| 発言者 |
民事訴訟における刑事事件関係書類に関する質疑
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委員長 日笠勝之 君 |
民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
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千葉景子 君 |
おはようございます。民主党の千葉景子でございます。
きょうは、民事訴訟法の一部を改正する法律案に関しまして質問をさせていただきますが、これは既に衆議院の審議の中で修正等も施されまして、おおよその議論が尽くされたものも多いかと思います。しかし、まだ私の頭の中でもなかなか十分理解できない部分もございますので、限られた時間ではありますけれども、確認を含めて質問させていただきたいと思っております。
そこで、きょうは刑事事件関係書類の問題を中心に質問させていただきたいと思います。
そこで、まず冒頭に、民事訴訟における刑事事件記録の利用について、現行制度の実態と、それからそれに関する利用の実情のようなものをまず聞かせていただきたいというふうに思います。
私も、この審議に当たりましていろいろ自分なりに整理整とんはしてみたんですけれども、民事訴訟において刑事事件記録がどういう形で制度上利用が認められているかということを考えると、一つは起訴前の記録、それからその中に不起訴になった記録という部分がございます。それから、起訴になり公判手続が進んでいる、そういう状況にある記録、それから事件が終わり確定をいたしまして、その確定した記録についてと、いろいろな段階での制度があろうかというふうに思います。
例えば、刑事訴訟法では、起訴前の訴訟書類、起訴前というか公判開廷前は原則として公開が禁止になっているということがございます。ただ、公益上必要があるときはこの限りでないというただし書きがございますけれども、公判の開廷前はこういう制度が適用されるということになろうかと思いますし、公判中になりますとこれはなかなか難しい問題でございまして、犯罪被害者保護の関係で多少記録の閲覧等が可能になっているのかなというふうに思います。それから、今度は確定した記録になりますと、刑事確定訴訟記録法によりまして閲覧、謄写などが一定程度認められると。
こんなようなおおよその場合分けといいましょうか、そしてそれに対応する制度ということが現行法上は存在するのかなと思いますけれども、どうでしょうか、まずそのあたりの、現行の制度における刑事訴訟記録の扱いについてちょっとわかりやすく説明をいただければと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
とりあえず、私が承知しております範囲で、御質問の内容を整理してお答えしたいと存じます。
民事訴訟におきましては、刑事関係書類を書証として利用する手段といたしましては、民事訴訟の当事者が、検察官または刑事裁判所の許可を得て、刑事関係書類を謄写して提出する方法というのがまずございます。また、それとは別に、裁判所からの文書送付の嘱託に基づきまして、検察官または刑事裁判所から送付された刑事関係書類を民事訴訟の当事者が謄写して提出する方法と、およそ二つに分かれるかと思います。
その中で、まず検察官が保管する確定訴訟記録につきましては、刑事確定訴訟記録法第四条に基づきまして、原則として閲覧することができます。最近の統計では、民事訴訟での利用を目的とする閲覧請求は年間五千件以上に上りまして、そのほぼ全件が許可されております。また、運用上、謄写請求もほぼ全部が許可されております。
また、確定訴訟記録について文書送付の嘱託があった場合には、運用上、刑事確定訴訟記録法に基づく閲覧に準じ、原則としてこれに応ずる取り扱いがされております。近年の受理件数は年間千件前後でございまして、そのほとんどについて嘱託に応ずる取り扱いがされております。
次に、刑事裁判所が保管する確定前の訴訟記録につきましては、昨年十一月に施行されたいわゆる犯罪被害者保護法によりまして、第一回公判期日後であれば、被害者等が損害賠償請求をするために必要である場合などの正当な理由があって、かつ犯罪の性質や審理の状況等の事情を考慮いたしまして相当であると認められる場合には、被害者等に当該記録の閲覧または謄写をさせることができます。文書送付の嘱託があった場合にも、これに準じて刑事裁判所の判断により送付をすることができます。
さらに、不起訴となった事件の記録につきましては、刑事訴訟法第四十七条により非公開が原則とされていますが、そのただし書きによりまして、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」とされておりまして、特に交通事故の実況見分調書などにつきましては、従来から文書送付の嘱託や弁護士会からの照会などに応じて開示が行われてまいりました。
近年の運用の実態を見ますと、実況見分調書等の送付嘱託の件数は年間千件を超えまして、また弁護士会からの照会は七千件前後に及んでおりまして、その九割以上について嘱託、照会に応ずる取り扱いがされております。
さらに、平成十二年二月以降は、被害者等が民事訴訟等において、被害回復のため、損害賠償請求権その他の権利を行使するために必要と認められる場合には、関係者のプライバシーを侵害するおそれや捜査、公判へ支障を生ずるおそれがない限り、開示対象となる事件を交通事故に係る事件に限定することなく、また開示対象となる証拠も実況見分調書だけではなく、写真撮影報告書、検視調書等の客観的な証拠で、かつ代替性がないと認められるものに拡大する適用を行っているところでございます。
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千葉景子 君 |
大変わかりやすく整理をして御説明いただきまして、ありがとうございます。
現行制度上は、今、大臣から御説明があったそういう制度になっておろうかというふうに思います。ただ、それらの制度はそれぞれいわば趣旨といいましょうか、それはあるわけでございまして、必ずしも民事訴訟において証拠収集のための制度というわけではない。ただ、今お話がございましたように、必要があればでき得る限り送付嘱託などに応じている、あるいは弁護士会照会などで明らかにしていくという方向はあるように思われます。
ただ、実際にそれが本当に、今九割方というようなお話もございますけれども、そうなんだろうかということを考えますと、これは日弁連の方で調査をされた実情と伺っておりますけれども、必ずしもそういうわけでもないということが示されております。特に、例えば労災関係の事件などですと、なかなか公開されていないという実情もあるようですし、それから基本的に公開がされなかった、送付嘱託などに応じられなかったというものが百件余りの中で不起訴記録ですと五十件余り、公判中の記録ですと二十件、そして確定記録でも二十九件、三十件近くという調査もございます。これがすべてとは私も申しませんけれども、必ずしも十分に刑事訴訟記録が活用されている、あるいは応じられていると言うわけにはいかないような気がいたします。
そういう意味では、どうなんでしょうか、やはり刑事事件の関係書類を民事訴訟のために使うことができる、民事訴訟の審理をするために、そして真実を発見するために活用することができるということを、先ほど御説明いただきましたそれぞれの個別の制度ではなくて、きちっとした形で制度化するということの必要性ということがあるのではないかというふうに思っています。
特に、近時いろいろな訴訟事件がございますけれども、どうしても刑事事件の関係書類がないと実態がわかりにくい、しかも民事訴訟における原告などの立場になる一般市民にとってはなかなか証拠書類あるいは証拠を収集するというのは難しい部分がございます。
例えば、株主代表訴訟で役員の贈収賄事件とかあるいは総会屋への利益供与、背任行為などを立証して株主としての権利を行使しようというような場合、あるいは住民訴訟などで談合の実態などを明らかにして住民の権利を守っていこう、こういうような訴訟。また、これはよくしばしば指摘をされますけれども、交通事故の場合、あるいは欠陥商品のようなものによって被害を受けてそれを損害賠償で解決しようという事例。先ほど言いましたように労災問題などもございますし、これもいろいろと近時にぎわせましたけれども、薬害事件等ですね、これもなかなか専門的な分野に市民が証拠を求めるというのは難しい。
刑事事件でそれが審理をされておれば、そこで捜査機関がきちっと収集したものというのが非常に大きな役割を果たすということになろうかというふうに思います。少年事件などにも同じような問題が存在をしておりますけれども。
こういう事件、そして特に近時、問題が大変増加をしているというような状況を考えますと、この刑事事件関係書類に関するきちっとした民事訴訟に提出をさせることのできる制度、いわゆる提出命令制度というものを設ける必要があるのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点について、どうでしょうか。
大臣には先ほど現行の制度を説明いただきまして、かなりそれによって訴訟が進んでいるというのは、私もあることは承知をしておりますけれども、本当にそれだけで十分なんだろうかという気がいたします。その点、大臣、いかがでしょうか。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
確かに、民事訴訟におきましても犯罪被害者が損害賠償を求める場合などには刑事関係書類を証拠として利用するという必要があることはそのとおりだと思います。
しかし、刑事関係書類というのは、国家刑罰権の実現を目的といたしまして、刑事訴訟における実体的真実の解明という公益の追求のために強制処分を含む強力な権限を行使いたしまして、その性質上、関係者の名誉とかプライバシーにも深く立ち入って作成されるということが普通でございます。
そこで、刑事関係書類につきましては、関係者の利益保護、捜査の秘密及び刑事裁判の適正の確保などの利益と、これを開示することによって図られる公益とを調整するという観点から、刑事訴訟法等において開示の要件、方法などについて独自の規律を設けまして、弊害が生じない範囲においてその開示を認めるということになっております。
このため、民事訴訟法の文書提出命令によりまして刑事訴訟法等が認める範囲を超えて刑事訴訟記録等が開示されるものといたしますと、関係者の名誉、プライバシーなどの利益に重大な侵害を及ぼしたり、将来の捜査、公判に対して悪影響を与えたりするなどの弊害が生ずるおそれがございます。
また、民事訴訟において刑事関係書類を利用する方法といたしましては、先ほどお答えいたしましたように、従来から民事訴訟の当事者が許可を得て刑事関係書類を謄写したものを提出する方法と、文書送付嘱託に基づき送付された刑事関係書類を謄写いたしまして提出する方法とが認められておりまして、実際にもこれらの方法によりまして刑事関係書類は民事訴訟の証拠としてかなり広く利用されております。
ですから、刑事関係書類につきましては文書提出命令制度における一般義務として文書提出義務の対象とする必要はなく、また適当でもないと考えられます。
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千葉景子 君 |
今、大臣から御説明をいただきました。その中で、やっぱり何点か問題点があるのではないかというふうに思います。
というのは、先ほど私も申し上げましたけれども、それぞれ閲覧、謄写の制度、公開をする制度というのが現行設けられております。しかし、それがどういう趣旨に基づいて認められているのかということを考えますと、例えば犯罪被害者の保護というようなこと、これはあくまでもその犯罪被害者を救済するというために特殊に設けられているという部分もございます。
それから、確定記録の閲覧、謄写などは、ある意味では刑事手続の公正さみたいなものを確定後、一般市民にもチェックの目が届くというような、これはそういう意味合いがあろうかというふうに思います。そういう意味では、必ずしも民事訴訟においての刑事記録の扱いということを直接目的としているわけではないということが言えると思いますし、やはり必ずしもそれらの制度だけですべてが賄われるというものでもない、それがちょっと一点ございます。
それから、大臣もおっしゃいましたように、確かに刑事事件記録は、捜査の秘密とかあるいは捜査の適正、それから個々に非常にプライバシーにかかわるものがたくさん含まれている、それを保護していくということ、これは否定できない部分だというふうに思うんです。
ただ、触れられましたそれと民事事件の真実の発見、そして適正な民事事件の解決、これも大事なことなわけでして、その調整のためにというお話でした。まさに、私はそのとおりなんだと思うんです。民事事件の解決も、これも大変公益性の高いものです。それのために刑事事件の証拠を活用するということも公益的に要請される問題であろうというふうに思いますし、その一方、プライバシーであるとかあるいは捜査上の適正ということも、これも公益的に要請された課題である。まさに、これをどう調整するかということなんですね。
だとすれば、今回のように一律に非公開といいますか、そうすることではなくて、それを一つ一つ個別に判断する。片方のプライバシーと、そして民事訴訟における真実発見あるいは民事訴訟の適切な解決ということと、相当類型として違うものがあるし、実態も違うだろう。そういうものを個別判断できるような形で制度、そして法律を構成することができないのだろうかというふうに思います。
大臣も民事事件での刑事関係書類の必要性というのはやっぱりお認めいただいているわけですし、そうなりますと、今回の法案は一律除外という格好になっているんですね。そこを個別吟味できるような法律立て、こういうことをなぜ考えられなかったんだろうかと、こういうふうに思います。個別判断という仕組みにできなかった、あるいはしなかった理由というものはどういうところにあるでしょうか。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、もともと、この法律の仕組みでございますけれども、民事事件で使う必要性ということは当然認めているわけでございますけれども、その仕切りを刑事手続にゆだねるという形でございます。
この法律案につきましては、平成十年に国会の方に提出させていただきまして、一たん廃案になって出し直したわけでございますが、その間に、やはり刑事手続の方で民事のこと等も考えながらいろいろな法律で閲覧、謄写できる範囲を広げております。また、通達等で運用上広げるという形でそちらの手続にゆだねて、そちらの方を広げていくという手法をとっているわけでございます。それが前提にございます。
それじゃ、なぜこの法案において、二百二十条のいわゆる一般の公務秘密文書でございますか、そこに入れて個別の判断をしないのか、この点についてお答え申し上げます。
個別の事件でそれぞれ判断をしていくということになりますと、やはり事件ごとにプライバシーの問題あるいは捜査の秘密の問題、個性が全部違ってまいるわけでございます。そうしますと、提出を求められたという場合に、そこの監督官庁と、あるいは裁判所も入りますけれども、そういうところはその個別の事情を述べなきゃいかぬということになるわけでございますが、これは余り詳しく述べますと、捜査の秘密、プライバシーにかかわってしまいまして、事案によってはそう突っ込んだ意見を出すことができないというものもあるわけでございます。そういう状況の中で、裁判所の文書提出命令の判断を仰ぐということになった場合に、やはり不十分であるというような事態が生じ得るのではないかということの危惧が一つございます。
それからもう一つは、最終的に裁判所が判断をするということでございますけれども、ある捜査書類の中、捜査書類は膨大にございますから、その中でAという文書を提出してほしいというふうに言った場合に、例えばAの文書だけを見て、あるいはそれだけを判断して、インカメラ手続がございますから見ることも可能でございますけれども、それで、これはプライバシーに影響がないか、あるいは捜査上の今後の問題として支障がないかということを判断するということが極めて困難であろう。捜査書類全部を見るということならば判断できるかもしれませんけれども、一つの書類を見て全体を判断することが可能かどうか、こういう点にも問題があるということを考えまして、刑事訴訟手続等の要件あるいは開示の範囲、そういうものにゆだねるというふうにしたわけでございます。
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千葉景子 君 |
先ほど、前提として刑事事件記録については刑事の制度あるいは刑事訴訟法にゆだねるというのが根底にあるというお話がございました。
しかし一方、やっぱり民事訴訟というのも刑事と同時に独立して存在しているわけで、そこでの真実の発見そして民事訴訟を適切に遂行するという要請はこちらの反対側にはあるわけですよね。そういうことを考えると、単に刑事にゆだねればいいというものではないというふうに思います。
それから、今、なかなか一つの個別の資料だけをもって必要性の判断等をするのは難しいというお話だったんですけれども、本当にそうだろうかという感じがいたします。
というのは、例えば、先ほど触れていただきましたが、公務秘密文書、これについては別に一律非公開、不開示となっているわけではないわけですよね。この中には、例えば外交にかかわる大変重要な文書みたいなものも含まれることになります、当然のことながら。こういうものについてでもやはり今回の民事訴訟法の一部を改正する法律案では個別の判断をインカメラで行えるということになっているわけですよね。
今お話があったように、難しいといえば外交文書等の方がもっともっと難しい問題というのはあるんじゃないかというふうに思いますし、それからプライバシー等の問題も、やはりそれがゆえにインカメラ手続でその必要性などを判断する。一般に公開して判断をするというわけではないわけでして、そういう意味では、今幾つか確かに理由は説明をいただきましたけれども、それ一つ一つ、必ずしもだからといって刑事事件関係書類を提出命令の一律除外にしなければ、到底今おっしゃった理由が全うできないというわけではないと思うんです。もしそうだとすれば、今申し上げたような公務秘密文書のようなものは、そちらも、逆に言えば個別判断などにゆだねて本当に大丈夫なんだろうか、むしろそういうことも言えるのではないかというふうに思うんです。
そういう意味では、再度お聞きをしてもまた同じお答えが繰り返されるということになるのかもしれませんけれども、改めて、一律除外をしてしまったということは、今冒頭から御説明があったように、民事訴訟において刑事事件関係書類の活用の必要性はあると。その開示なども、民事事件に使うという意味でも徐々に広げられてきているという流れから考えますといかにも逆行している。そして、これじゃ民事事件の裁判官はそういう判断すらすることができないのか、そういう能力もないのかと極端に言えば言っているようなそんな感じもするわけでして、改めてこの刑事事件関係書類の一律除外ということについて本当に問題はないのか、あるいは今後、問題を残してしまったとお感じにはならないか。民事局長、いかがですか。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げたのは、制度として刑事手続にゆだねるということでございますけれども、その中でやはり刑事の方の秘密にしなければならない、プライバシーを守らなきゃいかぬという要請と開示しなければならないという要請、これは民事にも必要だということを前提に徐々に徐々にそちらで広げているわけでございまして、そういう意味では情報を開示するという流れにマッチしているというふうに私は理解をしております。
それで、現在こういう形で御提案をさせていただいているわけでございますけれども、では今後どういうことになるのかという御質問でございます。
現在、私どもはこれで大部分の場合は対応できると。じゃ、具体的にどういう場合に本当に対応できないのか。確かに、拒否された例もいろいろあるようでございます。その中を一つ一つ全部分析していって、どういう場合に本当に必要になるのかということがなかなか具体的に御指摘をいただく場面がなく、また非常に抽象的でございまして、そういう点、我々としてももちろん法案を検討して提出させていただく場合、本当に世の中に支障があるという場面があればそれはやはり改正をせざるを得ない、手当てをせざるを得ないというのは法律を担当する担当者の考え方でございます。
現時点におきましては、この仕切りで大部分の場合は対応できるだろうというふうに考えておりまして、また今後その運用等いろいろ経まして、本当に支障があるというのが具体的に出てくるという状況であればそれはそれとして考えざるを得ないというふうに私どもは理解をしております。
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千葉景子 君 |
わかりました。
そうなりますと、今回、一律除外というような形にはなっているけれども、例えば具体的にこういう支障があるというようなことを、じゃ、改めて問題が生じてきたとかあるいはそういう指摘がなされている、あるいはそういう調査をなさってまたさらに問題に対応していくということになるのかなというふうに思います。ぜひこれは、今申し上げてきたことの具体例などを私どももさらに提起させていただき、今後のまたさらなる議論を怠りなく進めていただきたいというふうに思うわけです。
ちょっと、先ほどインカメラの話を伺わせていただいたんですけれども、ついでといってはなんですが、お聞きをしておきたいというふうに思うんですけれども、公務秘密文書についてもインカメラ手続によってその公開の是非が判断をされるんですけれども、これはどうも私もわからないんですが、インカメラ手続で判断するのは一体何を判断するということになるのでしょうか。ちょっとそこらを、要するにその書類の内容なんでしょうか、それとも相当性判断ですね、非公開にすべしということの相当性の判断の部分を審査するのか、その書類自体の内容の方を審査するのか、そのインカメラ手続の流れといいましょうか、仕組みのところをちょっと説明いただけないでしょうか。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
インカメラ手続は、当事者の主張ではなかなか判断し切れないという場合に裁判所が現物を見て判断をするということでございますが、実質的には公共の利益を害し、または公務の遂行に著しい支障を与えるかどうかという要件の判断でございまして、その前提といたしまして、そこで述べていることは形式的な秘密ではなくて実質的な秘密である、実質秘であるというふうに言われているわけでございまして、まず前提としては、本当に主張するようなものが記載されているかどうかというチェックの問題と、その記載されているものが実質的な秘密に当たるのかどうかというところ、これを最終的に判断する上の手段である、こういうふうに理解をしているわけでございます。
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千葉景子 君 |
要するに、裁判所が判断するのは相当の理由があるかどうかを判断するんですか、それとも監督官庁の出されている意見が相当であることを認めるに足りない場合に限って、ちょっと私の説明も変なんですけれども、要するに相当性があるか否かを判断するということですか。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
基本的には、監督官庁の意見を基礎づけるべき文書中の記載の存否がまずございます。それから内容もあります。そういう点の争いがあるという場合に、裁判所がこれらの点について心証を形成することはできないということで最終的な判断ができない、言っていることが相当であるか判断できないという場合、その前提で見るというのがこの制度の趣旨でございます。
究極的には、最終的な主張が正しいかどうか、これにつながっていくわけですけれども、その前提となるものについて、見て判断をするということになるわけでございます。
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千葉景子 君 |
どうもここのところがいま一つはっきりわからないんですよね。要するに、除外事由になるのかどうか、その実態的な、実質的な判断をする前にまず監督官庁の意見がちゃんとそろっているか、あるいは理由としてちゃんと成り立っているかという、相当な理由かどうかというところをまず第一段階で判断し、それがない場合には実質的にそれが除外事由に当たるかどうかを判断すると。こういう二段階といいますか、そういうふうになるんですかね。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
今、委員御指摘の点は、外交とか防衛の高度の秘密を要するもの、これにつきましては第一次的に国にその理由を言わせて、その理由が合理性があるかどうかというその理由のところで判断をしてしまう、こういうやり方をしまして、最終的に国等の主張していることが正しければそこで却下と、そうかどうかがなかなか判断できないという場合に例えばインカメラを使って判断していくという構造、この場合を多分言われているんだろうと思いますが、必ずしもそういうものだけではなくて、通常の公務秘密文書に関しましてはそういう判断構造をとっておりませんので、それは事実の存否とか、まずそこから入っていくということになろうかと思います。
委員御指摘の高度の秘密のものにつきましては、今、委員が言われましたとおりの判断過程を通るのではないかというふうに理解をしております。
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千葉景子 君 |
わかりました。
こういう高度の秘密にかかわるようなものについては相当性の判断をし、それから内容の判断をすると。これだけ厳格な手続といいましょうか、インカメラ方式をとりながら、こういう段階を踏んで、監督官庁の意見も十分に尊重するという格好になっているわけですよね。
こういう構造までつくってあるんですから、また戻りますけれども、刑事事件関係書類だって、やっぱりそれなりに刑事の方の意見も尊重し、そして刑事裁判所の方の意見も十分に尊重しながら、しかし個別にちゃんと判断できるというそういう仕組みを私はつくることは可能だったんじゃないかという感じがしてしようがありません。これは、先ほどからどうやら水かけ論になってしまうようなので、私はそういう意見を持っているということを改めて、このインカメラ手続の公務秘密文書などについての流れを考えますとより一層感ずるところですので、指摘をしておきたいというふうに思っています。
さて、この法案ですが、法制審議会においてさまざまな議論がされてまいりましたが、特に法制審の中でも附帯要望事項というのが付されて答申がされているんですね。この附帯要望事項のようなものは一体この法律を策定するに当たってどういうふうに生かされたりあるいはこの法案の中に反映されたりしているんでしょうか。ちょっとその点についてお聞かせいただきたいと思います。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
ただいま委員御指摘のとおり、確かに附帯要望事項というのがつけられております。それは二つございまして、一つは、この民事訴訟法の法律案を立案するに当たっては、いわゆる行政情報公開法でございますけれども、それとの整合性に留意することというのが一つございます。それからもう一つは、この法律案が成立し施行された後においても、各種刑事手続等はございますけれども、その運用が変更されることのないように要望をすると。この二つが付されたわけでございます。
その第一の点でございますけれども、これにつきましては、両法案はほぼ同じ時期に国会に提出されたわけでございます。そういう関係から、両者の整合性をとるということで努力をしております。
ただいまの刑事事件関係の記録でございますけれども、これはいわゆる情報公開法におきましても整備法をもちまして刑事訴訟法の五十三条の二という条文を新たに設けまして、刑事関係書類につきましてはいわゆる情報公開法の適用を除外するという形で、その適用の除外の意味は、やはり刑事手続の仕切りに従うと、こういうことから外しているわけでございますけれども、それとこちらの考え方というのは共通をしております。
それから、例えば二百二十条の四号のニというところに括弧書きで「組織的に」、これは自己使用文書でございますけれども、それは組織的に用いるものについては除外をしますよと。これは情報公開法と民事訴訟法、共通の仕切りでございまして、そういう形でその整合性を図っていったということで実行はしているということでございます。
それから、運用等につきましては、むしろ拡大傾向にございまして、従来の運用を変えていないということは自信を持って申し上げられるというところでございます。
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千葉景子 君 |
附帯事項、確かに情報公開制度との整合性ということを求めております。私も、情報公開法の審議のときもいろいろと考えさせていただいたんですけれども、確かに情報公開法は、一般の国民に対して行政の情報等をきちっと開示する、行政の説明義務をきちっと尽くす、こういうことにもかかわっているわけですね。ただ、それと訴訟においてみずから権利を確保するという問題とはやっぱり場面が違うだろうと思うんです。
それで、整合性をとるというのは、要するに両方の制度を同じ形にするという意味が本当に整合性なのか、情報公開法は市民の知る権利あるいは行政情報をきちっと開示して国民主権を全うするという問題であって、それと訴訟上の権利保護のようなものは趣旨も違う、その置かれている土台も違う、そういうところをきちっと両方踏まえてそれぞれの制度を考えよと、そういう意味で、情報公開制度では刑事事件の記録についてはさわりませんけれども、ほかの制度の中できちっと位置づけなさいというのが、ある意味で整合性なのではないかというふうに思うんです。だから、情報公開制度で除外をされました、だから民事訴訟制度でも除外をしますと、これで整合性がとれたというのは、ちょっとこれはいかにも形式的な考え方ではないかなというふうに思ったりいたします。
ただ、そういう形でこの附帯要望事項というのが整理をされたということはわかりましたけれども、ちょっと趣旨が、そういうことを求められていたのかなと、こういう感じもいたしますが、お答え自体はそういうことだということで受けとめておきたいというふうに思います。
さて、この法律の中には、ほかにも、先ほど触れましたけれども、公務秘密文書の問題、それから自己使用文書の問題等があるんですけれども、もう一つ私は非常に難しい問題に立証の問題があると思うんですね。
これはいわゆる証拠の内容、証拠自体の問題ではないので立証責任という概念は当てはまらないと思うんですが、やはり民事訴訟で記録の提出を求め、それが必要だという側が結局は立証の負担といいましょうか、やっぱり請求側が明らかにしなければいけないという仕組みであることはそのとおりですよね。そういう仕組み、求める側が立証を尽くさなければいけないということになりますね。
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政府 参考人 山崎潮 君 |
確かに、おっしゃられるとおり、申し立てる側が、特に四号を今度新しく加えましたので、四号の場合には、イロハニホの除外事由には当たらない文書であるということを主張していただくということになります。
これはなぜそういうふうにしたかということでございますけれども、文書を一般義務化して広げたわけでございます。そういう関係から、場合によっては、常にこれに当たるということで、主張をするということで弊害が生じないようにということからそうなっているわけでございますが、現実問題としては、今度、求められた側はその文書に当たるということをきちっと言わないと最終的にはなかなか認めてもらえないという点もございまして、相手方の主張、立証というんですか、これに相当なウエートがかかるということで、申し立てる側がそれほど過酷な責任を負うと、立証責任と言えるかどうかわかりませんけれども、そういうものを負うということにはならないだろうというふうに私どもは理解をしております。
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千葉景子 君 |
実際には今、局長がおっしゃったようなことになるんだろうと思うんですね。求められた側が、むしろこれは公開できないものだと言うための立証をむしろ実際にはするということになるんだと思うんですが、だとすれば、むしろやっぱり求める側は、おおよその場合にはごく一般的な国民だということを考えますと、この法律の立て方自体として、やっぱり立証の負担、立証責任的なものですけれども、それを拒む側と言うと変ですけれども、そちらに負わせるような法律の構造ができなかったのかなというふうに思うんです。
実際には請求側がそんなに過大な負担はしないんだということであるならば、法律の仕組み上、立証責任を転換したような法律の仕組みを考えるということも一つだったんじゃないかなというふうに思うんです。だから、例外の例外みたいにちょっと逆転してしまっているんですけれども、例えば一号から三号とは別建てにして、請求された側が立証をしなければいけない、そういう法律の構造をつくることはできなかったんだろうかというふうに思います。
ただ、今お話がございましたように、実質的には立証の負担というのがそんなに大きいものではないんだということではありますので、ぜひそこは請求側が過大な負担にならないような実質的な取り扱いというものを頭に置いていただきたいというふうに思います。
時間がなくなってきましたのでちょっと今後のことを聞かせていただきたいんですけれども、衆議院の方で修正が施されまして、三年後の再検討ということになりました。この再検討をするに当たって、どんな手順で行っていくのかということをちょっとお聞きしておきたいというふうに思うんです。
どうなんでしょうか。これまでも検討する場合には法制審などにかけて検討がされてきたというのが通常の形でございますけれども、今回のこの三年後の再検討に当たっては、やはりそういう従来と同じように法制審などで十分な議論をしていくということになるのでしょうか。
その点について、今後の手順をちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
御指摘の附則第三項の趣旨を踏まえまして、今後とも刑事手続関係の開示制度による刑事事件関係書類等の民事訴訟における利用状況を見守っていきまして、文書提出命令制度のさらなる改善を図る必要があると認められる場合には、法律施行後三年をめどとして所要の見直しを行っていくべきであると考えております。
その見直しに当たりましては、衆議院における附帯決議を踏まえまして、法制審議会などの公の開かれた場において調査審議を行いまして、国民の意見が十分に反映されますような措置を講じていきたいというふうに考えております。
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千葉景子 君 |
ぜひそのような議論を尽くしていただきたいというふうに思いますし、やはり日常、訴訟にかかわっている弁護士などの意見、弁護士会等の意見などが十分反映されるような、そういう手だてもしていただきたいというふうに思いますし、それから前回の附帯決議で、司法判断を尊重するということでこの議論を進めていくということになっているわけでございますので、そういう意味で、今後、再検討に当たっても、司法の判断というもの、司法判断の機会を奪うようなことがなきような取り扱いをしていただきたいというふうに思いますけれども、その点、ちょっと改めて確認の意味で、大臣の今後の御決意、御所見を聞かせておいていただきたいと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
御趣旨を踏まえまして、広く多くの方の御意見を伺って決めていきたいというふうに思います。
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千葉景子 君 |
終わります。
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