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外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑 [法務委員会] (1999.4.20)

外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑(4/20) 1/5
千葉景子君  おはようございます。

 いよいよ外登法、入管法の審議ということでございますので、また大臣にも率直な御答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、冒頭、先般の本会議でもさまざま質間をさせていただきましたが、まず大臣の基本的なお考えをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 大臣は、所信表明でも、法務行政に課せられた使命としては、法秩序の維持と国民の権利の保全ということも挙げておられます。そういうことが守られてこそやはり国民が豊かで幸せに安心して暮らせるということの認識を大臣もお持ちであるかというふうに私たちも理解をさせていただきます。またさらに、法務行政のすべての分野について適宜適切な方策を講じて、新しい時代の要請にもこたえたい、こういうこともおっしゃっておられます。

 そこで、先般もお尋ねをいたしましたけれども、国際的な社会、こういう時代を迎えております。そういう中で、日本にもたくさんの外国の方が居住をされ、そしてさまざまな日本への貢献などにも努力をされておるということは御承知のところと思います。そこで、日本社会に定住をして、そして社会の構成員として生活をし、また社会的なコストにおいても応分の負担をされている、こういう在日外国人の方が多くおられます。

 こういうことも踏まえながら、大臣は、日本に居住をされている外国人の皆さんの人権についてどうお考えになっておられるのか、そして実情などをどう御認識されておるのか、お尋ねをしたいと思います。

 また、その中でも、特に韓国、朝鮮の皆さん、いろいろな歴史的経過もございます。そしてまた、日本の社会の一員としても現在があるというこの皆さんについて、特段にどのような御認識をお持ちであるのか、この点について、まず大臣の人権についての基本的な考え方ということでお尋ねをしたいと思います。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 在日外国人の方々につきましても、もちろん永住者、特別永住者の別なくその基本的人権は尊重されるべきである、このように考えております。

 法務省は、このような認識に立ちまして、これまでも在日外国人の方々の人権擁護に努めてまいったわけでございますけれども、今後とも、委員御指摘のような視点から人権擁護にさらに努めてまいる所存でございます。

千葉景子君  特に韓国・朝鮮籍の皆さんの人権などについては、特段、大臣としてのお考え方はございますか。
国務大臣
(陣内孝雄君)
 今御指摘の特別永住者については、歴史的な経緯もあるということを承知しております。

 いずれにしましても、在日外国人の方々につきましては、永住者、特別永住者の別なく基本的人権は尊重されるべきだ、このような観点に立って取り組んでまいります。

千葉景子君  ところで、そういう基本的なお考えをお持ちであるということはわかりました。しかしながら、在留、在日の外国人の皆さん、大多数は日本社会で本当に普通の善良な市民、住民として生活をしておられます。ただ、所信表明などでこういうことは強調しておられますね。やはり来日の外国人による犯罪等がふえている、こういうことにも触れておられます。

 確かに問題点として取り上げるところはあろうかというふうに思いますけれども、このような御発言がございますと、特に日本人に比較して外国人の犯罪が多いのではないか、あるいは外国人というと犯罪というつながり方、こういうイメージがどうしてもできやすい。そして、その発言を受けとめた側も、外国の人は危ないのかな、こういう受けとめ方もされかねないところがございます

 万が一にもそういう意味で大臣も考えておられるわけではなかろうというふうに思いますけれども、そういう意味では、在日あるいは来日をしている外国人が基本的には善良な市民であるという点についてはやっぱり確認をしておかなければいけない。犯罪ということを考えれば、それは外国人であろうが日本の国民であろうがその違法行為というのは同様にやはり厳しく制裁をされなければいけない、これは共通のことでございますから、とりたてて外国人というところに主眼を置きますと、こういう問題点が起こるのではないかというふうに思います。

 その点について大臣は、基本的な御認識としては多分誤りはなかろうと思いますが、改めてお聞きをしておきたいと思います。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 今日の我が国を取り巻く国際環境の変化や我が国の国際社会における地位の向上等に伴いまして、今後の出入国管理行政も国際協調、国際交流の増進への寄与という観点、また我が国社会の健全な発展の確保ということを理念として推進していく必要があろうかと思っております。

 このような基本的認識、基本的な理念のもとに、委員御指摘のように、外国人に対する一方的な見方ではなくて、バランスのとれた見方に基づく施策を行うよう最大限の努力を図っていく必要がある、このように考えております。

千葉景子君  さて、昨年の十二月に衆参両院におきまして人権擁護の推進に関する決議が採択をされました。これはもう御承知のところでございます。この決議を踏まえた人権擁護行政の充実強化についてどのようにお考えであるのか、お聞きをしたいと思います。

 これはもう大臣も、この決議を踏まえて努力をされるというお考えも示されておりますけれども、具体的にはどういう施策、どういうことを具体的に進めていこうとされているのか、特に、先ほども触れさせていただきましたけれどむ、在日外国人などについて人権擁護施策としてはどのような具体的なお考え方を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 ただいま御指摘になりました昨年十二月十四日に両議院で採択されました御決議は、すべての人々の人権が尊重される平和で豊かな社会の実現に努めること、このようにされておるわけでございます。法務省といたしましては、この御決議の趣旨に沿って今後とも人権擁護行政のより一層の推進に努めていく所存でございます。委員御指摘の在日外国人の方々につきましても、その基本的人権が尊重されるべきことは言うまでもございません。

 そこで、法務省の人権擁護機関といたしましては、まずは人権尊重思想の普及、高揚を図る立場から、積極的な啓発活動を行ってまいりました。また同時に、在日外国人の方々の基本的人権が侵害される事案が具体的に起こった場合には、人権相談や人権侵犯事件の調査、処理を通じまして、これらの方々の人権の擁護に努めておるところでございます。

千葉景子君  一般的なことはこれまでにも同じようなお考え方はいただいております。やはり決議を踏まえた具体的な施策、例えばこれまで外国人の人権なりを制約しがちであった制度とか法律を見直していくとか、あるいはむしろ人権保障に寄与する基本的な施策を取りまとめていくとか、そういう具体的なものが全く見えてこない。

 今回のこれから審議されます外国人登録法あるいは出入国管理法、これもある意味では外国人の人権に直接かかわっていく法案でございます。こういう一つ一つのものについて本当に具体的にどういうお考え方で、どう進めていかれようとされているのか、その具体的な進め方、あるいは中身というのを少しお聞かせいただきたいんですけれども、それはいかがでしょうか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 今回のお願いしております法案の中で、外国人の指紋押捺制度の廃止とか、その他いろいろ手続面の簡略化、あるいは情報の公開等につきましても、こういう決議の御趣旨を踏まえて改善するということで取り組んでおるところでございます。
千葉景子君  決議を踏まえておやりいただいたかどうか、あるいはその他の制度につきましても、今後の審議の中でもう少し具体的に、大臣の基本的な御趣旨が本当にこういう施策の中に生かされているのかどうかはこれから確かめさせていただきたいというふうに思います。

 それから、人権擁護推進審議会が設けられておりますけれども、この人権擁護推進審議会において在日外国人の人権擁護に関して人権教育・啓発などの面でどんな議論がなされているのか、あるいはなされておらないのか、その点についてお聞かせください。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 人権擁護推進審議会では、現在、人権教育・啓発に関する施策の基本的あり方について審議をいただいているところでございます。在日外国人に関する人権課題も視野に入れながら調査、審議がなされているものと理解しております。

 また、同審議会ではこの調査、審議に資するため、各種の人権課題について実情等を把握することを目的として、平成九年十二月と平成十年一月に関係団体からヒアリングを実施しましたが、その際、在日外国人関係団体からもその実情及び人権教育・啓発のあり方についてヒアリングを実施いたしたところでございます。これらのヒアリング結果をも踏まえまして、ことしの夏ごろをめどに答申を取りまとめていただけるものと、このように承知いたしております。

千葉景子君  団体からのヒアリング等も踏まえてというお話でございました。特に在日外国人の人権擁護という観点から考えますと、それを取りまとめておられる皆さんからの意見聴取なども当然必要であろうと思います。やはり毎日の生活の中で直接いろいろな体験を持ち、あるいは人権課題に直面をしている、そういう方から意見を聞く、あるいは万が一にもこれまで人権侵害に直面をしたというような方からのいろいろな証言を聞くというようなことも、これからの教育や啓発活動においても重要なことであろうと思います。こういう当事者から意見を聞く、あるいは実情を聞くなどということはさらに今後も機会がございましょうか。
国務大臣
(陣内孝雄君)
 ただいま御説明いたしましたように、人権擁護推進審議会では既にヒアリングをし、これからはこの審議会として人権教育・啓発に関する調査、審議に引き続きまして、人権侵害の被害者救済に関する施策の基本的あり方について調査、審議される、こういう予定を伺っております。

 したがいまして、そういう中で審議会において判断していただくことだろうとは思いますけれども、委員御指摘のように、必要に応じてヒアリング等も検討していただくんじゃないか、このように考えております。

外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑(4/20) 2/5
千葉景子君  ぜひそのような十分な直接の意見なども触れていただいて、そういう中で審議会の意見がまとめられることを私も期待をさせていただくところでございます。

 さて、こういう大きな人権状況を踏まえながら、外国人登録法の今回の改正について具体的な課題に入ってまいりたいというふうに思っております。

 今回の外国人登録法の改正といいますのは、いろいろな諸条件、国際的な変化、日本の社会の変化ということもございますけれども、さらにそれにプラスして、平成四年、外国人登録法の改正がされましたときの衆参の附帯決議、その際の審議でまだ十分に議論が尽くせなかった、あるいは今後検討すべき課題として決議をされた、こういう決議も踏まえて今回の改正がなされたというふうに説明がなされております。その前回の改正の際の附帯決議をもう一度ちょっと皆さんにも思い起こしていただきたいというふうに思っております。

 参議院の法務委員会での附帯決議でございますが、これは全部は大変長くなりますけれども、基本的には、「本邦在留の外国人に対する行政の在り方にかかわる内外の諸情勢の推移を踏まえ、外国人登 録制度の目的を明確にするとともに、外国人の人権を尊重して諸制度の在り方について検討し、」、そしてその結果に基づいて一定の時期に適切な措置を講ずること、こういうことが基本的にはこの決議の大きな柱でございます。

 さらに、それに対応する問題として、例えば「外国人登録証明書の常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たっては、外国人の日常生活に不当な制限を加えることのないよう配慮」しながら今後運用していくべし、こういうこともうたわれておりますし、罰則についても、「他の法律との均衡並びにこの法律における罰則間の均衡などを検討し、その結果に基づいて、」、これも適切に措置をするように、こういう決議、ほぼ同内容で衆議院でもやはり附帯決議がされております。

 今回、この法律改正がこういう附帯決議の趣旨も踏まえて行われたのであるとすれば、本当に今回の改正内容で足りているのかどうか、私は大変疑間に思うところでございます。

 その意味で改めてお尋ねをいたしておきますけれども、このような外国人登録法の目的を改めて考え直し、そして人権を尊重した制度にせよ、罰則も考え直してみたらどうか、こういうことに対してどう検討され、そしてその結果この改正案になったと思いますけれども、その検討結果はどうこの改正案に反映されているのでしょうか。まず御説明をいただきたいと思います。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 ただいま附帯決議がどう今回の法案に取り込まれているかということでございますが、若干長くなりますけれども御説明させていただきたいと思います。

 今国会に提出いたしました外国人登録法の改正案を策定するに当たっては、衆参法務委員会における附帯決議の趣旨を踏まえまして、また諸外国の制度を調査するなどし、そして各界の有識者の御意見も伺うなど、さまざまな角度から検討いたしたわけでございます。

 そして、目的についてでございますが、外国人登録制度の目的につきましては、外国人は我が国に入国し在留することについて許可を受けなければならない、外国人の居住関係及び身分関係の中には、当然のこととして、その外国人が許可を受けているかどうか、どのような許可を受けているかということが含まれておりまして、外国人登録法の目的としては引き続き公正な管理という概念を維持していく必要がありますので、今までのことは基本的には現在でも変更はないものと考えておるわけでございます。

 なお、外国人登録が各種の行政サービスの基礎資料として利用される事例が増加しております。この場合であっても、その対象となっている外国人がどのような居住関係にあるのか、どのような身分関係を有している在留者であるかが正確に反映されていることを前提としてそれぞれの行政が外国人登録制度を利用しているものでありますので、制度の根底には公正な管理という面があることは否定できないというふうに考えております。

 また、罰則についてでございますが、外国人登録法は新規登録申請、変更登録申請等各種の申請、登録証明書の受領、提示や署名などの義務を課しておりまして、その違反に対して一定の罰則を設けております。

 さまざまな角度から検討した結果でございますけれども、現段階におきましては外国人登録法上の諸制度の実効性を担保するというためには必要な罰則であるということでございまして、これを見直さなければならないというような状況の変化は認められないという結論に達したものでございます。

 それから、今回の改正案において、指紋押捺制度を廃止すること、居住地変更登録等に係る代理申請範囲を拡大すること、さらに永住者等に対しては、登録事項を一部削減すること及びその切りかえ交付申請までの期間を現行の五回目の誕生日から七回目の誕生日に伸長すること、これらのことにつきましては、市区町村長、市区町村あるいは外国人の負担を軽減するとともに、円滑な外国人の登録行政の実現のために役立つのではなかろうかということを考えたところでございます。

千葉景子君  御説明はわかりました。

 ただ、本当にこれは附帯決議の趣旨というものが生かされているのかどうか。とりわけ、附帯決議では外国人の人権を尊重して諸制度のあり方を考えよと一言っているわけですね。今おっしゃいましたように、目的にはとりわけ変更は必要ない、それから罰則についてもこの程度が実効性を担保するのに必要だと言うんですけれども、じゃどこに本当に人権に配慮したあるいは人権の尊重をした制度という観点があるのでしょうか。

 それから、罰則などについても、本当にこれが実効性を担保してきたものであるのかどうか、そういう吟味も十分されたのでしょうか。大変疑問に感じますが、その点についてはいかがですか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 基本的には我が国に許可を得て入国していただくという立場の方でございますので、そういうものを踏まえながら十分人権に配慮したつもりでございます。

 そして、その他の点、例えば切りかえ交付申請までの期間を伸長するとか、あるいは登録の代理を認めるとかいうような点では十分配慮して行ったつもりでございます。

千葉景子君  配慮したと言いますけれども、具体的にはどう配慮したのか答弁からはさっぱりわかりません。

 これも個々内容から吟味をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、今の御答弁から見ますと、前回の国会での議論というのは一体何だったんだろうか。そして、これからできるだけ議論を深めていくようにという附帯決議、これは何の意味も持たなかったんだろうか。私は大変残念に思います。

 そして、この六年間、一体何を検討されてきたのか、全く前回の議論を一歩も前進された様子がない。これは大変遺憾に思うところでございます。これは改めてまた具体的に指摘をさせていただきたいというふうに思っています。

 そこで、この議論の中で本当にまじめにやっていただかなきゃ困るという意味も含めてこういう点を指摘させていただきたいというふうに思うんです。

 この改正について、指紋押捺については今回全廃をするということになりました。これは本当に当たり前といえば当たり前、むしろ六年前の改正時にこの問題というのは決着をしなければいけなかった課題でもございます。当然といえば当然のことでしょう。

 ただ、この議論においてこれまで法務省は、指紋押捺にかわる手段として署名、家族事項の登録というのを採用してまいりました。その後、特段の問題も生じていない、かかる確認手段はそれなりに定着をしてきたということで、すべての外国人の指紋押捺制度廃止の一つの理由にされておられます。

 ところが、今動いている現行法の審議においては指紋押捺制度の適用除外者を特別永住者と永住者に限定いたしました。そのときの理由はこういうことなんですよ。永住者以外の外国人は一般に我が国社会への定着性が認められない、だから署名と家族関係事項の登録では同一人性の確認をすることはできない、だからそこには指紋押捺が必要なんだという御説明でした。

 今回は、いや、そうじゃないんだということに突然なったわけですね。この制度で十分に機能できるんだということになりました。

 前回の理由と今回の理由と、その間で何か大きな社会的な、あるいは外国人の居住において、存在において特段変わったことがあったのでしょうか。それとも、前回の審議の際の理由というのは誤った根拠づけだったのでしょうか。こういうことがこの改正の理由としてあらわれてくるんです。

 こういうことを考えると、根本的にどういう考え方で外国人の処遇の問題あるいは外国人に対する日本社会のあり方を考えているんだろうかとい うことを木当に疑間視せざるを得ないんですが、この矛盾点についてはどう御説明になられますか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 委員御指摘のように、平成四年の改正におきましては、我が国に定住性を深めた永住者及び特別永住者について、指紋押捺制度にかわる人物の同一性確認の手段として署名及び家族事項の登録を採用するということを行いました。

 その後、これがどういうふうに推移するかということを五年後にさらに再検討しろという決議もございましたので、私ども注意深く見てまいりまして、その結果として、五年たってみたらこのやり方で特段の問題も生じておらず、こういう確認の制度はそれなりに定着しているということが確認されたということが一つの点でございます。

 それから、もちろん、先ほど来申しておりますように、この五年間で諸外国の実情をさらに調査いたしましたところ、先進国において指紋押捺制度を採用している国というのは極めて少ないということ、それから外国人登録事務を実施している地方自治体から事務の合理化の観点から指紋押捺制度の廃止について要請が出されている、こういうようなことを踏まえまして今回の改正に至ったわけでございます。

外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑(4/20) 3/5
千葉景子君  どうもその理由はその場限り、場当たり的な感がいたします。

 そうすると、永住者、特別永住者については定着性もあり指紋などは必要ないんだと言ってきたわけですから、その他の外国人についても今回それを廃止するということは、ある意味では定着性がある、あるいは不安定さがない、だから指紋押捺制度が必要ではなくなった、こういう考え方なんですか。永住者、特別永住者とほぼ同じような位置づけに至ったということでしょうか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 指紋押捺にかえまして署名と家族事項の登録ということを全在住外国人に拡充する、いわゆる特別永住者、永住者以外の外国人にも適用するということを考えるに当たりましては、必ずしも定住性ということではないんですけれども、果たして署名それから家族事項、特に家族事項が本当に役に立つのかということは当然のことながら検討いたしました。

 それで、私ども、永住者、特別永住者以外の方はそこで非常に差があるということを観念的に思った節が若干あるんですけれども、改めてこの中を分析してみますと、永住者、特別永住者以外の外国人の方の中にどういうカテゴリーの方がおられるかというと、例えば私どもは日本人の配偶者等と言っておりますけれども、配偶者及びそのお子さんたち、このカテゴリーとか、それから定住者、当然のことながら家族滞在ですか、そういう家族事項を見ることによって同一性を確認できる人たちが意外に多いのではないのか。しかも、そういう人たちの数がこの五年間、十年間でニューカマーの方たちがどんどんふえておりまして、その中で日本人の配偶者とか永住者、定住者、こういう人たちの数が非常にふえているわけでございます。

 こういうことにも着目いたしまして、先ほど私が申しました説明に加えて、そういうようなことも検討の上、今回の結論に至ったわけでございます。

千葉景子君  そういう御認識になってきたということを考えると、例えば改めて入国管理法の改正といいますか、新たなる排外的な罰則などを設けていくというのは非常に何か今回の法改正も矛盾が存在しているということが言えるのではないかと思います。これもまた後ほど細かく議論させていただきたいと思います。

 さて、今回は指紋制度については廃止ということになりましたけれども、大変強く指摘をされてまいりました、附帯決議においてもでございますけれども、登録証の常時携帯義務、これについては何らこの改正案では触れられることがございませんでした。これについては国際的にも大変厳しい非難が寄せられております。

 国連の規約人権委員会の勧告も、これは十分御承知のところであろうかと思いますが、昨年出されておりますけれども、ここでもこの常時携帯義務について大変懸念が示されているところでございます。

 改めて指摘をしておきますけれども、その最終見解の中で、「委員会は、日本の第二回報告の検討終了時に、外国人永住者が、登録証明書を常時携帯しないことを犯罪とし、刑事罰を科す外国人登録法は、規約第二十六条に適合しないとの最終見解を示した意見を再度表明する。」、前回も言ったけれども何ら措置がされないから再度その点を表明する、「委員会は、そのような差別的な法律は廃止されるべきであると再度勧告する。」と、これはもう私が繰り返さなくても御存じのところであろうと思います。

 こういう指摘がなされていることについて、まずこの勧告についてはどのように法務省としては受けとめておられるのでしょうか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 ただいま御指摘の規約人権委員会の最終見解、これは十分承知しております。

 その中で委員が今御指摘なさったようなことがございますが、法務省といたしましては、外国人登録証明書の常時携帯制度につきましては、不法入国者や不法残留者が現在多数存在しているという今日的な状況にかんがみますと、その居住関係あるいは身分関係を即時的に把握する必要がある、そのため合理的かつ必要なものだ、このように考えております。

 また、日本人に対する取り扱いとの間に差があるのではないかという見方もあろうかと思いますが、この点についても合理的な根拠があるということでございまして、したがって、御指摘の市民的及び政治的権利に関する国際規約第二十六条に違反するものではない、このように考えておるところでございます。

 なお、このような考えにつきましては、さまざまな立場において明らかにしておるところでございますけれども、今後とも各方面の理解が得られるように努めてまいりたい、このように考えております。

千葉景子君  規約人権委員会で法務省もそのような説明をされ、それを議論した上で勧告は出されているんですよ。そういう説明をされても、いやそれではだめだぞと、そういうことを聞いても、なおかつこの法律は規約に違反をしている、人権に対する侵害になるということが指摘されているわけです。だから、それを繰り返し説明をいただいてもこれは平行線のまま。要するに、この規約人権委員会の勧告については、法務省としては、それはもう頭の上を通り過ぎていくあれにすぎない、 一切それには耳を傾けないということのお考えを再度今示されたと同じだと思うんですけれども、今後もそういうことですか。
国務大臣
(陣内孝雄君)
 規約人権委員会の勧告というのは、これはもちろん尊重するということは当然のことでございますが、ただいま申し上げました登録証明書の常時携帯制度につきましては、これは外国人の居住関係とか身分関係を即時に把握するという観点から大変合理的でかつ必要であるというふうに私どもは考えておるところでございます。
千葉景子君  また同じことを言うことになりますが、大臣も御自身として率直にそう思われますか。いかがですか。
国務大臣
(陣内孝雄君)
 現在、大変多くの不法入国者や不法残留者が存在しておりまして、このことがいろいろな難しい問題をもたらす一つの原因になっているということを考えますと、私としましては、常時携帯制度というのは大変必要かつ効果的なそれに対する方法ではなかろうか、このように考えております。 
千葉景子君  それについてはまた大臣にも議論をお聞きいただきながら、本当にそうかなという少し認識を改めていただくようにしたいというふうに思います。

 ただ、この勧告は前回から二回目の勧告でございますので間に合わなかったということはないと 思いますけれども、勧告が出てからこの法改正案が最終的にまとめられて出されるまで確かに時間は余りなかったんですね、その間。そういう意味では多少この勧告に沿った中身を盛り込めなかったとか、そういうこともひょっとしたらあるのかなという気もいたします。

 そういう意味では、勧告を受けて、今回はもうまとめちゃったので間に合わなかったけれども、積み残している部分もあるから、やはりこの勧告に沿ってできる限りもう少し検討していこう、こういう点などはございますか。それとも、一切そんなことはないんだというお考え方でしょうか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 現在の私どもの立場は先ほど申し上げたところでございますが、いろいろと御議論をひとつ拝聴させていただきたい、このように思っております。
千葉景子君  それでは、少し具体的な内容としてお聞きをいたしますが、常時携帯の制度、それについての実情をまず確かめておきたいというふうに思います。

 前回の改正後現在に至るまで、常時携帯義務違反で送検をされている数、国籍、それから在留資格別で示していただくことができますか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 過去四年間の数字でお答えいたします。平成六年、七年、八年、九年でございます。平成六年が二十七件、平成七年が三十件、平成八年が十七件、平成九年が二十一件でございまして、国籍別で見ますと、中国及び韓国、朝鮮が大半を占めております。

 なお、在留資格別の統計資料はとっておりません。

千葉景子君  在留資格別には統計がないということでございますけれども、例えば指紋押捺の撤廃についても、ある意味では二段構えで永住者、特別永住者、それから今回はその他の外国人ということで、この法の運用とか適用に当たっては、やっぱりその在留資格によっていろいろな適用のあり方、運用の仕方というのがされていると思うんです。

 そういうことを考えると、国籍別はともかくとして、在留資格別には全く統計がない、あるいはその違いがわからないというのは、これだけ重要な法律で、これでしっかりと管理をするんだというお話とは随分実態は異なるんだなという気がいたします。

 送検はされなくとも、例えば交番でちょっと話を聞かれるとかあるいは身柄が一定の時間拘束を受けるとか、こういうケースというのは幾らでもというか多々あるのではないかというふうに思いますが、送検はされていないけれども常時携帯義務違反ということによってさまざまな強制を受けるというようなケース、こういうことについては統計とかあるいは実態というものをきちっと把握をされておられますか。警察庁の方はいかがでしょうか。

政府委員
(金重凱之君)
 警察の方は、任意で処理している事件につきましての統計でありますけれども、都道府県から特に個別の事件の内容についての報告を求めておらないというようなことでございます。一般に、現場において逮捕の必要性等が認められないもので、なおかつ事案的にも軽微な事例であるというふうに私どもは承知しております。
千葉景子君  そこのところがある意味では非常に問題を生じてきた部分でもあるわけです。不携帯による送致件数というのはそんなに多くないんですよ、先ほど示していただきましたように。総数でいっても平成六年が二十七、七年が三十、八年が十七、九年が二十一。結局、送致に至るというようなことは逆に言えば本当にまれなことになってきている。しかし、そこまでに至る状況の中でいろいろな問題点が生じているというのが実態であろう。その実情というのは上がってきていないから数字としてはわからないということのようでございます。そこも大変問題であると思うんです。

 前回の改正の審議の中でもいろいろな運用の間題点が指摘をされました。そして、附帯決議でも乱用にならぬようにということも決議をされているわけです。これも前回を蒸し返すようですけれども、例えば常時携帯義務違反というケースとしては、本当に住んでいる家からすぐそばのふろ屋へ行くときにたまたま登録証を持っていなかった、それによって警察に連れていかれ、そして長時間の取り調べなどを受けた、これは一つだけちょっと象徴的に挙げさせていただきますけれども、こういうケースなども指摘をされてまいりました。

 ただ、そういうことが少なくなってきているという事実は私も承知はいたしておりますけれども、弾力的、常識的な運用に努めるということでこの間は推移しておりますけれども、どうなんでしょう、具体的に、先ほど数値はないというお話ですけれども、その弾力的、常識的な運用の中でどういう運用実態にあるのでしょうか。その点については警察庁の方はどの程度承知をされているんですか。

政府委員
(金重凱之君)
 御指摘の点につきましては、昭和六十二年と平成四年の二度にわたる衆参両院の附帯決議の趣旨を踏まえまして、常時携帯・提示義務等に関する規定の運用に当たりまして、警察としましては場所的、時間的な条件だとか被疑者の年齢、境遇あるいは違反態様等を総合的に判断いたしまして、個々の事案ごとに可能な限り常識的かつ柔軟な対応に努めるように指導してきておる、こういう状況でございます。

 そこで、例えば平成四年以降平成十年までの間に外国人登録証明書の不携帯で送致いたしましたのが百四十六件でございます。これは平成四年から十年で七年間でございますけれども、その以前の例えば七年間の合計件数の約二%程度にとどまっておるというような状況もあるわけでございまして、先ほどお話のありましたおふろ屋さんに行くときに外登証を携帯していないために云々というようなケースは、一般的なことで申し上げれば、もちろん個々に総合的にケース・バイ・ケースということでございますからいろんなことがありますでしょうけれども、我々としては常識的かつ柔軟な対応をこれまでもしておりまして、そういうことの結果として今申し上げましたような検挙件数の少なさということにつながってきておるのだろうというふうに思っております。

外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑(4/20) 4/5
千葉景子君  送致件数というのが本当に減っています。それだけ、逆に見れば常時携帯違反で立件しなければいけない必要性というのが非常に存在意義がないということも示しているんだろうというふうに思うんです。

 弾力的かつ常識的といいますけれども、そもそも常時携帯をしているか否か、その違反を取り締まる端緒というのは、現在ではどういうきっかけでこの常時携帯違反の端緒となっているんでしょうか。先ほど言ったように、隣のおふろ屋に行ったときに職質のような形でこれこれということはほとんどなくなっているということでございます。普通、常時携帯の有無あるいは違反の有無を取り調べる端緒はどんなときが多いんですか。

政府委員
(金重凱之君)
 これはいろんな事件事件で端緒はさまざまであろうというふうに思っておりますので、個々にちょっと申し上げかねるわけでありますけれども、例えば強制捜査の対象になったような事件について申し上げますと、暴力国の構成員でございますけれども、これの偽装結婚事件の関係者である中国人を検挙した事件というのがあります。それも外国人登録証の不携帯ということで一連の捜査の過程でこれを端緒として検挙した、こういうようなことがございます。それからまた北朝鮮の工作員による各般の密出入国事件というようなのもありますし、それからまた北朝鮮による日本人拉致事件等々があります。

 現場で逮捕の必要性があるのかないのか、そういうような判断を踏まえましてその事件事件、これもケース・バイ・ケースでなかなか個々の事件ごとに変わってくるわけでありますが、この事件の悪質性だとか、あるいはそのほか事案の性格等々を勘案して慎重に私どもは処理しておるということでございます。

千葉景子君  結局は、常時携帯義務だけを調べるために何か行うということはほとんどできないわけですよね。結局、他の犯罪のおそれがある、そういう捜査の過程で常時携帯義務違反だということが発覚をするとか、そういうことであって、かつてのようにだれかれ隔てなく常時携帯、持っているかと、こういうことをやることが少なくなったとすれば、あとは犯罪に絡んでいるとか、ほかの犯罪で摘発をされて登録証の携帯がなかったということがわかるとか、そういうケースになってきているのではないかというふうに思うんです。それにもかかわらず、やっぱり常時携帯を強制をされているということについては大変制度的にももう無理があるのではないかというふうに思います。

 そもそも、この常時携帯義務、外国人登録証明書とほぼ類似をするもので常時携帯という義務を課している国というのは世界でどのくらいございますか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 世界じゅうの全部の国というわけにもいきませんものですから、入管局で四十四カ国を選んで調査した結果によりますと、少なくとも我々が選んだこの四十四カ国はすべて、提示だけの国もございますけれども、常時携帯ないし提示を課しております。

 この四十四のうち、アメリカほかの三十六カ国において登録証明書ないし旅券その他身分事項を証する書類の携帯、提示を義務づけております。一方、登録証明書の提示義務のみを課している国はシンガポールなど、この中で八カ国ございました。

千葉景子君  今お聞きすると、提示だけを求めるという形をとっている国もあるわけです。確かに携帯義務というのもございますけれども、提示のみで十分に事足りているという国もあるようですので、ぜひそんなところはよくよく参考にしていただきたいというふうに思うわけです。

 常時携帯義務なんですけれども、先ほど言いましたように、送致件数も非常に減っている、それから以前指摘されたような不当な運用もなされていないというようなことでもございます。結局、常時携帯によって、先ほど最初のお話でありましたけれども、即時的に何かを判断するということには無理があるということが言えるのじゃないかと思うんです。

 というのは、常時携帯そのものが、例えば外国人の居住の資格とかあるいは入国の資格そのものをあらわしているわけではないわけです。常時携帯というか、携帯してあるものを提示する、それによって内容が確認されるということによって身分が改めて明白になるわけですから、結局、常時携帯そのもので何かを判断しようということは、常時携帯だけで何が判断できるのでしょうか。その点についてはいかがですか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 私ども入管でございますので、入管の仕事の範囲で常時携帯というのは非常に必要だということを御説明したいと思います。

 私どもも入管法の違反調査をするということで、普通いわゆる摘発するという言葉を使っておりますが、仕事場ないし居所における摘発ということをいろいろやっております。現場に参りまして、そういう入管法違反の疑いのある外国人のおられるところで最初に我々の警備官が聞くことは、外登証をお持ちですかということでございます。当然のことながら適法な外登証を持っていれば我々の違反調査の対象からは外れるわけでございますので、それがないときにはとりあえず常時携帯違反というわけじゃないですけれども、向こうも納得してついてきていただける。実際に我々が摘発をやるのは夜遅くあるいは早朝とか、果たしてこれがどうなのかということを確認しようにも、市町村の役場が閉まっているような時間あるいは土日とか、そういうときで、即時的にこれが摘発の対象になる人かどうかというのを把握するというのは大変重要なことでございまして、我々の仕事の分野に関する限り非常に役立っている有用な制度だと考えております。

千葉景子君  何かちょっとはっきりしないんですけれどもね。

 これは論理的に言うと非常に矛盾をするわけで、先ほど、本当に乱用などはしないようにしている、おふろ屋へ行くときなどは携帯義務違反だというような取り扱いをしないということですね。ただ、逆に常時携帯で即時的に判断をしようとするならば、全員何らかの形で携帯しているかどうかチェックしないことには本当に適法な居住者なのかどうかというのはわからないわけです。偶然に当たった何らかの形で端緒があって調べた人はわかりますけれども、その人は正しい、ではそれ以外の居住している人が常時携帯しているかなどというのはわからないわけで、それは非常に制度としては差別的な取り扱いが起こりやすいし、それからその機能を果たそうとすれば、今度は全部常時携帯をしているかどうか調べるなんということは到底不可能になるわけです。

 ですから、常時携帯という制度は存在はしているけれども、下手をすれば差別的なことになるし、逆になれば何の役にも立たないしと、こういう制度になっているのではないかというふうに思います。

 だから、例えば即時に判断をする、そのために万が一にも肌の色とかあるいは外見とかいうことでその端緒を求めるとすれば、これは極めて人権侵害であるし、それから差別的な扱いということになるでしょう。では今度は、先ほど一言ったように、どこかしこ常に携帯しているかどうかを調べるということになれば、これは不可能を強いるということにもなる。

 結局、この制度はそういうことを含みながら、むしろ毎日毎日常時携帯していないと罰則が科せられるおそれがある、あるいは何らかのときにそういうもので処罰をされるおそれがあるという不安を助長するだけの制度ではないだろうかというふうに私は考えます。

 しかも、少なくとも常時携帯という制度だけではなくて、提示を求める、提示を義務づけているということもあるわけです。本当に何らかの確認を必要とするならば、提示を求めて、そしてそれによって確認をするということで足りるわけですし、むしろ逆に言えば、それをしなかったら常時携帯だけでは内容については最終的な判断がつかないということになるわけです。

 そういうことでは、常時携帯の制度というのは、それが即時的に識別をするのに必要なんだ、それから十分にこれが不法滞在などを防止したりすることにそれなりに効果があるんだ、だから今回別に見直していないというようなお話が先ほどからございますけれども、どうでしょうか。この制度が本当に矛盾なく、あるいは率直に言って機能を果たしているとお考えですか。大臣、聞いておられてどう思われますか。いかがですか。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 確かに、この外登証の不携帯あるいは提示拒否で起訴された数というのが少なくなってきているということは、ただいまの警察庁の報告のとおりだと思います。ただ、現実にまだそういう状況が続いているということであれば、私としては外登証の所持あるいは提示というのは必要な措置である、それを義務づけるための罰則もこれまた必要な措置である、このように考えております。
千葉景子君  仮に、確認作業が必要だということを前提にいたしましても、今申し上げたようにやはり提示を求めてその内容を確認するということが最終的には必要になる方法なわけです。

 そのためには、例えば持っていてもらわないと、提示を求める際があるからやっぱり持っていてくださいよということであるならば、それは行政執行あるいは犯罪投査の執行に当たって、そうしておいてもらわないといざというときに大変執行がスムーズにいかないということで、むしろ持っていてくださいというある意味ではお願い事をするようなものですから、そういう意味では行政の執行の利便に資するということであるならば、例えばこれを犯罪とするのではなくて、行政の一定の秩序を守っていく、あるいはその執行を スムーズにするという意味では、行政罰、過料というようなことでも足りるのではないかというふうに考えます。

 常時携常は本当に送致件数も少なくなっている。これを犯罪として刑罰で強制をする。いつも犯罪者になるのではないかという不安を、多くの本当に健全な善良な外国人の毎日の生活にそういう不安をつくっているということは、いかにも人権に配慮のない、そしてまた制度本来の趣旨からも逸脱している制度であろうというふうに思いますが、どうでしょうか。改めてお考え方をお聞きしたいと思います。

国務大臣
(陣内孝雄君)
 千葉委員のお話はお話として、そういうお考え方があろうかと思います。

 現状、大変多くの不法入国あるいは不法滞在者がいるということの重大な影響、このことを心配いたしますと、その兼ね合いがどの辺にあろうかということだろうと思いますけれども、私どもとしては、現在提案しております現行どおりの外登証に関する取り扱いがぜひ必要でなかろうか、そういうことでこれからも御理解を賜りたいと思っているところでございます。

外国人登録法・出入国管理法の改正案への質疑(4/20) 5/5
千葉景子君  今兼ね合いとおっしゃいましたけれども、兼ね合いであるならば、機能しない制度とそれから人権の尊重ということの兼ね合いを考えてみれば、おのずとやっばり人権を尊重しながら、そしてその制度が機能するような、あるいは本当に配慮できる制度として改めて考え直すというのがむしろこれからのあり方ではないかというふうに思います。

 考え方は考え方としてというお話でございましたので、ぜひこれはこの審議がまた煮詰まっていく段階におきまして、どういう考え方があるべき姿かということを改めて御提起させていただきたいというふうに思います。

 次に、登録原票の問題について少し御質問させていただきたいというふうに思います。

 今回の改正で登録原票の開示の問題が法制度の中に盛り込まれました。これまで自治体におきましては、外国人登録済証明書が発行され、これが居住する外国人にとってはいわば私たちで言う住民票と同じような機能を果たしておりました。今回、原票の開示と登録原票記載事項証明書というのが発行されるということになりますが、外国人登録済証明書の制度はどうなっていくのでしょうか。このまま両方が尊重されるという形になるのか、それとも登録済証明書の方は廃止をされるという格好になるのか、これはどうなるんでしょうか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 現行の外登証では開示の規定は全くございません。ただ、外国人の皆さんから、入学、就職あるいは帰化等の手続上の必要から、居住関係または身分関係の証明書を出していただきたい、そういう要望がいろいろございます。

 そこで、市区町村におきまして、いわば登録原票に基づき登録証明書とは別に登録済証明書というのを運用上出しているというのが現行の状況でございます。今回は、この開示の点をはっきりと明文化したいと考えております。

 それで、中身からいいますと、原則的には非開示ですけれども、はっきりと特定した分野に限ってはこれをするという法改正を出して、現在ここで御審議いただいておりまして、それによりますと、今委員御指摘ありましたように、登録原票記載事項証明書というのが出せる、当然一定の条件のもとですけれども、ということになりますので、これが新設されることになりました場合には、これまでの登録済証明書の発給制度はいわば発展的に廃止される、このようになると考えております。

千葉景子君  これまで、この登録済証明書については自治体の側でいろいろな配慮をしてこられました。例えば、プライバシーの保護などについては十分な慎重な対応をとりながらこの制度が運用されてまいりました。平成八年でも発行件数が百三十六万件以上ということでもございますので、これは本当に日常生活にとっても不可欠な制度として運用されてきたということが言えようかというふうに思うんです。

 そういう意味では、これまでの運用がこれからのこの登録原票記載事項証明書の発行などに当たっても、プライバシーの保護とかあるいは本人の住民票にかわる非常に生活に直結をする制度として、これまでより何か不便になるとか、あるいはプライバンー保護に欠けるというようなことがいささかもあってはならない。法制度にしたら悪くなったということでは困るわけですけれども、その点についてはこれまでの運用を踏まえてどういう配慮を考えておられますか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 登録原票には当然のことながら外国人の皆さんのプライバシーにかかわる事項をたくさん含んでおりますので、その取り扱いには慎重な配慮が必要であると考えております。

 それで、現在の登録原票に基づき作成された登録原票の写し票等は、法務省に送付された後、電算処理されて、現在そういうことをされておりますけれども、この電算上の個人情報については既に個人情報保護法の適用を受けております。そこで、登録原票の整理、保管についても、電算上の登録記録と同様の配慮をすることが望ましいと考えておりますので、今回の法改正に当たりましては、この個人情報保護法を十分に参考にしながら法案を作成したということでございます。例えば、個人情報保護法の第五条第一項を参考にして、登録原票の記載事項の漏えい、滅失、段損の防止その他登録原票の適切な管理のために必要な措置を講ずることとする云々というようなやり方で、これを十分に参考にしながらプライバシーにかかわる事項が慎重に配慮されるように考えたつもりでございます。

千葉景子君  これはまた機会をあれしまして細かくお聞きをしたいと思っておるんですけれども、この登録原票記載事項証明書について不当な交付を受けた際、過料に処せられるということになっていますね。これは不当な交付あるいはプライバシーの侵害などがあってはいけないわけです。ただ、これは先ほどの議論にもかかわりますけれども、もう機能しないような、そして人権に非常に重い負担をかけている常時携帯のようなものには罰則がかけられていて、プライバシーをきちっと保護して、そして不正な登録原票の流出などがされないようにということについては過料なんですね。

 これは何かえらく刑の均衡を失している。あるいは本旨に沿った刑罰の適用あるいは検討が本当になされてきたのだろうか、こんな点でも私は矛盾を感ずるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

政府委員
(竹中繁雄君)
 今の点に関しましては、偽りその他不正の手段により、登録原票の写し等の交付を受けた者は五万円以下の過料に処するという規定が確かにございます。

 それで、今回の改正に際しまして、当然のことながら戸籍簿それから住民基本台帳がどうなっているかというのを調べておりまして、それと同様の規定を今回置いたというわけでございます。

千葉景子君  もう時間ですので、次回に質問を譲りたいと思いますけれども、ここは住民基本台帳法を参考にしたと。登録そのものは決して住民基本台帳法などを基本にはしておりませんよね。それとは全く違った外国人管理という手法あるいは考え方にのっとって行われている。しかし、プライバシー侵害などに大変かかわりやすい、こういうところについては過料で済ませている、この点についても私は非常に疑問に思います。 細かくは次回の質疑の際にまた質問させていただきたいと思いますので、御承知おきをいただいて質問を終わりたいと思います。



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