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刑事罰の成否と適用の問題にかかわりますので、私の方からお答えをさせていただきます。
まず、後段の方の御質問にあります不法在留行為はいつごろから成立するんだろうかと、不法入国行為との関連の問題が一つあろうかと思います。
これについてまず申し上げますと、不法入国というのは、講学上といいますか、通常刑事的な言い方では即成犯と言われております。これは法の予定する法益侵害が生じたことによって完成、完了するというふうに通常定義されております。
したがいまして、この不法入国罪は旅券等を所持せずに本邦に上陸しようということで、例えば船で来ますと、領海に入った段階で即時に成立するということでございますので、その段階で既に既遂になっているということでございます。
その次の問題ですが、じゃ、その者が、船が港に着きまして上陸し、その後例えば結果的には一力月後に東京で生活しているところを検挙されたような場合、どこから不法在留罪といいますか、それが成立するのかというのが確かに問題になります。
それにつきましては、抽象的に申し上げるというのはなかなか申し上げにくいわけですね。最終的には個別事案ごとに検討されるべき事案というふうには考えます。抽象的に申し上げますと、言い方としましては、これも従来入管局長から御説明の中で御答弁申し上げたことなんですが、上陸後の時間的経過、場所的移動及び滞在の態様の変化等を総合的に考慮して判断されるべきものであるというふうになるわけでございます。
もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば上陸をして港で一服しているときに捕まったらどうなるんだと。これはやっぱり上陸行為、つまり不法入国行為の中でまだ評価されている行為なのではないかなと私は思います、仮にそういう形を想定しますと。
ところが、この人が迎えの車に乗ってもう移動を始めた、もう入国の港からかなりたっている、時間的にも経過している。こういうことになりますと、不法在留罪についてはもう着手があるといいますか実行行為の一部が始まっているというふうに見られる場合が多いのではないかなと思います。犯罪の成立については、大体そんなような概念をお持ちいただければよろしいかなと思います。
それからもう一点の、今回なぜ不法在留罪を設けることになったのかということでございますが、これについても刑事局としては犯罪を新しくつくることになりますので、入管当局と同じように検討させていただきました。
確かに、刑事的な観点からいいましても、外国人の入国管理あるいは在留管理というのはその時々の諸情勢によって必要な制度あるいは必要な措置、あるいは必要な刑罰法規が整えられるべきものだろうと思います。
従来は、短期滞在等の後不法に残留する行為については残留罪という形で設けてありました。ところが、不法入国する者については、入国後、これは先ほど即成犯といいまして、犯罪が成立して、その後は時効が進行するわけでございますが、その後の行為につきましては犯罪の対象とはしてこなかったことはそのとおりでございます。今回は、その後の行為も犯罪の対象にしようということでございます。
それで、なぜこういうことになったのか。やはり一つは外国人の在留管理あるいは入国状況の変化というのが刑事的に考えてもあるかと思います。従来から入管局長がお答えしてきたと思いますが、不法入国あるいは不法上陸後、不法に在留するという外国人の数は、経年で見ますとやはり推移がありまして、従来は比較的少数にとどまっていたというふうに思われます。その後、むしろ短期滞在等から不法残留するケースが多かったものですから、その対応をするということが当面の重要な国の施策だということになっておったかと思います。近年は、これは刑事的にも非常に大問題でございますが、船舶による集回密航事案というものが急増しております。
それで、我が国に不法に在留する外国人というのが率にしましてもかなり激増するという、場合によってはそういう言葉を使ってもよろしいかと思いますが、そういったような状況の中で、やはりこの不法な入国とその後の在留行為も処罰の対象にすることによって全体としてこういう不法入国事案を抑制する、あるいはその在留管理の適正を期するという必要が生じてきたものと刑事局としても考えまして、今回の法改正で不法在留行為についての犯罪化ということについては積極ということで考えさせていただいているということでございます。
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