第28回相模湖・ダム建設殉職者合同追悼式の開催にあたり、殉職された方々に慎ん
で哀悼の意を表します。
今年もまた暑い夏がめぐってきました。相模湖ダムが完成して今年は59回目の夏で
す。
今も満々と水を湛えた相模湖は人の暮らしを支え、その風景でひとをなごませてくれ
ますが、ダムの歴史の冒頭で、尊い命が犠牲となったことを決して忘れてはなりませ
ん。しかも、出稼ぎ労働者、勤労学徒のみならず、強制連行され過酷な工事に従事さ
せられた韓国や朝鮮、中国のみなさんのくやしさ、無念さはいかばかりかと、年を重
ねてもなお、胸がいたみます。そして、毎年、殉職者の魂に哀悼の誠を捧げるため、
追悼の式を執り行っておられる各位のご苦労と真摯な気持ちに改めて敬意を表します。
追悼の意味は、こうした悲惨な事実を将来にわたって語りつぎ、現在もある差別や人
権侵害、紛争や対立に真正面から向き合い、二度と同じ過ちを繰り返さないことを胸
に刻むことです。
私たちの国は相模湖ダムの完成を前に武器を捨てました。平和を誓いました。
しかし悲しいことに、世界は未だ紛争の火が絶えません。いわれなき差別に泣いてい
る人がいます。子どもの虐待も跡をたちません。やむを得ず祖国を捨てても、寄る辺
もなく、不遇な人生を強いられている人たちもいます。
日本は戦後、懸命に努力し、日本を経済大国と言わしめるまでに成長しました。OD
Aや国連の分担金の大きさは世界でも群を抜きましたが、それだけでは国際貢献度の
目安にはなりません。相模湖・ダム建設での悲惨な経験に学び、平和と友好を世界に
発信していくことが必要です。
私は弁護士として、国会議員として人権問題に力を注ぎ、取り組んできました。これ
からも困難は多いものですが決してくじけることなく人権、そして平和を守るため努
力していく決意をここで新たにしています。
今、民族の違い、文化の違い、宗教の違いを乗り越えて、理解しあい、多文化共生の
社会をつくろうと世界のみんなが努力しています。その流れは、まだ細い川かもしれ
ませんが、いずれ戦いの火を消し去る大河となって、とうとうと流れる日がくるもの
と思います。
ここに改めて、殉職された方々に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の方々のご多
幸を祈念し、追悼のことばといたします。
2006年7月30日
参議院議員 千葉景子