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私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました両法律案の趣旨説明に対し、総理並びに法務大臣に質問いたします。
現在、地球上で母国以外の国で生活している人、しようとしている人々の数は数え切れないほどです。経済のグローバル化の急速な進行に伴い、ある人は仕事や教育等のためにみずから進んで母国を離れ、他方、内戦から逃れるために、また、雇用の機会を求め、生きるために必要に追られ他国へ移住する人々も数知れません。
また、我が国では、一九一〇年から一九四五年までの三十六年間、日本の植民地支配下にあった朝鮮半島の人々とその子孫が、外国籍を持つとはいえ、地域市民として生活していることも忘れてはなりません。
今、国際化の進展の中で、日本社会も大きく変動するとき、私たちがやらなければならないことは、人権の保障をさらに充実させ、人間性がより豊かに実現できる二十一世紀の社会をつくり上げることの必要性を我が国が先頭に立ち国際社会に発信することではないでしょうか。そのためには、国際人権規約の理念である内外人平等の原則を踏まえた外国人に係る適切な取り扱いが要請されるところです。
ところで、我が国において外国人が我が国に居住しようとする場合、まず入国管理法によって入国の許可を受け、さらに外国人登録法に基づいて外国人登録を行うことが必要となります。すなわち、入国管理法と外国人登録法は、我が国に居住する外国人にとってその生活の基盤となる法律です。ところが、これらの二法は、外国人を友人としてではなく、日本社会における異端とみなし、厳しく管理すべきとする思想から抜け出ておりません。
今回、小測内閣が提出したこれら二法に関する改正案についても、幾つかの改善措置は講じているものの、法律の基本的な思想については、改正されていないばかりか、新たに不法滞在罪を創設するなど、外国人を自国民と同様に扱おうとする世界の流れに明らかに逆行するものです。具体的な論点に入る前に、小測総理、国際化時代の外国人の人権のあり方について基本的な考えをお聞きしたいと思います。
総理は、大学院生のとき、九ヵ月間をかけて世界一周旅行をされ、その間、訪問先の国々にとっては在留外国人であったわけですが、そのような経験を通して、外国人の人権のあり方についてどのようなお考えをお持ちになっておられるのでしょうか。
また、今回提出された改正案は、総理の人権感覚に沿ったものでしょうか。お尋ねいたします。また、最近のアメリカ経済の力強さは、アメリカ社会が有能な者を国籍を聞わず受け入れてきたことに基本的な要因があるとも言われております。我が国も、社会の新たな活性化のためには、外国人を差別したりせず、むしろ積極的に受け入れることが求められています。
既に、我が国でも、在日外国人は地域社会の一員としてその貢献は多大なものがあり、その意味では、地方参政権を付与されて当然であると考えます。民主党は、公明党とともに、在日外国人に地方参政権を付与する法案を衆議院に提出しております。この点についても総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
さて、改正案の具体的な問題点について、法務大臣に質問いたします。
まず、指紋押捺制度の全廃を主な内容とする外国人登録法の改正についてでありますが、先ほど、今回の改正案は約六年前に行われた改正時に衆参両院の法務委員会で採択された附帯決議に基づくものであるとの説明がございました。確かに、指紋押捺制度の全廃に踏み切ったことは附帯決議に沿ったものでもあります。しかし、このことは、六年前に当然廃止すべきものを今日ようやく実行したにすぎません。むしろ、附帯決議が政府に求めたことは外国人の人権を尊重した制度のあり方の検討であり、そして同法で定める罰則について他の法律との均衡を検討し、適切な措置を講じることを求めたものでした。
そもそも、法の目的を見ると、外国人登録法では「在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」と規定されております。それに対し、住民基本台帳法では「住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。」とされています。まさに、在日外国人は日本国民と異なり、管理の客体としか見ていないことが明らかです。外国人も日本国民と同様、地域社会の構成員であります。税金を負担し、地方公共団体は外国人に対しても種々の住民サービスを提供しているのであります。そこには何らの差異がない。むしろ、住民として地方の行政にも関与できる権利こそ与えるべきであります。
それにもかかわらず、このような在日外国人を治安維持のため監視するような条文が残っている。国際化の視点からいっても、人権の観点からしても時代おくれの規定と言うべきではないでしょうか。また、管理的色彩が強いという特徴は登録証の常時携帯を罰則によって強制するという仕組みにはっきり示されております。日本人の住民登録では、転入転出の変更は十四日以内に届け出なければなりませんが、その違反は五千円以下の過料であります。ところが、外国人登録の場合には、登録事項が極めて多いことは別といたしましても、登録すると外国人登録証明書が交付され、十六歳以上の外国人はその登録証明書を常時携帯しなければならない、そして公務員の求めに応じてそれを提示しなければならないのであります。
登録証の不携帯には二十万円以下の罰金が、また登録証の提示を拒んだ者に対しては一年以下の懲役もしくは禁鋼または二十万円以下の罰金が定められているのです。そこには過料と刑罰という大きい質的な差異を設けています。
国連の規約人権委員会は、一九八八年十一月に日本政府第四回報告書を審議して、次のような最終見解を採択しています。
すなわち、外国人登録証を常時携帯していない外国籍の永住者を刑事犯に問い、かつ刑事罰を科している外国人登録法は自由権規約第二十六条とは両立しないとする第二回定期報告書審議の際における最終見解においての委員会の意見を繰り返し言及する。委員会は、いま一度そのような差別的な法律が廃止されることを勧告する。
政府は、規約人権委員会が三度にわたって外国人登録証の常時携帯の制度の廃止を求めていることを直視し、法の目的を見直し、常時携帯の制度を速やかに撤廃すべきであります。せめて、永住者及び特別永住者についてまず廃止することにしたらどうでしょうか。あわせて見解を求めます。
さらに、本制度に関連してお尋ねいたしたいのは、違反者に対し刑事罰を科すという点で日本国民に対する取り扱いと著しく均衡を失している点であります。この点についてどのようにお考えになっているのでしょうか。両法務委員会における附帯決議で求めた他の法律との均衡及びこの法律における罰則間の均衡を十分検討された上で、制度目的に相応する罰則だとお考えなのか、お答えください。
次に、出入国管理法の改正案についてお尋ねします。
改正の中心は、我が国に不法に在留する行為を新しく処罰の対象とすることであります。すなわち、不法に入国した者がその後我が国の社会に受け入れられ、善良な住民である場合であっても、我が国に在留しているという事実だけをもって罰するものであります。
殺人や強盗などの凶悪犯罪ですら時効にかかりますが、この新設される不法滞在罪は時効にかかりません。我が国に滞在している限り、日々犯罪を犯しているという扱いになるのです。不法に入国する行為は厳しく取り締まるべきですが、入国後一定期間を経過して、我が国社会に受け入れられている者までいつまでも犯罪者扱いすることは、その者や関係者の生活を不当に脅かすものです。
この刑罰を新設することによって、不法入国を防止する効果がどれほど期待できるのか。さらに、不法入国の防止のためには、刑罰の強化より、まず国境警備の強化や外国政府との協力体制の構築などによる出入国管理の適正化の方が効果があると考えますが、不法入国の防止に関する政府の総合的対策について、総埋、法務大臣にお聞きいたします。
さらに、不法滞在罪の新設によって、現に我が国社会に受け入れられている者の人権を不当に侵害することにならないのか。法務大臣、この点の見解をお聞かせください。
最後に、今回の法改正を見ましても、法務省に、人権擁護行政を推進し、二十一世紀に向け国際社会をリードしていこうとする積極的な意思が何ら見られません。そのことは、歴代の法務事務次官の中に人権擁護局出身者が一人もいないことにも示されています。
国連を初め諸外国から指摘されている人権擁護行政のおくれを取り戻すためには、この際、中央省庁再編に合わせ、人権擁護行政を専門的に担当する独立の機関を設置し、人権問題に積極的に取り組むことが必要ではないでしょうか。この点について総理のお考えをお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
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