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私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました荒木法務委員長解任決議案に賛成の討論をいたします。
まず冒頭、先ほどの円より子提案者より発言があった際、不規則発言により、大変この本会議場が侮辱を受けました。極めて遺憾なことでございます。
聞くところによれば、その発言は、女性の人権を侵害するばかりでなく、全会一致で合意をした男女共同参画社会基本法、この精神をも踏みにじり、そしてさらに私が指摘したいことは、御本人がみずからを卑しめたということにほかならないのではないでしょうか。このような大変真摯な議論が行われている中での不規則発言を私は断固として許すわけにはまいりません。
まず、冒頭、その点について明確に申し上げておきたいと思います。
さて、今、二〇〇〇年を目前にして、いわゆるコンピューター二〇〇〇年問題が議論をされています。私は、これも大変重要な問題ではございますが、それにも増して深刻なのは、今我が国に民主主義の二〇〇〇年問題が起きようとしていることではないでしょうか。
コンピューターの二〇〇〇年問題は、二〇〇〇年を迎える際に、コンピューターの誤動作により二〇〇〇年が一九〇〇年に逆戻りするという問題でございます。現在、盗聴法を含む組織犯罪対策三法案が強行されようとし、国民総背番号制につながる住民基本台帳法の改正がこれまた強行に進められ、そして我が国の戦争責任などを棚上げにしたまま国旗・国歌の法制化が突然持ち出され強制される、まさにこれは国民主権から国家管理への動きだと言って過言ではありません。
私たちが、そして多くの人々が、汗をし、血を流し、困難を乗り越えて営々と刻み続けてきた二十世紀の民主主義の足跡を根底から揺るがし、二〇〇〇年をまるで一九〇〇年に逆戻りさせる、歴史の歯車を逆転させる、まさに民主主義の二〇〇〇年問題と言えるのではないでしょうか。私は、このような民主主義を揺るがし、歴史を逆行させる自自公の画策に手をかす結果となった荒木委員長の責任は極めて重大であり、委員長御自身、そのことをまず十分御認識していただかなければならないと思います。
組織犯罪対策関連三法案は、衆議院法務委員会においては、十分な審議を尽くすこともなく、また公聴会を開会して国民の意見を聞くこともないまま、去る五月二十八日、衆議院で強行採決され、六月一日、衆議院本会議の採決を経て参議院に送付をされてまいりました。
参議院では、六月九日、本会議において趣旨説明を聴取した後、質疑を行い、同法案は法務委員会に付託され、六月十日、法務委員会において趣旨説明を聴取いたしましたが、三法案のうち、特に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案は、憲法で保障された重要な基本的人権である通信の秘密を侵害するものであるとともに、刑事訴訟法の基本理念にかかわる多くの問題を含んでおり、法務委員会では慎重かつ十分な審議を必要とするため、理事懇談会が重ねられ、審議日程について協議が続けられてまいりました。
その結果、六月二十九日から各会派の合意のもとに政府に対する質疑を行い、その後もさまざまな問題点について慎重な審議を尽くすため、各会派の合意により政府に対する質疑をさらに続けるとともに、参考人からの意見聴取、公聴会の開会、NTT施設の視察も行ってまいりました。これは、この盗聴法案に重大な人権侵害の危険性、警察による乱用のおそれ、我が国を監視社会という不気味な社会に陥れていく結果を招くなど、極めて多くの問題が含まれているからであります。
そもそも通信傍受とは憲法で保障されている人間の尊厳に最も深くかかわる基本的人権である内心の自由、プライバシー、そして通信の秘密を制約するものであります。仮に、捜査のためであるとの目的で制約を許すとしても、その制約は目的の正当性が十分認められ、制約を必要最小限度にとどめ、適正な手続のもとに行われなければならないのは当然のことであります。
通信傍受とは、電話などを利用しての会話の特徴をよくつかむということになります。会話というのは、互いに意見を交換することにその本質があるわけですから、人と人との自由な交流をもたらし、社会を形成する基礎ともなる基本的な私たちの持てる権利です。特に、電話等の通信による会話は、自由潤達そしてさまざまな変化を含み、個人の内心、思考の内容までもがもろにそこに出てくるものではないでしようか。プライバシーの塊と言ってもよいものだと思います。盗聴は、このような特徴のある会話を盗み聞きするものです。盗聴は、プライバシーを甚だしく侵害するものです。こうした電話等による会話の盗聴を直ちに制限なく認めることは、極めて大きい危険性があることをまず認識する必要があるでしよう。
憲法二十一条が通信の秘密を規定しているのは、このような内心の自由そして人間の根源にかかわるからでもございます。
法案の賛成論には、盗聴した通信は加工の加えられていないクリーンな証拠になるという意見があります。逆説的ではありますけれども、まさにそれは本質を示しているものと言えるのではないでしょうか。人間の生の姿がそこにあらわれる、これをまさにこの賛成論は示しているのではないかと思います。
また、憲法二十一条、三十三条、三十六条といった憲法の規定をしっかり守ることも、私たちの基本的人権を守る基本的なルールです。
日本国憲法の刑事人権規定は、刑事手続に関する国民の権利がきちんと守られない限り、それは私たちにまた恐怖と暗黒の社会をもたらす、こういう歴史の苦い経験からもつくられてきた規定でもございます。民主的社会を守る、その基礎を形づくる規定、この規定を尊重しないで盗聴などを認めることは、まさに私たちに時黒の社会をまたもたらすことにつながる、私はそう確信をいたします。
さて、いわゆる盗聴法を合む組織的犯罪対策三法は、その名のとおり組織的犯罪に対処するためというのがその立法の根拠だと言われています。しかし、それならば、現在日本の組織的犯罪の実情がどのようなものであるのか、そしてその犯罪の発生の原因は一体どういうところに存在するのか、そしてその対処にはどのようなことが必要なのか、これをそれぞれの犯罪類型、結果を緻密に検証して、それに対する対策を立てることが必要です。
日本の犯罪情勢はここ数年落ちついています。
決して悪化している傾向にはございません。凶悪犯罪を考えてみても、十万人当たりの発生率が、日本はアメリカの殺人では九分の一、強盗では百十三分の一です。暴力団関係の事件を見ると、対立抗争事件、この発生件救は減っています。また、銃器の使用犯罪あるいは銃器の発砲回数も減少しています。覚せい剤犯罪が増加をしていること、これは多くの人が憂慮をしています。しかし、その他の薬物犯罪が増加をしているわけではない。
薬物が青少年や家庭にいる主婦あるいは多くの市民の中に蔓延をし始めていること、それには多くの人々が胸を痛め、そしてそれに対する対策を講ずるべし、これはだれもが合意するところではないでしようか。しかし、それが通信傍受、あるいは捜査を強化する、刑罰を強化する、このような対策で本当に減らすことができるのでしょうか。あるいはそれに対応することができるのでしようか。
まさに教育であり、また若い皆さんが安心して、将来に夢を持ち、公平で公正に生きられる社会なくして、このような薬物の蔓延を私は減らすことは不可能である。決して重罰化や盗聴でそれを防ぐことはできない。これは多くの皆さんにも納得いただけることではないでしようか。
また、組織犯罪というその目的の中でオウム事件などが取り上げられています。しかし、オウム事件は盗聴があったら防げたと本当に断言できるのでしょうか。坂本弁護士事件。坂本弁護士は私も大変身近に仕事をしていた弁護士でもございました。
松本サリン事件など、これらの捜査について警察は情報をきちっと開示し、そしてその捜査の問題点、これをまずきちっと総括することからこそ、オウム事件などへの対処の道が切り開かれてくるのではないでしようか。
また、組織的かつ悪質化した組織犯罪を取り締まるためには犯罪捜査手段としての盗聴が必要だ、そう言われてまいりましたけれども、本当でしようか。
政府は、暴力団による薬物、銃器などの犯罪、オウム真理教事件、今申し上げました、また、詐欺商法などの対策のための法案だとこの立法趣旨で述べています。しかし、今申し上げましたように、オウム真理教事件の捜査の問題点は盗聴できなかったことにあるわけではありません。初動捜査の手落ちなど、捜査活動そのものに問題があったと言われています。
また、暴力団による薬物事犯、これまで検証令状による盗聴が五件行われました。しかし、これで大物が捕まったとは聞いておりません。犯罪捜査のための盗聴が認められれば、暴力団の大物は電話を利用しなくなる、あるいは携帯電話を次々に取りかえていく、あるいはさらに別の抜け道を考えていくでしよう。
後ほど申し上げたいと思いますが、警察は当初、携帯電話を盗聴できることがこの立法の大変大きな効果だと述べておりました。しかし、審議を重ねるうちに、現在の技術では携帯電話の盗聴は不可能である、困難であることが判明したのです。だとすれば、このような暴力団の犯罪などに対して、この法律が、そして通信傍受という手法が効果がないこと、それが明らかになったと言わざるを得ません。仮に、もっと効率のよい捜査手段が必要だということになれば、次第にその盗聴の幅は広がり、場合によっては室内の会話の盗聴や、あるいはその範囲が拡大していく、予想されることでございます。
また、この立法の根拠として挙げられるもう一つのポイントは、国際的な要請だということでございます。国際的な要請とはどういうものであるのか。確かに、アルシュ・サミットやバーミンガム・サミットなどの国際犯罪特別声明などで、国際的犯罪に対し各国で対策をとるようにどの国際的要請がなされていることは私も承知しています。しかし、国際的要請があるからといってすべて盗聴しなければいけない、あるいは通信傍受が求められているのか、決してそうではないことを改めて皆さんにも御承知をいただきたいと思います。
金融活動作業部会が要求しているのはマネーロンダリングだけであること、国際組織犯罪防止条約の起草のための委員会でも現在議論されているのがマネーロンダリングであり、通信傍受などはまだまだ先の議論であると言われています。
また、国際化というのであれば、先ほど提案理由の中でも示されておりましたけれども、犯罪捜査だけではなく、むしろ私たち、そして日本社会の人権の貧しさ、あるいは人権問題のおくれ、こういうところにこそ、国際的な指摘に真摯にまず耳を傾けるべきではないでしょうか。
これまで、たび重ねて国際機関からも日本の人権問題については指摘がなされてまいりました。しかし、法務省はそれには極めて消極的な姿勢しか見せることなく、それに引きかえ、今回の通信傍受、盗聴については、まさに何でものみ込む、何でも捜査の中に取り込む、このような態度でこの法案を提案してきたものでございます。
また、片方で、捜査の手法というのであれば、日本の捜査のありよう、あるいは捜査の体系、これを無視して語るわけにはまいりません。
日本の捜査は、まず長い期間の勾留期間が特徴です。また、世界に悪名高い代用監獄での取り調ぺ、まさにこの代用監獄問題はこの参議院でもたび重ねて議論になってきたところでもございます。また、冤罪の温床とも言われ、常に国際機開から、あるいは国際人権機関の議論の中でも指摘をされてきたところでございます。さらには、起訴前の保釈の制度がない、あるいは被疑者の国選あるいは公選弁護制度がないこと、また取り調べに対して立ち会うこともできず、またテープなどでの録音も禁じられています。それによって、長い勾留、代用監獄、その間に行われる捜査、その適法性はなかなか外部には見えてこない。そこに我が国の捜査体系の大変重要な問題点があるのではないでしょうか。
これを全く無視したまま、一方で通信傍受、盗聴という手法を捜査権限として与えること、これが私たちの生活あるいは人権にとって危惧でなくて何でありましようか。ぜひそこをもう一度考え直してみる必要がございます。
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