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周辺事態法案について総括質疑 (1999.5.14)

周辺事態法案について総括質疑 1/4
 1999/5/14 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会(ガイドライン特別委員会)

周辺事態法案について総括質疑(1) [ガイドライン特別委員会] [総務委員会] (99/5/14)   周辺事態法案について総括質疑(2) [ガイドライン特別委員会] [総務委員会] (99/5/14)
千葉景子君  久保議員に関連をいたしまして質問をさせていただきます。

 まず、先ほどもコソボ問題が出ておりました。私は、この問題は冷戦後そして二十一世紀に向けての安全保障という問題を考える際には、大変重要なポイントになってくるのではないかというふうに感じております。

 というのは、安全保障というのは二十世紀、これまではいわば国家の安全保障というのがある意味では基本的な考え方でございました。しかし、現在、国家の安全保障ということからむしろ人間の安全保障、こういう方向へと安全保障の基本的な考え方というのが大きく変容をしつつあるのではないかというふうに思います。国の安全が脅かされるということは、そこに生存をしている人間の安全も脅かされるという意味では、確かに国の安全保障ということがこれからも否定をされるということはあり得ないだろうというふうに思います。

 しかし、国の安全保障、国の枠組みということだけでは、これから人間そのものの安全保障、安全が本当に確保できるのかどうかという問題が既に発生をしているのだろうと思います。それは、例えば普遍的な価値としての自由とか人権とかあるいはまた新しい時代に向かいましての環境問題であるとか、あるいは犯罪、薬物、こういうような問題にも人間の安全保障、どうやって安全な生活を保障するかという問題にあらわれてくるのではないかというふうに思います。

 こういう中でこのコソボ問題というのは、いわばこれまでの国の安全保障、国と国とのそれぞれの安全をどのように確保していくかということを考えると、本当にNATOの新ユーゴに対する空爆あるいは侵攻というのが一体許されるのかどうか、こういう問題になってまいります。しかし、反面、よく言われておりますように、コソボに住むアルバエア系住民の人間としての安全保障をどのようにしていくかということも一つの大きな間題であったことも事実でございましょう。

 そういう意味では、非常にこれからの安全保障を考えるということは、大変私たちにとっても難しい。どういう選択をすべきかということは大変難しい問題を突きつけていると言っても過言ではないと思います。

 こういう中で、やはり人道的な介入、人間の安全を守るための人道的な武力介入というのは、国連憲章とかあるいは国際法上明確に位置づけされているものではないにしろ、国際的に認容あるいは容認されつつあるのではないでしょうか。

 そういう意味では、このコソボ問題について、こういう新しい安全保障、これからの安全保障ということを念頭に置きながら、あるいは国連憲章、国際法上の規制とかあるいは位置づけ、こういうことも念頭に置きながら、これからの安全保障ということについて日本政府としてはどのような哲学を持って、どのような考え方で今おられるのか、その点についてまず総理にお尋ねしたいと思います。

国務大臣
(小渕恵三君)
 今、千葉委員御指摘のとおり、冷戦後における国際紛争というものが、特に人種問題、いわゆる民族問題あるいはまた宗教問題、こうした問題にかかわってアフリカを初めといたしまして引き起こされ多くの人命が失われておるというような事態に対してどのように対処するかということは極めて重要な問題でありまして、そういった意味で、今回起こりましたコソボ問題に対する対応につきましても、これは人類的課題としても取り組まなきゃならないと思いますし、また日本政府といたしましても、正直なことを申し上げますと、民族問題あるいは宗教問題という観点に立って世界で惹起されておるような国々の大変な悲劇に対して、いまだ明確なる答えというものを持ち得ないという状態だろうと思います。

 一義的には国連というものがこれに十分対処するということが必要なことだと思いますが、これとてかつてのボスニア・ヘルツェゴビナのことを考えますと、今なおこの問題についての最終的結論が生まれていないという状況でございます。したがいまして、随時起こりました状態に対しまして、最終的には国民の判断に帰することでありますけれども、政府として慎重の上にも慎重を期しながら、かつ日本としてどのように対応するかということについて対処いたしておるところでございます。

 コソボ問題について言えば、現下なおこれの解決のためにNATOの行動が、国際社会における政治的解決のための外交努力にかかわらずなかなか、ユーゴスラビア政府がかたくなにこれを拒否する、五原則を拒否する中で、さらなる人道的惨劇を防止するためにやむを得ずとられた行動であったと理解をしておるという立場でございます。

 国運憲章や国際法との関係について申し上げれば、今回のNATOの軍事行動については、我が国は当事者ではありません。また、作戦面を含むNATOの軍事行動に関する詳細の情報を有しておらず、政府としては法的評価を下すことはできないことは御理解いただけると思います。

 いずれにいたしましても、この状況の中で日本政府としては、平和的解決とは何ぞやということに関しまして、できる限りの方策をいかに講ずベきかということについて苦慮しておるところでありますが、日本の政府の果たすべき役割もおのずとあろうかと思いますので、今全力を挙げて努力をさせていただいておる、こういうことでございます。

千葉景子君  先ほども、この問題についての政治的解決の重要性ということについて、総理も十分御理解であるということが示されました。

 ただ、この間の推移を見ておりますと、大変残念なことに、中国大使館が空爆をされ、それによって大変中国政府としても厳しい態度に今終始しているという状況がございます。さらに、ロシアにおきましても首相が退任をされるというある意味では大きな局面を迎えておりまして、そういう意味ではこの政治的解決、これが大変難しい。

 こういう状況も含めながらどうやっていくのかというところであろうかというふうに思うんですけれども、こういう状況の変化も含めて、やはり日本政府としては具体的に、先ほどお話がござい ました明石さんが行かれたということでございますけれども、何か個人的に行ったことをそうですかと言っているようなことではなくて、やはり平和をつくっていくあるいはこのような問題を解決していくという上でどういう積極的な努力をされようとしているのでしょうか。このような難しい局面もございますので大変であろうと思いますけれども、お考え方をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

国務大臣
(小渕恵三君)
 コソボ問題に対しましての政治解決のためには、G8として統一ポジションを固めまして、その上で国連が主導的役割を果たし得る状況に持っていくことが必要だと考えております。

 この点から、先般高村外務大臣が出席して行われましたG8会合におきましても、政治解決のための七原則及びこれらを実施するための国連安保理決議の準備につき合意されたことは極めて重要であると思います。

 今後の政治解決に向けた努力におきましては、G8の一員であるロシアの建設的役割を引き続き支持し慫慂するとともに、安保理常任理事国である中国の理解と協力を得ていくことが必要でありますが、特にこうした中で中国大使館の誤爆は、G8外相会合において重要な成果があったやさきに起こった事件だけに、この事件が政治解決へ向けての機運に悪影響を与えることのないようにすべきことは当然であります。

 我が国としては、国連安保理決議が取りまとめられることを目指し、今後ともG8の一員としてロシア、中国への働きかけを含め貢献してまいりたいと思っておりますが、今、千葉委員御指摘のように、ロシアにおける政局も大きく展開をしておるような状況でございます。エリツィン大統領とNATOの主要国であるフランスのシラク大統領が会見し会談しておる。恐らくこういった観点でのコソボ問題も話されたのではないかと推測をいたしておりますが、そういうこともございますし、また中国の江沢民国家主席とドイツの新首相シュレーダー氏が北京において会談しておる。現在いろいろとこうした事情の変化の中でそれぞれ主要国も、特にこの爆撃に参加しておられる国々の主要な首脳がこうした形で積極的に取り組んでおられるわけでございます。

 さて、日本としてはと、こういうことでの御指摘でございますけれども、日本が直接的にここに関与するには余りにもあの地域についての経験は不足しておることは事実であります。ありますが、いずれにいたしましても、日本として何らかの努力ができないかということは、冒頭申し上げましたように、ロシアも参加してのG8の中で一つの解決方法を目指して考え方をまとめておるわけでありますから、それを積極的に支持すると同時に、国連に対しましても国連事務総長の努力に期待を寄せつつ、日本としてさらに積極的に対応していくということであります。

 当面は、一方でコソボにおける難民に対する対策につきましては、これは世界の中でも決して遜色のない応援態勢をとらせていただいておりまして、一方、そうした形での我が国国民あるいはまた政府の基本的考え方については御理解を得ておるところではないか、こう考えております。

千葉景子君  今、私もこのコソボの問題をお尋ねしたのは、今、遠いところといいますか、なかなかそこに情報が少ないといいますか経験が少ないというお話でございましたけれども、これは決して他人事ではない。

 このような国際情勢、それから先ほど申し上げましたように人道的な理由をもっての武力介入のようなことが起こっている。これは、決して日本の周辺、近くに全くそういう火種といいましょうか、そういう状況がないわけではない。この周辺でも、原因はどうあろうかわかりませんけれども、例えばさまざまな政変、あるいは経済的な状況、貧困、そういうものも含めて大量の難民が流出する、あるいは発生するような事態が万が一にも絶対ないとは言えない。そういう世界の状況を見たときに、こういう問題についてどういう姿勢を持っているかということは、これからの周辺の状況変化、それが周辺事態かどうかは別といたしまして、それに対する日本の対応ということに直接的なさまざまな関係を持ってくるだろうというふうに思います。

 そこで、例えば大量の難民が発生する、それが国外に流出するようなそういう事態が起こったとすれば、これは今審議をされております周辺事態法、この周辺事態というものに該当することになるのでしょうか。改めてお尋ねをしたいと思います。

国務大臣
(高村正彦君)
 大量の難民が発生して、そのことが我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態になれば、それは周辺事態でありますが、大量の難民が発生したからといって、必ずしも直ちに我が国の平和と安全に重要な影響を与えるとは限らないということでございます。 
周辺事態法案について総括質疑 2/4
千葉景子君  これは例示といいましょうか、そういう周辺事態のどういうケースがあり得るかということの中でこの大量難民という問題が指摘をされております。私も、確かに今、外務大臣がおっしゃったとおりであろうというふうに思うんです。大量の難民が発生をしたというだけでこれは周辺事態などと言えるはずはございません。

 そこで、この周辺事態の意味でございますけれども、今、大臣がおっしゃつたように、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える、こういうメルクマールがあるわけですね。だから、難民が出た、もう即周辺事態だということには当然ならないであろうと。

 それともう一つ、周辺事態の定義に「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」ということがさらに加わってまいりました。この「直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」ということが加わったということは、先ほどの、大量難民が出たからといって即周辺事態ではない、それに対してまたさらに絞り込みをかけたというふうに解釈をしてよろしいのでしょうか。それとも、そういうことではないということでしょうか。参考人の中からも、この「直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」ということが加わることによってさらにケースが絞られたのではないかという御意見などもございましたけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

国務大臣
(高村正彦君)
 「等」という言葉がついておりますので、もし「等」という言葉がついていなければ何らかの絞り込みがかけられただろうと思いますが、「等」という言葉がついていますので、文理的に解釈しても、特に絞り込みをかけたとは考えていないわけで、それは一つの例示であり、大体どういうことなのかなということが国民にわかりやすいように丁寧に説明したものだ、こういうふうに思っておりますし、衆議院の特別委員会あるいは参議院の特別委員会で提案者もそういう説明をしておられます。周辺事態の定義を変えるものではない、今までよりこれを広げるものでも狭めるものでもない、こういうことを説明されていますので、そういうことだと理解をしております。
千葉景子君  平和と安全に重要な影響を与えるということの大きなポイントは、武力攻撃に至るおそれといいますか、武力ということが非常に大きなポイントになるということが、修正でプラスされることによってより明確といいますか、どういうケースなんだということについての一つのイメージというものが明確になったのかなという感じはいたします。
〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
千葉景子君  そうしますと、これも繰り返しになりますが、結局、その「周辺」という言葉ですけれども、これがついていることによって逆に極めてわかりにくい。「周辺」というのは結局余り意味のない言業というふうに考えてよろしいんでしようか。あらかじめ地理的地域を確定できない、「周辺」という言葉はどう考えても地理的概念を示す言葉ですね。でも地理的概念をあらわしているものではないということになりますと、この「周辺」とい うのは取っちゃっても同じだ。要するに、何か起こった事態、それにはいろいろな条件はついているとしても。「周辺」ということはどういう意味があるんでしょうか。
国務大臣
(高村正彦君)
 周辺事態安全確保法案に言う「我が国周辺の地域」とは、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が生起する地域のことであります。

 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が生起する地域というものは、現実の問題としておのずから限界があるわけでございます。そのような意味で「我が国周辺の地域における」との文言を用いて周辺事態を定義したものであり、かかる文言が無意味であるとは考えておりません。政府としてはこの文言が適当と考え提案申し上げているのであり、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、ある事態が周辺事態に該当するか否か、周辺事態に際していかなる措置を実施するかについては、日米両国政府がおのおの国益確保の見地からあくまでその時点の状況を総合的に見た上で主体的に判断することとなるのであり、政府として周辺事態が生起する地域の地理的な範囲を想定しているということはないわけでございます。

 取っちゃっても同じじゃないか、こういうことは、委員のように純論理的に国民がすべて考えられるとすれば必ずしも「周辺」という言葉を使わなくてもよかったのかもしれません。かもしれませんが、やはり事態の性質としておのずから限界があるよということが一見国民にわかっていただけるという意味では、この周辺地域という言葉をつけたことは意味があることだ、私はこういうふうに思っております。

千葉景子君  これでやっていますとまた時間をとることになりますが、それであれば、いつも御説明のときに、周辺というのはそうしたらおおよそ考え得るのは例えばアジア太平洋であるとか、あるいは極東、それに含まれるあるいはその周辺ぐらいまでだとか、むしろそう具体的に説明をいただいた方がよっぼど国民にはわかりやすいのではないかと思います。裏側は入らないでしょう、あるいは中東、インド洋はいかがでしょう、そう言っているから余計非常にあいまいでわかりにくい、こういう状況になっているのではないかというふうに思います。これはまた後に譲りますが、こういう日本の周辺でも大量の難民が発生をするというような事態が起こり得る、これは否定できないであろうというふうに思うんです。

 法務大臣、済みません、何かお時間があるようでございます。今、難民というものに対しては、基本的には日本は法務省がその手続等を難民条約、難民法によって進めております。今、コソボでもたくさんの避難民が流出をしている、国内にとどまっている。日本の周辺で万が一にも大量の難民が発生をするというような事態が起こったときに、法務省が管轄をする、あるいは法務省のさまざまな手だてでこういう問題に対処できると思われますか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 我が国に大量の避難民が流入する事態となった場合は、関係省庁が連絡をとり、政府が一体となってこれに適切に対応する必要があると考えております。

 法務省といたしましては、出入国管理行政を所掌する立場から、インドシナ難民等の先例も参考にしながら、大量避難民対策がスムーズに行われるよう省内の体制の整備及び施設の確保等に努め、積極的に対応してまいりたいと考えております。

千葉景子君  今、とても法務省の日常の手続では、いざ大量の難民発生というようなときにはなかなか対応は難しいというお話でございました。

 さて、日本政府としては、例えば日本の周辺で大量の難民が発生をするというょうな事態が起こったときにどういう対応策あるいは想定というものをしているんでしょうか。こういうことは、いや、あり得ないんだということで考えているのか、あるいは万が一にもあるかもしれない、こういうことで体制を整えようとしておられるのか。

 それと、私はそれに関連して、先ほど難民が発生したから直ちに周辺事態というものに該当するのではない、それにきちっとした条件があれば周辺事態ということにもなり得るけれども、直ちに周辺事態になるわけではないと。片方では、万が一にも周辺事態というようなことにも難民問題としては頭をめぐらしておかなければいけない、しかし片方では、その難民に対してどう日本が受け入れていくのか、受けとめていくのか、あるいは人道的な課題としても、そういう側面でも考えておかなければいけない。両面のような形になるのではないかというふうに思いますが、これら難民という問題に対してどう受けとめ、あるいは想定などをされておられるのでしょうか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 委員の御指摘は、難民問題について、大量にこれが流入するというようなことになった場合に出入国管理の面だけでいいかという点も含めてお尋ねがあったんだろうと思います。

 政府といたしましても、認識としてやはりこの問題は非常に重要なことだということで、平成八年五月に橋本総理の指示によりまして、我が国に対する危機が発生した場合やそのおそれのある場合に我が国としてとるべき必要な対応について検討、研究を行っておりまして、その中で避難民対策について関係省庁が共同で検討を行う作業グループを設置して、政府全体としての対処の手順等について整理を行っているところでございます。

 具体的には、避難民対策の体制、避難民対策の基本要領、身柄の保護、上陸の手続等についても整理を行っているところであります。

 これを周辺事態との関係でどうかと言われますが、周辺事態につきましては先ほど外務大臣が答弁を申し上げましたところが今の政府の考え方の基本でございますが、その事態はともかくとして、日本に対して想定されるような多くの避難民の流入というようなことについて、万々一起こった場合ということを想定すれば、このような指示に基づいて現下この対策について遺漏なきように検討を進めさせていただいておるということでございます。

周辺事態法案について総括質疑 3/4
千葉景子君  先ほど法務大臣からインドシナ難民の受け入れなどの経験というようなこともございました。しかし、規模から考えますと、これは想定の問題ですからわかりませんけれども、相当大規模な難民発生ということまでもやはり念頭に置く必要があるのではないか、インドシナ難民を受け入れたときとは状況もあるいは規模も違う、そういうことまでもやはり念頭に置く必要があるのかなというふうに思います。

 今、連絡会議なりをつくっていろいろな体制を整えようとしている。やっぱり体制を整える以上は、おおよそどういう規模までなら対応できる、そういう想定も当然おやりであろうというふうに思うんですね。どんなイメージで大量難民の発生、そして規模などを考えておられるのか。

 それから、どういう官庁がその主務官庁といいますか取りまとめ役になって動かしていくのか。これは例えば難民の捜索とか救援、あるいは身柄の確保あるいは移送、こういう問題も出てこよう。多少の時間がたてば生活の基盤をどうしていくのかという問題などもある。どっと来たときには一時的に庇護をするような施設をどうするのか、こういう問題などもある。本当に多様な省庁にもかかわり、そしてまたそれをきちっと取りまとめていぐ体制というのも必要であろうと。

 具体的にどの程度進んでおりますか。どういうものを想定しながらこの作業は進んでいるんですか。

政府委員
(伊藤康成君)
 先ほど総理からも御答弁がございましたが、関係省庁が集まって作業グループをつくっておるということで、実は私どもの安全保障・危機管理室がいわば事務局と申しますか、そういう形で関係の省庁といろいろ協議をしております。

 それで、まず想定の規模ということでございま すが、これはなかなか難しいことでございまして、逆に一定の規模を想定いたしまして、これならできるけれどもこれ以上はというわけにもまいりません。

 そこで、私ども今やっておりますのは、ある程度通常の業務ではとても対応できないような場合にどういう手順があるんだろうか、その場合にどういった体制をとればいいんだろうかというようなことを中心に考えておりまして、規模の大小につきましてはいわば起こったときにそれぞれの対応の中で考えていくということになるんだろうと思います。一定の規模を想定してということではございません。

 そこで、では具体的にどういうことをやっておるかということでございますが、まず避難民発見時ということがあるわけでございまして、そういう場合にどうやって身柄を保護していくのか、あるいはまたとりあえず応急用の物資を支給しなければなりませんし、身体検査と申しますか、そういったようなことも考えなきゃいけないでしょう。さらにまた上陸手続、あるいはまた仮宿泊施設とかそういったようなところをどう確保していくのか、そういった問題について今種々検討を行っておるところでございます。

 ある一定の段階までは達しておるところでございますが、この種の検討と申しますのは実はこれで終わりということはないわけでございまして、それぞれの関係各省庁の体制の整備が進むに応じて、あるいはいろいろな設備等も勘案しながら継続的に続けてまいりたいというふうに思っている次第でございます。

 なお、当然のことながら、基本はもちろん法務省が主体となってやっていただくことになると思います。そのほかに、検疫であれば厚生省でございますし、あるいは税の問題であれば税関当局というようなところが関係してまいります。このほかにも、まず発見あるいはその身柄保護といったような意味で、海上保安庁、警祭庁あるいはまた防衛庁等とも関係してくるわけでございまして、そういった役所がいろいろと作業しているということでございます。

 なおまた、周辺事態との関係につきましては、仮に大量難民発生が周辺事態に該当するということになりますれば、当然、法に基づきまして基本計画の中でその辺の対処要領というものも明示していくということになろうと思います。

千葉景子君  私は、周辺事態というのは、例えば日本に直接武力行使のおそれがあるというようなことが、例ですけれども、一つの大きなメルクマールであるとするならば、そういうことよりもやはり大量の難民の発生のようなことの方がより、確率と言ってはおかしいですけれども、発生をする危険性もあるし、そしてそれにきちっと対応できる、そういう体制が整っている必要があるというふうに感ずるわけです。

 周辺事態ということに対応するのであれば、その前にやはりこういう事態、問題に対して対処できるような体制をつくっていくこと、それがむしろまた、周辺事態を抑止したりあるいは人の安全あるいは人権、それをアジアの中で育てていくということにもつながっていくのではないかというふうに思っております。ただ、現状を考えますと、これは周辺事態とか大量の難民の発生ということではございませんので別かもしれませんけれども、日本というのは難民の受け入れなどについては極めて門戸が狭い。

 五月十二日に、コソボから一家五名が入国をされたということがございます。これはどういう手順といいましょうか、どういう根拠によって日本に入国をしたということになるのでしょうか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 お答えいたします。五月十二日に、周辺諸国に避難していたコソボ出身のユーゴスラビア人一家五名から、在日の親族を訪間する日的で本邦へ上陸したいとの申請がございましたので、在留資格短期滞在で上陸を許可いたしました。これは、コソボから避難している親族を呼び寄せたいとする在日ユーゴスラビア人からの要請が事前にあったことなどから親族訪問目的による入国を認めたものでございます。
千葉景子君  今、御説明をいただきましたように、これはあくまでも一般の親族訪間という形での入国であって、難民という形で受け入れたというような位置づけにはなっておらないということのようでございます。

 日常も、難民の受け入れの状況というのは非常に少ない。ちょっとこの数字等ございましたら説明をいただけますか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 私どもの所管しております難民認定制度は一九八二年から実施されているわけでございますけれども、それ以降、本年四月末までで難民と認定された者の数は二百三十四名でございます。

 最近におきましては、平成十年、昨年十六名、それから平成十一年、ことしは四月末までの数字でございますが七名がそれぞれ難民として認定されております。

千葉景子君  かなりの年数で二百何名ということでございますし、一年で考えればわずかに数名という程度です。

 難民の受け入れが多ければいいということではありませんけれども、日本の社会というのはこういう難民の受け入れとかに対しては極めて経験が薄い。そして、それに対して一般の国民の感覚というものもそういう中で十分に育っているとも思えない。そこに万が一にも本当にだっと大量の難民が入ってくるというようなことになると、私は非常にそこで社会的な摩擦とかそういう問題が起こりやすくなるのではないかというふうに思うんです。

 そういう意味では、やっぱりふだんから、決して難民発生を喜んでいるわけではありませんけれども、そういうものに対して日本の社会が懐を広くしておく、あるいはそれに対しての人道的な扱い方を社会全体が身につけていく、こういう姿勢が日常にも必要なのではないか。その延長で、いざとなったときに日本はアジアのリーダーとして、あるいはアジアの安全をきちっと受けとめてもらえるという意識が周辺諸国にも生まれていくのではないかというふうに思います。

 この難民問題、日常その考え方を育てていく、あるいはいざというときに摩擦を起こしたり、あるいは非常にそこにあつれきを起こしたりすることがないようにしていく、こういうようなことを合めて、総理、どうでしょうか、日本の今の難民の受け入れ状況、あるいは手続などを考えて、その辺、何か御感想はございますか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 この難民問題は、現下、地球的な問題として最大の問題になっておるのではないかと。UNHCR、御案内のとおり緒方高等弁務官を中心にいたしまして、その対応に東奔西走されておられるわけでございますが、そういった意味で、今世界規模で難民問題について考えていかなきゃならない時代になっておるかと思います。

 ひとえに我が国につきましては、先ほど御報告がありましたように、全体的には我が国に定住するような難民の受け入れということにつきましては、いろんな問題点があって対処に苦慮しておるんだろうと思います。アジアの中において起こりましたベトナム難民の引き受けにつきましても、結果的には非常に数少ないものでありました。いろいろとその原因はあろうかと思います。

 一つは、日本語という言葉の問題等もございまして、こうした点では世界的な用語であるアメリカという、また自由の天地と考えてアメリカにほとんど最終的に定住を求めるという人がかなりあるというようなこともございます。また、日本人といたしましてコミュニティーにすぐ参画していただくというような環境もなかなかつくり得ないということだろうと思います。

 コソボについては、地理的に非常に遠いところでございまして、もともといえば難民が生活に苦労されて新天地を求めてというより、コソボからの、民族浄化の問題がありまして、他の近隣のマケドニアやアルバニアに移っておるわけでありまして、必然的に最終的にはもとの住居に戻るとい うことでございまして、そういう方々が日本に求めるということは非常に少ないのではないかと思います。

 しかし、今先生御指摘の、五人の方が大阪に関係者がございまして日本に来ておられるということでございます。こういう記事その他がやはり新聞、メディア等に報道されることによりまして、この難民の問題についても一つ一つ理解が深まるというようなことも、ささいなことかもしれませんけれども、決してそうでないという観点もあろうかと思います。全体的に、日本国民全体のこうした問題が世界に非常に惹起されておられるということについての理解を深め得るような努力を政府としても、地道ではありますが、やっていかなければならないことだろうと思います。

 当面は、この北東アジアをめぐっての地域の問題として、いわゆる大量の難民というのが発生し、いかにこれに対応するかということは日本にとりましても危機管理の面から最も重要な問題でございますので、そういった点についてはそれなりに十分対処できるように、御指摘をいただきまして御答弁はありましたけれども、改めて政府として十分検討し、危機に対して対処するための方策をつくり上げておかなければならない、このように考えております。

周辺事態法案について総括質疑 4/4
千葉景子君  時間が限られておりますので、次の問題に移らせていただきます。

 周辺事態法での地方公共団体あるいは民間の協力、この課題について何点かお尋ねしたいというふうに思うんです。

 よくわからないんですけれども、日本の安全保障というような問題について、国が基本的にはそれに対して責任を負っているというのは当然であろうというふうに思います。それにプラスして地方公共団体が日本の安全保障という問題に法的な責任を負うということは、これまでの制度、法体系といいますか、そういう中ではほとんど考えられないことでございます。私がわかる範囲では、自衛隊法で協力要請といいますか、地方公共団体が協力するということが一つございます。そのくらいかなということです。あとは、自主的にいろいろな面で協力をしているということはあろうかというふうに思うんですけれども、今回のこの法案では、ある意味では安全保障について地方公共団体も応分の法的な責任を一緒に負えということを意味しているのではないかというふうに思えるんです。これまでの議論の中でも、義務ではない、あくまでも協力を要請する、拒否もできる、しかし正当な理由がないとできない、あるいは協力はしていただけるものと思うと。いわば安全保障を地方公共団体も国と一緒になって責任を負うていく、どうもこういう構造に思えて仕方がないわけです。その割にはどういう責任を果たすのかというところが明確になっていない。

 幾つかの例は示されました。しかし、それに対して本当にどれだけ責任があるのか、本当に断り切れるのか、こういう問題もございます。地方公共団体や民間への協力を求めること、これは一体どの程度重い責任を負わせようというのか。それとも、本当に協力してもらえばいいんです、もし難しければお断りいただいて結構です、こういう考え方なのか、国と地方公共団体がこの安全保障あるいは周辺の事態ということに対してどうお互い責任を分かち合っていくとお考えなのか、その辺の基本をちょっとお尋ねしたいと思います。

国務大臣
(小渕恵三君)
 地方公共団体や民間の協力につきましては、直接国民の権利を制限し、また新たに義務を生ぜしめるものではないことは申し上げておるところでございまして、現行法令の枠内で可能な協力を求め、または依頼するものでありまして、強制されるものでないこと等から、国会承認にかからしめる必要はないとの判断がなされたものと理解しておりまして、政府としてもそのように考えておるところでございます。
千葉景子君  少しそうすると具体的にお聞きをしたいと思いますが、九条の一項では、法令及び基本計画に従い、必要な協力を依頼することができる。ここで言う法令に従うということはどういうことを意味しているのでしょうか。
国務大臣
(野田毅君)
 この第九条第一項、ここで言います法令、この点については、それぞれ例えば個別に地方公共団体の管理する例えば港湾ということであれば、港湾法なりそういった法令があるわけであります。そういう法律に基づいて適正な管理をしていただく、そういう管理する権限、その権限の行使をしていただくことについて関係行政機関の長から地方公共団体の長に協力の求めを行う、こういう枠組みになっておるわけであります。
千葉景子君  これについては、港湾の施設の利用、それから空港、これは例えば港湾法とか航空法、こういうものに基づくということは言えると思います。さらに、建物、設備の安全を確保するための許認可ということになりますと、これは具体的にはどういう法律になりますか。
国務大臣
(野田毅君)
 例えば消防法であったり、あるいは建築基準法であったり、それぞれの法令に基づく許詔可等の行為があるわけであります。つまり、その権限の行使について協力を求めるということが第九条一項に規定する法令という内容であると考えております。
千葉景子君  これは、この質問の中でも皆さんからも指摘をされていたと思いますけれども、やはりこれはきちっと、一体どういう法律でどういう許認可について協力を求められるのかということを具体的に、例えばすべて網羅をして自治体などにも示す、あるいは説明をするということが必要だろうというふうに思うんですね。それはいずれきちっとしていただく。

 そして、これはいわば拒否をすること、断るということはできるんですか。

国務大臣
(野田毅君)
 たびたびこれは申し上げておりますが、この点につきましては、いわゆる一般的な義務規定ということでございまして、この第九条に基づく協力の依頼があった場合、もちろんそれはこの周辺事態という措置の緊要性、それからその自治体の長の持っております権限の公共性、あるいは他に代替手段を求めるということは極めて難しい、そういう環境の中でその権限の行使を求めるわけであります。

 そういうことを前提としての協力の求めではありますが、基本的に正当な理由がある場合には拒否することができるということはたびたび申し上げておるわけでございまして、これに対する強制的な措置、制裁的な措置ということは本法律では規定をいたしておりません。

千葉景子君  正当な理由というのは、別にその法令に書いてあるわけじゃないんですね。物理的に設備がもういっぱいで使う余地がないというようなこともこれまでも例に挙げられました。

 その正当な理由というか、断れる理由というのは、だれが判断をするんですか。自治体の側で、これは難しい、法律にのっとっても断らざるを得ない事情だということになれば、これは拒否をできるということになるんですか。それとも、政府の側が、いや、これは正当な理由でない、むしろ協力を受諸せいという権限を持つんでしょうか。そこはどうですか。

国務大臣
(野田毅君)
 正当な理由があるか否かというのは、個別具体の事例に即して考えなければならぬと思いますが、この法案第九条第一項に基づく協力の求めを受けたということを前提としつつ、その権限について定められた根拠となる個別法令に照らして判断がなされることになると考えております。

 では、その正当な理由があるか否かの判断をだれがするか、こういうことでありますが、その法令に基づき、地方公共団体の長がまず第一義的には判断をすることになると考えられます。その判断が正当であるか否かということにつきましては、その法令に基づいて客観的に判断がなされるべきものであるというふうに考えます。

千葉景子君  最終的にはだれが決着をつけるのかちょっとはっきりしないんですが、二項で、「関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、国以外の者に」、これは民間などもかかわるわけ ですけれども、「協力を依頼することができる。」、ここで法令に従いというのは、どういうことになるわけですか。

 例えば民間に物資の移送などを依頼する、協力を求めるということになるんですけれども、法令に従い、基本計画に従うことは当然だと思いますが、法令に従いというのはどういう法令を考えているのでしょうか。

政府委員
(伊藤康成君)
 九条二項につきましては、今、先生御指摘のとおりで、国以外の者ということで広く民間の方、もちろん地方公共団体も入るわけでございますが、そういう方々に協力を依頼するということでございます。

 この場合の法令と申しますのは、その内容によっていろいろあろうと思いますが、それぞれ、例えば安全関係の法令ですとか、あるいは給水などでは水道法とかそういうものがあるわけでございまして、そういった法令の規定を遵守しながらお願いする、こういうことでございます。

千葉景子君  そうすると、この法令というのは、協力義務といいますか、それを根拠づける法令ではなくて、その行為を行うときに遵守すべき法令という意味ですか。
政府委員
(伊藤康成君)
 九条二項は、これまでたびたび御説明申し上げておりますが、基本的に義務とかそういうものではございませんで、あくまで依頼ということでございます。

 したがいまして、正当な理由とかそういうことではございませんで、受けるか受けないかはいわば相手方の自由と、こういうことになるわけでございますので、したがいまして、その法令も当然のことながら義務規定その他のことを念頭に置いているわけではございません。

千葉景子君  協力をするために行う行為が法令に従って行われるなんというのは当たり前のことだというふうに思うんですね。わざわざ法令に従って協力を依頼することができるという文言になっているわけですから、どうもこの辺もわかりにくい。

 この自治体の問題というのは、先ほど言ったように、それだけの責任を負担する、あるいは民間もそれに協力をして安全保障という問題に一翼を担っていくというような問題ですから、やっぱりここを明確にすること、それから、十分にどういうことに対して責任を負い、どこまで義務があるんだというようなことをもっと明確にする必要がある、説明をする必要がある。それがないことには、どうもそこには不信感とそしてまたそれじゃちょっと納得し得ないという声が出てくるのも当たり前だというふうに思います。

 時間が残されてはいるんですけれども、本会議の時間ということでございますので、残った問題、また機会がございましたらお尋ねをさせていただくことにして、私の質問はこれで終わらせていただきます。(拍手)



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