| 発言者 |
弁護士法改正についての一般質疑
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千葉景子 君 |
おはようございます。
きょうは、弁護士法の改正に関する法案の質疑でございますけれども、私も四十五分いただきまして、若干他に緊急にお聞きをしておきたいこともございますので、まず最高裁から話を伺わせていただきたいと思います。
既にこの委員会でも取り上げられておりますけれども、村木裁判官に関する問題でございます。本当に残念な気がいたします。児童買春に係る処罰に関する違反ということで逮捕されるという事態で、この児童買春に係る法案は、国会でも本当に超党派でそれぞれの皆さんが御苦労を重ねながら成立した法律でもございます。この法律に、これを適用して女性の人権を守っていこうとしなければいけない立場の裁判官が、それに違反をするということは極めて遺憾なことだろうというふうに私も思います。
既に最高裁の方も訴追委員会に訴追請求をされて、どうやら訴追委員会の方もあすにも訴追委員会を開催するというようなことも報じられておりますけれども、この間の、訴追委員会に訴追請求をするに至る経緯について、そして最高裁としてどのようにこの件を受けとめているか、まずお尋ねしたいと思います。
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最高 裁判所 長官 代理者 金築誠志 君 |
お答え申し上げます。
東京高裁判事職務代行東京地裁判事の村木保裕判事は、本年五月十九日に、いわゆる児童買春処罰法の被疑事実によりまして緊急逮捕されまして、二十二日、勾留されました。現在勾留中でございます。
二十四日に、東京高裁の事務局長が村木判事に対する事情聴取を行いまして、翌二十五日、東京高裁長官は最高裁に対しまして裁判官弾劾法十五条二項に基づく報告を行いました。二十八日には、最高裁におきまして臨時の裁判官会議が開かれまして、最高裁は村木判事を国会の裁判官訴追委員会に訴追を請求するということを決定いたしました。
訴追請求の事由は、本年一月二十日、川崎市内において十四歳の少女に対し児童買春をしたという事実でありまして、これが裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったときに当たると判断されたものでございます。
今回の問題につきまして、最高裁といたしましては、本件のような行為は、裁判官としてという以前に、人として許されない行為であり、裁判官、ひいては司法に対する信頼を著しく損なうものであって極めて遺憾である。国民の皆様に深くおわび申し上げるとともに、各裁判官に対し、職務の内外を問わず、常に職責の重大性を認識し、国民の信頼にこたえていくよう改めて要請する旨の事務総長談話を発表いたしました。
以上でございます。
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千葉景子 君 |
これにつきましては、今後、訴追委員会で訴追をすべきか否か、そして、それが決定をするようなことになれば弾劾裁判というようなことになっていくのかとは思いますけれども、改めて、このようなことが起こる何か素地があるのではないか、また一体この原因は何だろうかということを最高裁としても真摯に受けとめて今後対処をしていただきたいというふうに思います。
さて、森山法務大臣には私も本当にこれまでいろいろ御指導いただくことも多く、大変期待をさせていただいております。特にこの委員会でも、先般来たびたび質疑になっております民法の改正につきまして、法務大臣も大変意欲的に取り組んでいこうという、そういうお気持ちが伝わってまいりまして、大変私も心強く思っているところでございます。
その中のいわゆる選択的夫婦別氏の制度、これについては非常に社会の中でもいろいろ議論が進んでおりますし、これからの取り組みというものに大変期待が高まっているところであろうかというふうに思います。
私は、それと同時に、もう一つ忘れてはならない部分があると思っております。それは、私どもも法案、提案をさせていただいておりますけれども、子供の人権、これはやっぱり忘れてはならない視点であろうというふうに思っています。その意味で、民法の中にはどうやら子供の権利を阻害しているといいますか、差別をする、こういう意味の規定が残っているのではないか。特に非嫡出子に対する相続分の差別、これは子供に本当に何か理由があるわけではなくして差別をするということになりますので、国際的にもあるいは子どもの権利条約等を踏まえても、やっぱり早急にこれこそ変えておかなければいけない問題ではないかというふうに思っております。
そういう意味で、森山法務大臣、選択的夫婦別氏と同様といいますか、それを上回る課題として、ぜひこの改正などはもうあすにでも取りかかっていただくということも必要かと思うんですけれども、法務大臣の御所見といいましょうか、お考えをお聞かせいただければと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
千葉先生には今までもいろいろと御指導いただいてまいりまして、ありがとうございました。法律の専門家というお立場から、今後も何かとお知恵を拝借しなければならないと思っておりますが、よろしくお願いいたします。
今御指摘の、嫡出でない子と嫡出である子の法律上の差異の解消というのは、平成八年の例の法制審議会の答申の中にも盛り込まれていたかと思いますが、一つの大きな問題であると私も感じております。しかし、これは選択的夫婦別氏の問題とまたちょっと違った性格のものではないかというふうな気がいたしておりますし、婚姻制度を含む家族制度のあり方とか、国民の感覚の問題、意識の問題というようなこととして、ちょっとまた違った状況なのではないかなということが感じられるわけでございまして、今なおこれは国民の間でかなり大きく意見が分かれている、選択的夫婦別氏よりもその乖離が大きいのではないかという感じでございます。
もう少しこれはよく検討をしていかなければならない部分が多いのではないかと思いますので、さらに国民の意向をよく検討いたしまして、また各方面の御意見を十分に徴しまして、今後の議論の動向を見ながら対処していかなければならないというふうに思っております。
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千葉景子 君 |
きょうはこれを議論させていただくというつもりはございませんけれども、ただこれは国民世論という問題よりもやっぱり一人一人の人権をいかに保障していくか、そこにかかわる問題だというふうに思うんです。そういう意味では、国民の多数が賛成をするとか否かではなくて、むしろ少数であればあるほどそれを尊重するという考え方に立つ必要が私はある課題であろうというふうに思います。
そういう意味で、確かにいろんな考え方の違いというのが世間にあることを私も承知はいたしておりますけれども、事みずからなかなか発言できない子供の人権ということになるわけですので、ぜひその辺に思いをはせていただきまして、法務大臣にもリーダーシップをとっていただくことを心からきょうはお願いをしておきたいというふうに思います。
それでは、弁護士法の改正にかかわりまして何点かお尋ねさせていただきたいというふうに思います。
ちょうど今、司法制度改革問題が進んでおりまして、もう間もなく司法制度改革審議会からも最終的な取りまとめが発表されようという時期になってまいりました。そういう意味では、今回のこの弁護士法改正につきましても、その流れと決して相矛盾するものではなく、先ほど既にお話がございましたように弁護士法人化は中間答申でも指摘をされていた課題でもあり、そういう意味で、この司法制度改革と今回の法案はある意味ではその一部を先取りしているといいましょうか、一歩進み出したと言ってもよろしいのかなというふうに思いますけれども、その点について法務大臣としてはどのように御認識をなさっておられるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
先ほどもお答え申し上げましたように、この法改正によりまして弁護士法人というものができるようになりますと、弁護士業務の共同化、専門化、総合化などを促進することになりますし、その結果、基盤が拡大強化されまして、サービスの質が向上する、複雑多様化する法律事務への的確な対応を可能にするというようなことが期待されまして、これらが非常に大きなメリットになるのではないかと思います。そのような観点から、司法制度改革審議会もこの問題を取り上げていらっしゃるというふうに思うわけでございます。
さらに、この弁護士法人制度は、飛躍的に増加していきます弁護士人口を吸収する環境整備を進めまして、幅広く国民に密着した少額事件等から、専門性、国際性の高い複雑困難な事件に至るまで的確に対応することができるようになるのではないでしょうか。そして、そういう場合の組織的なバックアップ、弁護士が特定の事件に専従することが可能になるために、裁判の充実、迅速化にも資するというふうに思われます。
また、裁判官への任官などを初めとする弁護士の活動領域の拡大の基盤ともなりますし、従たる事務所の設置による弁護士へのアクセス拡充や弁護士過疎問題への対応などもできるというふうに思いますので、そのようなさまざまなメリットを期待することができますから、まさに司法制度改革全体の成否を握るかぎの一つだというふうに考えております。
そのようなことで、他の改革課題に先駆けて実現すべきことであるということで、今、国会に法案を提出し、御審議願っているというわけでございます。
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千葉景子 君 |
さて、そういう意味ではこれを一つの先取りとしてこれから司法制度改革、司法の充実というものを図っていかなければいけないわけでございます。
そういうやさきに、私はもう本当に目が点になるようにびっくりしたんですけれども、報道で、「司法改革 財務省が「異議」」というような記事がどんと出まして、まさに財政は今や逼迫しているんだから、そんな司法に財政をふやすことなんかできないというような声がどうやら財務省の中にあるというような記事が飛び出てまいりました。
これまでも、司法の予算というのは非常に私どもから考えても少なくて、これで司法を充実するなどということはとても困難だと感じてきました。裁判官を増員する、あるいはいろいろな基盤整備をするということにおきましても、これまでもわずかずつではあっても、もう予算をふやせふやせとむしろハッパをかけてきたぐらいでございます。これからさらにこの司法制度改革を進めて日本の公平公正な社会のいわば担保をきちっと確立していく、そして市民ニーズにもこたえていく、こういうことになりますと、抑制するどころか、ほかのを分捕ってもやっぱり司法には財政をきちっとつけていくということが必要だというふうに思います。
今回、小泉総理も聖域なき構造改革ということで張り切っておられるわけですから、当然全体の構造の中で司法というものを十分に認識されて、そこには大きなメスを入れていかれると、きっとそうなされるものと確信をしているわけですけれども、こういうことが閣内で言われているなどということになりますと、これは大変なことでございます。そういう意味で、ここは森山法務大臣にも、これからの司法の充実に向かいまして頑張っていただく、財務大臣にはもう負けてはおられないということで、むしろ閣内を引っ張っていただかなければいけない、こういうことであろうかというふうに思います。
その点について、いかがでしょうか、こういう報道がなされておりますけれども、閣内でそういう不一致、あるいは司法改革を抑止するような、そんな動きがあるのかどうか、そしてそれに対して法務大臣としてはどのようにこれから立ち向かっていかれるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
今おっしゃいました新聞記事が出ましてから一日か二日後だったと思いますが、閣議がございまして、その閣議後の閣僚懇談会のときに、財務大臣の方から、あの新聞記事の報道は自分の関知しないところであって、自分は司法制度改革について大いに協力したいと思っている、あれはどういういきさつでだれが言ったのか知らないが、自分は全くそういう考えはないというふうにおっしゃっていただきまして、大変私もほっとしたのでございます。
財政を預かるお役人の立場としては、司法制度改革ですからといって野方図にというわけにはいかないという気持ちだったんでしょう、記者さんの取材に答えてあのようなことをどなたかがおっしゃったんだろうと思いますが、大臣は司法制度改革は大切である、しっかりやってほしいということを、財務大臣御自身のお口から聞きましたので、私としては内閣として不一致だというふうには思っておりません。
先生おっしゃったとおり、非常にこれは重要な改革でございますし、そのために必要な財政的な裏づけというのはぜひとも必要であるというふうに私考えておりまして、近々出されます司法制度改革審議会の最終意見などを十分尊重し、尊重しというよりはそれを大いに活用させていただきまして、司法制度改革に対する施策を実施するために必要な財政措置が十分行われますように最大限の努力をいたしたいと考えております。
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千葉景子 君 |
ぜひ、内閣が一致してこの改革に取り組んでいただくということをお願いしたいと思いますが、それには司法制度改革審議会から答申がなされ、それをどう今度は具体的に進めていくかということが大事になってくるかと思います。そういう意味で、今後の司法制度改革の推進体制というものについてどんなふうにお考えになっておられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
民主党でもこの間、司法制度改革に大変積極的に提言をさせていただいてまいりまして、司法制度改革審議会の方にも、まとめた後の推進体制をきちっとするように、それをやっぱり盛り込んでおくべきだと。そうしないと、答申はしましたが後はそのままになってしまったということになったら審議会の意味がないわけですから、それを盛り込むと同時に、政府の方にもこの後の推進体制をきちっととるようにということで提言をさせていただいているところでございます。
できれば、内閣直属に司法制度改革推進チームというようなものを編成していただきまして、そこに学識経験者や法曹関係者、あるいは経営者団体あるいは労働団体等、司法ニーズを求めているそういう皆さん等に参加をいただいて、強力な体制で推進を図っていくということが必要なのではないかという提言をさせていただいております。
これが構造改革と言われるもののやっぱり一つの大きな柱であろうかというふうに思いますので、この推進体制について法務大臣としても積極的に内閣の中でこういう体制で進めるべきだという提言をしていただきたいというふうに思いますけれども、私どもの提言も含めましてお考えをお聞かせいただければと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
先生おっしゃいますように、司法制度改革というのは非常に大きな、何十年ぶりのといいましょうか、あるいはもっと長い期間を経た上で今日まで来てしまいましたものを基本的に改革しようという非常に大きなものでございまして、これは政府全体として検討していくべきであるということは当然のことだと私も思っております。
民主党でお出しになっていただいた提言についても大変貴重な御意見だと思いまして参考にさせていただきながら、法務省ももちろん政府の一員といたしまして深くかかわっているものでございますから、改革の実現に向けて最大限の努力をしていかなければならないと思っておりますが、具体的なやり方につきましては、さらに政府部内で最終的に詰められるものと思いますので、今の段階ではどうこうということを具体的に申し上げることは差し控えさせていただきますが、おっしゃるようなことを十分わきまえまして、精いっぱいやっていきたいと思っております。
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千葉景子 君 |
ぜひ、大臣が中心になりまして取り組みをしていただくように、内閣をリードしていただくようにお願いをしたいと思います。
さて、法案の内容に少し何点か触れさせていただきたいと思いますが、先ほどももう佐々木先生から御質問などもございました。重複をできるだけ避けたいとは思っておりますけれども、今回法人化をするに当たってさまざまなメリットが指摘をされております。
ただ、そのメリットと、今回の法案では一人法人も可能になっております。これは、法人化をすることのメリットを考えると、一人法人を認めることとどうもいま一つぴったりこないという感じがするんですけれども、法人化の法案をつくるに当たって一人法人を認める意味といいますか、そこはどういうことがあるんでしょうか。
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政府 参考人 房村精一 君 |
先生御指摘のように、法人化のメリットを共同化の促進というところに置きますと、一人法人を認めることによってどういうメリットがあるのかというところが問題になるわけでありますが、法人化を認めることのメリットは、共同化ということももちろんございますが、法人による財産の保持という観点から考えますと、弁護士事務所を法人化した場合には弁護士の方の個人的財産と事務所の財産とが明瞭に区分できると、こういうメリットもございます。これは、一人法人の場合でもそういうメリットは当然にあり得るわけでございます。
それから、日本の実情といたしまして、一人法人といっても実際の事務所の形態としてはいわゆる中心となる親弁といいますか、経営弁護士の方が一人いて、その下に雇用されている弁護士の方が数名いると、こういう事務所が非常に多いわけでございます。こういう事務所について法人化を認めるということになりますと、法人の社員となるのはその親弁一人ということになりましても、その下に実際には弁護士の方がいて複数の弁護士の方で事務所が経営されている。その雇用されている弁護士の方々のうちこれはという方を将来的に社員として共同化の道を開始するということも可能になる。そういう将来もにらみますと、一人法人であってもこれを認めることによって将来的により共同化を広げるいわば呼び水になるのではないか。
それともう一つは、現実にそういう一人の経営弁護士と勤務弁護士がいるような事務所につきましてもぜひ法人化を認めてほしいという御要望も強いと、このようなことを総合的に考慮いたしまして、今回、社員一人での設立も認めるということにしたわけでございます。
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千葉景子 君 |
その趣旨といいますか、御説明をいただければわからないわけではないんですけれども、現在でも個人的な財産と事務所の財産といいますか、それが混同しているというわけでは決してないと思いますし、そういう意味では一人法人、できればやれた方が便利だなという感はするんですけれども、本来の趣旨から考えるといささか中途半端な感じもしないではないかなという感じはいたします。
次に、先ほどこれもございました、現在でもいわば総合的な法律経済関係事務所といいましょうか、弁護士がおり、あるいは公認会計士の人がいたりあるいは税理士あるいは司法書士、そういう皆さんがある意味では共同形態で業務を行っているという形態もないわけではありません。これからより一層ワンストップサービス等利用者のニーズに合った形態が必要になってこようかと思いますけれども、今回はそういう各種士業が一つの法人事務所をつくるという形態にはなりませんでした。そこのやっぱり一番、最も問題点というのはどういうところにあるでしょうか。今後、多分これも検討課題になっていくだろうと思いますけれども、一番のネックといいますか、問題点というのはどういうところに今あるとお考えでしょうか。
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政府 参考人 房村精一 君 |
先生御指摘のように、今回の法案では弁護士法人の社員となり得るのは弁護士に限っております。その最も大きな理由といたしましては、弁護士法においては弁護士が非弁護士と提携して業務を行うことを禁止する、あるいは非弁護士が弁護士の業務である法律事務を扱うことを禁止すると、こういうことになっております。
弁護士法人は、弁護士の業務に属することを法人として行うことを目的としておりますので、その業務執行権限を有している社員に弁護士以外の方がなりますと、結果的に弁護士以外の方が法人を通じて実質的に弁護士業務を行う、あるいは弁護士の方が実質的に非弁護士の方と業務提携を行っている、こういうことが生じ得ることになってしまいますので、その点を考慮いたしまして今回は弁護士法人の社員となるのは弁護士に限るということとしたわけでございます。
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千葉景子 君 |
そうなりますと、今回の法案ではあれですけれども、今後、例えばそういう共同形態を、一つの法人事務所というのを法整備していく可能性というのはあるのか否か。それから、現在の法制下ですと結局幾つかの法人が連携を図るというような形でならいわゆる総合的な事務所形態ができるということになるのでしょうか。ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。
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政府 参考人 房村精一 君 |
利用者の立場から申し上げますと、一つの事務所で関連するすべての事務を処理していただけるというのが最も望ましいわけであります。そういうことを可能にする事務所として、そういう各専門資格者が一つの法人を設立するということは当然考えられてしかるべき問題ではありますが、先ほど申し上げたような観点から、今回は見送ったわけであります。
将来的には、それぞれの資格者ごとに業務の範囲が決まり、また事務処理を他から不当に影響を受けることなく独立して行うということが要請されておりますので、そういう要請を満たすような法人化というものが可能になるのかどうか、そこら辺を検討していくことになるのではないかと思っております。
現行法のもとでのそういう総合事務所につきましては、そういうお互いに不当な干渉をしないという前提で一つの事務所を設ける。その場合に、事務所経費を共用することによって一つの事務所、具体的には、一つの物理的な場所を共用するというような形で、利用者にとってみれば実質上一つの事務所、ただ、中身としてはそれぞれの方々がやはり独立してそれぞれの専門分野の事務を提供して一つの案件を処理していく、こういうものは可能だということで、現に幾つも設けられておりますし、それは法人化された場合でもそれぞれの法人が寄り集まって同じような形態の総合事務所を設けるということは可能だと思っております。
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千葉景子 君 |
そういう意味では、今回の弁護士の法人化ということによって利用者にとっても多少安心感とか、あるいはいろいろな選択の幅が多少広がったのかなと。ただ、現実の利用する側から見ると、この法律ができて、弁護士の側は法人化をしても、利用者の側からするとそう極端な違いというのは出てくるのかな出てこないのかなと。ないよりは本当にいろいろな基盤整備あるいは選択肢の幅も広がる、財産も明確になるという意味では今回一つの方向性なのだろうというふうに思っています。
ところで、そういう中で一つのメリットといいますか、従たる事務所の設置が認められました。これは、これまで単独の事務所ですと複数事務所が非弁活動などを予防するという意味で禁止をされておりました。ただ、先ほどの一人法人と関連するんですけれども、片方では一人法人が認められており、そして片方では従たる事務所が認められると、これはある意味で、形式的に組み合わせますと一人法人でも従たる事務所を持って業務ができる。そうなると、複数事務所を禁止してきた意味というものがそこでちょっと抜け道になりやすいんじゃないかという気がしますけれども、その点はどうでしょうか。
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政府 参考人 房村精一 君 |
まさに委員の御指摘のような点を考慮いたしまして、従たる事務所を設ける場合には、その従たる事務所にその法人の社員である弁護士を常駐させなければならない。したがいまして、主たる事務所、従たる事務所、双方に社員が常駐しなければなりませんので、一人法人の場合には一人ですのでそれができないと。ですから、原則として一人法人の場合には従たる事務所を設けることはできないということになります。
ただ、ここで原則としてと申し上げましたのは、実は従たる事務所について、当該従たる「事務所の所在する地域の弁護士会が当該法律事務所の周辺における弁護士の分布状況その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでない。」ということとしております。
これは、先ほどもちょっと申し上げましたが、ある程度の事件はある、常駐するほどの事件数はないけれども、例えば週に何回か弁護士が来て処理すれば非常に住民にとって便利だという、その程度の事件数はあるという地域もございますので、そういう地域にあくまで常駐を義務づけますと、そこに事務所を設けようということになりませんので、そういう地域の特性に応じて、週に何回あるいは月に何回というような形で弁護士の人が巡回する、そういう事務所として設ければ地域のためにもなるし、うまくやっていただければ非弁にもならない、こういうところがあるだろうと。そこの判断を地元の弁護士会の、実情をよく知った適切な判断に基づいて可能にしようということでこの仕組みが出てきております。したがいまして、この許可を受ければ、社員一人の弁護士法人でも従たる事務所を設けることもあり得るわけでございます。
ただ、これはもちろん弁護士会が地域の実情とか当該弁護士事務所の実態を見て非弁のおそれがあるかどうかということを判断して許可をするわけでございますし、また許可された後の従たる事務所の活動については、そこの弁護士会が適切に指導監督ができるということになっておりますので、そのような形で社員の常駐しない従たる事務所が設けられたとしても、そのことによって非弁活動を誘発するというような、従来の弁護士法で複数事務所を禁止していた趣旨が無に帰するということはないと思っております。
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千葉景子 君 |
ぜひ、この法人化がある意味では利用者にとって少しでも便利な、それから使いやすいものになっていくように期待をするわけです。
その中の弁護士過疎地域といいましょうか、そういうところの解消みたいなものに多少なりとも役立つんだろうかと考えて、そこの従たる事務所を設けられるということが一つのそういう意味では手だてにはなるのかしらと思うんですけれども、ただ需要とか考えますと、やっぱり法人化をし、そして多様なニーズにこたえていこうというそういう弁護士事務所というのは、どちらかというと都会型そして経済的なニーズなどに対応していこうというところがやっぱり主になるんではないか。むしろ、やっぱりこれまで過疎地域、公設事務所なども弁護士会がつくっておりますけれども、そういうところでしこしこと一人で弁護士活動をしているというようなところにこの法人化というのが必ずしもなじむわけではない。そうすると、そういう一人事務所のようなところはなかなか従たる事務所を設けることも難しい。
そういうことを考えますと、この従たる事務所を設けられる法人化制度をつくったことによって、糸口はあるんでしょうけれども、本当に過疎地対策になっていくのかどうかというのは、私もまだどうも見通しは持てないでいるんですけれども、これと日弁連などが行っている公設事務所等がいい意味で相まって、少しでも弁護士のいない地域などの利用者にとって安心できる環境整備が進んでいけばというふうに思いますけれども、その辺の見通しといいましょうか、どんなふうに法律を整備しながらお考えだったでしょうか。
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政府 参考人 房村精一 君 |
御指摘のように、確かに過疎地域に弁護士事務所が少ないというのは、需要が少なくてなかなか経済的に事務所が成り立たないという要因があるのではないかと思いますので、そういうところについて、複数事務所が可能になったからといって直ちに従たる事務所が設けられるかといえば、それはなかなか難しいかとは思っております。
ただ、やはり単独でそこで経営をするということだと困難ではあっても、本体があって、その従たる事務所としてであれば経済的に成り立つというようなところはもちろんあり得ることだと思っておりますし、先ほど申し上げたような社員の常駐義務を免除することによって、巡回的に行くような事務所を設けていただくということも可能にいたしましたし、事務所全体として法人化し事務処理を効率化することによって、いわば経費を節減して従来より少額の事件でもペイするような形での事務所運営を工夫するとか、そのような形で、従来のままであれば事務所が設けられないところに事務所を設置することが可能になるということはあり得ることだとは思っておりますので、そのためにできるだけの工夫をしたつもりであります。
もちろん、法人化を可能にし、従たる事務所を可能にしたからといって、それだけで過疎地に弁護士事務所がどんどん出ていくということは、それは難しいかとは思っておりますが、少なくともこれを積極的に活用していただければその糸口になるのではないか。また、先ほど来先生の御指摘の、日弁連あるいは弁護士会において積極的に設けております公設事務所についても、場合によれば、この公設事務所が法人化を利用していただければ事務の引き継ぎその他で法人としての一体性が持てますので、あるいは利用者にとって安定的に利用できるというメリットも生ずる可能性もあると思っておりますし、それぞれの公設事務所あるいは法人化というものを活用して、少しでも過疎地域での弁護士活動が行われやすくなればと思っております。
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千葉景子 君 |
ありがとうございました。
時間があと残されておりませんので、最後にちょっと一点だけ御見解をお聞かせいただきたいと思っております。
それは、先般のハンセン病問題について政府として控訴をしないということをお決めいただいて、判決が確定をするということになりまして、私も大変安堵をしているというところでございます。それに対して、政府声明という形で判決の問題点などが指摘をされました。私は、控訴をしない、あの判決が確定するというのが、これがもう結論、そして法律的な一番の正当性でございますから、政府声明というのは考えてみれば一方当事者の主張のようなものにしかすぎないんではないか。政府声明というような形にしてしまうものですから、いかにも政府が矛盾を起こしているというふうに見られてしまうということに逆になってしまったのではないかというふうに思います。主張はそれぞれありますから、それは一方当事者の主張としてなさればいい、そういう話だったのではないかというふうに思います。
それはそれとしてですが、今回は国会に対しても立法不作為ということで大変厳しい指摘がされたわけです。こういう判決について政府が最終的な意思決定をされるに当たって、一体国会というのは何なんだろうかという率直な気がするわけですね。これは私どもの側の責任でもあるわけですけれども、これまでのどうも取り扱い方とすると、法務省が訴訟を管轄されるわけですけれども、こういう判決についていかがかと国会の事務当局に何か御連絡があって、そして結局意見は出せずじまいで、最終的には政府として結論をまとめられるというような形になっておるように思います。
ただ、それは厚生省一機関にも御相談をされる、そして結論を出されるとすれば、やっぱりもう一方の当事者でもある国会にも相談をされたりあるいはその最終的な意思決定をする、控訴をするかしないかということに当たっての意思集約をするときに、やっぱりもう少し何かやりようがあるのではないか。これは私もまだどういう形が最も適切なのかという最終的な結論を持っているわけではありませんけれども、ただ事務方にいかがかというだけで済むような問題なんだろうかという私は率直な感じがいたします。
その辺、今後また国会が立法不作為をしているとか違法な立法をしたとか、こういうことを指摘されるようなことがあっては困るわけで、そういう判決がなきよう国会の方もやらなければいけないわけですけれども、こういう判決に対して、国としての意思形成をするに当たっての取り扱いというのを法務大臣としては、今回、突然こういう事態に直面をされまして大変御苦労なさったかとは思いますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。今回の反省ではありませんけれども、そういうことも踏まえて、もし御所見がございましたらお聞かせをいただいて、終わりたいと思います。
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国務大臣 森山眞弓 君 |
国を当事者とする訴訟におきまして国会の立法不作為というものが問われた判決がなされました場合には、国会の御意見をお聞きした上で上訴の要否を検討しなければならない、したいと思っておりますが、国会が国会の意見をどのように表明されるかということにつきましては、国会の御判断というのが最終的なことではないかと思います。
今回、この間の件は、御存じのようなことで事務総長を通じて行ったわけでございますし、そのようなあり方の前例は幾つかあるようでございますけれども、これからの問題として、国会へ御意見を照会するときには、国会からの御意見をどのように承ったらいいかという点について、今先生がおっしゃったようないろんな考えさせられる問題点があるように確かに思われますので、国会の方でよく御検討いただいて、御意見を賜りましたら参考にさせていただきたいというふうに思います。
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