆さんが議論を始めているのは死刑制度とそれから無期刑、これの間が余りにも広過ぎるんではないかと。まあ、死刑については賛否両論ございます、私自身は否定的な論者ではありますけれども。

これは、今日はそんな細かくお聞きするつもりはありませんけれども、ただ、やはりこの死刑という極限の刑と、それから今の無期刑の仮釈放で二十年ぐらいで釈放されるという、五十二年という長い期間の場合もありますけれども、どうもその間が余りにも空いているのではないかと。だから何となく、被害者の側から見ても一般の市民感覚から見ても、急に死刑になるか、あるいは非常に釈放される時期も早い無期刑になるか、どっちかで、何か釈然としないという意見も多々見受けられるところでもございます。

そこで、ちょっとお聞きをさせていただきますけれども、今、各国で死刑を廃止している国、それから存置をしている国がございます。この廃止をしている国で一番死刑以外で重い刑というのはどういう刑を科しているんでしょうか。

国務大臣
古田佑紀
いわゆる死刑廃止国におきます刑罰の上限は、これは各国によって実は様々でございます。したがいまして、そのすべてを承知しているわけではございませんが、例えばイギリス、ドイツ、フランス、イタリアについて申し上げますと、一定の期間拘禁を執行した後、仮出獄、仮釈放を許す無期刑を上限としております。それから、刑罰の上限について、仮出獄ができない、を許さない、いわゆる絶対的な終身刑でございますが、これを採用している国としてオランダ等があると承知しております。また、いわゆる無期ではなくて、最高刑が有期であるという国もあり、例えばスペインでは最高刑が三十年の懲役というふうになっていると承知しております。
千葉景子
死刑を廃止をしている国では、やはりそれに代わるような、多少刑期が長い、あるいは仮釈放などがない終身的な刑を採用しているというようなケースも多いように思われます。

先ほど申し上げましたように、我が国では死刑制度を存置をしているということになりますけれども、それに対しての廃止論もあり、あるいは存置論もある。なかなか議論が十分にされていきにくい一つの理由に、やっぱり死刑とその無期懲役との落差の大きさですね。だから、死刑を廃止したらもうどんどん釈放されてしまうんじゃないかという片方の論になりますし、今度は今の無期だけでは、じゃ重い刑は少し軽過ぎるのではないかということにもなりますし、なかなか議論が進まない。

我が国で、現状、死刑を存続させているという理由というのは一体どんなところにあるんでしょうか。

政府参考人
古田佑紀
死刑の問題につきましては、委員御指摘のとおり、様々な御意見があるわけでございますが、やはり基本的には国民がどのように考えるかということにあろうかと思うわけでございます。そういう点から申し上げますと、国民世論の多数が、やはり大変悪質、凶悪な重大事件、こういうものについては死刑もやむを得ないと考えていると思われるわけでございまして、一方、犯罪の現実を見ましても、多数の者を殺害する事件でありますとか、誘拐の上殺人する、殺人を犯す事件などの凶悪・重大犯罪が、これが起きているところでございます。

こういう状況を踏まえますと、やはり罪責が非常に重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することということにしておくことはやむを得ないというふうに考えているところでございます。

千葉景子
重い犯罪に対して、やっぱりそれだけの重い罰を科するのはやむを得ないというところかもしれません。ただ、この死刑制度につきましては、本当に論議が賛否、本当に両極に分かれてなされるような状況でございます。多分、この国会の中でも議論をさせていただくと、やっぱり賛否両論、平行線をたどるような議論になってしまうのではないかという感もいたします。これはもう党派を問いませんで、国会にございます死刑廃止を目指す議員連盟は亀井静香先生が会長をなさっているということでもございますし、これは本当に、そういう議論、なかなか難しいというふうに思います。

ただ、やっぱりその前提として、先ほど言いましたように、余りにも死刑というものとその次の刑がちょっと離れている。だから、なかなか廃止といっても皆さん、それじゃもう余りにも軽くなっちゃうだろうというふうに思いがちですし、その辺のことを考えますと、先ほど、死刑を廃止をしている国々では終身刑的な刑罰を持っている国もかなり多いというふうに承りますので、そういう意味で、やっぱりこの仮釈放がない終身刑的な刑罰というものを考えてみる私は一つ意味はあるのではないかというふうに思っております。

特に、私は、この刑罰の問題、今議論する必要があろうかというふうに思うのは、司法制度改革が進んでおります。その中に、司法に対する国民参加ということが大きなテーマとしてうたわれておりまして、これからやっぱり裁判の場に国民が参加をし、そして一つの犯罪なりに対してやっぱり市民がいかにみんなでそれに対して対面していくか、対峙していくか、そして責任を持ってどういう処罰を、あるいは社会的制裁を加えるべきかという論議に加わっていくことになるわけですね。

そうなりますと、やっぱりこの刑罰の在り方、そして一番重い刑として命を奪うという刑を存続させておくことが本当によいのかどうか、あるいは、じゃ、それに代わるものがないのかどうか。人を裁くというときに、一体どういうことなのかという論議をやっぱりこれはかなり国民的なオープンな形でしてもいいのではないか、むしろする必要があるんじゃないかというふうに考えたりしているところでもございます。

そういう意味で、この終身刑的な刑の在り方といいますか是非、こういうものなどについて、この法務委員会も含めて積極的な議論等、あるいは導入の是非などについて検討してみてはいかがかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがなものでしょうか。

国務大臣
森山眞弓
御指摘のような問題についていろいろな議論があるということはよく承知しております。この問題につきましては、無期刑の在り方だけではなくて、有期刑の在り方もその関連で勉強してみなければいけませんし、それぞれの各罰条の法定刑の定め方なども考慮していかなければいけないと思いますし、今おっしゃいました仮釈放のない無期刑ということについても、これは一生拘禁されることによって受刑者の人格が完全に破壊されるというような問題も聞いておりますし、刑事政策上むしろ非常に問題が多いというお話も聞いているわけでございます。

外国の例を見ましても、今いろんな例をお出しになりましたし、また刑事局長からも申し上げましたが、この仮釈放のない無期刑というのは、これを採用している国はアメリカ合衆国の連邦及び一部の州など、比較的少数にとどまっておりまして、過去、採用したものも廃止するものもあるということでございまして、必ずしも世界的に非常に普及しているというわけでもないようでございます。

したがいまして、この仮釈放のない無期刑につきましては、刑罰の在り方に対する種々の議論を参考にしながら総合的に考えまして、様々な観点から慎重な検討を要すると思っております。

千葉景子
刑罰の在り方というのは本当に難しい問題だというふうに思います。ただ、今、大臣もおっしゃいましたように、終身というのはむしろ社会に復帰することすべてを奪うわけですから、そういう意味で極めてある意味では非常に過酷な刑だということが指摘されているのは私も承知をさせていただいております。ただ、そうなりますと、逆に本当に死刑というのは正に命を奪う刑でございますので、更に過酷といいますか、非常に極限的な刑ということになろうかというふうに思います。

そういう意味で、これに正しい答えなどというのはなかなか出るものではありませんけれども、先ほど言いましたように、やっぱり全体的に刑の在り方みたいなものは、諸外国の実態もいろいろ違うように、やっぱり日本の社会の中でも時代、それから国際的な社会との関係ということも含めまして議論をしていったらどうだろうかというふうに思います。

先ほど言ったように、やっぱりだれも知らないんですよね、国民も余り刑罰ということについて。そういうことでは、これからやっぱり司法の市民参加とかあるいは司法の改革への不断の取組にそごを来すということにもなりかねません。

よく言われますように、日本では死刑の執行などは絞首刑で行われるわけですけれども、そういうこともなかなか一般には周知はされていない。私は、是非そういう意味では、執行がどういうところで行われているんだろうか、こういうことも、私自身も拝見したこともないですし、だれも、本当にほとんどの人が知らない、こういうこともあり、できればこの委員会などで議論をしていただいて、刑の執行をする刑場等をやっぱり視察をして、どういう実態なのかということを知ることも大事なんではないかというふうに思っておりますので、いずれまた委員長にその辺も御議論の場を作っていただければ有り難いというふうに思っております。

さて、刑罰もこのように各国の状況も違いますし、施設でのやはり処遇の実態も違うだろうというふうに思います。これは先ほど佐々木委員からも御質問がございまして、私もいろいろ感じているところでもございます。

そこで、お尋ねをさせていただきますけれども、今の矯正施設ですね、日本の、の問題点、幾つかあろうかというふうに思います。それは、多分外国人の受刑者にもいろんな問題として、より強化といいますか、される部分だというふうに思うんですけれども。

以前から指摘をされております、今、矯正施設の過剰収容、これが非常に問題になっております。これは受刑者も、そしてそれを処遇する職員の皆さんにとってももうこれは大変な事態になっているわけです。この間もちょっと物の何かで私も拝見いたしましたけれども、一つの部屋にたくさん今収容せざるを得ないということで、例えば朝の起床時刻、その後はそこに設置をされているトイレが本当に列を成すような、そんな状態を起こしているとか、それからやっぱり大勢が処遇をされるということになりますので、そこでのトラブルとかも増える、そういうことも指摘をされております。

こういう点について、その中に外国人の受刑者が更に存在をしているとなると、そこでの本当にトラブルとかあるいは問題が多々生じてくるんではないかと思いますけれども、この過剰収容によって起こっている問題点、外国人の収容者に対する問題点も含めてどんなことが起こっているのか、それにどう対応を今取っておられるのか。ちょっとそこを聞かせていただきたいと思います。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

ただいま御指摘のように、行刑施設、これは拘置所、刑務所を含む施設でございますけれども、一〇〇%を超える過剰収容になっておりまして、特に刑務所につきましては一一〇%を超えるという状況でございます。

過剰収容になりますと、まず最初に生活の場所というのですか、居室とか工場、そのスペースが非常に不足してまいります。それから、あと食費とか、そういった被収容者の生活関連経費も確保する必要に迫られるという問題があります。

こういう状況ですので、先ほど御指摘がありましたように、居室は定員を超えて被収容者を収容するということはどこの施設でも行っておりますが、そのほか、集会場、倉庫等を改修して居室や工場に転用するとか、また財政当局の理解も得まして居室棟というのを増築する、そういうようなことで今この収容増に対応しているということでございます。

今申し上げたのは収容確保という面ですけれども、じゃ施設内での受刑者の処遇の方はどうなんだろうかといいますと、やはりこの生活空間が狭まるということになれば、当然のことながらストレス、不満というものは増えてまいります。そうするとどうなるかといいますと、やはり規律違反がどうしても多くなってきますので、そのための懲罰という問題も出てきますし、それが更に高じますと、逃走あるいは職員暴行、けんかといったような事故の発生も懸念されるということでございます。

外国人受刑者は、そういう状況の中で、特に日本語が理解力が必ずしも十分でなかったり表現力が不十分であると。そういったために、刑務作業を科す上でも、いろいろ指導してもなかなか細かいところまで通じないというような問題もあります。

各施設ではできる限り、意思疎通ということが一番重要ですので、その困難を克服するために、職員の語学研修を実施するとか、あるいは民間の方のボランティアの方に御協力を得るとか、あるいは大使館の御協力を得るというようなことで、通訳、翻訳等の関係機関の、通訳、翻訳等の面でそういった関係機関の協力を得て意思疎通を図るように今努力しているというのが現状でございます。

千葉景子
これはイタチごっこのようになっても困るわけなんですけれども、もう増える、施設を増やすなりしていく、で、また増え、犯罪が増えていくという繰り返しでは本当に残念なことで、でき得れば施設を増築しなくても、逆に定員よりも少なくなっていくということになることを私たちもむしろ望むわけですけれども、今そういう状況にないとすると、本当に意思疎通をどうやって取っていくかとか、あるいは、特に外国人の収容者の場合には言葉の障壁等でより一層トラブルになりやすいというようなこともあろうかというふうに思います。

そうなると、やっぱりその言葉の障壁についてどういうふうに対処するかと。通訳人をできるだけ確保するとか、あるいは職員の方々に言葉をできるだけ習得していただくということになりますけれども、これもなかなか新しい言葉を習得するというのも大変なことですので、通訳者などをできるだけ確保したりして対応するということになろうかというふうに思うんです。

どうなんでしょうか。今、その通訳のできる人、通訳者等の確保はどんなふうになされているのか。それぞれの部署でこれは大変な問題になっていると思うんです。

今日はその意味で、検察庁での通訳人の確保がどんなふうになっているのか。それからその次は、今度は裁判ということになるわけですので、裁判関係で通訳人はきちっと確保されているのか。それから、矯正施設での通訳者の確保はどんなふうになっているのか。特に、受刑施設、矯正施設の場合には、裁判などですと、一定のその裁判という手続のところを通訳人が通訳をするということになりますけれども、矯正施設などの場合ですと、日常がその言葉と言葉での意思疎通になるわけですよね。そうすると、一定の、ここからここまでの手続について通訳者がいれば足りるというばかりではなくて、本当に日常いろんな場面場面で必要になってくるというようなこともあろうかというふうに思うんですが、そんなところをどう対処をされているのか。

まず、通訳者の確保の点についてお聞きをした上で、その矯正施設での対応方、どんなふうにされているかを聞かせていただきたいと思います。

政府参考人
古田佑紀
御指摘のように、通訳人の確保というのは大変大事な問題でございまして、検察庁におきましては、外国人の取調べの際に必要な通訳につきまして各地方検察庁で必要な言語及び人数を確保をしていると承知しております。少数言語の通訳人確保につきましては、これは最高検察庁におきまして全国の地方検察庁に登録している通訳人データベースを作成して、必要な場合に各庁相互間で通訳人を相互できるような体制を整えていると承知しております。
最高裁判所
長官代理者
大野市太郎
それでは、裁判所の実情を御紹介させていただきます。

裁判所におきましても外国人事件は大変増えてきておりまして、通訳を要する事件が年々増加しているという状況にあります。地方裁判所におきまして通翻訳人が付された被告人の数は、平成元年には六百八十九人と、その年に判決をしたいわゆる終局人員のうちの一・三%という程度にすぎなかったんです。その後急増いたしまして、平成六年には五千三百三十一人、終局人員中一〇・七%ということで二けたになりました。平成九年には、今までのうちの最高の人数ですが、七千二百十九人ということで一二・六%を占めるようになりました。もっとも、平成十年から若干減り始めましたが、平成十二年は六千二百八十一人、終局人員のうちの九・二%の被告人について通訳人、翻訳人が付されたという状況にあります。

裁判所では、このような事件の急増に伴いまして、各国の大使館、それから大学、語学学校などの協力を得、また広報による公募などを通じまして通訳人の確保に努めてまいりました。その後、結果、平成二年は通訳人の候補者が二十七言語で、延べですが、四百十四人という状況でありましたが、平成十二年度には四十二言語で二千七百三人、平成十三年には四十四言語で三千三十七人まで増加しております。しかしながら、我が国でその言語を理解する者の数が少ないいわゆる少数言語につきましては、まだ通訳人候補者が一けたというようなものも相当数ありますし、一人しかいないというような状況もありまして、今後ともその確保とその能力向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

矯正施設では日常生活があるわけですので、特に意思疎通を図るということは非常に大事ですので、通訳人とか翻訳の確保に努めているところでございますけれども、特に必要なのは、先ほども御質問に出ましたけれども、F級受刑者ということで、これを収容している施設、中心的な施設は府中刑務所と大阪刑務所にあります。こういうところでは国際対策室というものを設置しまして、両施設に外国語を解する職員を配置するというような手だてを講じておりますが、そのほか、一般の職員でもある程度簡単なことは受刑者の母国語でやれるように、対話集というものを作るなり、また生活、所内生活の手引みたいなものというか、しおりみたいなものについてはある程度その外国人受刑者用のものを作るというようなことで努力しているところでありますけれども、これからもまた外国人受刑者は増えてまいりますので、民間の方々にも御協力いただくなりして、通訳あるいは翻訳をしていただく人の確保に努力していきたいというふうに考えております。

千葉景子
御説明いただき、一定の資料いただいておりますが、本当に少数言語になりますと、一応確保されているのが一人とかいうことになりますと、本当にこっちの施設と違う施設などとなると本当に通訳者の人も東奔西走といいますか、大変な業務になろうと思いますし、施設の方もその確保でなかなか十分に意思疎通ができにくいということにもなりかねません。それがいろいろなまた摩擦につながるというふうなことになってもあれですので、大変なことですけれども、努力をしていただくと言うしかないのかなという感じがいたしております。

でき得れば本当に犯罪が減るということが一番よろしいとは思いますけれども、そうはなかなか簡単にいきませんので、これも努力を更に続けていただきたいというふうに思います。

この行刑施設の中で、先ほど各国の比較もさせていただきましたけれども、刑務作業ですね、これがやっぱりどうされているかということは、一つ私も大変関心を持っているところでもございます。

ただ、この刑務作業、もう既にさっきお答えなども出ておりますので、ちょっと別な観点から聞かせていただきますけれども、これはそれに対する賞与金が月に、月額平均四千円という話でした。まあ、これは決して労働の対価という位置付けではありませんので、たくさん賞与金を高額にすればいいというふうに私も思うものではありません。

ただ、大きく物事を考えますと、この行刑施設から社会復帰をする、社会復帰をしてできるだけ再犯などを防ぎ、先ほどの過剰収容なような状況ができれば解消できると、こういう循環になった方がいいわけですよね。今それがどうも逆な状況で、受刑矯正施設を出る、前回、更生保護施設に関連する法案の審議もさせていただきましたけれども、一定期間そういうところで助走期間を付けて社会に復帰をする、ただ、なかなか手元に十分な資金もない、仕事にも就けない、それによってまた再犯に走る、また矯正施設へ戻ってくる、過剰、定員オーバーになっていくと。こういうちょっと今流れがあるように思うんです。

そういうことを考えますと、決して労働の対価というわけにはいきませんけれども、例えばこの賞与金などについても、一定の今後の社会復帰をした際のまず生活の基盤づくりになる程度の何かそういう賞与金の在り方というのは考えられないのだろうか、それのためには今度は税金をそれに多額につぎ込むということもなかなか理解がしにくい、得られにくいというところであるとすれば、やっぱり刑務作業でいろんな製品が作られたりあるいは生産が行われている、こういうものを何か生かして収入源を少し、できるだけ得るようにする、こんなことも工夫をしていく必要があるのではないかと思ったりいたしますが、その点など、刑務作業の在り方、賞与金の在り方などについてどうでしょうか。少し改善をしてみよう、あるいは工夫はしているんだけれども、こんな点で大変だというふうなところありましたら、御説明をいただきたいと思います。

政府参考人
鶴田六郎
刑務作業、刑務作業における作業賞与金ということでございますけれども、これは、刑法に定める懲役刑の内容そのものである刑務作業を奨励し、かつ釈放時における当座の生活維持や就職準備等のための更生資金ということで役立たせるためのものでございまして、刑事政策の一環として支給されている性格のものでございますが、この作業賞与金については、その額をどういうふうに設定したらいいのかというようなことも一つ問題になろうかと思います。この点については、今申し上げました作業賞与金の性質等に照らしながら、国民感情等の諸条件を考慮して決定されるべきものではないかと、その観点から適正な維持にこれまでも努めてきたところですけれども、そういった考え方で対応すべきものかなというふうに考えております。

また、刑務作業で得た製品を、いろいろ矯正展とか販売展、即売会というようなことで開催して、いろいろ販売促進に努力しておりまして、そこでの売上げが原則として国庫に入るということになりますけれども、それを作業賞与金の方に回すかどうかということになりますと、なかなかいろいろな面で難しい問題があるのかなという感じを持っております。

千葉景子
現在のシステムは私も知っています。直接、刑務作業で売り出した、その得たものが直接、賞与金になるわけではありません。国庫に納まって、賞与金はまた別な位置付けで供与されているということですから、それは分かるんですけれども、やっぱり少しいろんな形で工夫をする、あるいは制度の在り方を見直してみるという余地はあると思うんですよ。それは結構です。

それとちょっと関係をいたしますけれども、先ほどもお話があったように、この日本の場合に、国内で受刑をし、そして社会に復帰をするという場合ですと、これは日本の国内ですから分かりやすいんですけれども、これ移送するということになりますと、例えば、やはりどういう刑務作業といっても、今度帰国した本国で多少なりとも生かされるような、そういうことを考える必要もあるでしょうし、その賞与金の在り方などもどう位置付けたらいいのかということもあろうかというふうに思うんですね。

そういうことで、刑務作業と、それからそれと延長線上にあるんですけれども、やっぱり社会復帰した際の職業訓練というんでしょうか、出たときに何か身に付けて更生の道を歩く、再犯などに走るようなことがないように手だてをしていくということも必要だというふうに思います。そんなところをどういうふうに今されているのか。そして、外国人の受刑者などについては、これも既に触れてはいただいておりますけれども、やっぱり本国に戻るということを踏まえてどういう対処をされているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

これも、前回の更生施設等のお話などもお聞きをしますと、なかなかやっぱり仕事がない、しかも身に付いた技術等もなかなか乏しいと。こういう中で、どうしてもまた自分で自立の道が切り開くことができなくて再犯というふうなことも多々あるということも聞いております。こういうことを考えると、矯正施設というのは決して職業訓練所じゃありませんので、それだけを目標にするということではありませんけれども、やっぱり再犯を防ぎ、そして受刑者の数をできるだけ抑制し、抑止を目指していく、それがひいては社会的なコスト、財政的な負担減にもある意味ではつながっていくということを考えると、この辺りもいろいろ工夫をする必要があるのではないか。

外国人の受刑者に対する対応の仕方と併せてお答えをいただきたいと思います。

政府参考人
鶴田六郎

お答えいたします。

受刑者に対しましては、懲役刑の場合ですと刑務作業というものを科していくわけですけれども、ただいま委員が御指摘になりましたように、この刑務作業を科すという、それを通じて、その中で職業上の技術あるいは勤労意欲といいますか、そういうものを身に付けさせるという意味での職業訓練というのは、社会復帰を図る上で非常に重要だというふうに考えております。

この受刑者に対する職業訓練を一般的に申し上げますと、職業に必要な技能を習得させ、又はその技能を向上させることを目的としてかなりの範囲で実施しております。職業訓練として実施する種目につきましては、できる限り社会の労働需要が高い職種に対応したものにすべきだというふうに考えておりまして、こういった観点から、現在、受刑者職業訓練として、例えば訪問介護員の資格を取得できるような介護サービス科とか、コンピューター技術者養成のための情報処理科とか、あるいは自動車整備士の資格を取得できる自動車整備科など五十七種目を実施しておりまして、また釈放された後、やはり資格を取っているか取っていないかで大分違うものですから、できる限り職業訓練をやった後で公の資格や免許を取得するようにと、そういった考えで今指導しているところでありまして、この点は、今後も時代の要請に合った多様な訓練種目の導入を図って、その充実を図っていきたいというふうに考えております。

ただ、外国人受刑者の場合はどうかということになりますと、先ほど佐々木委員の方から御質問がありましたけれども、日本語が余りよくできないということになりますと、職業訓練ということでも非常に限られてくるところが出てきますし、そもそも社会復帰理念といった場合の社会復帰する場所が日本でない、外国だということになりますと、一体どういう職業訓練を行った方がいいだろうかといったようなものが、大変難しい問題があり、そういったことを考えてきますと、やはり本国で、移送して受刑させた方がいいのではないかというような、結論的にはそこに導かれるようなことがありまして、今回の受刑者移送制度を導入するといった一つの動機には今申し上げたような点があるということで、お答えとさせていただきたいと思います。

千葉景子
これはそのとおりだと思うんですね。なかなか復帰するところが、日本であれば対応の仕方もあろうかというふうに思うんですけれども、復帰するのが外国、その者の本国ということになると、なかなかそれに即応した、それで、それに十分適応できるような対応、訓練を我が国の矯正施設でやるというのも、これ限界があるのかなという感じもいたします。

こういうことも背景にありながら、今回の法案も条約締結もあろうかというふうに思うんですけれども、これも触れられたところですけれども、本人の同意というのがこの送り出し、受入れの条件になっていますよね。この本人の同意を得るために、あるいは本人の申出みたいなものが契機になるのかもしれませんけれども、こういう制度があるということをどういうふうに受刑者に周知をするのでしょうか。これも、その周知の仕方、内容、どんなことになるのか教えていただきたいというふうに思うんです。

というのは、例えば日本では刑務作業をこういう形でやっています、あなたの本国に帰ると、刑務作業はあるけれども、こんな違った形でやっています、だから向こうの方がより社会復帰やあなたに適応しそうですよというところまで周知をするものなのか。逆に今度は、刑務作業が仮にない国であるとすれば、じゃ、やっぱりそちらに早く戻った方が楽かなということにもつながりかねない。その逆もあると思うんですね、非常に厳しい処遇のシステムを持っていると。そういうことになると、そういうこともきちっと知らせると、やっぱりここの日本で処遇を受けておこうと、こういうことも選択の中に出てこようかというふうに思いますし、あるいは仮釈放の、先ほどお聞きをいたしましたけれども、制度、これも年数とかあるいはシステムが必ずしも同じでは、全く同じではありません。早期釈放の制度はどこにもあるようではございますけれども、その年数とか基準などが違っている。

こういうようなもろもろを受刑者に示すというようなことまでされるのでしょうか。それとも、本国で受刑できるよと、そういうことだけを周知をするというようなことになるんでしょうか。その辺はどういう手続になるか教えてください。

政府参考人
鶴田六郎
受刑者移送制度の受刑者に対する告知ということでいろいろ御質問がありましたので、その一つ一つについてお答えいたしますが、まず申出が移送手続の端緒になるかというのはそのとおり、受刑者から移送に関する申出があれば、それをきっかけとして裁判国又は執行国が移送の要請をすることがあるわけでございまして、そういった意味では申出はこの制度の端緒、受刑者移送の端緒となります。

それで、受入移送と送出移送という二つの種類がありますが、その場合、条約の内容あるいは制度の内容を受刑者にどうやって周知させるかといったことが問題になります。

受入移送の場合は、条約の第四条に、「裁判国は、刑を言い渡された者であってこの条約の適用を受けることのできるすべてのものに対し、この条約の内容を通知する。」というふうに規定しておりまして、条約上、裁判国が告知の義務を有しているわけであります。裁判国がこの条約上の義務を履行としてこれを誠実に行うということになりますので、受入移送の場合は、日本人受刑者の場合は外国にいるということになりますので、恐らく裁判国である外国がこの条約に基づいて誠実な告知をするであろうというふうに思われます。

では、送出移送の場合は、今度は裁判国であるのは我が国になりますので、送出移送の犯罪に係る裁判が確定した時点で、受刑者が収容されている監獄の長が受刑者に対して、これは欧州評議会が作成しているモデル告知書というものがございます。それに基づきまして作成された条約告知書、これはその受刑者の母国語に翻訳されたものがありますので、それを作成しまして、それを交付した上でその内容を説明すると、そういうふうなことを予定しております。裁判が確定した時点で受刑者が収監されていない場合には、その後収監された時点で同様の告知手続を取るというふうにしております。

その送出移送の場合、受刑者に周知させる内容をどの範囲にするかというのも御指摘のとおり一つの問題でございます。先ほどもお答えいたしましたように、欧州評議会が作成しておりますモデル告知書に基づいて作成された条約告知書を交付した上で、その内容を予定することになっておりますが、この条約告知書の内容というのはかなり詳細になっておりまして、条約の内容がほとんど網羅されているような状況ではございますけれども、今、先生の方からお尋ねのあった執行国での、つまり送り出した後の執行国での刑務作業の有無や仮釈放の制度と、こういった問題はどうするかということで、我々が把握している範囲内では概略説明することはできますが、やはり執行国の刑罰法令の詳細ということになりますと、できる限り、領事館の方もおられますし、同意の確認を得るとき面接する機会もございますので、そういった過程で本人と面会して、できる限り執行国におけるそういった刑務作業の状況とか仮釈放制度がどういうふうになっているかというのは説明した方がよりいいのではないかというふうに考えておりまして、基本的にはそのような考え方で制度の告知を図っていきたいというふうに考えております。

千葉景子
分かりました。要するに、この条約の中身というだけで、条約そのものの説明というだけではなくて、実際に受けるであろう処遇の内容とかいうことにまで一応告知をする、あるいは十分な説明をした方がいいのではないかと考えておられるということですね。

それは、この法律が求めていることなんでしょうか。それとも、そうではないけれども、その方がこの制度を運用するに当たって良いのではないかという行政的な、何というんでしょうね、配慮というか、そういうことなのでしょうか。そこはどういう位置付けになるんですか。

政府参考人
鶴田六郎
お答えいたします。

条約上の義務といたしましては、先ほど申し上げました条約の内容、これを各受刑者に、裁判国において告知するということで、すればよいということですので、条約上の義務としてはそれで足りるかというふうに考えておりますが、どの程度までという具体的にまでまだ詰めて考えておりませんけれども、ある程度の法律、帰る先の法制度がどうなっているかということについては、概要については同意を得るときに説明することになるでしょうし、またその国の領事館の方もまた面接して同意の確認を得るということになりますので、そういった過程でより詳しい説明がなされる、そういう運用がなされてよいのではないかというふうに考えております。

このことは、また逆に日本人受刑者が外国にいる場合どうだという場合にも、日本に帰ってからどうなるんでしょうかと、共助刑の刑期あるいはそういうものはどうなるんでしょうかというのは当然関心を持つことですので、条約上の義務としてそこまで要求はされておりませんけれども、そういったことについては、その概要や仮釈放制度がどうなっているかというようなことについては、外国で日本の領事館を通じて同意の確認を得るときとか、必要に応じてこちらから職員が行って同意の確認をするという場合もありますが、そういった機会をとらえて説明した方がいいのではないかというふうに考えております。

千葉景子
これも先ほどの御質問でも触れておられたところですけれども、今のような、条約そのものではない、処遇の内容等にかかわること、それの両国の違いとか、そういうことは、例えば法務大臣が相当性を判断するに当たって配慮される条件といいますか、要素になるんでしょうか。

例えば、日本では刑務作業を科している、しかし送り出そうとする国の方はそういうものがない、これは刑としての一体性といいますか共通性にちょっと欠けるからやっぱり相当でないと、こういうような判断などがなされる可能性はあるのでしょうか。あるいは、仮釈放とかそれの制度が非常に大きく違っている、それによって刑のやっぱり執行が非常に差異が生じてくる、こういうようなことなどは、最終的に御本人が、よし、是非そっちがいいということがあろうかもしれませんけれども、大臣としての、いや、これはやっぱり相当性に欠けるんだというような判断に影響を及ぼしたりするんでしょうか。

政府参考人
鶴田六郎
送出移送する場合の相当性判断につきましては、先ほど佐々木委員の御質問のときに大臣の方から基本的な考え方を御答弁したと思いますが、やはりこの受刑者移送の目的でございます改善更生と社会復帰の促進を図るということと同時に、また日本の刑罰執行責任ということにも配慮しなければなりませんが、そのほか、今御指摘があったとおり、これはあくまで日本の裁判所が言い渡した懲役又は禁錮の刑の執行を、外国に執行の共助を嘱託するというかお願いするという制度でございますので、お願いしたはいいけれども、日本の刑罰の執行がないがしろにされるというようなことがあっては、これはこの制度にそぐわなくなってまいりますので、ある程度、移送した、送出移送した後、執行国において仮釈放とかあるいは恩赦というのがどういうふうになされるのかというのは、その法制度も含めて十分検討しまして、送り出した途端すぐ釈放されちゃったとかいうような事態がないように、もしそれが予想されるような場合は、当然これは相当性の判断で十分配慮していかなければならないと思います。

この点について、先ほど欧米諸国の仮釈放の制度等を申し上げましたけれども、総じて日本よりも、仮釈放が許されるのにどのぐらい服役期間を要するかという期間が、日本は有期刑の場合三分の一ですが、二分の一とか、それが三分の二とかいうかなり長く設定されているようですので、すぐ仮釈放になるというような事態は余り想定されないというふうに考えておりますが、いずれにしても、そういうことは当然、相当性の判断のときに考慮することになるというふうに考えております。

また、刑務作業の場合につきましても、今、日本では刑の内容としてやっておりますけれども、その目的はやはり本人の改善更生、社会復帰のための措置ですので、恐らく外国においても、刑の内容としてではなく、矯正処遇の一手段として刑務作業という方法が取られているところが多いわけですし、またそれがない場合でも、他の改善更生のためのプログラムとか、そういうものも用意されているというのであれば、そういったところに送ることについて、この制度の目的の面から見て特に問題があるというふうには考えておりませんということでございます。

千葉景子
日本の刑の執行を嘱託するという趣旨にやっぱり合致するといいましょうか、それを大きく損なうような場合には、やっぱりその相当性の判断ということに影響があるというふうに受け止めさせていただきたいと思います。

最後になりますけれども、もうこれも先ほど大臣からお答えがありました。重ねてで恐縮でございますけれども、やっぱりこれ、制度が十分に活用されるためには、今、受刑者の多くを占める中国あるいはアジアの諸国が、やっぱり同じ共通な刑罰制度、あるいはこの条約なりへの加盟等がありませんと、数からいきますと本当に限られた数の適用しか今の現状では難しいのかなという感じがいたします。

そういうことを考えると、その辺の今後の課題ということになろうかというふうに思いますけれども、そのアジア諸国などにやっぱり法整備とかあるいはこの条約の締結などを促すようなそういう活動も、この制度を日本が批准する以上、やっぱりそれを確たるものにしていくという役目もあると思うんですが、その点についての大臣としてのお考えをお聞きして、終わりたいと思っております。

国務大臣
森山眞弓
おっしゃいますように、今、日本の刑務所等に収容されている受刑者、外国人受刑者の中にはアジアの人々がかなりの多数を占めております。しかし、一方において条約締結国の人々も、少しではありますが、おりますので、まずこの条約を私、日本の方が締結する、そのために必要な法整備を行うということによりまして、その取っ掛かりをまず作っていきたいというふうに思います。

アジア諸国の間でも、この条約に加入しているものはまだもちろんございませんけれども、昨年、タイで開催されました第二十一回アジア太平洋矯正局長等の会議におきましても、議題の一つとしてこのような問題が取り上げられておりまして、関心はかなり高いというふうに思います。

先ほども申し上げましたが、つい先日訪ねました韓国においても非常に関心を持っておられて、近い将来検討する課題にしたいというお話がございまして、日本の場合も、当然、アジアにおいて比較的法律制度の近い韓国辺りが一番最初の課題であるかなというふうに思っておりまして、それにしましても、まず日本がこのような制度を整えまして始めるということからスタートしたいというふうに思っているわけでございます。

アジア諸国の動向も今後とも注目しながら、欧州評議会の受刑者移送条約による受刑者移送の実績や成果なども見極めながら、外務省とも相談して、アジア諸国との関係についても検討を進めていきたいと思っております。

千葉景子
ありがとうございました。
<途中省略>
委員長
高野博師
他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。

これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。

国際受刑者移送法案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕
委員長
高野博師
全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。

千葉景子
私は、ただいま可決されました国際受刑者移送法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。

案文を朗読いたします。

   国際受刑者移送法案に対する附帯決議(案)

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 外国で服役している受刑者のための国際受刑者移送制度が、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進に資することにかんがみ、アジア諸国等に本制度の導入を働き掛けるとともに、諸外国の刑事法制の調査、法整備支援の拡充に努めること。

二 本制度の運用に当たっては、受刑者に対し、制度の趣旨、移送後の法的効果等の周知を図るとともに、移送の際には、受刑者本人の意思を十分確認、尊重すること。

三 外国人受刑者の国籍の多様化に対応し、その処遇に遺憾なきを期するため、必要な言語の通訳人を確保、養成するための所要の措置を講ずること。

  右決議する。

以上でございます。

何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

委員長
高野博師
ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

〔賛成者挙手〕
委員長
高野博師
全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。

国務大臣
森山眞弓
ただいま可決されました附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
委員長
高野博師
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
高野博師
御異議ないと認め、さよう決定いたします。

本日はこれにて散会いたします。

午後三時三十八分散会


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