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民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
私は、会派を代表して、先日の森内閣総理大臣の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず冒頭、昨日の我が会派北澤議員からの参議院選挙制度に関する質問に対する森総理の答弁に誤りがあることを指摘いたします。他の議員からも重ねて質問がございましたが、その答弁では全く誤りが正されておりません。
すなわち、参議院選挙制度に関する与野党協議は、当面は現行の比例代表と選挙区制という制度の基本的な枠組みを維持することで意見が一致しているものであり、総理の御答弁は、繰り返されてもこの合意と異なるものと言わざるを得ません。
誤りを訂正の上、再度、与野党合意についてどのように認識しておられるのか、御答弁を求めます。
今、国民の多くが、雇用や老後の不安の中で暮らしています。子供たちは、将来への希望も日々の喜びや楽しみも感じることができないまま、社会の重圧に耐えています。経済活動などが国際化し、日常、外国人と出会う機会は非常にふえましたが、国際的な相互理解が深まったとは到底言えず、むしろ外国人差別や相互不信の気持ちが日々再生産されています。
このような現実に対して、政治は一体何をすることができたのでしょうか。
GDP統計の数字ばかりを見て景気は回復基調にあると言い、そうかと思えば追加的経済対策が必要だと言っては自分たちの支持基盤のために公共事業の大盤振る舞いをする。それによって国民生活の不安はいかほど解消したと言えるのでしょうか。
教育が問題になると、決まって道徳心、愛国心の欠如こそが原因だと騒ぎ立てる人がいます。少年非行の原因に目を向けずに厳罰だけを求める人もいます。それで一体子供たちの心の平穏が戻ってくるのでしょうか。
在日朝鮮・韓国人など、永住外国人の方たちの権利が問題になると、決まって嫌なら出ていけと言う人がいます。帰化すればいいと言う人もいます。他国民との国際的な相互理解や国際貢献という日ごろのかけ声との余りの落差に驚きます。
このような疑問に総理はどのように答えることができるのでしょうか。
私たち民主党は、こうした現実に真正面に向き合い、ニューリベラルの旗のもと、自立、責任、共生の理念を現実の政策に生かし、だれもが生きることの喜びと誇りを感じられるような政治を実行してまいります。
私は、このニューリベラルを特に女性や市民の生活の視点からとらえ質問させていただきます。
さて、具体的な質問の最初に、永住外国人地方選挙権付与法案について与党三党それぞれの見解をお尋ねします。
御存じのとおり、最高裁は九五年二月二十八日の判決で、永住外国人に地方選挙権を付与することは憲法上制約がなく、立法府の判断で行うべきだと指摘しました。
民主党が、これらを受けて、当時の公明党会派と九八年の十月に法律案を提出してから既に二年もの月日が流れております。
今や自民党以外の政党はおおむね地方選挙権付与の立場を明確にされております。端的に言えば、自民党が無責任にも先延ばしを重ねているのが現状であります。
総理、自民党総裁として、これ以上いたずらに時を浪費することなく、党としての意見を集約する大きな責任とリーダーシップが問われていますが、どうお考えでしょうか。
また、保守党はさきに公明党と共同で法案を提出されています。改めて、この保守党の立場を扇建設大臣に確認させていただきます。
加えて、何としても今国会で法成立を図るというお考えをお持ちと伺っている公明党の決意を続総務庁長官に伺います。
次に、教育改革についてお尋ねします。
総理は、神の国発言、教育勅語の再評価など、国民が驚くような時代錯誤的発言を繰り返してきました。その発言から、国粋主義的な発想が見え隠れし、国民の多くは違和感とともに強い不安を感じております。
四月に前総理から引き継いだ教育改革国民会議初会合のあいさつで、総理は早速、教育基本法の見直しに言及しておられます。教育基本法の改正が改革の前提というお考えでしょうか。
教育は深刻な問題をたくさん抱えています。家庭や教育現場は大きな不安の中にさまよっています。これらの現実的な問題を一つ一つ拾い、話し合い、必要な制度改革を行う、その中で教育基本法の問題が議論になることもあるでしょう。しかし、最初に法改正ありきの森総理の教育改革は、おのれの偏った教育観を国民に押しつけようとするだけです。
総理は道徳心などの言葉がお好きのようですが、現代の多様な価値観の中では、国家が心の問題に踏み込むことに懸念を抱く国民もたくさんいるのです。この多様性を有機的にリンクさせ、一人一人が伸び伸びと生きていくことこそ、今の日本が目指す社会なのではないでしょうか。教育改革に向けた総理のお考えをお聞かせください。
次に、少年犯罪及び少年法の見直しについてお聞きいたします。
総理は所信表明演説で、少年法の改正については与党の議論の結果を受けて適切に対処していくと述べられましたが、その与党における論議は、私の印象では、一部のセンセーショナルな事件に引きずられて、ただ刑罰を厳しくして威嚇すれば少年犯罪は減るとの考えのように思えて仕方ありません。また、青少年の凶悪化というつくられた虚像に惑わされているのではないでしょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
もちろん、被害者やその家庭、家族の感情に対応できる制度的措置など、検討すべき課題はたくさんありますが、性急な法改正で現在の保護主義的な枠組みの長所を失うリスクも考えなければなりません。
森総理、あなたは教育の重要性を訴えておられます。そして、来年の通常国会を教育国会と位置づけたいと宣言されています。私は、広い意味での教育の一環である少年法の見直しは、森総理が言われた教育改革国会で教育という大きなテーマと相まって、じっくりと論議すべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
次に、私は男女共同参画社会の構築に関してお尋ねいたします。
現在開催されているオリンピックは、二十世紀最後を飾るにふさわしい男女共同参画オリンピックだと思います。連日報道されている日本選手の活躍も女性の躍進を印象づけています。このように、社会のあらゆる分野でジェンダーにとらわれない共同参画が進んでいます。政府の男女共同参画審議会も、昨日、基本方針策定に当たっての考え方を答申し、その中で選択的夫婦別姓の導入や配偶者の優遇税制の是正等、世帯単位から個人単位へ制度を見直すよう指摘しています。
総理は、これらの指摘をどのように具体化されるおつもりか、御答弁を求めます。
今後、少子高齢化が進み、経済的観点からも女性の労働力確保は重要な課題ですが、働きながら子供を育てる家庭で必要と思われる制度の一つに看護休暇制度があります。
企業に働く人たちの中には、子供が幼いうちの病気に備え、有給休暇は自分のためにとれないという声が多く聞かれます。労働省が七月に発表した平成十一年度女性雇用管理基本調査によると、家庭看護休暇の制度がある事業所は全国で八%、さらに取得実績は制度がある事業所全体の九・七%にとどまっています。
このような現状を見ると、看護休暇制度の法制化は子育て支援への重要な検討事項だと思いますが、総理はどのように思われますか。
また、さらなる検討課題として、既にある育児・介護休業法を改正し、子育てや介護を社会全体で支えるための仕事と家庭の両立支援法を制定すべきと考えますが、総理の見解をお尋ねいたします。
次に、情報技術革命、IT革命についてお尋ねします。
沖縄サミットでIT憲章が採択され、政府はIT革命推進を重要課題としていますが、政府の取り組みは時流に乗っているだけとの軽薄な印象が否めません。総理は、所信表明演説で、国民運動としてのIT革命を強調されましたが、哲学、理念が不明確です。また、IT革命は、知的成果物がどんどん生み出される社会が前提になっていることを忘れてはなりません。創造の担い手である企業や学者、そして大学等の研究機関が安心して創造に取り組めるような環境が不可欠ですが、知的財産権に関する位置づけも不明確です。また、デジタルデバイド対策への取り組みも不十分です。
私は、インターネットを初めとするITが、官主導から民主導へ、中央政府中心からコミュニティー中心へ、男性主導から男女共同参画型へと社会を転換し、経済のボーダーレス化を促進し、国際社会や国の仕組み、人間の生き方を根本から変えることにもなるものではないかと考えています。
それだけに、政府はこの国会にIT関連法案を提出すると伺っておりますが、IT革命の歴史的な位置づけ、目的、市民や女性にとっての意義、これらを明確にした上で、基本法制定や具体策の実施に取り組むべきだと考えます。この点について、総理の御所見を伺いたい。
さらに、私は、ITに関連して具体的な施策を二つ提言させていただきます。
第一は、女性のためのIT支援策です。特に、スモールオフィス・ホームオフィス支援を柱として、女性の雇用創出、女性起業家支援を進めるべきです。このため、政府部内に女性IT対策室と担当スタッフを置くようにしたらいかがでしょうか。
第二は、情報バリアフリー政策の推進です。高齢者、障害者のすべての人々が情報を発信し、情報にアクセスすることが保証され、その利便を享受できる社会をつくる必要があります。そのために必要な法律改正などに取り組むべきです。
以上の提言にどうこたえるのか、総理の明快なる答弁を求めます。
次に、社会保障の将来ビジョンについてお尋ねします。
総理は、所信表明で、「二十世紀最後のこの国会を、二十一世紀の日本新生の礎を築く重要な国会にしたい」と主張されました。その意味で、社会保障制度の将来像を国民にわかりやすい形で今国会中に明らかにし、国民の将来不安を解消すべきではないかと思います。財源をどうするのかを含め、国民は具体的なビジョンの提示を求めているのです。社会保障の有識者懇の最終報告を踏まえ、いつごろ具体的なビジョンを出される予定か、総理の決意を伺います。
今国会で再提出される健康保険法改正案など、医療保険改革法案について伺います。
本改正案について、所管大臣の津島厚生大臣は、十四日の閣議後の会見で、国民が今求めているのは、安定した医療保険、社会保障制度の姿を見せてほしいということで、今回の法案はその要請にこたえるものではないと発言されたそうです。医療保険改革の法案について総理と厚生大臣には大きな認識の違いがあるようにも思われますが、厚生大臣の発言について総理はどのように認識されていらっしゃいますか、見解を伺います。
制度実施から半年を迎える介護保険について質問します。
制度を支える現場の市町村では、介護サービスの基盤不足の問題を初め、痴呆性高齢者に対する要介護認定の問題、介護保険における家事援助サービスの課題など、さまざまな問題が浮き彫りになってきました。政府はこれら課題を整理し、早急に対応策を講ずるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
また、痴呆性高齢者向けグループホームや宅老所などの地域に身近で家庭的なケアができる施設が利用者に大変好評だと聞いておりますが、利用者の自立支援のためにもこのような施設への支援を大いに進めるべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
本年十一月にオランダのハーグで、気候変動枠組み条約第六回締約国会議、COP6が開催されます。二〇〇二年までに京都議定書を発効させるためには、シーリング問題、遵守制度、吸収源の範囲、途上国との調整等、解決しなければならない問題が数多く残っています。とりわけ技術移転問題などでは我が国に先進国と途上国間の橋渡し役も期待されています。我が国としてどのような役割を果たしていこうとしておられるのか、総理の決意をお伺いいたします。
また、議定書発効に向けた国内の条件整備について、環境庁長官のお考えをお聞かせください。
自立した市民社会を構築するために、NPOが十分に活動できる基礎をつくり上げなければなりません。そのためにもNPO支援のための税制を速やかに構築すべきであり、民主党もその案を既に公表しておりますが、政府としてNPO税制につきどのような日程で今後取り組むつもりなのか、お伺いいたします。
次に、司法制度改革についてお尋ねします。
民主党は、既に「市民が主役の司法へ 新・民主主義確立の時代の司法改革」という司法制度改革案を発表しておりますが、その柱の一つは司法への国民参加です。
司法審も国民参加を制度化する方向で議論が進んでいるように聞いております。市民が陪審員として裁判に参加する制度である陪審制度の導入は、司法について市民が公的な責任を果たし、司法が常に市民の話題となることで、わかりやすい裁判の実現や迅速な裁判の実現といった課題について重要な役割を果たすものだと思います。司法の場が身近になることで、みずからが主権者であるという自覚を促す効果も期待されます。
検察審査会の実績も踏まえ、陪審制度の導入を積極的に検討すべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
さて、総理が学生時代に売春取締条例違反の検挙歴があると報じた月刊誌を相手取って、森総理は事実無根だとして訴訟を起こされています。これについて裁判所は、公益の利益にかかわることであり、記事に公益目的がなかったとは言えないとした上で、事実認定を行うため警視庁に対して検挙歴照会を決めました。しかし、警視庁は回答を拒否しています。回答拒否は司法制度を否定し、裁判所への協力を怠り、真否を明らかにするデータを隠ぺいするものでもあります。新潟女児監禁事件や桶川ストーカー殺人事件等で明るみに出た警察の不祥事と同様、警察の情報隠ぺい体質が問われる事態と言わなければなりません。
もちろん、買春自体はそれ自体許すことのできない犯罪です。総理もそれは十分御存じのことと思いますので、この点についてはあえてお尋ねいたしません。
むしろ、総理は、警察をめぐる不祥事が続発したことを受けて警察法の改正に全力で取り組むと表明されているのですから、この際、御自身の潔白の証明も兼ねて、まずみずから進んで御自身の検挙歴の有無について警察資料の開示を求めてはいかがでしょうか。そのことを通じて警察改革のリーダーシップを国民の前にぜひとも見せていただきたい。総理の御決意を伺います。
私たち民主党の目指すニューリベラルは、多様な価値観、文化、生活様式に対して寛容であるということです。その対極にあるのは、政府が国民に向かって、上から道徳心や特定の価値観を押しつけたり、冷静な議論よりも力ずくで物事を決定するような偏狭な政治ではないでしょうか。市民はこのような政治にはもううんざりしているのです。
総理、要らぬおせっかいや党利党略に奔走するようなことをやめ、もっと国民を信頼し、その自立性を尊重しようではありませんか。そして、いざというときに安心できるセーフティーネットをしっかり確立するためにこそ政治のリーダーシップを発揮していただきたい。これをもう間もなく迎える二十一世紀へ向けた私の願いとして申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
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