|
これは、国としてどういう政策を打ち出すかという全体の問題にかかわるだろうと私は思うんです。それで、確かに罰則の強化とかそういう形でいろんな手だてをするということも必要だと思いますが、何かそれで問題が解決するというのではなくて、それではどうしようもない問題がいっぱいあるということを私は強調したいんです。
これは、御存じのように、八九年に法改正をして九〇年六月一日から新法に移行したんですが、実はいわゆる超過滞在者の数というのはその後どんどんふえていったんです。たしか法改正の年が十万ぐらいだったのが三十万ぐらいまで伸びているんです。私は大学でも授業で、法改正の仕方が下手だったのか、それとも入管が仕事をちゃんとしていないのかと思うかもしれないけれども、実は事はさにあらずなんだと、要するに需給の問題があるわけです。
日本の側の、日本人の勤労観というのも、私もかなり年寄りですけれども、昔は汗水垂らして働くのが美徳という国だったと思いますけれども、今はどうもそうではないようですから、つらい仕事というのはだれか別の人が、すなわち外国人が担っていっているという実態があるわけです。
去年、おととしでしたか、私のいる一橋大学の私の研究室のある建物の外装工事、ちょうど夏休みで、私は時々研究室に行ったんですが、かんかん照りの中に足場を組んで作業をしているんです。全部外国人なんです、外国語が飛び交っているわけですよ。恐らく、考えてみたら、あのかんかん照りの中で、あの足場の上で、はつりの仕事ですけれども、ああいう仕事をする人は日本人にいないのかもしれないなと。私は非常に複雑な気持ちを持ちながら研究室で仕事をしていました。学生にも授業で話しましたけれども、そういう事態があるわけですね、現実に。
一方では、空港という空港はどんどん拡大しているわけです。関空は二十四時間飛行機が飛ぶことにしたわけです。ところが、金属探知機で入国のところ、飛行機に乗るときにチェツクはできますけれども、この人は日本に来たら潜って働くかもしれないという人にランプがつくような方法が発明できるかということなんです。これは恐らく理論的に不可能だと思うんです。そうすると、どんどん空港ができて、あっちからでもこっちからでもどうぞ外国から入ってこれますよといってこの国では窓口を一生懸命広げているわけですから、入り口でチェックするということは基本的に私はできないと考えた方がいいと思います。しかも、需給の問題があるわけですから、日本に来れば仕事があるという。
昔は、日本は人口が多くて貧しかったので外国に働きに行ったわけでしょう。日米移民摩擦のときに、日本からたくさん移民が来過ぎてアメリカでさんざん問題になるわけです。日本から来た学生は登録だけしたら潜って働くばかりして困るといって、アメリカの国務長官から日本の外務大臣はクレームを受けたわけですよ。日本は今立場が逆になっているわけでしょう。そういう構造の間題があるわけです。それをどうするかということをきちっとしないで多少のこういう手当てをしても私は問題の解決にはならないと思うんです。
ですから、もっとアムネスティをやるとか、これは、潜っている人は必ず無権利の状態にずっと放置されているわけです。どこの国でも、アムネスティというのはある意味では非常にメンツにかかわることのように見えますけれども、一方では、そこで生じている人権侵害をどうやって回復するかというときにほかに方法はないわけです。
もうちょっと外国人の権利を守るためのアングルというのを、例えば具体的な例で言いますと、暴力団なりなんなりが外国人のパスポートを預かるというか没収しているというケースがよくあるんです。私が聞いた話では、これは今、日本の法律では取り締まれないらしいですね。結局、パスポートを預かってそれをある種の足どめに使っているわけです。これは物すごく大きな圧力になっているんですね、外国人にとっては。だけれども、それを何とかするための方法というのは今の制度ではないようです。こういうのをまさに法的にやる必要があるんじゃないかという気がいたします。
|