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組織犯罪対策3法案への質疑 [法務委員会] (1999.8.6)

組織犯罪対策3法案への質疑(8/6) 1/4
千葉景子君  この通信傍受法案を含めて組織犯罪対策三法、審議を重ねてまいりました。その間、参考人から御意見をお聞きし、あるいは公述人からも意見をお述べいただくなど、私も大変その間新たなことを勉強させていただいたり、あるいはこれまで気づかない部分あるいは技術的な面でもやはり審議を十分に重ねていくということの意味合いというのを大変感じているところでもございます。まだまだきょうも視察ということもございますけれども、そういうことを踏まえながら、また問題点、あるいは整備をしなければいけないところ、あるいは矛盾点、こういうものがさらに発見されてくるのではないか、そんな気がしているところでもございます。

 これまでの審議を通じまして、私も何点かどうもおかしいと感ずるところ、あるいは問題が大きいものですから、三法といってもなかなか通信傍受にかかわる問題以外の点については本当にお聞きする時間がない。ようやくこれからその他の法律についても議論をさせていただかなきゃいけないなと、こういう状況ではないかと思っておるんですけれども、そんなことを、ちょっと時間も限られておりますが、できる限りお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 私は、この間の参考人、公述人からの御意見も大変参考になりました。組織的な犯罪とかあるいはとりわけ薬物にかかわる問題などは、やはりほとんどの皆さんが青少年あるいは一般の皆さんヘの薬物の浸透などに大変懸念を感じておられること、そして基本的には社会のありようとかあるいは教育の問題、そういう点に大変これから考えなければいけない問題があるということ、こういうことは本当に共通な認識ではないかというふうにも思っているところです。

 そして一方、公述人の皆さんからも、なかなか私は率直な、そしてそれぞれのみずからの体験などを踏まえた御意見をいただけたのではないかというふうに思っているんですが、その中で、大変私は考えなきゃいけないなと思ったことがございます。

 それは宮澤公述人、大変もう刑事法では私なども尊敬をする研究者でおいででございますけれども、その宮澤公述人がこういうことをおっしゃいました。我が国と比べて市民の人権意識が大変高いヨーロッパの諸国、しかも権力国家の統治下にあって、現実に人権の抑圧などを経験したヨーロッパの多くの国ですらこういう通信傍受という手法が採用されているんだ、このような現実を直視しなければいけないということをお述べになりました。

 私は、これはちょっと意見が違うのでございまして、人権意識がはるかに高くというところはそのとおりだと思います。逆にそういうところだからこそ、通信傍受というような大変劇薬とも言われるような犯罪捜査手法、こういうものを用いたとしても、そこに大変厳しい抑止力とかそれから監視、監督できる、そういう土壌があるのではないか。

 だから、宮澤先生のお気持ちは、そういう国も入れているんだから、人権意識が少し足りない日本でもという意味なのかちょっとわかりませんけれども、逆にそういう意識が高いからこそ、こういうものも本当にある意味では危険性の認識というのが随分低くなるのではないかなというふうに思います。

 それに引きかえて我が国を振り返ってみますと、やっぱリヨーロッパ諸国などに比べて人権意識あるいはそれに対する国のさまざまな諸施策、そういうものは大変まだまだ貧弱なところが多いのではないかというふうに私は思うんです。法務大臣にも、この間もう随分、人権問題、国際的な批判を含めてしっかりしてほしいということを私もお願いをしてまいりました。

 そういうことを考えますと、ヨーロッパですらこうだから日本もというふうにはいかないのではないか。やはり、日本のようなある意味では人権意識といってもまだまだ十分に浸透していない部分がある。だとすれば、より一層このような基本的な人権、とりわけプライバシーとかあるいは通信の秘密とか、いわば人間の根幹にかかわるようなところを何らかの形で制約をしていこうということについては、もう最大限慎重に、あるいは最大限抑止的に考えていく必要がある、こういうふうに私は率直に思います。宮澤先生のそのお言葉というのは、私は逆な裏側を見ながらそんなことを痛感したところでもございます。

 そういうことを考えると、この通信傍受にかかわる法案というのは、そういう日本の実情とか、さまざまな人権にかかわる諸施策あるいはそれを担保する制度、そういうものと比較しながら、大変私はそこに危倶というものを感ぜざるを得ない。もっと抑止的あるいはチェックのあり方、こういうものを厳格に考えてしかるべきだとまず思うわけでございます。

 そういうことを基本にしながら、この間の論議のちょっと延長線上で何点かお聞きをしたいというふうに思っております。

 最初に、この間、通信のいわゆる当事者に対する通知の問題、これが論議になりました。刑事局長もその際おっしゃっておられるのは、余りに、関係のないというとおかしいですけれども、いろいろな情報を通知すると、いわば傍受の目標になった被疑者、そのプライバシーを逆に過大に明らかにすることになる、そういうお話もございました。

 確かに、何事も無罪の推定も働くわけですし、被疑者であろうともむやみに人権を侵害されてよろしいというわけはございませんので、その面も私もわからないではありません。しかしその一方で、通信を傍受され、そしていわば内心の秘密といいましょうか、それを何らかの形で聞かれ、あるいは外から侵害をされ、それを全く告知されず、あるいは知らされず、そちらの人権というものも、これはどちらが重い軽いではなくて、大変重要なことだろうというふうに思います。

 正直言って、人間知らないうちに何か自分の内心が見られているんじゃないか、あるいは人間そのものがどこかに暴露されているのではないかというその気持ち悪さというか不安、あるいは自分の尊厳にかけての思いというのはやっぱり人間の一番根本だというふうに思うんです。そこを考えると、確かに刑事局長のお話もございます、それからその通知をすることによるさまざまな手間、煩雑さというのもあるかもしれませんけれども、それと比べることのできないほどの重さというものが、通信傍受をされた、あるいはその通信の内容をどこかで見られた者にとっては重みがあるのではないか、そういう気がするわけです。

 そういう意味では、改めてこの通信の当事者に 対する通知をどのように考えておられるか、そしてやっぱりこれを知らせる、通知をする、こういうことを少なくとも検討すべきではないか。大変だとかそういうところは、技術的にあるいは物理的にいろんな手だては工夫できる問題です。

 基本的な人権という問題は、少なくとも技術論だとかあるいは手間暇だとかという問題で片づけられることではありません。そういう意味で、この通知ということを改めて考えていかなければいけないのではないかというふうに思いますが、再度これはお尋ねしたいと思います。

政府委員
(松尾邦弘君)
 今、先生のお言葉の中にもありましたが、非常に高度の秘密が保たれているべき通信ということを考えますと、それが傍受されるということが持つ響きが一般人としては非常に気持ち悪いという感覚、その傍受という言葉からそういう感覚をお持ちになるということは私も十分に理解できるところであります。

 ただ、その点につきましては、これは従来からいろいろ申し上げておりますが、一般人の通話がみだりに広く傍受されるということは、今回の通信傍受法案が通りましてもそういう事態にはならないことはこれまで繰り返し御説明を申し上げてきました。罪種自体が薬物、銃器、蛇頭あるいは組織的な殺人といった極めて特異な四つの類型の重大犯罪に限られているということからお考えいただいても、一般にお持ちになるそうした気持ち悪い感覚というものは、現実には一般人の通話が広く聞かれるということはないということで、そういう懸念には当たらないということは何度も申し上げてきたところであります。

 ところで、傍受した通信の中で犯罪の関連性のない通信をした当事者には通知は行かないというのは御指摘のとおりでございまして、この問題についてその当事者にも通知をすべきではないかという議論は、この立案の過程あるいは法制審の過程でも非常にいろんな角度から論議がありました。

 この点について一つ二つ申し上げますと、結局はバランスの問題ということに尽きるかと思いますが、どんなことが言えるかといいますと、該当性判断のための傍受というものは通信の一部が断片的に傍受されるということにとどまりまして、それのみの通話の記録は消去して捜査機関の手元には残さないということにこの通信傍受法案ではなっています。したがいまして、通信の秘密に対する制約という点から考えますと、傍受記録に記録されている通信の当事者の場合に比べまして、相当程度に、通信の秘密に対する制約という観点からいえば、相対的にということになるかと思いますが、低いものというふうに言えるのではないかと思います。

 また一方で、このような場合にまで通知を行うということになりますと、これまでにも繰り返し述べてきましたが、犯罪に関係のない通信の当事者、例えば被疑者の友人、一般人にまで、あるいはその取引先ということも考えられるかと思いますが、広く通知をすることになりまして、被疑者の名誉やプライバシーを侵害する処置となることもまた明らかでございます。重大な犯罪について十分な嫌疑がある場合にこの傍受はするわけでございますが、たとえそのような被疑者とはいいましても、そうした重大な不利益を負わせることは健全な刑事司法手続とは言えないのではないかというような点も二番目に指摘できるかと思います。

 しかも、そのような通知を行うためにだけ犯罪と関係のない通信の当事者を特定するための捜査を行うことは、かえってこれらの人々のプライバシーを侵害するおそれも新たに出てくるということもつけ加えて申し上げておきたいところでございます。

 ただ、何らかの形でこの傍受記録に残らない通信の当事者に対する配慮ができないかということでございますが、私どもとしましては、この法案の二十九条に国会への報告というのがございます。この中でどういう傍受の実施状況にあるのかということを比較的詳細に報告をしたいと思っております。そうした中で、この犯罪と関係のない通信の当事者のなした通話、スポットモニタリングで傍受された通話ということになりますが、それがどのくらいの割合になるのかとか、例えば具体的な一つの例でいきますと、関係ある通話とそうしたスポットモニタリングにとどまった通話との割合だとかそういったものも、現状をよく御理解いただくような資料もこの国会への報告の中に十分に含めて御報告したいというふうに考えております。

組織犯罪対策3法案への質疑(8/6) 2/4
千葉景子君  これは平行線になりそうなところもあるんですけれども、先ほど言ったように、これはバランスという問題ではないと思うんですね。被疑者といいますか、当事者になった者の人権というのもそれはあるかもしれません。でも、どっちが重い軽いじゃないわけですね、人間にとって人権というものは。そうすると、そのバランスとか、それからそれによって起こる、今度は特定をしなければいけない、そのためにまたプライバシーを侵害するのではないかということもおっしゃいましたけれども、逆に言えば、それもわからないではないけれども、知らないところで何かされているという問題というのは解消されないわけですね。

 今おっしゃいましたように、国会への報告をできるだけ詳細にされる。これ実際にもし運用されるとすると、一体どのくらいの数になるのか、あるいはどういう実情になるか私にはさっぱりわかりません。片方では、非常に限定して、これはこれしか手段がないんだというようなことで通信傍受は使われるんだということも言われますし、しかし逆に言えば、この法律で考えますと、いろんな幅広い適用、それから諸外国の例でもかなりの通信傍受が実施される。せっかくこういう手法ができるということになれば、かなりの通信傍受が実施されるという懸念も一方ではある。

 国会にできるだけ詳細に報告をされるということですが、例えば、その実情を見ながら、通知をするということがかなり現実的な、それから数とか含めてこれは当事者にきちっと通知をした方がいいというような実情などが見えたとすれば、これはそのときにも、今は難しいとおっしゃっていますけれども、やっぱり通知の制度というのを考えていくことは今後の実施状況からも必要なんではないか。決して今このままの法律でどうぞ、まず始めてくださいと私は申し上げるわけではないんですけれども、そういう姿勢というんでしょうか、そういうのもぜひ持っていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 国会に報告を申し上げるということも、そうしたこの通信傍受のシステムそのものの運用をいろんな角度から御論議いただく、また国民にもその実情を広く承知していただくということがその眼目になるわけでございますが、その中で改善すべき点あるいは改正すべき点ということが明らかになりましたら、それはそれでこれを運用する当局といたしましても十分に配慮いたしまして、適正な運用のできるような法律に改めるべきときには改めるという姿勢は堅持していきたいと思っております。
千葉景子君  次に、立ち会いの問題について改めてお尋ねをしたいというふうに思います。これもやっぱり、この間の論議等、それから参考人からの御意見も伺いましたが、どうも意味不明というか、一体これは何なんだというのが結局結論のような気がするんです、この議論の中で。

 というのは、その本来の趣旨は、多分立ち会いというのは、この通信の秘密、その侵害をできるだけ防止する、それに対するきちっとしたチェック体制、監視体制というものを念頭にした制度であろうと思うんです。しかしながら、それを本当にきちっとやろうとすれば、これは常々議論になっておりますように、通信の内容とかそれから捜査のどういう問題が必要なのかとか、そういうことをきちっと理解した上で、そしてそれが範囲を超えたり、あるいは捜査権限の越権をしているんではないか、こういうことをやっぱりチェックをする、それだけの能力を持ち合わせて立ち会い をしなきゃいけない。しかし今回の法案はそうではない。

 しかし、立ち会いの制度があり、しかもかなり民間の皆さんの負担において行われる。しかも余り権限は、逆に言えば、先ほど言ったように専門性をなかなか持ち得ないので、そう大きな権限というわけにもいかない。したがって、重大な義務を負わすわけにもいかない。

 そうすると、何か立ち会いとはいいながら、結局は負担ばかり多くて、一私人としては、あるいは民間人として、負担は多いけれども、自分は何をやっておるんだという立場に置かれてしまうのではないか。

 制度上は確かに、後から何か損害賠償請求されたりあるいは刑事訴追を受けたり、あるいは何か大変恐ろしい目に遭ったりするはずはないと。はずはないというのはいいんですけれども、事実として、こういう捜査に立ち会ったりあるいはそれに関与したということになれば身に何かいろいろな攻撃があるのではないか、そういう不安を持つのは当然だろうと思うんです。

 これだけ権限や監視の実効性というものが乏しい、しかし負担とか不安とかを民間人にこれだけ負わせてしまう立ち会いの制度というのは、いかにも何かやっておかないとどうも手続としておかしいと言われるのではないかというので何かとってつけたようなそんな制度に結果的になってしまっている、中途半端で。これももう一度本当に考え直すポイントではないかというふうに思うんです。

 本当に立会人の意味、効果、それからその負担、どういうふうにそれをきちっと説明されるのでしょうか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 立会人の御指摘の問題については、大きく分けて二つの観点から申し上げたいと思います。

 まず一つは、現在の法律案で立会人に期待されている役割をここで確認的にもう一度取り上げてみたいと思います。

 それは、まず立会人には傍受のための機器の接続が令状で許可された通信手段になされているかということの確認があります。特に、原則として通信事業者の立ち会いをお願いするということでございますから、この点はまさに専門家の目で見てチェックをするということになります。

 それから、令状によりまして、傍受の時間等が例えば午前十時から午後五時と時間的に限られる場合もありますし、期間が三日とか七日とか十日とかというように、それぞれの令状によって違ってきます。そうした場合に、令状によって許可された傍受の期間、時間等が遵守されているかどうかということ、これも立会人のチェックをいただく事項でございます。

 また、該当性判断、すなわちスポットモニクリングのための傍受が適正な方法で行われているかということでございます。これも繰り返し申し上げてきましたが、スポットモニタリングのどういうやり方をするかという具体的な方法は立会人に詳細に説明がされているということが前提でございますので、立会人はその与えられた説明を頭の中に置きまして、現実にそのとおりやっているかどうかというチェックはするということでございます。

 それから、傍受をした通信がすべて録音されているか、聞いているのにテープが回っていないというようなことがないかどうか、これもまた大事な点でございますが、それも立会人のチェックをいただく事項でございます。

 また、これも重要なことですが、記録の封印をするということです。これは、カセットテープが終わりますと新しいテープに取りかえる、その都度その都度立会人にはそれに封をしてサインをするということをお願いしてございます。

 こうした今申し上げたような立会人が果たすべき役割ということ自体をお考えいただいても、傍受の実施の適正を担保する制度としては極めて重要で、また意味のあることだと考えます。

 それから、次に申し上げるのは、立会人には傍受をしている通信の内容を確認するまでの役割は今回の法案では負わせておりません。これは、傍受した通信がすべてまず記録されます。その上に立会人が封印をしまして裁判官が保管する。こうしたシステムをとることによりまして、捜査機関が実際にどのような内容の傍受をしたか後から確実にチェックができるという仕組みをとることにしております。これは、捜査官による傍受の実施の適正の確保ということをねらいつつ、同時に立会人の負担の軽減を図ったものということが言えようかと思います。立会人に通信の内容を聞いてもらっていわゆる切断権を行使してもらうまでの関与を求めることは、逆な面でいいますと、立会人に過度の負担を課すということにもなりますし、関係者のプライバシーを保護するという観点からも適当ではございません。

 さらに、つけ加えて申すならば、非常に専門的な捜査官がそれまで膨大に積み重ねた情報のもとで内容を判断するということが適当なんですが、これをいわば素人の立会人に同じようなことをお願いするというのは、能力的にもやはり限界を超えているだろうという判断もございます。

 いずれにしても、立ち会いの問題というのは、この法律案が論議される前に検証として通信傍受が五件実際に実施されておりますが、その際に、立会人に確かに、内容を聞き、切断権を与えたということでございます。ただこれは、裁判官がそのほかに通信傍受の適正な執行ということの担保の手段が乏しいものでございますから、ある意味では立会人に相当な期待をしたということでございまして、条件として、その内容を聞き、切断権を与えなさいという条件を付したということもまたお考えいただきたいと思っている次第でございます。

千葉景子君  今の御説明は十分これまでもお聞きをいたしております。

 確かに御説明はわかるんですが、逆に言えば、今おっしゃったことに逆にその本質があらわれているわけですね。立ち会いは私人、民間人ということを中心にしますから、逆に、プライバシーの保護という意味で内容を知らせたりあるいはその中身を知って何らかの権限を行使するということをむしろ付与することはできない、そうすると立ち会いの意味というのは非常に限定をされてくる。

 先ほど幾つかおっしゃいました、令状による期間とか時間をきちっと守らせるとか、そういうことで全くチェックの意味がないと言っているわけではありません。しかし、冒頭から申し上げますように、これが極めて人権の一番基本にかかわる問題ですから、手続、こういうものは厳格であり、あるいは二重三重に行われて別に何らおかしくはないわけです。そういう意味からすると、確かに一定の外形的なそういうもののチェックというのはやり得るけれども、むしろ民間人としてはそれ以上のことというのは、今度は逆に確かに問題がある。だから、よく言われておりますように、なかなか日本の制度では難しいけれども、例えば裁判所にかかわる書記官であるとかそういう方に、もう少し内容にもチェックのきくような立ち会いあるいは監視の制度、こういうものを考える。

 それから、さっき言った機器の接続、これは確かに技術的なことなんです。こういうことはむしろ技術に熟知した当事者、民間の現場におられる方にきちっとチェックを受ける。むしろこれはその人の責任というよりは権利ですよね。自分の機器がとんでもないことになっては大変だ、権限としてそういうときにきちっと立ち会ってチェックをする、むしろそういう権限の問題だろうというふうに思うんです。立ち会いそのものというのは、やっぱりそういうものとは別に、改めて公的にそして第三者的に、しかも内容にチェックのきくそういうシステム、制度、それが人的にもなければそれを要請するあるいは何らかの形で確保していくということで、やっぱりこの手続の厳正さというものを改めて検討する必要があるんではないか。

 中途半端なんです。民間にお願いするから私人であるにもかかわらず負担は多い、公務についているという者であればそういう職務の負担というのはある意味では職務上の責任でもあるわけですが、民間人には負担ばかりで、そして制度としてはなかなかチェックの実効性が上がらない、こういう非常に矛盾を抱えた中途半端な制度になってしまったということが言えるのではないか。これも私は当然再検討の余地のある部分だと思いますが、御説明をお願いします。

 それから、この制度でもこれだけの意味はあるんだということまではわかります。さらに、人権を守る、そして捜査の行き過ぎを防ぐ、こういう意味での制度というものを検討すべきではないですか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 確かに、御指摘のように、立会人にある意味では専門家といいますか、あるいはいろいろなチェックをし得るような人が通信事業者等以外に考えられないんだろうか、そういう議論もあるところでございますが、今御発言の中にありました例えば裁判所の職員というのは確かに思いつくといいますか、厳正中立ということからいいますと裁判所はどうだろうかという発想もまた当面考えられるところでございます。その職員を立会人にするという制度はどうだろうかとか、あるいはこれまでの議論でも弁護士はどうかということもございました。

 そうしたこともいろいろ検討事項として議論してまいった次第でございますが、例えば裁判所ということを考えますと、この制度のかなり大きな部分に事後的なチェックといいますか、全体的な適正の担保の一つに不服申し立ての制度、それを裁判所が原記録に基づいて関係者から事情を聞くということももちろんあるわけでございますが、傍受が適正に行われたかどうかということについて司法判断を受けるというのが現在の通信傍受法案の中のかなり重要な適正担保の手続の一つでございます。つまり、裁判所というのはその段階で登場してくる、あるいはその段階で機能する、あるいは重要な役割を果たすことが期待されているわけでございます。

 そうしたことから考えますと、傍受の現場に立ち会ってその適正な執行を監視するという役割を仮にやっていただきますと、それで裁判所の職員等が立ち会って意見も仮に一言わなかった場合を想定いたしますと、司法的な機関からの職員が一応オーソライズしたことになりかねないわけでございます。そういった意味では、裁判所の職員を立ち会わせることのマイナス面というのもまた考えざるを得ないわけでございまして、今回の法案ではそれは採用しなかったということでございます。

 また、弁護士等の特定の職業につきましても、まず立会人の確保が難しいという物理的な問題がございます。それと同時に、弁護士が立ち会いという業務を考えた場合に、弁護士業務との比較の問題で果たして適任なのかどうかというのは、必ずしも弁護士さんだからより適任だということも言えないのではないかというようなこともございまして、この点も立会人の範疇には入れなかったというような判断がございます。

 現在の法案というのは、そうしたいろいろな検討を経た上で、通信事業者等を立会人の中心に据えて、これを適正の担保の一つにするということでしたわけでございます。

組織犯罪対策3法案への質疑(8/6) 3/4
千葉景子君  局長の御答弁をいろいろお聞きしますと、私が申し上げていることを別に決して否定をなさっておられるようには思えません。ただ、現在の制度上とかそれから事後的なチェックの際に裁判所なりもかかわるのだからということも御答弁くださいました。でも、私が言ったように、二重にあっていけないということはないわけです。その趣旨というのは別に否定はなさらない。

 また戻りますけれども、やっぱりできるだけ厳格に、そして適正な手続を最大限担保するということを考えたときには、否定されないのであれば、できるだけその趣旨が生きるような、そういうことをむしろプラスの思考として取り入れていく、あるいはできるだけそういうものを遠慮しないで制度として使っていくということが私はこういう問題を考えるときの大事なところだというふうに思うんですね。やっぱり中途半端なものですから、民間の人の負担ばかりになっちゃうと思いますよ、正直言って。

 ここも何か負担を軽減する、例えばできる限り検証令状などでも、消防職員とか公務員という形で、職務上そういう責務を果たさなければいけない人を使ったりする。やっぱり負担をできるだけ軽減し、そして不安を除去する。それから、民間ですから、それによるいろんな財政的な問題もあります。そういうことも含めて、これは民間の人に何か中途半端なこういう役割を負わせるということはちょっと考え直した方が私はいいように思いますが、そこは、再度お聞きしますが、どうでしょうか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 負担の軽減というのは確かに常に考えていかなければいけない事項だろうと思います。

 今回の立会人にいろいろやっていただくということも、負担が過度にならないようにというような配慮は十分にしたつもりでございます。そういう意味で、現在の制度自体が立会人にある一定の役割を果たしていただく、しかもそれを通信事業者に原則としてお願いしているという点について、通信事業者に一つの法律上の負担を課しているということは間違いないことでございますが、通信事業者の果たしている公共的な役割といいますか、そういった事業の性格等を考えますと許容する範囲内であろうというふうに我々は考えておりまして、通信事業者等、立会人となることを予定されている方々に対しましては、ぜひその趣旨、この法案の通信傍受の重要性を御理解いただきまして、今後その御理解のもとにぜひ御協力いただきたいと考えております。

 それからもう一つは、確かに適正担保のための仕組みというのは二重、三重、あるいはもっと多くてもそれは構わないのではないかと。それはお説のとおりだろうと思います。

 ただ、通信傍受というこの制度を考えてみますと、諸外国との比較で立会人を置いているという制度をとっている国はございません。我が国のこの通信傍受の制度を考える上で、当然外国との比較ということも一つの重要な検討事項ではございますが、先ほどから委員御指摘のように、それぞれの国にはそれぞれの歴史があり、あるいは国民の意識があり、あるいは法律についてのいろいろな異なった仕組みがございます。

 そういった中で、我が国の通信傍受制度というのは、そういったことを比較しましても、諸外国と比べますと大変厳重な要件のもとにこれを実施するということになっておりまして、いろいろな観点からの検討事項はあるかもしれませんが、全体としては、諸外国に比べますと、人権に対する配慮あるいは適正手続に対する担保等、どの点をとりましても現在考えられる中ではいわば十分に考慮された内容になっているというふうに御理解いただきたいと思っております。

千葉景子君  今、今後通信事業者とのいろいろな話し合いもあり、協力をいただけるものはぜひお願いをしたいというお話でございます。

 ただ、これもしばしば指摘をされておりますけれども、大変規模を持っている通信事業者、あるいは本当に数人あるいは一人でやっている通信事業者がおるわけですね。仮に協力を得るといっても、その意味合いというのは私は全然違うと思うんですよ、もうその重さなりは。

 だとすれば、やはりそこをかなり緻密に区分けというか、その規模なりにも配慮し、それから、例えば協力の要請についていろいろな問題があれば、この立ち会いを通信事業者にお願いするというやり方、これも改善をするというか制度として考え直すということが当然あってしかるべきだろうというふうに思います。お願いをするというだけでは、これはとてもその負担を緩和できるものではありませんし、その業務自体をむしろつぶし てしまう、そういうことにすらつながりかねないという声もあるわけです。

 だとすれば、これはできるだけ早く、この法案ができたらとかいうのではなくて、本当にこういうものが受け入れられるものなのか、あるいは制度として実効性あるものなのか、その辺を通信事業者などともきちっと議論をしていただいて、これは無理だということであれば立ち会いの制度そのものを見直す、あるいはこの法律の中でも変えていくということは考えられませんか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 先日も参考人の御意見の中に、非常に小さな規模のプロバイダーの例を挙げまして、立ち会いというのが過重な負担になることがあるんだと、場合によるとその業務そのものがとまってしまうというような不安も抱いているというような御発言がありました。

 いろいろなそういう点も含めて検討してまいりましたが、改めて参考人のそういう話を聞きますと、そういった点についての十分な配慮というのがぜひ必要だなということをまたその段階でも痛感した次第でございます。

 したがいまして、今後、この法案が成立しまして通信傍受を実施するということになりますと、いろいろな機会をつかまえて、そうした事業者との間の意見交換というものは本当に密にやっていきたいと考えております。その中で、事業者の抱えている具体的な問題というものを詳細にお聞きして、過度な負担がかかることのないようにということで、その点は実施の段階でも十分な配慮をしていきたいと思っております。

 確かに、少人数で運営しているプロバイダーということになりますと、例えば一週間、十日のメールの傍受に立会人として役割を果たしていただくというのは、客観的に無理な場合が多いのではないかと思います。その場合には、立会人のこの制度の中で必ずしも通信事業者等に固定されているわけではございませんので、かわるべき立会人というものを事前にいろいろ手配をしまして、その通信事業者の立会人とチームを組んでもらって、小さなプロバイダーでありますと、その接続だとかあるいはプロバイダー自体がやった方がいいような部分についてはその関係の立会人をお願いするということでございますが、通常の通信の傍受の段階では、例えば地方公共団体の職員等に立ち会いをお願いするとか、そういったことを弾力的に運用する必要があるということだろうと思います。

 なお、そうしたことを実施して、やはりある程度の事例が積み重なる中で、立会人制度についてもなお検討すべき余地があるということでございますれば、それはもう率直に我々としても現実を直視しまして、問題点があれば検討していきたいというふうに思っております。

千葉景子君  もうその姿勢は当然のことであろうと思いますが、もう少し私は言わせていただければ、やっぱりどうもこの法案そのものが、審議をする中から、そして参考人なりの御意見をいただく中から、改めて今の立ち会い、大変小規模な通信事業者の実態あるいはその問題点、こういうものも明らかになってきている。

 だとすると、この法案そのものが当初余りそういうところを十分に認識していないところがあったのではないかと思うんですよ、率直に言って。それをお認めになるかどうかは別として、やっぱりこの議論の経過、それからこの法案のこれまでの議論を見ておりますと、携帯電話の問題なども出てきましたし、それから今の通信事業というのが本当に多様な形で行われているということもだんだん明らかになり、それに本当にきちっと沿ってこの法案が準備されたかというと、やっぱりいささか問題があった。そこは私たちも、そしてこれを提案された法務省としても、率直に認識をして、そういうところはこの法案をまずは通してからとかいうのではなくて、そういう現実があるのだから、じゃそこはもう本当に素直にきちっともう一度点検をし直して、それで誤りなきよう進めていこうということが、私はもうここに至っては必要なのではないかというふうに思っています。

 先ほどの通知の問題もそうですし、この立ち会いの問題なども、この法案自体がいろいろな今の現実あるいはその状態にどうも合致していない。そういうところがもう多々見えてきているわけです。

 そういうことについて、どうですか、提案をなさった側として、出した当時と議論の中からいろいろ問題点が出てきた、こういうものにもう今でも率直に適切な対応をとられるというお気持ちはありませんか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 この通信傍受法案でございますが、これは成案を得るまでに非常に長い検討期間がございました。その期間では、もちろんその法制審の議論というのもそれに含まれるわけでございますが、法務当局といたしましても、今御指摘の、例えば中小のプロバイダーの方々からの意見を聞くということも何度かにわたってやっております。

 したがいまして、これまでの議論に出てきました基本的な問題につきましては、そうした段階で十分に把握をして法案の中にそれは反映させたつもりでございます。

 ただ、この法案につきましては、衆議院の段階で修正をいただいたということになります。修正をいただいた点につきましても、かなりその多くはこの論議の中で修正すべきではないかという、いろんな形から論議が行われていた事項でございました。修正された内容につきましては、原案を立案した法務当局としては非常に謙虚に受けとめている次第でございます。

 また、この委員会を含めまして、これまでにいろんな論議がなされたことにつきましても、この運用に当たる我々としましては謙虚に受けとめまして、そうした中で、運用の点に反映すべきものがあれば、これは十分に反映していきたい。そうした中で、この法案の全体の御理解というものを国民にもまた十分にしていただくように努めていきたいと考えている次第でございます。

組織犯罪対策3法案への質疑(8/6) 4/4
千葉景子君  ちょっとその点については、まだ質問が続きますので、いろいろ確認をさせていただこうと思います。

 私は、前回、報道機関の問題をお尋ねさせていただきました。確かに、局長からも、報道の自由というものを尊重するという趣旨の御答弁はいただいております。ただ、これは本当に報道の自由、表現の自由、こういうものにかかわることでもございます。やはりきちっとした報道の自由を保障するという法的な担保というものが私は不可欠だろうというふうに思うんです。お気持ちだけではこういう問題は決して担保されるわけではございませんし、法の上できちっとそれが保障されているのかということが重要な点なわけです。

 それで、私もそのときにも申し上げましたが、決して弁護士とかそういうものと職種として同じ質のものだと、そこに一緒にしろなどとは言っているつもりはありません。法的に報道機関の報道の自由というものをこの法律は決して侵すものではないんだと、それは逆に言えば基本的に当然保障されるべきものだということが明らかになること、それが私は必要だというふうに思います。

 それについて、この法律に何かそういうことを記載しては困るとかいけないということはありませんね。いかがですか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 その点についてでございますけれども、結論から申し上げますと、法案の中に盛り込むことはなかなか難しいということでございます。

 若干理由を申し上げますと、報道機関と一口で申しましても、委員も御案内のとおり今さまざまな形態のものがございます。また、その報道という言葉自体をとりましてもさまざまな態様がございます。我が国では、報道機関を初めとしまして、いわゆる報道の自由とかあるいは取材の自由というふうに言うこともございますが、これについて定めた具体的な法制は今までないということでございます。

 通信傍受法案との関係で報道機関の意義といいますか、あるいはどういったものを報道機関とし てとらえていくのかというようなこと、あるいは先ほど報道ということでもさまざまだと申し上げましたが、活動の内容についてもどの範疇のものをとらえていくのかということにつきまして、これを一線を画していく、あるいは線引きをするということについては極めて困難であるということが言えるのではないかと思います。

 これまで報道の関係で、先ほど言いましたような具体的な法制が極めて乏しいわけでございますが、それも今申し上げたようなそういう非常に困難性といいますか、そういったことが反映しているのかと思います。

 そういうことで、通信傍受の法案に報道ということで対応する、あるいは報道機関ということで何らかの規定を置くというのは非常に難しいということでございます。

千葉景子君  局長はそうおっしゃいますけれども、例えばこの法案は、ではほかの部分で大変明確でそして疑義がないような条文になっているかといえば、本当にそうだろうかと思うんですね。

 例えば、この間も言われました他人間の通信という言い方でも、では本当にインターネットなどについては一体どういうふうにそこが対応するのかという問題だってあるわけです。決してこの法案全体だってもう定義が明確で、そして何ら疑義がないなどとつくられているわけじゃないですよ。だとすれば、今の報道の問題というのも大変それは難しいところがあることは私も別に否定はいたしません。しかし、基本的な表現の自由、報道の自由、取材の自由というものをきちっと法的には保障するんだよという精神あるいは基本的な物の考え方、そういうものを法的にあらわすということは、これからこれを運用する、あるいはそれを適用する、実施する際の大変重要な判断基準になっていくんだろうというふうに私は思うんです。

 そういう意味で、難しいからなかなかだめだとかそういうことを私は一言ってもらっては困るというふうに思います。その点はぜひ、法的にきちっとした担保をつけて、そして報道機関あるいはジャーナリズム、そういう皆さんの本当の意味での健全な報道の発達というものを保障していく必要があろうというふうに思いますが、今のこの法律全体の見方も含めてどうですか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 法律上に報道機関に関する規定を置くことは難しいことは先ほど申し上げましたが、全体的な判断といたしましては、報道機関の報道の自由あるいは取材源の秘匿という、その重要性については我々もそれを否定しているわけではございません。前回の答弁でも、最大限の配慮を運用上していく必要があるということについては捜査機関として十分にその点は考慮するということを明確に申し上げました。

 ただ、その際にも申し上げましたが、現実問題として、通信傍受が仮に実施された場合の問題として、報道の自由あるいは取材源の秘匿と通信傍受とが現実の活動として抵触する、あるいはそのバッティングの問題が起こってくるというのがどの程度あるのだろうかという現実的な考慮もまた必要かと思います。

 我々はその点についても報道機関の方々ときまざまな議論を重ねる中で検討してまいりましたが、現実に抵触する部分というのは極めて考えにくいというふうに我々は考えております。全く例外中の例外として、例えば報道機関の一員がそういう薬物関係事犯の重要な共犯だったというようなケースは、場合によるとその報道機関の一員の自宅の電話が傍受されるということもあり得ることになりますが、そういったことはまず希有の事例でございます。それ以外のケースだとなかなか考えにくいということです。

 報道機関の側からしますと、捜査機関がこういう傍受という手段を法的に与えられているということになりますと、何か一般的に自分たちの電話も傍受される可能性があるという意味での気持ち悪さといいますか、そういったものが現に存在するということは我々も理解しないわけではございません。あるいはまた、一般人の不安とある意味では共通なものというふうに考えられないこともないと思いますが、そうした不安というのは現実に考えていただきますと杞憂である、ほとんどの場合が杞憂である。今申し上げたような極めて例外的な場合以外は抵触することはないというふうにあえて申し上げることができると思います。

 そういう意味で、報道機関の報道の自由あるいは取材源の秘匿についての最大限の配慮は運用上必要だということはそのとおりでございますし、現実にそういったことをやっても通信傍受のシステムそのものが大きな制約をこうむることにはならないというふうに逆に我々は考えている次第でございます。

千葉景子君  わかりましたというか、御答弁はわかりましたが、やっぱりこういうことだと思いますね。この間の議論でも、現実にあり得ないとか、実際にはそういうことは技術的にできないとか、そういう問題と、それから法的にそれが許容されるものかあるいは禁止されるものか、これは別だと思うんです。

 確かに、報道機関を傍受するというのはほとんどまれというか、考えにくいと。それは現実に考えにくいのかもしれない。それと法的にどうかという問題はやっぱり別です。

 この間も、いろいろ技術的な問題と不可能なものと、それから法的にできるかできないかという問題が大分議論になりました。この報道機関の間題も、やっぱりそういうことが言えようかというふうに思うんです。別に現実にたくさんあろうと、あるいはあった方がいいなどと私も決して思いませんし、規定がなくてもそういうことがあってはならじと思います。

 ただそれは、あるかないかということであって、法的に是認されるか禁止されるかという問題ではない。やっぱりそこを明確にしておくということが法律というか、こういう人権に大変重要にかかわる、とりわけ憲法の理念などにも大きくかかわる問題については重要なんだろうというふうに思うんです。

 局長は、余りそういうケースはないでしょうと。それはなくていいんです、ない方がいいわけですから。ただ、やっぱり法的にそれをきちっとしておくということは否定できないでしょう。

政府委員
(松尾邦弘君)
 御主張の趣旨はよくわかります。

 法的にどうかという問題は、先ほど申し上げましたように、この法案の中に通信傍受の対象外にする業種として何を入れるかというところの法的な判断ということだと思いますが、その判断といたしましては、これまで申し上げてきておりますが、刑事訴訟法の定めている弁護士、医者等の業種ということに限ることが現在の法律の立て方からしまして適当、相当であろうという判断をしております。

 その判断に至った理由の中には、現実的な問題ももちろん入るわけでございまして、先ほど申し上げた、現実的にはなかなか通信傍受と報道との関係の接点というのは考えられない、考えにくいということで法律的なそういう処置をした、あるいは法案の中に盛り込まなかったという判断の大きな一要囚にはなっているわけでございます。

千葉景子君  まだまだあるんですけれども、ちょっと時間が足りませんで、私は毎回大変申しわけなく思っていることが一つございまして、この通信傍受以外の法案の問題点をいつも質問させていただくと通告はさせていただきながら、なかなかそこへ到達しないというのが現状でございます。

 ちょっと残された時間がありますので、何点か指摘をさせていただきますが、時間もありませんので、これもまた御答弁をちょっとトータルにしていただきながら、またこれは継続をさせていただきたいというふうに思うんです。

 組織犯罪三法という中で、組織犯罪の処罰、それからマネーロングリングの規制、この趣旨は別に私は否定するものではありません。マネーロンダリングについて、それを規制していこうということは私も容認をしているものでございます。 ただ、この法案が本当にそれをきちっと適切に規制できる法案になっているのか、何かむしろざるを広げて水がざっとこばれ落ちちゃう、どうもそういう嫌いがあるのではないかという感じもいたします。

 それから、組織的な犯罪の処罰、これを重くしようということなんですけれども、これが非常にあいまいである。それから、現在の刑罰法規で全く対応できないのかどうか。そういう御検討がもうちょっとされないといけないのではないかというふうに思うんです。

 例えば、組織的な犯罪処罰などでは、大変日本の刑法の法定刑も幅広くとられています。上限も死刑まで刑罰を設けているものもある。だとすれば、その範囲で十分これまでも適用、運用されてきているし、それから犯罪類型も個人の犯罪あるいは一定の共犯関係、グループ関係にある犯罪、そういうものもある程度見越してその法定刑の幅広さというものも設定されているように私は考えるわけですね。何か非常に組織的犯罪の処罰と言いながら、組織的な資金の流れ、こういうものを断とうということとは何か余り無関係に処罰規定が拡大されたり、あるいは資金の違法な流れを何かえらく大きな網をかけて全部根こそぎとってしまおうと、どうもそういう法律に全体としては思えるわけです。もう少しその目的にきちっと適切に対処できるような構造に私は検討の余地が大きく言えばあるんではないかというふうに思っています。

 ちょっと個別の問題、さらに時間をまたいただいてやらせていただきたいというふうに思いますが、全体の構造としていかがですか。

政府委員
(松尾邦弘君)
 この三法案は、組織犯罪をどう抑圧していくかということが中心的な課題でございます。これを考えるに当たっては、やはり日本の現実がどうかということが最大の問題ということになりますが、さらにつけ加えるならば、例えばマネーロンダリングの関係では国際的な協力ということで日本の責めが果たせるかどうかということもまた一つの要素になります。

 例えば、マネーロンダリングの規制の対象犯罪を今回かなり広げておりますが、諸外国ではそうした犯罪からの不法収益についてかなり厳しい規制がかかっているにもかかわらず、日本がその規制をかけないということになりますと、日本がマネーロンダリングの温床になるというようなこともございます。今申し上げたような例でも御理解いただけると思いますが、国際的な協力という点もこの点では検討すべき重要な課題ということになります。

 そうした日本の現状あるいは国際的な現状といいますか、そういったことから今回の法案は緊急に対処すべき事項ということをかなり絞り込みまして、これを法案として内容に盛り込んだということで御理解いただきたいと思います。大きく網を広げて、いわばその内容が非常に雑駁ではないかというような御批判をこうむらないように、そういう観点からの検討も十分にしたというふうに我々は考えております。

千葉景子君  国際的な問題というのも別に私は否定はしていないんですよ。それから、緊急にそういうものに対処していこうということも別に否定していないんです。ただ、それに本当に即したものかどうか、個々の中身を見ると、そういうところに私は非常に問題点があるというふうに考えているものですから、その個別の点についてはまた順次時間の許すときにお尋ねしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。



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