| 千葉景子君 |
どうもその理由はその場限り、場当たり的な感がいたします。
そうすると、永住者、特別永住者については定着性もあり指紋などは必要ないんだと言ってきたわけですから、その他の外国人についても今回それを廃止するということは、ある意味では定着性がある、あるいは不安定さがない、だから指紋押捺制度が必要ではなくなった、こういう考え方なんですか。永住者、特別永住者とほぼ同じような位置づけに至ったということでしょうか。
|
政府委員 (竹中繁雄君) |
指紋押捺にかえまして署名と家族事項の登録ということを全在住外国人に拡充する、いわゆる特別永住者、永住者以外の外国人にも適用するということを考えるに当たりましては、必ずしも定住性ということではないんですけれども、果たして署名それから家族事項、特に家族事項が本当に役に立つのかということは当然のことながら検討いたしました。
それで、私ども、永住者、特別永住者以外の方はそこで非常に差があるということを観念的に思った節が若干あるんですけれども、改めてこの中を分析してみますと、永住者、特別永住者以外の外国人の方の中にどういうカテゴリーの方がおられるかというと、例えば私どもは日本人の配偶者等と言っておりますけれども、配偶者及びそのお子さんたち、このカテゴリーとか、それから定住者、当然のことながら家族滞在ですか、そういう家族事項を見ることによって同一性を確認できる人たちが意外に多いのではないのか。しかも、そういう人たちの数がこの五年間、十年間でニューカマーの方たちがどんどんふえておりまして、その中で日本人の配偶者とか永住者、定住者、こういう人たちの数が非常にふえているわけでございます。
こういうことにも着目いたしまして、先ほど私が申しました説明に加えて、そういうようなことも検討の上、今回の結論に至ったわけでございます。
|
| 千葉景子君 |
そういう御認識になってきたということを考えると、例えば改めて入国管理法の改正といいますか、新たなる排外的な罰則などを設けていくというのは非常に何か今回の法改正も矛盾が存在しているということが言えるのではないかと思います。これもまた後ほど細かく議論させていただきたいと思います。
さて、今回は指紋制度については廃止ということになりましたけれども、大変強く指摘をされてまいりました、附帯決議においてもでございますけれども、登録証の常時携帯義務、これについては何らこの改正案では触れられることがございませんでした。これについては国際的にも大変厳しい非難が寄せられております。
国連の規約人権委員会の勧告も、これは十分御承知のところであろうかと思いますが、昨年出されておりますけれども、ここでもこの常時携帯義務について大変懸念が示されているところでございます。
改めて指摘をしておきますけれども、その最終見解の中で、「委員会は、日本の第二回報告の検討終了時に、外国人永住者が、登録証明書を常時携帯しないことを犯罪とし、刑事罰を科す外国人登録法は、規約第二十六条に適合しないとの最終見解を示した意見を再度表明する。」、前回も言ったけれども何ら措置がされないから再度その点を表明する、「委員会は、そのような差別的な法律は廃止されるべきであると再度勧告する。」と、これはもう私が繰り返さなくても御存じのところであろうと思います。
こういう指摘がなされていることについて、まずこの勧告についてはどのように法務省としては受けとめておられるのでしょうか。
|
国務大臣 (陣内孝雄君) |
ただいま御指摘の規約人権委員会の最終見解、これは十分承知しております。
その中で委員が今御指摘なさったようなことがございますが、法務省といたしましては、外国人登録証明書の常時携帯制度につきましては、不法入国者や不法残留者が現在多数存在しているという今日的な状況にかんがみますと、その居住関係あるいは身分関係を即時的に把握する必要がある、そのため合理的かつ必要なものだ、このように考えております。
また、日本人に対する取り扱いとの間に差があるのではないかという見方もあろうかと思いますが、この点についても合理的な根拠があるということでございまして、したがって、御指摘の市民的及び政治的権利に関する国際規約第二十六条に違反するものではない、このように考えておるところでございます。
なお、このような考えにつきましては、さまざまな立場において明らかにしておるところでございますけれども、今後とも各方面の理解が得られるように努めてまいりたい、このように考えております。
|
| 千葉景子君 |
規約人権委員会で法務省もそのような説明をされ、それを議論した上で勧告は出されているんですよ。そういう説明をされても、いやそれではだめだぞと、そういうことを聞いても、なおかつこの法律は規約に違反をしている、人権に対する侵害になるということが指摘されているわけです。だから、それを繰り返し説明をいただいてもこれは平行線のまま。要するに、この規約人権委員会の勧告については、法務省としては、それはもう頭の上を通り過ぎていくあれにすぎない、 一切それには耳を傾けないということのお考えを再度今示されたと同じだと思うんですけれども、今後もそういうことですか。
|
国務大臣 (陣内孝雄君) |
規約人権委員会の勧告というのは、これはもちろん尊重するということは当然のことでございますが、ただいま申し上げました登録証明書の常時携帯制度につきましては、これは外国人の居住関係とか身分関係を即時に把握するという観点から大変合理的でかつ必要であるというふうに私どもは考えておるところでございます。
|
| 千葉景子君 |
また同じことを言うことになりますが、大臣も御自身として率直にそう思われますか。いかがですか。
|
国務大臣 (陣内孝雄君) |
現在、大変多くの不法入国者や不法残留者が存在しておりまして、このことがいろいろな難しい問題をもたらす一つの原因になっているということを考えますと、私としましては、常時携帯制度というのは大変必要かつ効果的なそれに対する方法ではなかろうか、このように考えております。
|
| 千葉景子君 |
それについてはまた大臣にも議論をお聞きいただきながら、本当にそうかなという少し認識を改めていただくようにしたいというふうに思います。
ただ、この勧告は前回から二回目の勧告でございますので間に合わなかったということはないと
思いますけれども、勧告が出てからこの法改正案が最終的にまとめられて出されるまで確かに時間は余りなかったんですね、その間。そういう意味では多少この勧告に沿った中身を盛り込めなかったとか、そういうこともひょっとしたらあるのかなという気もいたします。
そういう意味では、勧告を受けて、今回はもうまとめちゃったので間に合わなかったけれども、積み残している部分もあるから、やはりこの勧告に沿ってできる限りもう少し検討していこう、こういう点などはございますか。それとも、一切そんなことはないんだというお考え方でしょうか。
|
国務大臣 (陣内孝雄君) |
現在の私どもの立場は先ほど申し上げたところでございますが、いろいろと御議論をひとつ拝聴させていただきたい、このように思っております。
|
| 千葉景子君 |
それでは、少し具体的な内容としてお聞きをいたしますが、常時携帯の制度、それについての実情をまず確かめておきたいというふうに思います。
前回の改正後現在に至るまで、常時携帯義務違反で送検をされている数、国籍、それから在留資格別で示していただくことができますか。
|
政府委員 (竹中繁雄君) |
過去四年間の数字でお答えいたします。平成六年、七年、八年、九年でございます。平成六年が二十七件、平成七年が三十件、平成八年が十七件、平成九年が二十一件でございまして、国籍別で見ますと、中国及び韓国、朝鮮が大半を占めております。
なお、在留資格別の統計資料はとっておりません。
|
| 千葉景子君 |
在留資格別には統計がないということでございますけれども、例えば指紋押捺の撤廃についても、ある意味では二段構えで永住者、特別永住者、それから今回はその他の外国人ということで、この法の運用とか適用に当たっては、やっぱりその在留資格によっていろいろな適用のあり方、運用の仕方というのがされていると思うんです。
そういうことを考えると、国籍別はともかくとして、在留資格別には全く統計がない、あるいはその違いがわからないというのは、これだけ重要な法律で、これでしっかりと管理をするんだというお話とは随分実態は異なるんだなという気がいたします。
送検はされなくとも、例えば交番でちょっと話を聞かれるとかあるいは身柄が一定の時間拘束を受けるとか、こういうケースというのは幾らでもというか多々あるのではないかというふうに思いますが、送検はされていないけれども常時携帯義務違反ということによってさまざまな強制を受けるというようなケース、こういうことについては統計とかあるいは実態というものをきちっと把握をされておられますか。警察庁の方はいかがでしょうか。
|
政府委員 (金重凱之君) |
警察の方は、任意で処理している事件につきましての統計でありますけれども、都道府県から特に個別の事件の内容についての報告を求めておらないというようなことでございます。一般に、現場において逮捕の必要性等が認められないもので、なおかつ事案的にも軽微な事例であるというふうに私どもは承知しております。
|
| 千葉景子君 |
そこのところがある意味では非常に問題を生じてきた部分でもあるわけです。不携帯による送致件数というのはそんなに多くないんですよ、先ほど示していただきましたように。総数でいっても平成六年が二十七、七年が三十、八年が十七、九年が二十一。結局、送致に至るというようなことは逆に言えば本当にまれなことになってきている。しかし、そこまでに至る状況の中でいろいろな問題点が生じているというのが実態であろう。その実情というのは上がってきていないから数字としてはわからないということのようでございます。そこも大変問題であると思うんです。
前回の改正の審議の中でもいろいろな運用の間題点が指摘をされました。そして、附帯決議でも乱用にならぬようにということも決議をされているわけです。これも前回を蒸し返すようですけれども、例えば常時携帯義務違反というケースとしては、本当に住んでいる家からすぐそばのふろ屋へ行くときにたまたま登録証を持っていなかった、それによって警察に連れていかれ、そして長時間の取り調べなどを受けた、これは一つだけちょっと象徴的に挙げさせていただきますけれども、こういうケースなども指摘をされてまいりました。
ただ、そういうことが少なくなってきているという事実は私も承知はいたしておりますけれども、弾力的、常識的な運用に努めるということでこの間は推移しておりますけれども、どうなんでしょう、具体的に、先ほど数値はないというお話ですけれども、その弾力的、常識的な運用の中でどういう運用実態にあるのでしょうか。その点については警察庁の方はどの程度承知をされているんですか。
|
政府委員 (金重凱之君) |
御指摘の点につきましては、昭和六十二年と平成四年の二度にわたる衆参両院の附帯決議の趣旨を踏まえまして、常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たりまして、警察としましては場所的、時間的な条件だとか被疑者の年齢、境遇あるいは違反態様等を総合的に判断いたしまして、個々の事案ごとに可能な限り常識的かつ柔軟な対応に努めるように指導してきておる、こういう状況でございます。
そこで、例えば平成四年以降平成十年までの間に外国人登録証明書の不携帯で送致いたしましたのが百四十六件でございます。これは平成四年から十年で七年間でございますけれども、その以前の例えば七年間の合計件数の約二%程度にとどまっておるというような状況もあるわけでございまして、先ほどお話のありましたおふろ屋さんに行くときに外登証を携帯していないために云々というようなケースは、一般的なことで申し上げれば、もちろん個々に総合的にケース・バイ・ケースということでございますからいろんなことがありますでしょうけれども、我々としては常識的かつ柔軟な対応をこれまでもしておりまして、そういうことの結果として今申し上げましたような検挙件数の少なさということにつながってきておるのだろうというふうに思っております。
|