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予算委員会で代表質問 (1998.8.20)

予算委員会で代表質問(全文)
  1998.8.20 参議院予算委員会

民主党・新緑風会 千葉 景子

金融対策について
千葉景子君  関連で質疑をさせていただきます。

 先ほど今井理事の方から、小渕政権の政治姿勢というような点についてお尋ねをさせていただきました。

 金融対策でこれまでの政権運営はどういうようなことをしてきたか、改めて考えてみますと、この間の政府の姿勢というのは、よく言われておりますように隠ぺい、先送り、そしてその場しのぎ、こういう手法をもってこの間政治運営を続けてきたのではないか、そう思います。こういう対応を続けてきた結果、金融危機は一層深刻さを増し、そしてふたを開けてみればのっぴきならない状況になっていた。この間いったいどれだけの血税が、公的資金が無駄に使われてきたのか。先の参議院選挙というのは、やはりこういう政治姿勢、政治手法、こういうものに対して、いわば納税者、一生懸命がんばって働いて、そして税金を納める、そういう国民、市民の異議申立であり、反乱であったのではないかと思います。

 そういう意味では、これから小渕政権がどういう姿勢をもってこの金融問題に対応されていくのか。これまでの隠ぺい、先送り、その場しのぎ、無責任、こういうこれまでの状況をふまえながらどう考えておられるのか、どういう姿勢で臨んでいこうとされているのか、改めてお尋ねしたいと思います。

国務大臣
(小渕恵三君)
 大変厳しいご指摘をちょうだいいたしましたが、申すまでもなく、現下の最大の経済問題の中で、金融機関における不良債権の処理というものがここにすべて集約されつつあるということを認識いたしております。

 その前段といたしまして、私が知る範囲でも、住専問題で六千八百五十億円の国費の投入、この時点における政府の考え方、あるいはまた当時の国会のいろいろ御議論等を通じましても、ある意味では私自身の反省もありますが、ここをもってこの金融問題についての不良債権問題の一つの締めくくりができるかという認識もいたしておりました。

 いずれにおきましても、その後、信用組合、そして最終的に北拓の破綻等々、また現下の厳しい情勢もございまして、私は、そういうことを考えますと、できる限り問題のあり方につきましては、政府挙げてその問題点を明らかにしながら適宜適切に対処しいたしていかなければならない、自らの反省も込めてそのように考えておる次第でございます。

千葉景子君  そうしますと、これからやはり実態を開示する、できるだけ明らかにする、こういう姿勢は当然もたれておられると思いますし、そうしていただかなければいけないと思いますが、改めてその一番のポイントとして、金融監督庁の検査結果、これについてきちっと発表、公表される、あるいは開示をされる、そういう御決意があるのかどうか、十九行についてどのように考えておられるのか、改めてお尋ねしておきたいと思います。

 総理にお尋ねしますので、よろしくお願いします。

政府委員
(日野正晴君)
 お答え申し上げます。

 御指摘の通り、この金融機関の情報開示の充実というのは、金融機関経営の透明性を高め、市場規律によりまして経営の自己規制を促すとともに、預金者の自己責任原則確立のための基盤となることから極めて重要であると考えております。

 そこで、現在の開示の枠組みにつきましては、ご案内の通り、銀行法に基づきまして来年の三月期から不良債権など全般的なものにつきまして米国のSEC基準にのっとった情報開示を行うと。そして、それは単体だけでなしに連結ベースで行われることになっておりまして、しかも罰則付きという大変厳しい内容の情報開示が求められることになっております。

 ただ、ただいま委員のお話のありました個別金融機関の検査結果、現在十九行につきまして検査を行っている最中でございますが、これを開示いたしますと、取引先に不測の損害を与えたり、あるいは個別私企業の内容を当事者の意に反して開示することになるなどの問題があるばかりでなく、場合によりましては、金融システム全体に対して信用不安などの不測の影響を与えるおそれもあると考えられますので、公表することは適当でないと考えております。

千葉景子君  総理に私はお尋ねするんですけれども、これまでやはり物事をはっきりさせないままに公的資金を投入してそれが無駄に使われてきたと。こういうことを考えたときには、当然この検査結果を公表した上で、さて皆さん、こうしたいんですけれどもどうだろうか、こういうことをしなければ納得できないじゃないですか。

 改めて総理にお尋ねします。

国務大臣
(小渕恵三君)
 今、監督庁長官から御答弁申し上げたことでございますけれども、金融機関そのものは、政府としてこうした開示を強制するということになりますと、かつて大蔵省がそれぞれ民間企業に対してある種の行政権限で強制したようなことはある意味ではこの自由主義経済社会の中でいかがかなという問題も実は一方ではあるのではないかというふうに考えております。であればこそ、こうした金融機関におきましては、自己査定の結果というものをきちんと開示していくという自らの姿勢がまずあるべきではないかというふうに考えております。

 そこで、それぞれの個々の機関についてこれを明らかにするということにつきましては大変困難だというふうに認識をいたしておりますが、ただ検査を今行っております十九行、まだすべてにわたってこれが進んでおりませんけれども、十九行全体の検査の集計結果を公表することにつきましては、その問題その他を配慮しながら検討はしていかなきゃならない問題ではないかと考えております。

千葉景子君  先ほども触れられましたけれども、例えば金融安定化法によって二十一行に一兆八千億円、長銀には一千七百六十六億円投入をされた。このときには優良な銀行だ、こういうもとに投入されたわけですね。ところが、今どうですか、長銀についてはいろいろなことが取りざたされている。万が一にもきちっとした事実の公表なくして公的資金を超法規的な形で投入するようなことはないでしょうね。

 総理、いかがですか。

国務大臣
(宮澤喜一君)
 預金保険機構に関係いたしますので私から申し上げますが、どういう事情があれ、超法規的な運用をする考えはございません。
千葉景子君  それだけは、ぜひ今の御答弁を守っていただきたいというふうに思います。
情報公開法について
千葉景子君  こういう情報が開示をされない、あるいは隠ぺいされていく、そのためにはやはりきちっとした情報公開の制度、私はこれを改めて確立することが必要であろうというふうに思います。

 情報公開制度の実現について、小渕総理、どうですか、その御決意のほどをまずお聞かせいただきます。

国務大臣
(小渕恵三君)
 情報公開法は、いうまでもありませんが、国民に開かれた行政の実現を図るため極めて重要な点でございます。

 また、であればこそ、法律としてこれを国会にお諮りいたしておるわけでございますので、速やかに成立をさせていただきますようにお願い申しあげる次第でございます。

千葉景子君  国民は、やはり物事が隠ぺいされて、そして結果的にはツケだけを回される、こういうことにはうんざりしているわけですね。情報をきちっと得て、自ら責任を持って意思決定をしたい、これが今の国民の声だというふうに思うんです。

 民主党、私どもも一定の取りまとめた案を出させていただいておりますが、やはり、この際、国民の知る権利、情報にアクセスする権利、こういうことを明確にすると同時に、できるだけ非公開の部分を少なくする、例えば企業の情報などについても政府が所持しているものは開示をする、こういう姿勢が必要だろう、そういう内容を盛り込むことが必要だろうというふうに思いますが、政府案はその点についてはいささか後ろ向きだと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣
(太田誠一君)
 情報公開法につきましては、千葉委員も御案内のとおり、例えば二年前の民訴法の改正のときに衆議院の法務委員会の方で政府の原案を修正するというようなことがございまして、ずいぶんと与党や政府の中でもこの問題についての考え方は変わってきたと思います。その結果としてこういう形の情報公開法が出されたわけでありまして、その内容は五年前、十年前に比べますとずいぶんと私は進歩した、変わったというふうに思っております。

 そういう意味で、いろんなそれぞれの部分を取り上げますと足らざる所があるということが分かるわけでございますけれども、大局を見て御判断をいただければと思うのでございます。

千葉景子君  総理、大局を見るからこそ申し上げているわけですから、今の案をよりよいものにする決意、あるいはそういう声を受け止めていく、こういうお気持ちはありますか。
国務大臣
(小渕恵三君)
 今、千葉委員御指摘のように、民主党におきましてもあるいは各党におきましてもこの問題に真剣に取り組んでおられるということでございますが、今の私の立場では、政府で提案させていただいておりますので、ぜひ各党各派、十分御検討されまして、そして真に国民のためになる情報の公開とはなんぞやということを御議論いただければ大変ありがたいと思っております。
千葉景子君  そういう姿勢で私どもも取り組んでおりますので、ぜひ前向きに頑張っていただきたいと思います。
雇用問題について
千葉景子君  次に経済、この不況の状況を考えますと、さまざま深刻な問題が山積みをいたしております。

 そこで、何点かお聞きをいたしますが、今不況が非常に深まる中で、雇用の問題が大変深刻さを増しております。ことしの六月の統計で見ますと完全失業者数が二百八十四万人、そして失業率四.三%、こういう数字でございます。しかも、この内容を見てみますと、世帯主あるいは一家の大黒柱、こういう人たち、そこの層が非常に厳しい雇用環境のもとにおかれている、こういう状況をいかにお考えになっておられるか。そして、今後の雇用状況の見通しあるいはそれに対する対策をどのようにご検討されているのか、総理、お聞きしたいと思います。

国務大臣
(小渕恵三君)
 御指摘のとおり、現在の雇用状況、特に中高年層を中心といたしまして、極めて厳しい環境にあることは承知をいたしております。抽象的に申し上げるかもしれませんが、額に汗して働く勤労者の方々が希望にあふれて安心して働けるような状況をつくり上げていかなければならない、こう考えております。

 したがいまして、この内閣といたしましても、この問題に関係する主要閣僚全員一致でこの問題に取り組ませていただいておりますが、この問題につきましては労働大臣といたしましてもいろいろの処方を考えておられるところでございますので、労働大臣から御答弁されることをお許しいただきたいと思います。

国務大臣
(甘利明君)
 総論につきましては総理がお触れになられましたので、若干各論に触れさせていただきます。

 特に中高年齢層の失業が深刻になっております。御案内のとおり、有効求人倍率でいいますと〇.一九であります。これに対してどう対応するか。抜本的には景気をよくしなければなりませんので、総合経済対策の迅速な推進、その中での緊急雇用開発プログラムというのがございます。そうした中で、雇用開発助成金、従来は五十五歳以上でありましたのを四十五歳以上というふうにいたしました。

 あわせて、中高年齢者、ホワイトカラー層がかなり多くなっているわけでありますけれども、従来の職業能力開発に加えて、一年くらい前からホワイトカラーを対象にアビリティガーデンという、労働省に似つかわしくないしゃれた名前が付いておりますが、ここの職能開発施設の受け入れ枠を拡大いたしまして、世の中のニーズに沿った職業開発を今進めているところであります。

 あわせて、私、労働大臣に就任をいたしましてすぐ指示をしたことがありますのは、データベースのネットワークを作ろう、つまり雇用情報というのは職安に集中的にあるわけでありますが、規模は小さいんですけれども、それ以外にも経済団体にいくつかデータベースがあります。例えば、商工会議所には事業者の側からこういう人材が欲しいというのが登録されているんですが、これがつながっていなかったわけでありますから、これをつなげることができないかということを指示し、経済団体に協力要請をしているところであります。

千葉景子君  例えば、考えられるのは、これまでも雇用調整助成金などの発動がされてまいりましたけれども中小企業にはなかなか使いづらい。あるいは雇用給付ですね、これが三百日、そろそろこの期限も満了しようという人たちも出てきてる状況、そういうことについて対応を何かとられることはできませんか。例えば給付期間を延ばす、あるいは雇用調整助成金をもう少し中小企業にきめ細やかに使えるような方策を考える、この辺緊急な問題だと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣
(甘利明君)
 失業給付というのは基本的には九十日から三百日でありますが、先生御案内のとおり、これもある種の特例がございまして、特定不況業種であるとか不況地域であるとか、あるいは障害者とか高齢者とか、それに対応して六十日ないしプラス九十日という仕組みがございます。そうしたところを柔軟に対応していくということがまずお答えできることであります。

 それから、中小企業に対する雇用調整助成金の対応でありますが、御案内のとおり、大企業に比べて大体五割ぐらいでしょうか、深堀をしてあります。これも、いろんなことを考えておるのでありますけれども、中小企業に柔軟に対応できるようにこれからも運営していきたいというふうに思っております。

少子化問題について
千葉景子君  さらに、この不況の背景にあるのは将来への生活不安、こういうものが横たわっておろうかというふうに思います。

 そこで何点かお聞きをいたしますけれども、少子・高齢化というのも大変これからの厳しい問題でございます。少子化に対してどのように受け止めておられるのか、そしてそれに対する対策あるいは方策、総合的にどういうお考えがあるのか、総理、ご認識をお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣
(宮下創平君)
 少子・高齢化社会を迎えるというのは厚生省の人口問題の統計などによりまして明らかなことでございます。従って、これが各面にわたり非常に大きな影響を与えることになります。社会保障制度の分野におきまして考えた場合におきましても、年金の問題、それから医療保険の問題、あるいはこれから開始しようとする介護保険の問題等々、すべてこれらに関係をいたしております。

 しかし、特に少子化ということでございますれば、やはり今年の厚生白書が指摘しておりますように、産み、育てることに喜びを感じるような社会をつくらなきゃいかぬ、そのためにはどういう条件整備が必要かということで、物的な面あるいはソフトウェアなり、その他さまざまな分野の対応が必要でございまして、これは厚生省の管轄ばかりではございませんで、全省的にいろいろな面で検討しなければならないということになっております。

 今、少子化問題につきましては総理の諮問機関として有識者会議を設置いたしましてこれで議論をされておりますが、私どもとしても、将来の日本の国民の状況を考えた場合に、来世紀の中頃には一億人になってしまう、それから来世紀末には六、七千万人になるとも予想されておりますから、大変我々としては重視していかなければならない課題でございます。そのようなことでいろいろこれから対応をきちっとしていきたいと思っております。

千葉景子君  子供を産む、産まないというのは基本的に個人の意思にかかわることですから、それを云々するわけには行かないと思います。しかし、産みたいけれども産めない、子供を育てたいけれどもなかなか育てにくい。こういう状況についてはやはり解消していく必要があるだろうと思います。

 そこで、一つ、今育児休業中の所得保障というのは二五%しかございません。介護休業についても同様のことがいえるわけですけれども、これを六〇%に引き上げる、こういう提案を私ども民主党でもさせていただいております。こういうことを一つ一つ実行していく、積み重ねていく、これぐらいの予算というのは、これまでの膨大な金融問題に対して使ってきた額から考えれば、これからの将来に向けては大変貴重な問題ではないかと思いますが、総理、いかがですか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 雇用保険制度におきまして支給いたしております育児休業給付の給付率につきましては、関係審議会、国会の審議を経まして、委員今御指摘のように二五%で発足をいたしたところでございます。

 これを直ちに見直すということがなかなか困難なことだと考えておりますが、いずれにいたしましても、育児休業の取得促進を図り、職業生活の円滑な継続や家庭生活との両立を支援するため、育児休業の取得状況などを勘案しつつ、諸制度の内容などについて今後検討に努めてまいりたいと思います。

 今御指摘のように60プロにすぐにというわけにはなかなかいかぬと思いますけれども、先ほど厚生大臣が答弁されましたように、やはり周りの環境をきちんとつくり上げていく、また本人に対しましてもいろんな形での援助というものがなされていくということも、子供を産み、育てるという方向に益することでございますので、勉強いたしてまいりたいと思っております。

千葉景子君  漠然とした話だけではことは進まないわけで、そういう意味では、現実に運用されているこういう制度を一つ一つ充実させていく、あるいは使いやすいような制度にしていく、こういう積み重ねが必要なんじゃないかともうんですけども、一気に六〇%に行かないとおっしゃいました。ただ、そういう方向性をやっぱり検討していこう、そういう前向きな姿勢をもっていこうと。そこは大丈夫ですね。
国務大臣
(小渕恵三君)
 今答弁申し上げましたように、発足してわずかでございますが、これは財政その他全体にわたる問題もございましょう。その保険の会計の問題もいろいろありましょうけれども、やはりその環境を整えていくというためにそうした制度を充実していくということの方向は、これは当然だと考えております。
女性の年金問題について
千葉景子君  さらに、先ほど今井理事からもお触れになりましたけれども、年金の問題もこれからの大きな課題です。特に、将来安心できる社会ということになれば、この問題の解決というのは大変重要なことであろうと思いますが、この中でいわば女性の年金がどういう状況になっているかということについて総理はどんなふうにご認識になっておられますか、その実状というのはどんなふうにご理解していただいているんでしょうか。そこをちょっとまずお聞かせいただきたいと思います。

 女性の年金の制度がどういう形になっているのか、総理はご存じですか。総理にお聞きしているんです。

国務大臣
(宮下創平君)
 事実の細かな関係になりますので、私の方からちょっと前に答弁させていただきます。

 御承知のように、年金は国民皆年金でございます。そして、グルーピングいたしますと、大きく分けて厚生年金の公的年金、その中には国家公務員・地方公務員共済、あるいは私学共済、農林年金などもございますけれども、基本的には厚生年金グループ、それから国民年金というのがございます。

 国民年金は、年金制度を改正いたしまして基礎年金ということになっておりまして、被用者のサラリーマンなどの方々は、基礎年金の上に報酬比例部分を構築いたしまして年金体系ができております。

 さて、今御指摘の女性の年金問題でございますが、これは第一号被保険者、第二号被保険者、第三号被保険者というような言葉が使われておりますが、第一号と申しますのは自営業者でございます。この方々は、国民皆年金でございますから女性も一千万人くらいいらっしゃいますが、それぞれが加入して年金権を取得するようになっております。

 それから、第二号被保険者といいますのは、民間の被用者あるいは公務員等の場合でございますが、独立して女性として職業をお持ちの方は約千三百万人くらい働いておられます。これは独立した主体でございますから、その厚生年金の体系がそのまま適用になるということでございます。

 一番問題になると思われるのは、専業主婦といわれる第三号被保険者でございまして、これは主人がサラリーマンなどでお勤めいただいておる、しかし専業主婦でございますから、特にお勤めはしないけれども夫婦相助け合って生活を支えているわけですね。したがって、両方にどうかという議論がありますが、今のところは、サラリーマン本人の方々が保険料を納めていただきまして、そして妻の国民年金基礎年金相当部分は妻も権利を有しておりますから、これは保険料を納めないで夫の中に含有されているという観念で年金を受給することができます。

 しかし、この方々はもし主人がなくなった場合はどうなるかといいますと、国民年金は継続して支給を受けられますし、ご主人の報酬比例部分などにつきましては四分の三が遺族年金として加算される、こういうシステムになっております。

 委員がいろいろな問題意識をお持ちであるということも事前にお伺いしておりますが、これはまだご質問があればお答えすることにいたします。

千葉景子君  制度はいいんですけれども、総理、聞いておいてください。

 この制度というのは一九五五年に基本的に設計をされています。その当時の考え方としては、女性は働かずに主婦として家庭に、そして連れ合い、夫が働いている。ある意味ではこういうことを基盤に設計をされた制度なんです。それによって今非常にいろいろな矛盾が生じている。例えば、働いている女性と専業主婦でいる女性との間の格差が出ている、あるいは離婚をすると結局は比例報酬部分を取得できない。離婚はしないものだということを前提にしていたのかもしれませんけれども、男女共同参画の社会、あるいは人生、生き方の多様化、こういう中で大変いろんな問題点や矛盾が出てきている。

 そういう点について、そういう視点をきちっともう一度考え直して年金問題も検討していくということをぜひしていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。そういう女性の非常に矛盾に満ちた中に置かれている状況を考えて、総理としてはどんなふうにお感じになりますか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 今、委員御指摘のように、現在の社会の情勢の中で女性が社会に共同参加して大いにそれぞれの立場で活動されておる、こういう世の中になっておる状況につきましては私も承知をいたしておるつもりでございます。

 ただ、そのことを年金制度の中でどう生かしていくかということにつきましては、先ほど厚生大臣からも御答弁がございましたけれども、既存の既得権を持っておられると思われる方々の権利はどう保障していくかというような問題もございまして、また新たにみずからが個人、単位化するというようなことになってまいりますと、みずからの保険料の支払いというようなこともございます。

 要するに、そうした全体の状況の変化の中でこうした年金のあり方などにつきましてはやはり真剣に取り組まなければならない時代にまいっておることは承知をいたしておりますので、今後厚生省を中心にいたしまして十分検討いたしていくべきものと考えております。

国務大臣
(宮下創平君)
 基本的な方向は総理の今御答弁されたとおりでございますが、委員の御指摘はおそらく専業主婦の問題があろうかと存じます。

 専業主婦の方が今離婚という話がございましたけれども、離婚した場合は基礎年金だけしかもらえないということになる不合理性がございます。これは、不合理であるかどうかについては異論のあるところでございます。

 つまり、日本の夫婦の財産制度は、専業主婦の場合に、ご主人がいろいろお働きになって財産もできてくる、しかしそれは半分は主婦のものだというようなことが必ずしも定着はしておりません。それから、民法上も、夫婦は別産制、別の財産だという観念のもとに、財産分与の問題につきましては、財産分与の請求権を行使することによって行使されるというような法制的な仕組みにもなっておりましていろいろ問題がある。

 それからまた、この制度は年金だけでございませんで、税の問題なんかでも扶養控除という形で今設けておりますが、ある一定の、百二、三十万以上になりますと扶養控除を打ち切りまして独自の体系になっていくわけです。

 そういういろいろの絡みがございますので、これは検討させていただきますが、いろいろの側面を慎重に検討していかなきゃいかぬというように存じております。

男女共同参画社会の実現について
千葉景子君  それで、この女性の問題については男女共同参画社会の実現ということが非常に今重要な課題になります。社会の改革、その大きなポイントだというふうに思います。

 政府の方でも基本法への取り組みがなされておりますが、その取り組みの基本的な考え方、総理、男女共同参画本部の本部長としてどうお考えでしょうか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 本部長を仰せつかっております。

 男女共同参加社会の実現は、少子・高齢化、経済活動の成熟化、国際化など、経済社会環境の急速な変化に対応いたしまして、豊かで活力のある社会を目指していく上でわが国の将来を決定する大きなかぎであり、政府一体となって取り組むべき重要課題であると認識をいたしております。

 このため、本部長を務める男女共同参画推進本部におきまして男女共同参画二〇〇〇年プランの着実な実施に努めるとともに、男女が共同して参画する社会を形成するための基本的な法律の検討を進めるなど、今後とも男女共同参画社会の実現に向けて最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。

千葉景子君  基本的にはどんなポイントでこの基本法を作られようとしているのか、そこをお聞きしたいと思います。
国務大臣
(野中広務君)
 お答えをいたします。

 官房長官と共に、男女共同参画のための副本部長として事務を担当させていただいております。

 現在、先ほど総理がお答えをいたしましたように、男女共同参画社会を実現いたしますために、国民の幅広い理解を得ることによりまして施策を効率的かつ計画的に実施をし、職場、家庭、地域などの多くの領域にわたりまして総合的に取り組むことが必要であるという趣旨に基づきまして、ただいま男女共同参画審議会におきまして鋭意その実現をするための基本法のご審議をいただいております。秋頃にはその答申をいただけると存じておりますので、総理が所信演説で申し上げましたとおり、この基本法につきましては次期通常国会に出させていただきたいと願っているところでございます。

千葉景子君  何か話が事情に抽象的、漠としておりまして、誰でも男女共同参画社会、この言葉は言えますが、ただそれを本当に実行していく、実現していくとなれば、この姿を見ても分かりますように、そんなに簡単なことじゃない。今答弁されているもの男性の皆さんばかりと、こういうことでもございます。

 そういう意味では、この基本法、それを本当の意味で実のあるものにしていく、そういう決意が本当にあるのか。こういう社会が求められているから基本法を作らなきゃならないなと、どうもこんな感じがするわけですけれども、ここは、その目的あるいは趣旨、そしてそれによってどういう実効力のあるものにしていくか、こういうことをきちっとまとめてつくっていただく必要があると思いますけれども、総理、改めてどうですか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 自然の流れの、特に女性につきましては社会的な大きな活躍の場を得ておられる方々がおられまして、現に今、千葉委員のようにご活躍をされておられる方々もおられるわけでございまして、そういう自然の流れの中でありますことと同時に、やはりそれにこうした法律を考えてそうしたことの流れをつくるという努力も一方ではしていかなきゃならないんじゃないかというふうに私は考えております。

 両々相もちまして、共々男女が共同でこの世の中をつくっていくという形ができるように、なすべき点につきましては先ほど官房長官が御答弁されましたけれども、そうした考え方に基づきまして法律も出させていただきたい、このように考えております。

千葉景子君  これはいろいろな機会に全大臣にもいずれお聞きをしたいというふうに思っております。
従軍慰安婦問題について
千葉景子君  ちょっと従軍慰安婦問題についてお尋ねをいたします。

 今年の四月二十七日に山口地裁の下関支部で一つの従軍慰安婦問題に対する判決が出ておりますが、その内容などについて総理はご存じでしょうか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 この判決は、国会議員が賠償立法しなかったこと、この違法性につきまして下されたものと考えておりますが、政府といたしましては意外な判決であったと受け止めております。

 なお、控訴中と聞いております。

千葉景子君  意外というのはどういう趣旨でしょうか、総理。
国務大臣
(中村正三郎君)
 千葉議員よくご存じのことだと思いますが、立法府の不作為を理由に政府に損害賠償を求めるという訴訟でございますから、私自身もこういう訴訟があるのかなと思ってびっくりしたんですが、随分こういう訴訟もあると聞いております。私は、総理も同じ趣旨で言われたと思います。

 前に最高裁の判決で、立法府が憲法に大変抵触するような立法行為を行う、こういうときには訴訟の対象になるかもしれませんけれども、そうでない場合には非常に限定的に損害賠償の対象にすべきだという判例がございます。そういうものもございますから、今高裁の判断を仰いでいる、こういうことでございます。

千葉景子君  そういう意味ではなくて、この判決全体の内容を呼んで、あるいはどういうふうにそれについて受け止めているかと言うことをお聞きしたいんです。

 この内容については、従軍慰安婦問題についての重要な指摘もあるわけです。立法不作為という問題もありますが、全体のこの厳しい判断についてどう感じておられるでしょうか。

国務大臣
(小渕恵三君)
 今答弁申し上げましたように、現在控訴中の問題でございます。内閣として、その衝に当たることにつきまして、私が今その是非を論ずることは差し控えさせていただきたいと思います。
千葉景子君  この従軍慰安婦問題については、近隣諸国からも大変いろいろな問題が提起をされております、いまだに。それについて、各国の対応あるいは厳しい意見、こういうものについて小渕総理はどういうふうに御認識なさっているんでしょうか。これから江沢民主席が来日されたりあるいは金大中大統領が来日される、こういうこともございます。そういう状況も踏まえて、各国の対応について総理はどういうふうに受けとめておられますか。
国務大臣
(小渕恵三君)
 本件につきましては、外務大臣時代もこの問題に対しまして種々御意見を承りましたし、またそれぞれ関係する方々がおられる国々のその衝にある方ともお話をいたしてまいりました。

 いわゆる従軍慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけました問題であることを認識いたしておりまして、日本政府はこれまでもお詫びと反省の気持ちをさまざまな機会に表明してきておるとともに、ご承知のように、元慰安婦の方々に民族的な償いを行うなどを目的に設立されましたアジア女性基金に対し最大限の協力を行ってきておるところでございます。

 政府といたしましては、アジア女性基金にあらわされた慰安婦問題に対する国民の真摯な気持ちにつきまして、関係諸国の理解が得られるように今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。それぞれ国々におきましても若干対応が異なっておりますが、あくまでもこうした方々に対する対応として、日本政府としてはこのアジア女性基金を通じまして誠意を表してまいりたい、このように思っております。

千葉景子君  そのアジア女性基金が、十分にそれだけでは納得されていない、そういう実態じゃないんですか。
国務大臣
(高村正彦君)
 総理がおっしゃったように、日本政府とすれば、アジア女性基金について最大限に協力をしているということであります。それに対して、韓国政府は、日本側に要求したいのは心からの反省の気持ちだ。こういうことを言っておられます。そして、この基金のいわゆる償い金については極めて消極的な意向を表明しているということであります。

 わが国としては、基金ともいろいろ相談いたしまして、そして韓国側とも相談して、これからどういうふうにしていくのかということを検討してまいりたい、こういうふうに思いますし、中国側もやはりこの基金に関心は示しておりますが、どういうことを中国でやったらいいのか、これも基金あるいは中国側の意向もいろいろと確かめながら検討をしてまいりたい、こういうふうに思います。

千葉景子君  基金に頼るということではなくて、やはり政府の姿勢これ自体が今改めて問われているのではないか、各国からもですね。総理、その点についてどうですか。
国務大臣
(小渕恵三君)
 政府としては、今申し上げたような施策を忠実に実行するということで日本政府の誠意というものを示してまいりたいというふうに思っておりまして、この償い金を提供するに当たりましても、内閣総理大臣自身のお手紙も付してその気持ちを表しておるということ、このことをもっても政府の誠意というものを是非ご理解願いたい、こう思っておる次第でございます。
千葉景子君  改めてこれもまたお尋ねしたいと思います。
米軍基地問題について
千葉景子君  そこで、ちょっと基地にかかわる問題をお聞きいたします。

 神奈川県というのも沖縄に次ぐ第二の基地県でございまして、このたび横須賀に配属されている空母がインディペンデンスからキティホークという空母にかわりました。この配備について今とやかく申し上げませんけれども、やはり基地の存在というのは、周辺の住民あるいはその町の発展、いろんなものにかかわってくるわけです。そういう意味では、こういういろんな条件が変わる際に、やっぱり政府としては米国との間でその運用あるいはそれによってもたらされる影響、こういうものを十分に協議して、そして地元にとっても安心できるような条件整備をすることが大事だと思いますけれども、今回についてはどんな形で協議あるいはそういう問題的などをなさってきたんでしょうか。

国務大臣
(高村正彦君)
 先般、私、アメリカに行ってまいりました。そして、そのときにコーエン国防長官と会って、この厚木の問題、直接ではございませんが、日米安保の問題から、ますますこの安全保障関係を強固にするためにも、やはり在日米軍の方たちが日本側の地元住民のよき隣人として振る舞ってもらわなければいけないんだ、事件、事故が起こるようでは困るんだ、そういうことを言ってまいりました。コーエン国防長官の方からは、そのように今までも努力してきたつもりであるが、ますます気をつけると、こういうことでありました。

 そして、この厚木の米空母交代につきましては、地元自治体から、安全の徹底、厳重な規律の維持等について米軍に要請してくれ、米側に要請してくれという要望が外務省にあったわけでありまして、そのことについてはさっそく米側に伝えてありますが、今後とも我が方からこういったことはずっと続けていきたい、こういうふうに思っています。

千葉景子君  それにかかわりまして、やはり今、地元住民の安心できる条件整備というのだ大変重要でありますが、その中で厚木基地では、ジェット機の訓練、NLPが硫黄島へと随分移転されました。そういう意味では改善されているんですけれども、いわゆる開放日ですね、オープンハウスという地元の皆さんに基地を開放する日があるんですけれども、その日にいわゆるデモンストレーション飛行、アクロバット飛行などが行われているんです。

 これを楽しみにしている人もございますけれども、周辺住民はむしろそれによって迷惑をこうむっている。落下傘の降下事故があったり、そういう状況もあって、せっかく静けさを取り戻してきたのに、わざわざこういうときに無理矢理デモンストレーション飛行をやる必要はない、むしろそれが地元住民の感情を逆撫でしている、こういう指摘が非常に出ているわけです。

 これの中止を申し入れたらいかがかというふうに思います。それが地元の声でもありますが、いかがでしょうか。

国務大臣
(高村正彦君)
 今おっしゃられたように、展示飛行については、米側によれば、これを大変楽しみにしている人だ多いんだ、彼ら独自に行った世論調査でもこうだ、こういうことを言っているわけでありますが、地元の要望、自治体自身も私たちに、これはやっぱりやめてくれ、こういう要望があるわけでありますから、そういう要望に真剣に耳を傾けるように、米側には、ことし初めてでないわけでありますが、伝えているわけでございます。
千葉景子君  その根拠になっておりますのが昭和三十八年につくられている騒音軽減措置、日米合同委員会のですね、そこに、こういう特定の日に行うものは例外として認める、そういう規定が盛り込まれています。

 ただ、それは昭和三十八年ですから、厚木基地の周辺、人口五万人の当時です。今、人口は二十万。そういうど真ん中でデモンストレーション飛行をやると言うことは、もう時代も、そして条件ももう変わっている。

 むしろ、日米合同委員会でこの軽減措置、その但し書きの内容を削除する、こういう交渉、話し合いをぜひすべきだと思いますけれども、その点、総理、いかがですか、総理みずからやはりこういう問題についてきちっと対応なさっていただきたいと思いますが。

国務大臣
(小渕恵三君)
 ただいま高村外務大臣からも御答弁さしあげましたこのデモフライトにつきましては、米軍としても、よき隣人として日本の国民の皆さんにも是非観覧していただきたいという気持ちも一方で強くいたしておるんだろうと思いますが、その地域の状況というものも変化しておることは今御指摘の通りだと思います。

 外務大臣といいますか外務省といたしましても、この点につきまして地元の意思というものを、外務大臣より地元の意思につきましても米側に要請をいたしてまいる、こう申し上げておりますので、その事態を十分見詰めてまいりたい、このように思っております。

国務大臣
(高村正彦君)
 米軍側によれば、今やっているのは曲芸飛行ではないんだ、単なる展示飛行であって、日本側からの要請に基づいて、ここ数年いわゆる今おっしゃった但し書きに触れるような曲芸飛行は自粛しているんだと、こういう見解であることも申し添えておきたいと思います。
千葉景子君  ありがとうございました。



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